★⇒私のブログの最新記事へJAMP
経済産業省電力課の通達で月例点検では変圧器B種接地の
漏れ電流を計測しなければなりません。
電圧と電流測定は盤付メーターで確認すればいいですが
漏れ電流だけは自動表示はされません。
私が担当する現場で第1変電設備の場合で説明するとまず絶縁
バリアーを外します。
ここには8台の変圧器があるのですがそこから右側の配電設備
(MCB、ELB)に行き各階のテナントに送電されます。
絶縁バリアーを外したら充電部が露出するのでここをまず電圧
クリップします。(電灯TRの場合、黒は真ん中にする)
抵抗分漏れ電流(I0r)計測には基準ベクトルを検出する必要
があるからです。
クリップが甘く弾いて外れ短絡などしたらこの位置は変圧器二次側
とMCB一次側間のため、保護回路がない状態のためガチに大きな
電流短絡となり大火傷になりますから★クリップはきちんと確実に★
その赤と黒線は下の様にIorクランプメーターに接続されていて
機器本体で挟んでるのが変圧器B種接地線。
使用してるのは三和のI0rクランプメーターI0r100です。
今回は新人さんに計測させたのですが見てください。
8台の内7台は通常のフィルター機能ON状態のI0測定でも50mA
未満でいいのですがある1台の動力変圧器は約110mA(109.7)
もあり、基準の50mAを大きく超えていて原因調査をしなければ
なりません。(注意:これは変圧器B種接地のみでの基準)
ですがI0rは約17mA(17.08)のためまったく異常ないのです。
二段表示の下がI0で上がI0rを表示している!
保安協会の知人からもI0がいくら高くてもI0rが50mA未満なら
問題ないとの回答ももらっています。
その他の変圧器のB種接地線の電流状態はこんな感じですね。
I0が約8mA(8.48)でI0rが約4mA(3.5)で異常なし
I0rレベルではB種接地線は3~20mA未満になるのが私
が担当する現場で工場の様な動力の大型機械が負荷に
ある動力変圧器ではもう少し大目になると思う。
稀にI0が高い変圧器があると通常のリーククランプメーターでは
苦労する事になるのです。
50mAを越すのは回路長や負荷設備によりそういう事もあるの
でそれで即異常である!と言ってるのではなくそうなる原因を
特定する様に通達では指示されています。
ですがI0rで50mA未満とわかってるなら問題なしです。
ビルなどの遠隔漏電監視システムが各変圧器B種接地50mA
超えたら警報を飛ばす様にしてるのもこの通達を意識しての
事だと私は思っています。
正確にはI0rが50mAを5分を超えて継続した場合調査が
必要となるのです。
H21年通達なので以外と知らない電気主任もいるかも?
地絡警報を凄く高くして動作しない様にする管理方法はその
せいで漏電に気がつかず電気火災となれば保安規定にある
電気主任解任事項に該当するのでそうなって当然です。
今度は受変電設備ではなく現地の各階EPS又は店舗内分
電盤でのI0r測定も毎月行います。
年1回の絶縁測定で保安規定の遵守事項はクリアーします。
ただ消防出動が発生した様な電気火災では直前の絶縁状態はどうか?
と消防の方から質問されるという情報を知ったので停電せず
に抵抗分漏れ電流(I0r)をすべてのテナントで毎月行っています。
各テナント盤の主幹のみでいいですから!
今の時代、毎月停電してメガ測定なんて絶対に無理です。
大きな損害やまして死傷者まで発生した状況ではなぜその
兆候に気がつけなかったか?が一番の問題になるからです。
冷静に考えて10ヶ月前にメガをして10ヶ月後に電気火災が
発生した場合、その間は絶縁管理はしてなかったという事です。
新築ならともかく築15年以上の現場で年1回メガをしたから
1年間は絶縁は大丈夫という意識は一般常識から外れています。
保安規定は最低基準で最低何らかの絶縁判定は毎月すべきで
数値による絶縁管理が最善と私は判断します。
目視で毎月盤点検をしてると言っても信用性は低いでしょう。
これは店舗Aに言ってる1φ3W回路ですが私はテンパール工業
のRM-1と大口径クランプメーターMCL-800Dをセットで使用。
RM-1は対地間静電容量と逆位相の電流を流す事でそれの
影響を消すというアイデア商品です。
従いRM-1のみではI0rの測定はできませんので注意!
最初に使用したクランプメーターI0r100は口径が狭いため
使用できませんが逆にRM-1は付属の電圧クリップ線が短い
ので変圧器場所では使用が難しいと各一長一短あります。
測定の結果リーククランプメーター単体で14.3mAでI0rが9.7mA
今度は店舗Bの3φ3W回路での測定です。
リーククランプメーター単体で19.6mAでI0rで11mで異常なし。
この地点での漏れ電流基準はケーブルの最大配給電流の
1/2000未満ですがほとんどが30mA未満に収まります。
毎月10mAしかないのに急に50mAになったら他回路では常に
50mAあるから安全という考えはしません。
あくまでその回路の変化経緯のみで考えるべきです。
測定結果は書式は問いませんからエクセルで明瞭な物を作り
いつ何があっても関係者に見せれる様に書類管理も万全に
常にしておいてください。
ここで値もですが抵抗分漏れ電流(I0r)で計測したという
事実が一番大切なのです。
★停電せずに有効な絶縁管理はこの方法以外ありません★
特に年数の経過したビルや建物に地絡検出システムがない
規模のビルではこの方法で毎月絶縁管理をすべきです。
ぜひ会社に進言して機材の購入計画をされてはいかが?
ほとんどの現場があってもリーククランプメーター程度
だと思います。
(あれは特定の周波数帯成分を除去する物でI0r値
ではありません)
私が使用してる計測機器ですが実売価格が三和の
I0rクランプメーターI0r100が85000円、マルチの
大口径クランプメーターMCL-800Dが45000円
テンパールのRM-1が15000円で合計14万5千円!
この程度を惜しむ様な会社でそれでどうやって電気主任
として満足な電気管理ができるのですか?
電気主任として着任したら測定ツールの状況確認をし
不足があれば至急会社に伝えるべきです。
上でいう電源を切らずにとは絶縁抵抗値の事です。
メガは電源を切りDC電圧で測定する事で対地間静電容量の影響
をなくし対地間抵抗値を測定しています。
(ACを使うから対地間静電容量が発生するのが交流回路の最大
の欠点なんです。)
この対地間抵抗値こそ皆さんが言う絶縁抵抗値の事です。
I0r100は抵抗分漏れ電流(I0r)を測定する事でそれで電圧を
割れば同じ対地間抵抗値が停電せずに測定できるのです。
I0r100には絶縁測定モード(右)というのがありそれがこれ↓
活線メガは電源電圧より1/2rad位相がある対地間静電容量
の要素を完璧にカットする事で実現できるのです。
だから基準ベクトルとして線路の電圧入力もI0r測定では必要。
大きな声では言えませんがどこの現場でも電気を止めてする
絶縁測定が事情でできないグレーゾーンな回路が実は1回路
はあるはずです。そういう場合こそI0r100が好都合です。
私が着任した現場でもあり、前任者はやもうえず値を捏造して
いましたがこのままではいけないのでそれを改善するのも
I0r100の購入理由でした。
分電盤内の通常の20AのMCBやELBならそれで測定できます。
MCL-800Dは挟む口が大きいのでCVTケーブルにはいいけど
逆にテナント分電盤内ではI0r100の方が使い易いです。
ある200V回路を活線状態でメガ測定したらこんな感じですね。
203Vの6.7MΩ、主幹なので値は単体回路測定より落ちます。
有効な測定ツールなくして精度の高い管理業務は絶対無理!
電気主任と着任して責任を持ち管理する以上は必要な物は会社
に進言しないと会社は事があった時には事前に言ってくれてたら
購入していたのにと必ず、貴方の責任にして逃げますから!