2020年12月31日木曜日

ビル設備管理 最初にUVR動作を知る!



OCR(過電流)、DGR(方向性地絡)、UVR(不足電圧)はどこのビルや工場
でも必ずあるメインの保護継電器です。実際問題として適正管理適
正環境な現場であればOCRやDGRが動作する様な事はまずないと思っ
ていいです。ですが必ず係るのがUVRの27で停電作業をすれば動作
しますし、配給側の事故による停電でも動作するのでこれだけは
知らないでは済みません。

UVR(27)の動作は電気主任技術者の基本中の基本です
27が動作すると中央監視PC及び現場盤でも不足電圧という表示が
点灯します。警報音は故障一括回路で動作して現場では鳴動します。
停電は誰もが感じる不安のため停電したらどうなる?は頻繁に
質問されますからこのUVR動作~発電機起動まで熟知が電気主任は
絶対です。

DSとVCBの間にVTがありそこの電圧を検出してUVRは反応しますが
動作は値と時間のAND回路条件でUVRは動作するのです。これは他
の過電流(OCR)、地絡(DGR)の動作においても同じ考え方で値と時
間の2条件が同時成立した時に"異常あり"とするのが電気の保護
装置である継電器の基本思想です。

上の様な充電部の前には実は透明の絶縁バリアーがあります。
接近するとわかると思いますがここを外していいのは電気主任の私
だけと決めています。VTとCTを盤内で人目で見分ける方法はヒュー
ズがあるのがVTです。CTは二次側を開放できないためそれはありま
せん!VTつなぐな、CT開くなと昔、父から教わった事もあります。

これがUVR(27)ですが私が指で示してる値がVTの二次電圧です。
動作電圧80V、動作時間1秒としたならばVT値が80V以下1秒を継続
したらこの中の接点がONとなりそれを利用してVCB切りや発電機起動
のきっかけとするのです。
80Vという事は110Vで6600Vですから(6600×80)÷110だから受電
電圧が4800Vになったらという意味ですね。
瞬時停電で動作してはいけないので時間要素を設けますが受電点の
UVRで2秒程度だと思います。
VT不良で電圧低下してもUVRは動作しますから普段の管理において
も傍を通った時はこの値を見る習慣を持ちましょう。
又継電器の動作表示をターゲット表示と言いますが電気主任らしく
業者にはこの言葉を使ってください。

UVRは電圧が復旧すれば自動動作するのでターゲット表示をリセット
してなくても機能には関係ありません。
つまり動作履歴みたいな物ですが業者なんかが見た時に現場で出た
ままで放置してると"ここの電気主任は管理レベルが低い"とか思う
人もいるので停電が終わったら必ず表示は消す事!

UVRの裏はこんな端子構成になっています。ただこれだけ見ても意味
がわからないでしょう。


製品マニアルを調べると内部回路図があるので見ればすぐに役目は
想像できると思います。


UVR単体の接点のみを利用して中央監視PCへの停電警報、VCB切り
発電機起動を構成するならばこんな感じになります。

でも実際の現場にある回路はUVR接点を利用はしますが設計者の
作成した回路で動作する事になります。
27X-R3という回路を通じて各表示回路は動作させていますがVCB
のトリップ回路はよく見ると27X-R3とは絡んでいません。
27X-R3はアナンシエータリレーといい簡単に言えば監視を行うため
に異常時ランプの点灯やベルが鳴るようするための物です。
記載が扱い難いので27X-R3のままで説明します。

上27X-R32リレーのa接点がVCBのトリップ入力5番に接続されます。
停電して27X-R32リレーが動作しそのa接点が閉じるとDC100Vが5番
にかかりVCBは遮断動作をします。(すべては理屈通りです)
過電流や地絡発生時もこの5番入力に電圧をかける事でVCBを遮断
させるのは同じ理屈です。
正確に言えば手動操作でVCBを切る時も5番に電圧をかけるのです。
故障でVCBが切れないなら5番、投入できないなら3番になぜ電圧が
かからないのか
順番に追っていけば必ず原因にたどりつけます。


これが上回路の現場のパーツの配置状況です。

もし停電動作で不具合が発生した場合はどう見るか?
最初に端子の緩みがないかまず確認をします。

1.まったく表示も連動動作もされないならUVR故障の可能性大なので
27X-R3の1番にDC100Vが来てるか?来てないならUVR取替が必要
でしょうね。(修理してまで使う性質の物ではありません)

UVRの接点が停電時に正常動作していて以下故障の場合は↓
2.現場も中央PCでも27警報が出ないならば27X-R3の取替が必要
となります。(中央監視だけなら27X-R31リレーを交換します。)

3.VCBが切れないならば27X-R32のリレーのa接点が入らないため
にVCBのトリップコイルに通電されないのです。
そうなれば27X-R32リレーかその手前の27T-R3タイマー故障です。
(VCB本体は毎年業者で動作テスト、定期的OHもしてるからまず壊れない)

又現場盤でランプがLEDでない現場では正確な点検のためランプテストを
押しランプ切れがない事も確認する事を忘れないでね。
私のとこは3年前に22000V特高盤だけはランプはすべてLEDにしました。
回路点検をした事がない人は理屈では理解できても実際どうやって27X
-R3の1番のDC100Vを測定するのかわからないと思うので説明します。
ここで27X-R3の1番は27T-R3タイマーとも接続されているので他の2個
の測定方法でも同じ事となります。
リレーやタイマーにある小さな数字がパーツ端子番号を意味します。

上のUVRはVCBトリップだけが目的ですが受電にあるUVRは動作する
事で各必要なVCB遮断と発電機が自動起動となります。
上で紹介した回路で言えば27X-R33というリレーをこの位置に接続
してそのa接点で発電機起動回路をONにすればいいのです。
受電UVRは発電機運転が絡むので受電UVRの回路は特によく研究
されておいてください。
できれば上で説明した様なパーツを事前に準備しておけば最善です。
病院、飲食、生産工場で停電して発電機が起動/送電しないは甚大な
被害に至り電気主任として無策が一番ヤバイのです。

どこの現場でも月に1回以上は発電機試運転をされていますがその
送電用VCBが実際の停電で自動投入できるかは確認できません。
(水抵抗器など負荷試験装置まである現場は稀でしょう)
自動で駄目なら手動で起動・送電すればいいと楽観してるならば
発電機は運転するがそれのVCBが手動でも入らない場合は?
(発電機VCB投入回路にはインターロック用のb接点が必ずいるので
それが何らかの理由で切れたままのため手動でも投入できない)

停電時に発電機の電圧が建物外にかかり二次災害を発生させない
ため発電機VCBと受電VCBは同時には自動でも手動でも投入できな
い様に回路は組んであります。逆送電防止回路と言います。
私が管理してる現場では受電と中間VCBの両方が切れる事での保護
回路解除と発電機電圧確立の条件が発生して送電可能となります。
100%関連VCBは切れており電気的リレー故障でのみ投入できないに
限り発電機VCB投入回路にあるb接点を短絡させればそこで手動投入
はできる事となります。

もしこういう事態になっても苦痛ではないです。パズルの謎ときみたいで
言葉は悪いけど半分楽しみながら探せる余裕は今ならあります。
入社した頃は回路を掌握してないので不安でしたがわかればなんて事
ないと思います。そういう気持ちの余裕こそトラブル発生時には必要!
逆にプレッシャーは普段の知識を一時的な健忘症にさせてしまいそれ
で適当な事をして更なる状況悪化に至ると思います。
イザな時こそ普段の研究の努力が生きてくるのです
創意工夫もそれがあってこそ可能となる応用でしょうね。

停電して発電機が起動した場合にどの範囲が生きるのかその点は電気
主任技術者は熟知しておかないといけません。
私が管理する現場では消防設備、非常照明、飲食の大型の冷凍設備
その他停電しては困る機器です。
残念な事にテナントの営業活動をすべて可能するだけの容量は発電機
は1000KW分しかないのでそれは無理なんです。
(今は採算が合わないのでコージェネは止めて非常用発電機として使用)

以上、停電動作についてはこれだけ覚えておけば電気主任として着任
するに当たり前任者に対して恥はかかないと思います。
まるで無知で"電気主任です"なんて..無知でも勤まる職場と思って入社
したのか?と思う先輩がこういう業界はいるのを知っておいてください。
(電気主任として入社するという事は素人とは扱ってもらえません)

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