2020年12月19日土曜日

ビル設備管理 VCB周辺回路での自己流気づき

(下回路は簡易的記載で実際の回路はもっと複雑です)
VCB内部回路は外部からの各電圧入力を受けて投入、遮断動作を行
います。後はそれに連動する補助接点(a、b)があるというのがVCBの
基本構造です(操作電源がACの場合は整流回路が追加となる)

もしも投入と遮断のボタンを同時に押したら?必ず遮断優先で切れる
様にVCBはなっています。(ポンピング防止といいます)

初めて何かの図面を見る場合は各役割の配線ラインのどれに接続されて
るかでその回路に何の役割があるのか想像できます。
たとえばP線を入力とするなら何かの動作回路、AL線なら警報回路とわかり
それを目で追っていけば全体的な動作が見えてきます。
他の現場に行ってもこの図面さえあれば相応の対応策が私達電気を扱う人
はだからわかるのです。
初めて現場に着任されたらまずこの位置から図面を見て覚えてください。
私は誰かから習ったわけではないのであくまで自分の経験として)

★保守管理する上で大切なのはVCB本体と周辺配線のつながりを
よく理解しておく事です★

それがわかれば故障時に何が悪いのか原因特定が可能で軽微な故障
であれば応急対応も可能となります。
初めて電気主任をされる方は比較対象の知識がないと何でも対応に
不安を感じますからそういう方は下回路ケースを暗記されてください。

P0-N0又P1-N1でDC100Vと書かれてますが電源に直流(DC)を
採用する機器はDCの+はP、マイナスはNで表記されます。
停電時でも常に継電器やVCBの機能を確保するためDC電源装置を
別設置しそれに対応するために下のVCBは電源がDCなのです。
(ビルの場合は直流電源装置+直流電源用継電器、VCBのはず)

P0に接続されてる引いて入りの操作SW⇒67Yのb接点⇒51Yのb接点
⇒VCBの3番入力、これで3番がVCBの投入用端子だとわかりますよね。
VCB投入回路には必ずインターロックb接点がいて51(過電流)と
67(方向性地絡)が動作した場合は安易なVCB再投入を防止しています。
同じく切りSWから信号を追うとVCBの5番端子がVCBの切り端子です。
横からの破線は過電流(51)、地絡(67)、停電(27)が動作した時に
トリップ信号が各継電器から流れる、切りという動作において手動切
りも同一回路になっています。


27のみVT受電で自働復帰しますが★51と67で受電トリップ時は原因除去
し手動リセットが必要★なのは特に重要ですから必ず覚えておく事!
VCBは内部に投入コイルとトリップコイルがあってそれを入と切のたびに
動作させるわけでこれ自体も駆動用のDC電源を必要とします。
又一旦投入されたら機械的にその状態を保持しトリップコイルに通電され
るまでは投入状態を永久継続
するのがVCBの特徴です。
投入と切の信号は一瞬のワンシット信号としてしか通電されません。

VCBの8番と12番端子に接続されてるのが盤にあるONとOFFのランプ
VCB投入で12番からDC100Vが出力されて赤ランプが点灯、VCB切りで
8番からDC100Vが出力されて緑ランプ点灯がとなります。
VCBを後から何かと連動させたい場合、一番簡単なのはこのランプ信号線
にDCリレーを入れたらいいのです。
たとえば投入状態つまり赤ランプ点灯回路にリレーを入れてそのb接点を
違うVCBの投入回路に挿入したらインターロック回路も簡単にできます。

継電器の動作表示(ターゲット)について/27・UVRの場合
これはその継電器が動作したかの履歴みたいな物でこの表示が出たまま
忘れても運用上は問題ありません。
時々ターゲット表示消しボタンを継電器本体のリセットSWと勘違いされて
る電気主任の方がいらっしゃる
様ですがそれは違います。
ただ来年停電作業まで放置すると業者に"ここの電気主任は無関心
と技術力まで疑われるので忘れない内に表示は消しておきましょう。

VT電圧が動作電圧設定より低下(90V程度)してその状態が動作時間
(2秒程度)継続した場合に受電VCBを切ります。
VT電圧は二次側は110Vと決まっていますが一次側は受電電圧6600V
22000Vと現場により異なります。
何が言いたいかというと受電が22000Vなら(22000×90)÷110となり
18000V以下の受電電圧低下が2秒以上継続したらVCBを切るのです。
(時間要素がないと瞬時停電でVCBが切れてしまいます。)

監視盤出力とは中央監視PCに状態表示させるためのa接点です。
ただこのVCBは現地での操作しかしない、つまり遠方モードなしです。
又は手動-自働と表現される場合もありますが以前の電力コンデンサー
回路を覚えていますか?これは中央監視からON/OFFの遠方モードあり。
(CX1リレーが遠方入り、TXリレー1が遠方切り)
現場の用途によりですが遠方モードは基本はあると思ってください。


上の回路を見て気がつかれたかもしれませんがこの電力コンデンサー
投入用はVCS(真空開閉器)という物で投入遮断を行います。
それはVCBと違い短絡電流の遮断ができないのとトリップコイルが
必要ありません。(だからPFがLBSの様に必ず付属する)
機械的に投入状態を保持できないのでマグネットの様に自己保持
回路でON状態をキープしているので通電を切れば切りとなります。
VCSを使う様な機器は24時間ONしたままという使い方はしません。

VCBの様に受変電回路で使用される場合は年1の点検日以外では基本
OFFにはしないので365日投入コイルに流れる事となります。
以前何かの本で励磁コイルに電気をかけたままだと3年程度で断線する
という記事を読んだ事があります。
そのためVCBは必要な時にだけ投入コイル又はトリップコイルに通電させ
て回路を入切できる構造にしているのです。

動作信号を切ってもその状態を機械的にキープする物をラッチ式といい
常に動作信号を与えて動作させなければ、その状態をキープできない物
を常励式というので覚えておいてくださいね。
マグネットやリレーなどは常励式です。(ラッチ式のマグネットもありますが
通常の現場ではほとんど使う事はありません)

初めてVCBを投入した方は妙な音をきっと不思議に思う事でしょう。
VCBを操作SWで投入すると投入完了と同時位のタイミングでモーターが回る
様な音が5秒程度するのですがこれは何の音?
実はVCBはバネ力で遮断動作をする仕組みになっていて、投入すると次の
遮断のためにこのバネに力を蓄えている時の音です。(★蓄勢機能)
VCBは操作SWで遮断操作をするとラッチ機能をトリップコイルが外す事で
そのバネ力で高速遮断を可能としているのです。(3サイクル遮断)

尚、電気室にはVCBが複数あるので運用を考えて復電時と停電時に各
VCBには投入と遮断に順番を私はつけています。
電気的な都合ではなくてテナント設備都合で電気を生かす順番がある
からでそれは各現場によります。番号を割り当て貼っておけば間違いなし
★人間は頭の中でわかっていても行動で間違いをすぐにしてしまう★
(SWを入れるという誰でもできる簡単な事だからこそ間違えたら恥です)

結局VCBが急に動作しない場合は最初の図面で言えば投入ならVCBの
3番、切りなら5番にDC100Vがかかるか
確認すればいいのです。
実際3番の電圧を測定するとなると図面上では51Y-R1リレーの5番端子
とN0の線の間にテスターを当てる必要がありますが意外とテスターの線
が短くて届かないいうケースが時々あり紙の上の考えが即現地では
できない事はよくある事なんです。
(DC回路は非接地だからあの検電器は反応しません、途中に制御トランス
がないAC制御回路ならば電圧のあるなし程度はそれでわかります。
200⇒24vに下げるトランスがあるとACでもその回路は非接地です)

VCBの各端子への接続は接続ターミナルを通して外線接続されてるので
ここでVCB3番につながる線が接続される端子とN0線が接続される端子
間にDC100Vが投入SWを入りとした時にかかるか測定すればいいのです。
(図面に記載されてる配線番号が実際の線にもマークしてある)
電圧を利用した故障調査はここで簡単にほとんどができるはずです。

一人でこの点検をする時に困るのはVCBのSWはスプリングリターンなので
引いて回した時にDC100Vはかかりますが手を離すと戻り切れてしまう。
測定はしないといけない、SWも入りとしなくてはいけない、両方は無理。
熟練者なら操作SW内部をジャンパー線で導通させてDCのかけぱなしも
いいけど基本は補助者にSWをたびに入れてもらいましょう。
DCをかけぱなしで作業するのは経験の浅い人では短絡事故に至ると線
を焼いてしまいます。(DCはACより短絡電流が大きい)
たかが2端子間の電圧を測定するだけですがどこでの測定が一番安全
にできるのか図面と現場を見て確認してから作業をしてください。


測定の結果3番に電圧がかからないなら私ならこう点検します。
(私は誰かから習ったわけではないのであくまで自分の経験として)
このレベルの故障ならパーツを購入して自分のプライドとして自分で修理
できる自信はあります。
端子は取付時に業者がキツくまし締めしてるのでたぶんリレー不良で
b接点の導通がなくなってしまい投入時のDC100Vがかからないが起き
える主原因でしょう。操作SWは相当頑丈なのでまず壊れない!

ジャンパーとは両方にクリップのある配線でリレーの端子をつなぐという
意味でホームセンターでこんな線は売っています。
通常時b接点が故障して切れてるならばこれをすれば応急的に正常状態
にする事でその接点の故障を知る事ができます。
配線番号をよく確認しないと違う2端子間ですると短絡させたらヤバい。
後ジャンパーは充電状態で絶対にしてはなりません。
それを外す時も回路電源がかかってない状態で、コイル物の線を生きた
状態で外す場合は逆起電力による火花がありえます。

測定の結果、逆に3番に電圧がかかってるのを確認したならば業者に
連絡してVCBの調査修理を行ってもらえばいいです。
結果後は業者に丸投げでもどの段階でするかが職場での電気屋さんと
しての評価となるのです。

"電験はあるが最初からそうでは誰も認めてくれはしない"のは当然です。
調査⇒修理見積もり⇒会社で承認⇒発注⇒修理という手順が会社にはあり
どうせ修理するのだから先に修理させて後で金額は決める強要というの
は下請け業法に違反するので今の時代は禁止されています。

高額な修理費ではオーナーから故障理由や経緯の説明も求められます。
一般の人は"電気主任の普段の管理が悪いのでは?"という意識もあるので
そう思われないためには状況がまったくわからない報告は絶対避けてください。
★特に故障発生から業者依頼までの貴方の初期対応が重要となるのです★


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