2020年12月5日土曜日

ビル設備管理電気主任 変圧器取替工事前作業

これは3年前の記事ですが新に編集しました。これから電気
主任をされる方の参考になれば、NO3変圧器を1000KVAから
2500KVAに更新するに当たり、前作業で既存のNO3変圧器を
切り離す依頼が業者よりありました。受電状態の操作でビル
内は営業状態なので操作は慎重に行いました。残りの変圧器
にNO3変圧器分が瞬時に乗りますが余裕があるので電圧変化
等は発生しません。
翌日2500KVA変圧器接続工事なのですが
時間的に前日にしておかないと予定時間で作業が済まない
のです。これ位ならばゆっくり確認しながらすれば私一人
でもできます。逆に設備の仲間に手伝ってもらうのは危険
こういう事は業者がいないなら、電気主任単独でした方が
安全と言う物です。
_NO3変圧器には22000Vの一次側と
6600Vの二次側にVCBとDSがあるのは覚えて読んでください。

最初に変圧器の二次側(6600V)の開放を行います。負荷側から
ルール通りに切れば何の問題も発生しません。ここでは必ず
最初にVCBを切り無電流にしてから以後作業は行います。遮断
したらNO3変圧器盤電流計にて0Aを必ず確認します。電圧は
DSをこの時点では切ってないので6600V指示のままです。(NO1
とNO2変圧器の電流計はNO3の負荷分だけ指示値が上昇)ただVT
はVCBとDS間の電圧を見ているためDS切りにより27警報が中央
監視PCへ行くので後で処置は必要となります。切り操作手順
は①から開始して順番にすればいいだけの事です。VCBを切り
0Aなら一次側は充電状態でもDSは切る事はできます。

写真の様にVCBとDSは完全に回路から切れました。
これでいかなる方法をしても負荷送電される事はありません!
一時的に電気を停止させるならばVCBの切のみでも構いません
今回は線路、盤内で人が作業をするので完全に電気を止めます。
このDSはVCBを切らないと操作レバーを動かせない仕組みがあ
るのは電流が流れてる状態でのDSの生切りを防止するためです。
(インターロック式のDS)_操作にDS棒は使いません!
この時点で盤内の一番上のDS一次側まで6600Vは来ています。

現場盤ではDSを開放する事で27動作して不足電圧ランプ点灯。
中央監視でも0V表示ですが、実際の現場盤ではDS一次真上まで
6600V来てる、この時点で安易に上の透明絶縁バリアーを外し
てはいけません。DS操作BOXのとこだけはだから開放されてい
るのです。PCの簡易表示だけを見て作業したら危険性あり。
それとPC状では一次側0A表示ですが実際完全0Aではなくその
理由は途中で説明します。制御回路はDC100Vの別ですから
高圧を切っても異常ランプとかは点灯継続します。

電気主任に着任したら中央監視PCの各電圧表示はどのポイント
なのかは確認しておきましょう、重要です。"なんとなくこの
辺が6600V"という設備の一般係員と同じ認識ではダメです。
現場でVTがどこにあるか図面で終わりでなく現場で確認!
4個上画像でVTは説明。PFがVTにはあり、CTにはないです。

今更ですが現場未経験の方に説明すると高圧受電盤にある操作SWは
引いて回すのです。初めて電気主任となり停電作業をする時とか
で緊張して"回りません"なんてない様に注意されてくださいね。

インターロック式のDSはこの操作レバーを下に引いて入、上に持ち上
げて切りとなります。私のこの手でもできるのですから力任せに操作
しなくても大丈夫ですが物事は丁寧に扱う様にされてください。VCB
が投入状態ですとこのピンが固定状態となる事でレバー操作をできな
くする構造です。

図面を見ると27X-R31のa接点で中央監視PCに停電警報が行く
わけなので1本配線を外すかリレー本体を抜きます。重要
な制御が他に絡まないのであればリレーを抜くのが簡単。
もしこれが基盤ならばこの回路の電源を切ってからの方
がいいです。

このタイマーは2秒後に動作して27X-R32リレーをONさせます。
27X-R32リレーのa接点はVCBのトリップコイルに通電するため
の物なのでこれも抜いておくべきです。どうせ翌日には生か
すわけなのでこれが一番早い対応方法です。工事業者は工事
に必要な部分しか検討してませんから、それ以外の細かい
事は電気主任が回路を見て検討しておかないといけません。
今回は故意に無電圧にしてるわけで中央監視への異常は切れる
がその状態を放置する事でどこかに無理が発生しないかを回路
を見て検証しておくのが大切ですね。まあOCR側の線を外せば
いいわけだけど自分が普段触らない部分では処置しない方が
いいです。某社の中央監視ならメンテナンス切替で無効にし
ておけば簡単だけどそれは単に現場からの信号を遮断してる
だけです。問題は現場の状態ですから!

NO3変圧器の一次側VCBには27でトリップさせる仕組みはない
から停電させたままでも問題はないです。つまり停電して
切れるのはこの回路では二次側のVCBのみという事です。
それも上でタイマーを抜いてるから動作しないわけです、
VCBを抜いてるは別にしてそれを切る回路が空動作でも動作
するのが私は嫌なんです。_VCBはVCSと違い入信号で投入
コイル動作⇒投入完了⇒機械的に保持⇒LSで切り⇒入信号
受付けない、切り信号はVCBが投入状態の時のみ受付る。
もし制御電圧が低下するとコイル電流が増加して焼損する
ので制御DC100Vの電圧、つまり電気室にある100V蓄電池
管理が重要なのはこの図面1枚でわかると思います。

最後に変圧器の一次側(22000V)の開放を行います。レバーを
切り側に回せばVCBは切れます。盤電流計にて0Aを確認。
変圧器は二次側回路を開放しても一次側には無負荷電流が
流れてるため一次側VCBを切ってからDS開放は行います。
二次側を開放した時に仮に一次側電流計の指示が≒0Aとし
てもそれはメーターの誤差ではなく0Aではないのです。
特髙変圧器3台で充電状態で変圧器の停止ができるのは
ここの設備ではVCBが一次側にあるNO3変圧器のみ
です。
もしNO1かNO2の特高変圧器を停止させるなら受電を切る
必要があります。それに気がつかないでNO1やNO2で今回
と同じ事をしたら一次側DSを開放した時にヤバイです。

VCB本体にも緊急用の入切の押しボタンがあります。
これは22000V用のVCBだけど基本的な扱いは特高も高圧も同じ。
ただこれを操作して直接VCBを入切りする事は通常ありません。
付属の投入レバーを使う場合は投入コイルに電源がない時に
強制手動投入で使います。もし制御電源がない場合は投入し
た瞬間に保護回路なしで接続する事になるので普通の方は
触る物ではありません。VCB本体引き外しや挿入ではVCB前
にあるレバーを持ち上げ、取っ手を引くか押し込むだけ。
ビル管理で電気担当以外の方は盤表にあるレバーでVCBを
投入、遮断操作する以外の事はしてはいけません。
高圧
電気取扱講習を必ず受講してる事、ちゃんとした会社なら
全設備社員に受講させるはずです。あれをしてないと
電気事業法ではなく、労働基準法で違反⇒事業者は従業員
に電気を扱わせる場合は教育を行う事に違反します。
電験三種や電気工事士の資格があるないは関係なく教育
の義務が会社にはあります、でもしてないとこ多いです。

VCBの選定で一番重要なのはその地点での短絡電流です。
私が管理してる所内の22000V点で短絡電流は5500A程度なの
で定格遮断電流が16KAもあれば問題ありません。
受電点の短絡容量計算書を現場で無くしてる場合は電気を配給
してもらってる電力会社にも資料として提出してるはずです。


VCBを引き出し、挿入するレバーというのがインターロック
レバーという物です。VCBの前面たぶん左下辺にあります。
当たり前ですがVCBを先にOFF(遮断)してから引き出しします。
引き出したら試験位置までVCBを引いてください。外れたから
と途中で放置しないでください。安全操作手順は厳守の事。

一次側DSは二次側DSと違いVCBとインターロックしていません。
こういうタイプで電流が流れてる状態でのDS開放という事故
が発生します。この段階でDS一次側には22000Vがかかってい
ます。
本当は完全にビルを全停電させて行うべきですが今回
は円滑な作業のため昼間受電状態での作業を私の判断で行い
ました。_確かに電気があってもできる・できないは別にし
停電して作業を行うのが最大の安全対策ではありますね。

ここまで力仕事なんて一つもなく、一人でも十分でした。
電気の大原則、相間の電圧は接触させない、流れてる電流
を裸で開放しない、22000V~低圧までそのルールさえ守れ
ば世の中の電気事故は大きく減少するでしょう。でも年間
電気事故は届られた物でも約1万件もある
様ですね。それ
も資格者がほとんど起こしている、けして資格があるから
と過信しない。私であっても油断すればありえるわけ
で他人事ではないです。

中央監視PCで切り状態の確認と27警報が出てないのを確認します。
27が動作すると27の文字がREDでフリッカしますが27X-R31リレー
を抜いているので27の警報は上がって来ません。

電気の流れは受電VCB⇒NO3一次VCB⇒2500KVA変圧器⇒NO3
二次VCB⇒6600Vです。
1000KVAから2500KVAの変圧器変更時は全館停電で夜中作業に
なりますが定格電流が変わってくるのでCTや電流計など付随
機器の取替が事前に必要となるのです。電流計が変更になる
という事はCTの比率が変更となるのでOCRの設定変更も必要
となります。簡単に言えば現在1000KVAの変圧器用は50Aの
電流計ですが100Aの電流計にするとCTは100/5となり、75A
なら75/5です。一次側電流の1.5倍値でOCRを動作させるな
らばCT比率の違いでCT二次電流では動作電流値が異なって
くるのはわかるでしょう。屋外タイプですがサーモで温度
を色でまず見ましたが正常時はこういう温度分布なのです。
ただ22000VのVCB変更工事をした時みたいに経済産業省の
工事後検査がないのは良かったです。あの時は関係ない
事まで質問されていじめられたのでもう嫌!

取替工事作業一部、そうか変圧器が容量UPするから設定
だけでなくDSから何もかもNEWになるのですね。良い勉強
になりました。こういう経験を積重ねる事で先で々物事を
自信を持ってできる様になるのです。どうしても疑問を
感じる時は休憩時間にこのオジさん達に質問したら丁寧
に教えてくださいます。作業を見ながら即質問ですから
最強の学び方と言えます。本で勉強した事は忘れるけど
現場で体験勉強した事は忘れないです。

2500KVAだから電力メーターも3000KWに変更、もしトランス
ジュサーも取替しないと現場と中央監視の電力指示が異な
ってしまいますがそれだけ都合で後工事となりました。
電力制御は電力計のパルスでするからこういう瞬時値の値
に多少誤差があってもしばらくなら問題はないです。

電気主任技術者は扉を開けた時にこうしたパーツが何の役目
をするか研究しておく、職場ではどうせ誰もわからないので
地道な作業ではあります。普通のビルでこういう物が故障
する事はまずないからそう心配はしなくていいです。着任
して3年以内に習得するペースで構いません。なぜ?将来
違う会社に転職した場合に備えてスキルアップするため。
これからの時代は今働いてる会社に生涯依存しようなんて
無理、常に自分の事だけ考えて普段は働く、学びは自分で
する事が大切なのです。職場の仲間にはけして妥協せず!
表の顔はフレンドリーでいい、本心なんて語る必要なし。
会社が他人が教えてくれないから、社会が悪いからでは
なくてすべて自分の行動の結果、自業自得こそ本望です。

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