2020年10月13日火曜日

電気主任技術者の仕事-電気設備月次点検の基礎(1)

勤務してる会社が管理してる物件の一つ、電気主任さんが10月からの
入社なので点検の時だけサポートする様に課長から指示がありました。
そこは高圧受電でこうしたキュービクルが3個あり変圧器が計14台あ
りました。月次点検をするので???たぶん会社が私に確認してほし
いのは彼の仕事ぶりとかスキルです。だってその影響はオーナーやテ
ナント様に直結しますからね。尚、★月次点検は電気主任が自ら行う
点検、まずこれが安全確実にできるかの確認。★貴方がもし電気主任
になったら、月次点検が入社月にする一番のメインイベントです★
(電気盤の盤を開けるには★タキゲンの200番★というカギが必要)
昔、先輩に"初めての盤に触る時は低圧用でもいいから検電器で箱を
検電してから"と指導された事があります。参考までに!

上ノイズカツトなしで20mA、ノイズカットONで17mA、動力変圧器
で老朽化したインバーター空調設備とかあると100mAとかの時が
ある、ノイズカットONで20mAとか急減するのが普通の変化です。
それが90mA程度しか下がらないとなるとI0Rクランプで測定する。
それでも下がらないならば絶縁不良があるでしょう。電源と同じ
周波数の漏れ電流が絶縁に関する成分で、それ以外の周波数の
漏れ電流は絶縁とは無関係、だから最終的にI0rで50mA以下
ならば合格です。I0>I0rだから通常I0で50mA以下なら問題なし。

初めての電気設備で私が最初に気になるのは建物絶縁状況
だからあえて月次点検の日を指定したのです。何も言わず
月次点検を一人で難なく彼ができるかです。一応今回は
私が自分の現場で停電作業で委託してる保安協会の点検
用紙でしてもらいました。
少し中が狭いし暗いので前面の扉も開けてから行いましょう。
とだけ言って点検開始、盤付メーターで各電圧、電流の確認
各高圧充電部をサーモガンで測定、変圧器B種接地電流測定
それがきちんとできてるから問題はないと私は思いました。

★変圧器B種接地電流測定結果
13mA、20mA、36mA、6mA、65mA、45mA、8mA、26mA、14mA
30mA、52mA、17mA、10mA、3mAが結果です。
3mAは非常動力変圧器でほとんど負荷がないから3mAは納得
そうか、会社からのI0rクランプメーターの支給がまだ!
実は今私が会社から買ってもらったI0rクランプメーター
はもう結構古いタイプ、最新測定器を使うのを楽しみに
していたのですが来週にこの現場に入るとの事です。
65と52mAの変圧器ですがそれが手に入ってからI0rモード
で測定してみてください、動力変圧器なので高調波分が
元々あるし、それで最低10mAは下がると思います。と
彼には伝えました。

こういう現場では集中力が大切です。

違う電気室に設置してあったキュービクルがこれ。この
アングル写真では見え難いけどこのBOX内に5台変圧器あり。
しかも最初に点検したのより幅が狭い、ですが月次点検以
外でも地絡警報が発生したら電気主任は嫌でも、中に入り
まずB種接地電流測定、更に背面にある各MCBをI0測定して
漏電回路特定をしないといけないのです。_ここ見た通り
足元の踏み台が30cm程度しかないので気をつけないと空間
に足が落ち転倒して感電する可能性がある、_わからない物
に近づくと人は集中力が半減してしまう、だから電気主任
現場でする方というのは電気を扱うのは危険作業である意
識と実務経験を積んだ方が必要。単に電験三種があるだけ
ではその人が実務で使える人かどうかわからない、知識
だけの未経験者は現場ではアウト、その見極めをするため
にも今日私は来ました。感電事故でもされたら困ります。
こうしたBOX収納タイプではない開放型の現場もあります
がそれは入社してみないとわからないです。

油変圧器の外箱は接地してあるから対地電圧は0Vです。

私も初めて上の中に入ったのだけど余計な工具は体から外す
どこを歩いてどこに手をかけるか、各部の対地電圧の値を
見る、頭の上の充電部の高さ、初めて入るこうした場所では
そうした確認を外でしてから入る、又ペンチなんかをズボン
に入れていて落下して短絡とか、いきなり何も考えないで
入ってはいけません。気をつける、★何を気をつけるのか★
経験がないとそれがわからないから気をつけられないのです。
現場で使える人とは自ら感電を防げる感性がある人が最初の
条件とも言えます。こういう場所を見て嫌だなと思う方は
施設の電気主任技術者とかならない方がいいです。

通常は変圧器のすぐに接地してあるはずが一瞬ない?よく見たら
電源接地相ラインのバーのとこで接地あり。こういう場合はここ
にクランプをクリップし、測定I0=8mAで値は合格です。老朽化の
年代の変圧器ではありますが負荷の状態は悪くない。

変圧器の温度計が青→です。変圧器については電圧、電流
温度、B種接地電流値の4点を測定して記録していきます。
室温度が25℃ならば変圧器温度は30~50℃程度でしょう。
同一容量、室温でも負荷電流に比例して機器温度が上昇
するのは道理ですから温度幅は発生します。私の中では
85℃程度が油変圧器のMAXと思っていますが80℃になった
油変圧器をこれまで一度も、私は目撃した事ないです。
(油のないモールド変圧器は今回省略)
変圧器の様に自ら熱を出さない部分以外というのはそれほど
温度は上がらないのです。室温度が25℃ならばこの程度かな
DSやLBSのブレードの様な可動部においてもきちんと挿入され
ていれば室温度と大差ないです。温度CHECKとしては接点や
可動部をメインに各機器の温度測定をされてください。
ケーブルについては、中央監視PCの受電設備画面において
各回路電流指示にケーブル定格電流の値×0.9程度の上限
警報設定しておきましょう。月次点検での主要回路ケー
ブル温度測定も合わせてケーブルの温度管理は万全です。

年間を通じて変圧器温度の平均温度は35~45℃程度な現場
がほとんどだと思います。(夏場冷房25℃設定として)
屋外型のキュービクルでは夏場60℃位まで変圧器は上昇し
ますがその程度ならば大丈夫です。

保安協会からデーターでもらった点検用紙を自分の現場用
に少し変更、たとえば変圧器点検分です。

この月次点検、実はきちんとされてない現場が意外とあるの
です。もし貴方が現役の電気主任ならば再度ご自身の点検を
確認されてください。この内容の点検用紙をでエクセルで作
成して運用されてください。これで月次点検は完璧ですね。
★月次点検がこの内容でできてるか★_電気主任に着任した
ら最初に前任者の点検内容確認、けして悪い物は引き継がない
多いのが負荷電流を測定する普通のクランプメーターでB種
測定して0A異常なしとしてるケース、有効レンジが0.1A
つまり100mA、それでは90mAあっても0Aになります。基準
は50mAだから1mAを正確に測定できないと意味ありません。

変圧器の電圧と電流は盤付メーター値で構いません。電気
を扱う上で何が一番危険か?私は電圧を測定する事だと思
います。電圧測定時の短絡事故は人為的ミスが多いのです。
盤付メーターでの測定ならば安全に測定できます。時々
古い現場では変な指示の針メーターがあります、たとえば0
の次が300でその次が600A、これだと175Aと170Aとかの違いが
まずわからないです。その場合は変圧器二次側にてクラン
プ実測しかありませんが、位置の関係で測定に危険を伴う
ならばそのAboutな指示でもいいと思います。ただB種接地
電流だけは正確に実測をしてください。負荷電流は省エネ
とか負荷%を知るためが目的ですから安全確認のためには
B種接地電流が重要です。

変圧器回りの回路はこうです。電流回路にヒューズがないのは
CT二次側を開放してはいけないから、盤付電圧計が指示しない
ならばヒューズ切れ?3P11~3P31の電圧CHECK、中央監視にこの
変圧器の電流値が示しないならA/TDの故障?_地絡LGRが動作し
ないならPCへの送り線(赤→)部分は外して)ターミナル800-801
間の導通を確認。_図面があれば違う現場でも私もある程度の
判断はできます。電気主任として転職、就職するならそういう
判断ができる様になってするのが理想ではあります。電気主任
を前職でもし、1現場を掌握された経験者なら可能、資格者と
経験者の違いはこういう部分なのです。

慣れてきたらシーケンス上の信号の動きで高圧機器動作を習得
する事、特に空調電源増設工事で変圧器を停止、稼働する作業
が急に発生する事がある、空調業者+電気主任という組合せです。
業者から"電気主任さん変圧器の電気を止めてください"と言われ
ます。_LBSの入切操作と変圧器停電・復電操作は一人でもできる
様に必ずしておいてください。ここだけは★特に強調しておきます★
DS開放やVCBを引き出したりの実操作は停電作業の時しかまずない!
停電作業の時は高圧電気専門の業者もいるから何とでもなるけど
低圧側のMCB増設工事の時は停電作業の業者はいないから電気主任
が一人でするしかないのです。エアコン業者が手配した電気工事士
に高圧機器操作を依頼するのは大きな間違いです。原則的に言えば
ビル側施設の高圧機器操作はすべて電気主任が行い、停電させて
から業者に作業開始を指示するのが本来の筋なのです。

実際屋内電気室の温度が30℃や40℃になってもこうした高圧
機器類は故障するほど軟弱ではありませんが気をつけてほしい
のは同一室内に蓄電池設備がある場合です。その場合は電池
の取扱仕様書に従い電気室の温度を下げる必要があります。
蓄電池設備ない、少し位なら暑いのを点検時に我慢するならば
電気室のエアコン設定は夏の省エネ推奨の28℃でいいんじゃない
でしょうか?老朽化したエアコンで22℃設定で運転すると
高圧カットなど余計なトラブル対応の仕事まで増えます。

ただ負荷電流が60%→100%になった、周辺空気温度が上昇
したなど温度が上昇するための原因があって機器温度が
上昇するのは異常ではありません。温度に違いがある場合
はまずその2点を調べてみてください。私のこれまでの
経験で一番高い温度は屋外型キュービクルにあったある
変圧器温度の72℃、80℃に高圧機器温度がなったのを
目撃した事はないです。(モールド変圧器は除)

★これで貴方も電気設備の月次点検はできますね★

最後に法的な月次点検の他にできたら各テナント盤主幹
の漏れ電流を月に1回測定する事をお勧めします。特に
家庭と同じ単相三線式盤では漏電が発生し易いのです。
(停電しないといけない絶縁測定での確認はまず断られる)
通常は主幹で1~5mA、下2mA、各子回路は1mA未満、主幹
で30mAもあればかなりの確率で0.01MΩなんて子回路が
あります。厨房、飲食関係で10年以上経過してる回路
はいつ漏電が発生してもおかしくないです。下の様に主幹
でI0が2mAとか100%子回路すべて100Vメガで20MΩ以上です。
ですが年次絶縁抵抗測定は保安規定の縛りにより行う。
ただそれは年に1回ですから途中で機器絶縁不良が発生
したら対応できないのです。だから月1回I0測定が趣旨。

それを各テナント事にグラフ化しています。ここまでしてれば
点検が不十分とか言われる事はないはずです。B社とか少し高い?
ここ商社でUPSやPCもありノイズ類が多いせい、これが20mAとか
になったら気をつけないといけないですね。故障の前兆の可能
性があります。ただこういう事をする時は、ほぼ同じ時間に測定
をします。又休日で機器がすべて停止してる時に測定したら2mA
とかなります。絶縁の推移という目的ならば測定する時間が
曖昧ですとデーターとしての精度が落ちます。前年1年分の
平均値を目安にテナントI0管理しています。事務所ビルでは
常識的な変化で推移しますから異常があればすぐわかります。
時々、老朽化機器絶縁不良を発見しますから毎月の絶縁管理は
必要です。多くが★それを放置して変圧器LGRが出て場所探し
で慌てる事になるのです★テナントに直接LGR測定用CTを取付
して漏電を直接中央監視に警報で出す様なシステムはまずない。

★今の時代パソコンを使わないでどんなお仕事もできません★

ある100V回路で24mAもある、間違いなく絶縁不良と判断
最初に主幹で異常を知り一番下のMCBで発見しました。
影響する現場を確認して、人が絡む場合は必ず相手にも
連絡、けしていきなりこの時点で電気を止めてはいけま
せん。休憩室の換気扇が絶縁不良で絶縁抵抗は≒0MΩで
した。ELBならばトリップしますがMCBでは何事もなく
相手は電気を普通に使っているのです。私は分電盤主幹
でI0不良を発見したら子回路も停電せずI0ですべて測定
して悪い1回路を完全に確定させてから、相手に許可を
もらいその1回路だけ停電させて絶縁測定をします。

一般の方にはI0とかI0rと説明しても意味がわかないけど
絶縁抵抗が悪いと説明すればたいてい理解して頂けます。
その時の★測定器が不良を表示してる状況を撮り★写真
付書面にて修理が必要な事を伝えます。これも電気主任
のお仕事です。だから絶縁抵抗計も欠かせないです。
常にテナント、★お客様への負担を最小限にする努力★
は欠かせない点を意識して電気主任業務をしてほしいです。
今日の彼にもその点だけは説明しました。
★分電盤主幹で漏れ電流が30mAもがあれば、まずこういう
≒0MΩの絶縁状態のMCB回路があります。★_(0ではない)
完全0MΩならば対地間で短絡してMCBはトリップします。

実際の撮影ではもう少し全体を撮りその盤である事がわかる
背景と測定器の指示値が映っている事!これをエクセル報告
書に貼れば完璧です。ここまでして修理しないならば、オー
ナーより改善命令を出せます。もしビル火災になればその
テナントだけの問題ではないからです。ただそこまでなっ
た事はありません。オーナーとの入居契約で改善命令に従
わない場合は最悪退去を命じる事ができるとこのビルでは
契約されています。そういうテナントとオーナーとの契約
内容も知っていれば電気主任業務はより円滑にできます。

電気工事屋さんが家の漏電調査でされる回路をあちこち
入れたり切ったりの例の方法はビルでは無理です。
30mAのELBは15mAまで通常不感なので動作しないけど15mAを
超えるといつトリップしてもおかしくない、主幹が30mAの
★単相三線式の一般分電盤ではI0が10mAを超えたら全停電
の可能性がある★も知っておいてくださいね。_ある意味
単相三線式盤主幹の漏れ電流は10mAを超えたらヤバイと
思ってもらっても結構です。それに店がいきなり全停電
これが一番キツい、私も困ります。

あ、それと事務書類、結構いろんな会社独自の提出用報告書あります。
電気主任でしたら故障対応した時に写真付報告書とか業務完了報告書
PCが使えません、写真をエクセルに貼れません、なんてない様に
エクセル、ワード、アウトルックなどパソコン操作ができないなんて
ない様にしてください。今の時代はパソコンが使えないでは何の仕事
もできません。これは私がエクセルで作成したある現場の停電作業の
手順書ですが全部5ページ分、前任者の文字だらけのマニアルがわか
り難いと職場で不評だったのです。


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