2021年1月31日日曜日

電気主任技術者の仕事・ 分電盤の概要説明



これから設備管理の仕事をされる方に分電盤の概要を説明!
電気室で受電22000V⇒6600V変換⇒105/210V変換した後に
最初に各階で電気を受ける場所をEPSといいここから各機器
に電気が送電されます。これは貴方の家と同じ単相三線式
回路で数が多いだけで中身はまったく変わる事はありません。
(動力用の分電盤は三相交流なので別にあり)100V回路は外
線と真ん中、200Vは両外線から接続されています。
下の盤はテナント用ではなく共用部専用の電源盤です。
トラブルが発生すると普段どういう点検をしてのか会社
やオーナーから説明を求められます。
電気主任をされる
場合は一番重要な電源配給関係の点検は重要です。

ところでこの2個の盤を見てどちらが電灯(単相三線式)
か動力(三相三線式)かわかりますか?子回路MCBから3本
出てる方が動力です。年1メガ測定でライト作業で絶縁
測定する時はこう見分けてくださいね。資格のみと言う
方はたぶん初現場ではわからないと思う。ちなみにこの
盤が飲食用でないならば子回路をすべて投入状態、主幹
一括で100Vメガ実施、絶縁が正常なら通常は20MΩあり
ます。1か所でも0.1MΩがあれば主幹でも0.1MΩになる。
絶縁測定とは法定値以上あるかを調べるのが目的なの
で時間がない時は一括メガでまず測定、異常がある盤
だけ個別調査すれば年1絶縁抵抗測定作業は短時間で
済ませる事はできます。

子回路はすべてONのまま主幹一括でメガ測定、もしこの
時に0.05MΩが出たら子回路のどこかに同じ値の回路が
あります。乾燥した事務所ならまず20Ω以上です。0.1
MΩを合格としてもいいけど絶縁劣化進行中の回路があ
る可能性が高いので半年以内に変圧器で地絡が発生する
か主幹がELBなら全停電がありえると判断。私ならその
回路を調べますね。そんな対応を後でしたくはないです。
深夜テナント内に入る事が多いので物に当たり落下破損
させたりは絶対ない様に、大きな現場ですと測定箇所が
100を超えるので結構体力と根気が必要です。

単相三線式からの単相200Vは対地電圧100V、つまりその
盤の線間100Vと200Vはいずれも絶縁最低値は0.1MΩです
対地電圧事の絶縁基準値に違いはあります。よく200V
だから250Vメガと言われますがその200Vとは対地電圧。
ビルの三相変圧器二次側はΔ結線なので対地電圧は200V
ですがもしスターならば200÷√3だから絶縁基準値は
0.1MΩです。絶縁測定電圧は内線規程では使用電圧が
好ましいとあるだけで実は試験電圧に法的定めはない
テナント関連で絶縁測定をする時は125Vレンジでするの
が無難、後で偶然機器が不調になった時に相手から言わ
れます、だから上では100V専用メガを使用しています。
メガの感度・性能差で20MΩまで40MΩまでと差がある
つまりそれより高い値は測定できないという意味!
500Vレンジは幹線メガの時しか使用しないです。

月1回盤主幹でI0測定だけします。今の時代は外観OK
だけでは不足、値で記録を残さないといけません。
ただこれ一応活線作業です、特に作業中に指や体が
MCBやELBに触れて切ってしまわない様に注意します。
こういう作業は電気主任だけが専属でします、人に
任せてそういうミスをされたら怒られるのは電気主任
です。ミスされて困る事は他人には頼まない!
通常分電盤主幹では5mA以下です、ここで20~30mA
もI0が出てると絶対0.1M以下回路があります。主幹
ELBでも1か所の0.05MΩではトリップしません。
変圧器B種接地で異常が出るのはもうかなり悪い、この
盤の様に主幹がI0で0.09mAならI0rは測定しなくても
≒0ですから各絶縁抵抗も完璧。家庭の定期絶縁測定
不在の場合はI0測定でされてます。ただビルの場合
は保安規定縛りがあるので年1回は停電させて絶縁
測定をする義務があります。

1ヶ月ですべてのテナント盤までしてませんが分けて
盤の温度確認はしています。このモードは設定より
高い部分だけ赤色になる測定方法です。気になる
盤は画像を記録で残します、通常盤内のパーツ表面
温度は周辺温度と大差ないです、こういうとこで
表面温度が40℃とかは普通ないです。MCBは高温に
なると規定値より低い値でもトリップしますから
単体で問題があるなら取替します。盤の20AのMCB
程度は蛍光灯取替と同じ消耗品交換。ただ相手先
が使用する前の早朝30分以内で行う事が多いかな

非常灯試験SWとは停電した時にだけ点灯する非常灯を正常状態
で点灯させるためSWでこれは電圧を拾って通常は27というリレ
ーがONしています。これを手動で切る事で仮想停電状態を作
ります。建築設備点検をする時にこれを使い非常灯を点検させ
ます。図面で見るとR3の回路から分岐させてる線の事。

これは非常灯の回路で正常時上分岐線に電圧があると右上の
リレーがON状態(点灯してる物)しています。2個点灯してる
のはこのEPSには写真の分電盤が2個あるから!停電してこ
のリレーがOFFになるとb接点経由でマグネットのコイルに
通電される事でONとなり下の左右のMCBに通電されます。
結果非常灯が点灯されます。尚非常灯回路の電源は直流
で電気室から専用回路で来ています。

これは100VのMCBで2P1Eの1Eとは過電流素子が1個ある意味
でNと書いてある方に電源のマイナス(白)、もう片方に電源
側(黒)を必ず接続します。(過電流素子に充電側が接続される)
実は2P1Eに200Vを接続しても焼損はなく使えてしまいます。
ただ素子のない側で短絡が発生すると切れないため主幹が
トリップするので2P1Eに200Vは好ましくないです。

これは200VのMCBで2P2Eの2Eとは過電流素子が両極にある
意味、200V回路は単相三線式の真ん中を飛ばして両側のバー
から接続されてるので触ったりしたらどちらも感電しますか
ら注意!いずれにしても2P1Eか2P2Eを見れば100Vか200V回路
かわかるのです。100Vなら2000VAまで200Vなら4000VAまで。

MCBは表示のアンペア値ではトリップしない、それより大きく
なると値に反比例した速度でトリップする反限時特性です。
又必ず末端が元より先に落ちないとたびに元が切れていては
運用上都合が悪いでしょう?こういう考えを保護協調と言い
ます。飲食や店舗では子にELBは使いますが元にはまずELBは
使いません。一ヶ所の漏電で店内が全停電していては困りま
すからね。

MCBの背中側の記載で普段あまり見ないでしょうがAMB.TEMP
とは周囲温度の事で40℃の時に20Aを超えるとトリップ
して以降10℃上昇する事にトリップ電流が10%下がりこう
いう物の周囲温度の限界は60℃です。通常の人間が我慢
できる室温程度でMCBが影響受ける事はありません。時々
温度とMCBの関係については質問される事があります。

これは中央監視のフル2線という照明ユニットからの信号
を受けて動作するリモコンリレー(RC)と言います。
奥にTUという文字が見えますが照明ユニットからの信号を
まずTUが受けてこのTUにより4個のRCが制御されます。
緊急時故障でRCが遠隔動作しない場合は黄色の表示で
OFFになってるのを爪でONにさせれば強制ONさせられます。
同タイミングでリモコンリレーが複数動作しない場合は
送信側ユニットの故障です。すぐ製品メーカーを調べ
ビルオーナーの許可をもらい修理依頼をしてください。
老朽してるビルだと100万円取替に必要でしょう。

このRCの取替は私はしますが電気主任技術者はこの程度は
できる様になりましょう。右側の青と赤端子に接続されて
る黄色線が制御で左側がMCBの二次側と負荷先につながる
電源です。同じ4番の線がすべてのRCにあるのは渡り線で
リモコンTRと接続されています。もし何かの理由でどれか
のRCの制御を止めたい場合は右の赤端子に接続されてる線
を抜けばいいのです。青を抜くと渡りを外す事になるので
以降のRCがすべて動作しなくなります。以上の設備は店舗
以外の共用部の照明や電源の回路で店舗は専用のMCBで
直接配給されますが店舗内の分電盤も基本構造はこれと
まったく変わる事はありません。(非常灯試験SWは共用部
の分電盤にしかない)

盤の一番下がアースターミルでその階の各店舗内分電盤
のアースなどが接続されています。もし営業中外しても
機械が止まる事はありませんが接地が効かないと人間が
感電する事でしかELBが動作しないので通常ここの線を
外してはいけません。尚、同じアースでも警備会社の
装置につながるアースは外しただけで装置エラーになり
ます。アースには感電防止のFG(フレームアース)と回路
の一部となるSG(シグナールアース)がありSGは解放厳禁!

線に印字してある番号は各店舗や機械を意味していて
理論的には店舗内で漏電があるとこの線に流れ変圧器の
B種接地に戻るのでこの接地線をリーククランプメーター
で計測すれば各店舗の絶縁管理もできるかもしれません。
でも電気はどんな見えない回路導体を通じて流れるか
わからないのでI0やI0rを計測するならここより配給元
の店舗分電盤主幹が一番正確です。以上、これだけ知っ
ておけばどこのビル管理会社に入社しても分電盤で困惑
する事はない。たぶん貴方が一番詳しいはずです。

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