2020年11月24日火曜日

初めての停電作業・ある事例|ビル設備管理編

この記事は昔投稿した物ですがなぜか最近急にアクセスが増えて
るので初めての停電作業をされる方は参考にしてください。昔
工場勤務時代、私もまだ電気主任技術者になる前の体験談です。
1000回停電作業の市販教科書を読んでも1回の実務体験で得た
今後の自信には遠く及ばないです。特にこういう銀行や証券会
社が絡むビルにおいては1分いえ秒単位で正確な時間で作業
進行させる必要があり、停電作業をする前の事前準備と終わっ
た後のサポートまで必要
なのです。今回は今の私から見ての
記事も新たに追加しました。
記事内容の7割は他現場でも共通
な内容です。だから初めての停電作業のタイトル記事!

父の友人の方が電気主任をされる契約電力1000KWの高圧受電ビル
の停電作業を勉強のため見学させて頂いた事があります。ただ
その現場の高圧機器成はもうはっきり覚えていないのですが
規模的には延床面積が1万~1万5千程度のビル、電灯TR総容量
が600KVA、動力TR総容量が1500KVA、非常用発電機300KVA程度
だったと思います。契約電力2000KWまでは高圧受電です。

こういう作業をする場合は事前に各テナントの許可を得て全社が停電
可能な日に停電作業を行います。携帯電話会社、警備会社、銀行ATM
EV会社への停電日の事前報告
も忘れてはいけません。又飲食関係があ
れば食品対応について文書で通達します。特に大手スパーなど食品冷
蔵庫食品を腐らせて100万円管理会社が弁償した事例もあるのですべ
き連絡は絶対に怠ってはいけません。いずれにしても停電日が確定
したら最後に絶対忘れてはいけない事は電力会社への停電の申込み
です。エクセルですが印のとこは電子スタンプで構いません。丸山
の印と検索したら丸山の印の画像が表示されるのでそれを取り込ん
で使えば簡単、それを担当の電力会社の方にmailすればいいです。
停電日の1ヶ月前くらいでいいです。返信がない場合は必ず確認の事。

停電直前発電機は手動モードにして停電して回らない処置もします。
仮設照明、リレー試験電源用の移動式発電機を用意されてました。
非常照明は電気室のあるB1階を残しすべてのMCBは切りでした。
(全館非常照明を2時間も点灯させたらDC100Vの蓄電池を放電し過
ぎて受電設備の復電操作ができなくなります)

今の私からのアドバイスとして停電30分前にはEVやエスカ停止。
全テナントは退館してる事、もしEV内に人がいるのに停電させたら?
警備の方にもまだ退館できてないテナントがいたら連絡をしてもらう
打ち合わせも必要、停電20分前には中央監視や各盤停止、電気室に
ある100V蓄電池設備は10分前には、停電作業で必要な回路以外はすべて
切る、特にその非常照明を点灯をしたままにさせ電圧が低下状態でVCB
を復電時投入させた場合、過電流でVCBコイルが焼損する可能性あり。
指定電圧より下げて機器を可動させたら電流が増える、これは必ず
電気を扱う者の常識として知っておいてください、たとえば200Vの
コイル電圧マグネットは190Vなら投入できるけどコイルに流れる
電流は増える、それと同じ理屈です。

初めての停電作業では100V蓄電池設備の電圧低下には十分注意を
してください。
★停電した時に点灯する非常照明は必ず切るです。
受電を電力会社から切ってもらったら、一般回路は仮に非常用発電機
を可動させても再運用できないのです、その現場における停電での注
意事項はここで書いた以外もにもあるでしょうから、その現場の運営
をよく検討しておく事、★停電作業では事前連絡、事前準備が最重要。
電気主任として初めての担当ではこの点の抜けがないか何回も確認の事!
職場のリーダーから停電1ヶ月前までには停電日確定、連絡徹底する様
に命令されるでしょう。停電20日前には業者を呼んで当日の打ち合わせ
業者の方も自分らの行動表を持参しますが、電気主任からも全体的な
電作業の作業工程表を作成
してミーティングします。その時に今年
の発注者側の要望があれば業者に書面で伝える、そういう物を作るの
も初めての停電作業では大変かもしれません、私もそうでした。
停電作業の段取りをするのは電気主任で業者は単にその日の作業だけ
それと今の時代は作業前の全員ミーティングとKYTは必須です。
最初に電気主任が業者全員に話をするので事前に文言を考え
ておきましょう、何も難しい事は不要です。安全に注意して基本作業
を厳守するに関連する内容であればいい、それしかないのですから。
次に業者側の監督が話して質疑応答で終わり。コミュ障では何の責任者
になるのでも厳しいと思います。でもやるしかないんです。もし労災
事故が発生したら作業前のこういう事をしたか労働基準監督署から
指摘されます、会社によってはこの様子を動画で撮り記録としてる
現場さえ今はあるのです。

私の場合、業者との停電作業打合せでは作業工程とは別にスケルトン
に番号を入れたこうした表を作成して渡しています。あれとかこ
れとかの物言いではなくて、何番の何についていうルールにして
いるのです。JW-CADができなくても寸法は関係ないからエクセルの
図形機能でこの程度書けます。前任者のは文言ばかりでわかり難い
と設備の仲間からもあり着任した年にすべて私流で作り直しました。
良い物ならば何も前任者の資料を使う必要なんてありません。

Dは電気主任である私、その他は停電作業の各担当、自分の担当
以外の作業は一切手を出さない、誰が何をして誰が確認連絡する
かも明確化しておきます。こういう手順が停電作業終了まであり
ますがこれは停電開始の部分です。私は特高室と第1電気室を担当
第2と第3電気室は業者責任者に任せています。体は1個です。
設備の人には職場リーダーの指示で直接停電作業には係らせて
はいません。業者だけで30人はいるので困る事はないです。
事故を絶対に起こしたくないから電気がわかる者だけで停電作業
はさせないさい。という会社の判断ですから異論はないです。
こういうのは会社の安全に係る責任者が変わると特に電気とか
は仕事のやり方まで変わります。_だから手抜きで設備の方が
停電作業で何もしない会社とは違います。

私の場合はVCBに2Colorの番号をつけています。青が停電させる
時に切る順番、赤が復電させる時に入れる順番です。これ意外と
役に立つので貴方も電気主任に着任したらされてみてください。
エアコン室外機の電源を先に切るとエアコンで通信異常が出る
ので先に電灯TRを停電させる様にしています。その他現場都合
に従い手順通りの電気の止め方、生かし方は厳守です。尚停電
作業は遠隔の中央監視でするのではなく、現場で直操作で行う
のです。中央監視は停電開始前にShutDownさせます。前任者は
停電させた後にしていましたが、ありとあらゆる警報が出て
出るのがわかってるのだから無駄な作業を減らすためです。
中央監視を生かすのは復電して完全に正常状態になってから
これで何事もなく中央監視は立上がります。ただ消防設備盤
は何もしません。5時間程度の停電なら内蔵蓄電池でいけます。
5時間も停電ならUPS関係はすべて切らないと電池上がります。
(UPSの電池が不調になると取替費用が高いので注意)

そう!昨年から会社の安全担当者が停電作業で立ち会う様になり
私の動作まで監視されてます。”52R現在受電中、VCB切り、VCB
切れ確認良し"と声を出して指先確認、中電に直通電話で伝えて
背中で見てる安全担当にも大きな声で言う、上の表を作成して
おいて良かったと思いました。見たらわかるだろうはもう通用
しない時代です。
最初年はその担当に1個々の作業の意味と安全
についての配慮を質問されて大変でした。わからないがあまりあ
ると停電作業から外されます。そういう権限を持ってる方です。
これまでできていたからは関係ない、と最初に言われ嫌な奴と
思いましたが考えてみれば、世の中それだけ厳しいのですね。

話は契約電力1000KWのビルに戻ります。
①のラインを切るに当たり銀行、保険会社などはJUSTで電気の切り
をしないといけないので、それに絡むMCBは受電停電前に1分の違い
もなく先に個別切りとします。独自の自社システムのあるテナント
では停電時間は厳密なんです。(送電を止めてもらう作業は人が行
うので1分の差もなくは無理)だからそういうテナントへの停電時間
通知は全館停電時間より早い時間とし、そこでは受電停電の20分前
までにはその作業を完了されていました。

①ですべてのテナントの停電が完了したら今度は②各VCBを遮断!
次に③の受電VCBを切りますがこの時点でビル送電停止の10~15分前
でそこの電気主任さんが業者に外のモールドディスコン(MDS)を24時
に切ってくれと言われていました。受電52Rを切る時間と送電停止時間
はタイト過ぎるない方がいい
ですね。

送電停止10分前に携帯電話で"今、現地に到着しました。現在受電
の方はどうなっていますか?”(たぶん電力会社の下請け業者)と
確認連絡ありました。
"現在受電VCBは切りの状態で負荷電流は0の状態です。"(電主)
"それでは送電停止作業を開始します"(業者)
そう屋外送電停止作業までには受電VCBは切り館内は0Aにして相手
の作業を待つ状態でないといけません。"今送電を停止しました"(業者)
"こちらでも確認しました"(電主)、受電電圧計を見ていたら6600V
が0Vになるので確認できます。"では復電予定時刻、朝5時の10分前
にまた連絡します"(業者)、こんなやり取りをされていました。
もし非常用発電機自動のままですと27により起動してしまいます。
(52GのVCBを最初から引き出しておけば絶対大丈夫ですけどね)
VCBの引き出しとはこうする事です、動作して絶対に困る
VCBはこうしておけば絶対に安全です。52Gまで抜くと回路
を構成しないので非常用発電機その物もが起動しないです。
現場によってはこうした高圧発電機ではなく完全に消防用
で停電+自火報動作で起動する低圧非常用発電機の場合も
あるのでこの辺の仕様も停電作業前には確認しておく事。
VCB本体が切り状態でレバーを上げたまま取っ手を持ち引
けばVCBの引き出しができる、挿入する時もレバーを上げた
たまま押し込むだけです。付属の操作ハンドルは投入コイル
に通電できない場合に手動強制投入で使います。ただ手動
投入時に制御電源その物がない場合では保護回路が切れて
るので受電した瞬間に危険性が0かは検討が必要です。

検電後に受電DS部分の④開放と、DS一次側に甲種接地をします。
安全上の操作手順は受電電圧に関係なくどこでも同じです。
電圧計で0Vを確認しても実際に高圧検電器で必ず確認してから)
ただ高圧受電現場では電力会社監視センターとのやり取りや直通
電話は特高現場の様にありません。特高現場では停電、復電にあ
たり受電VCBと責任分解点DS操作や甲種接地の取付、外しは電力
会社の指示に従い行うルールになっています。(当日の操作票が
電力会社から送られてきます)_高圧受電現場ではその辺の操作
は現場にすべて一任
されます。昔古い22000V現場を担当した事
があったのですが停電作業ではこの様にDS一次側に接地をして
いました。

VCB引き出しとかこういう事は、扱うだけなら中学生でもできます。
1回も自分の手でした事ないと簡単な事でも苦手に感じるのが人間
未経験の方は停電作業で練習してください、昼間事故があり
電気主任ができないでは、痛恨の後悔を味わう事になります。

接地は接地端子に線を接続して対象物に接続する、上の接地棒
の先端をDS一次側に当てるとパチと小さな火花が一瞬確認でき
る場合があります、やはり電気って送電を止めてもいくらか残
るのだなと停電作業をして経験できます。下はDS二次側の各所に
する乙種接地です。業者もこれから仕事するのですから確実にさ
れますが電気主任も必ずしてるか確認してください。私は甲種
接地まで私がして、その後は業者にして頂いています。すべて
業者にさせて電気主任は単なる見学者状態の現場もありますが
停電作業以外で全停電が必要になったら電気主任が一人でしな
いとけいない
、そういう点も考え停電作業を生かしてほしい。

朝の4:00にはすべての受変電設備点検作業を業者が終了したの
で電気主任の方がDSやLBSは投入されてるかVCBは引き出しのま
までないかなどを目視で確認されていました。受電DSは当然切
りの状態で受電VCB~すべてのVCBをすべて手動で投入されてDS
の二次側でメガを測定されていました。もし工具などを充電部
に置き忘れなどあるといけません。電圧関係なく送電する場合
は電圧をかけて大丈夫かの確認
は当たり前です。尚下の形式
はVCBが切れてないと安全装置が効いたままとなりDSが開放でき
ないタイプです。これが独立してる場合はとにかくDS開放は
電流0の時に行うのが鉄即
、電流0で電圧ありなら開放可能です。
です。とういより何回も私はそれでして体験上の話です。

VCBが入りだとロックピンが引けないからDSを入から
切りにしたくてもできないという理屈です。

後ついでに説明すればLBSの投入、開放、1回練習したら
誰でもできますから安心してください。ここで説明したVCB
の引出し・投入、DSとVCBの連携操作、LBSの実操作をまず
は停電作業で練習されてください。誰でもできます。
VCBは負荷電流と短絡を扱えるがLBS本体は負荷電流しか
開閉できない性能なのを覚えておいてください。緊急で
変圧器を停電させたないならMCBを先に切らないでこの
LBSで直にその変圧器を停電させる事は可能です。

高圧部分でトラブル(OCR.DGR)が発生する事は街中にあるビル
ではないと言ってもいいので、実はそう心配しなくていいです。
ただ停電したら、復電したら何がどうなる、何をするかだけは
は常に100点の状態にしておく事。特に復電後のテナントに絡む
操作、これだけは現場で違うので気をつけてください。病院や
大型の食品冷蔵庫がある現場は操作を忘れると多大な金銭被害
となる物が多い。又病院は人命リスクが絡む可能性もあり。

停電により発生する操作はテナント所有物でもビル側、つまり電気
主任の仕事に必然的になるのです。病院や飲食関係の停電が大変な
のはこういう部分なのです。この辺の確認手順に問題ないかも着任
したら確認しておきましょう。なんとなく適当にしてるといつか
事故を起こします。ヒューマンエラーは無くせない、実は着任した
ばかりの電気主任が一番その可能性が高い、だから初めての停電
作業では★自分だけのCHECKリストを作成して完璧に行う事です★
着任したばかりでは職場にある同類の注意事項の文言だけでは
たぶん完全理解できてない、だから自分が納得できる物を作る!
私、着任して2ヶ月後に停電作業、前任者とは音信普通なんて
事もありましたよ。特高現場でしたが過去資料やetc調べてなん
とか行いました。その時に一番役に立ったのは他現場での経験。
経験が浅いと逃げ出したくなる位大変です。でもそれを自ら考え
自分で操作して成功させた、違う何かに遭遇した時に役に立つ
のは2割が知識、8割がその成功体験、ただ過信すると失敗も
ありえる、常に自分を過信せずが電気主任には必要です。

経験の浅い人は本の知識で物事を処理しようとしますが本はその
現場の特殊事情まで考慮しない一般論である点に気がついて。
失敗、損害を与えたらこの本に書いてあるなんて言い訳にも
ならないのです。現場確認をしてないのが最大の原因。

話は元に戻ります★
朝5時復電でしたが4:45に発電機を自動にして27で発電機が起動
するか確認
されていました。確かににこういう時でないと実際
に停電で発電機が自動起動するか確認ができません!(毎月は単
体で起動するかの試運転のみ)_4:50に業者から電話がかかりこ
れから送電するので受電VCBは切りの状態か★接地は外したか★
の確認の連絡が入りました。(受電のDSや変圧器上のLBSはこの
段階ですべて投入状態、発電機は稼動してますが受電VCBは切りな
ので逆送電はないです)_受電52Rと発電機52Gは同時投入できな
い様にインターロックあり、もし下でDS二次側の絶縁が0の状態
で6600Vかけたらどうなるか?だから受電前にDS二次側の絶縁を
事前確認するのです。(52G切りならb接点は復帰してるので52R
の投入コイルに通電でき52Rは投入できます)

屋外にあるMDSを業者が投入すると電気室の受電メーターが6600Vを
示しその30秒後には発電機は自動停止をしていました。停電から復
電時に自動で発電機が停止するかの確認と受電作業をここの電気主
任の方は同時にされていたのです。後は受電VCB⇒各VCB⇒低圧盤の
MCBやELBと投入していきます。変圧器に充電されるとそれまでの無
音な状態からブーンと特有の音が響き渡るのを当時の電気保守経験
の浅い私でも感じました。

電気を止める時は負荷側から生かす時は電源側からがルール
はご承知かと思いますが特に復電では変圧器を充電した時に突入
電流という大きな電流が一次側にガチな短時間のみ流れるのです。
(変圧器突入電流は変圧器二次側が無負荷でも発生します)だから
復電では各変圧器に給電するVCBは順番に1個づつ充電をします。
全二次VCBを投入状態で受電VCBでいきなり館内全復電はダメ!
受電の瞬間が停電作業最後の重要ポイントです。

配電盤送りまで電気を生かしたら電圧計にて変圧器電圧確認
ビル内の空調機や照明などとにかく営業状態と同じにして館内に
異常がないかそこの電気主任の方は巡回をされていました..更に
電気主任だけは作業が終了したからと朝6時で退社はできません
最低朝10時まではビル内で待機してテナントの営業においてトラブル
報告がないのを確認してから夜中24時からの停電作業は終わりです。
(通常はそのまま日勤業務開始で夕方まで帰れないそうです)

お話によるとLAN関係など弱電関係のトラブルが多いそうです。
又機器内蔵のバッテリーが放電してしまいエラーなどの発生です。
あくまでビル側の停電をきっかけと発生してるので場合によっては
そのメーカーと連絡してオーナー負担での取替手配などとにかく
使える又は修理のメドをつけるまでは退社はできません。
トラブルが発生したテナント責任者に謝罪の言葉の一つも必要。

そのたった一つの言葉があるかないかで事態は大きくも小さくも
なり大人としての気配りもできないといけません!
電気主任の対応の悪さがあれば即オーナーにクレームが行きます
し、★オーナーが優先するのは家賃を払ってるテナントの言い分★
ただ"お客さんも人の子だからまじめに一生懸命に対応すれば誰も
それ以上は怒らないけど適当な対応をしたらダメなんです"と電気
主任の方は本日の作業の締めとして教えてくださいました。
これが
責任感という物なのかと電気主任としての心構えをこの停電作業
では学ばせて頂けました。

私の記事の追加でかなり話が揺れてしまいましたが、各中身だけでも
覚えておいてくださればきっと貴方の電気主任初着任の参考になる事
は1個はあると思います。


⇒最新記事へ