2020年10月10日土曜日

電気主任技術者の仕事-照明回路節電と取扱自己流です。

節電をしたいのです。昼休みは窓の光で明るいので全室消灯、8時
から22時以外は勤務禁止なのでその間も消灯としたいのですが?

と貴方が電気主任技術者としてテナントから相談されたらどうしますか?
業者に頼めば高額な照明ユニットを提案されるでしょうが私に相談が来た
という事は個別に細かく消灯ではないのでもっと安い経費で実現できない
かという意図はわかりました。その時に私が施工した方法を今日は記事
にしました。会社全体で省エネ活動をしてるテナントもあり節電に関する
相談を時々電気担当として受ける事が最近は増えました。全室消灯は
そうないけど同じ様な事はあります。ただ"消灯します"では最近はダメ
でそうならない具体的対策が必要みたいですね。

伝送ユニットからの操作情報によりTUがリモコンリレーを制御します。
こういう制御側を変更しようとする場合、機能としてないならば業者は
別物に一式取替しか提案しません。だって彼らは商売をするために来
るのですからメーカーに相談したら何でも最低何10万円の話です。
50万円以上でも全然普通です。

仮にこういう4個のリモコンリレーがあるとします。左の黒・白が電源
MCBから来てa接点両切りで制御され現場の照明器具に給電されます。

マグネットを使用しますが20Aが問題なく使える製品でないといけません。
もし貴方も同じ事を計画されるなら三菱のこの型番を使用されてください。
100Vでも200Vでも回路の入切はできますがマグネットを動かす励磁
コイルは200Vなので盤内に単相200Vが必要です。家庭の分電盤でも
あるのだからそれに困る事はないはずです。尚補助接点は20Aの電流
を開閉する能力がないので今回は使用できません。

3回路分の各リモコンリレーの既存器具送りの配線を片切り制御するため
こういう感じになります。(私が勤務するビルはリモコンを通さないMCB直の
200V照明回路はすべて片切り施工となっていて私が物事を判断する場合
は既存設備にそういう施工例があるかを確認してはいます)照明器具は
天井設置ですから人が触れて感電の危険性はない、漏電すれば変圧器
で地絡警報が出ますがそういう事は過去一度もないです。確かに200V回
路は内線規程3206-6節では両切りが推奨されていますが使用禁止とま
で言い切ってないのでビルによって単相200Vでも両切りもあるし片切りも
あるというのが実際の状況です。ただ単相三線式からの単相200Vと異
なり三相からの単相200Vは変圧器二次側がデルタなので対地電圧も
線間と同じ200Vとなる、この200Vは両切りにすべきと私も思います。

4回路~6回路の照明回路ならばマグネットは2個必要です。

MCBからの黒配線をここで接続します。これで回路的には準備できました
ので後は制御タイマーの接続となります。

マグネット励磁コイルが200Vなのでタイマー電源も200VのMCBから取り
白を共通線として各マグネットの励磁コイル端子に各接続します。タイマー
やマグネット励磁コイルの消費電力は僅かなので空MCBがないなら近くの
使用中200Vの2P2EのMCBから電源を取っても大丈夫です。ここで使って
いるタイマーTB15601Kは覚えておいてください、ボルトフリーで私の業務
においても欠かせない存在で常に在庫で切らさない様にしています。
性能の安定性、バッテリーの耐久性、価格が安いの3点を満たす製品!


タイマー電源黒線をタイマーNO接点で制御するのでその接点を経由させ
て白と同じ様に各マグネット励磁コイルに接続します。端子接続において
引っ張っても抜けない緩みがない事を必ず確認します。緩みのまま使用
すると加熱の原因となります。それと1箇所に3本は入れない事です。
無理やり挿入してネジを締めたら受けの樹脂側が割れますし全然締まり
がなく緩んだのと同じ状態で取付してる事となります。(私の経験上)
改造では3本入れる必要が発生する事もあるけど手前で接続するとか
等価的に同じ意味となる違う部分で接続するなど工夫してください。
以上を守り配線さえ合ってれば後で問題なんて絶対に発生しません。


タイマー設定で12:00~13:00と22:00~08:00間は消灯する設定をすれ
ばこの回路で目的は達成できます。ピンを倒した時間帯はNO接点は閉じて
るのでマグネットは投入状態となるのです。逆にピンを上げてる時間帯はNO
接点が開いているためマグネットは動作せず主接点が切れています。
1ピンは15分であり1分単位の制御というならばデジタル式タイマーが必要
となります。ですが生産工場でないビルでそこまでの精度を要求される事は
ほとんどでありません。店舗では開店時のシャッター制御でしょうか

タイマーON時間帯つまりマグネットが投入状態ではリモコンリレーの接点は
経由してるので各部屋の照明の入切は個別でできます。ただタイマーOFF
時間帯ではリモコンリレーがONとなっても照明器具は点灯しません。


もし照明だけでなく100Vコンセント回路も制御したいならばこのマグネット
接点は十分に余裕があるのでコンセント回路の非接地側を入切すれば
簡単です。(内線規程では対地電圧が150V以下で1線が接地されてい
る場合はその接地側の開閉器を省略できる)更に三相機器を制限したい
ならマグネットの励磁コイルの2本どちらかを下と同じ様に配線します。


ただこういう絶対という設定は何がしら不具合が発生します。業務でタイマー
時間外に照明を点灯させたい場合はご存知の様にタイマーのツマミを回して
自動から入りにすればいいのですが一般の方はこういうとこを触るのは好ま
ずイザでわからないです、タンブラSW黒で強制的にマグネットを起動させる様
にしました。(タイマー点灯中に黒タンブラSWをONにしても短絡はしません)

次に長期休暇時は数日点灯の必要はないのでマグネットが投入されない様に
もう1個タンブラSW白を追加します。従い平常は白SWはONで黒SWはOFF位置
で使用すればいいのです。尚これは机上のKIT説明ですから実際施工時では
インシュロックを使用し配線長さも考えスマートに見える様に行います。
取付の
上手さはそういう事をした経験数に比例します。だから業者は毎日してるので
施工は上手なのです。ただだからって電気を何でも知ってるわけではないです。
私も同じで修行中の身ですし自分ができる事をできるだけ行いプロと言われる
様にいつかなりたいですね。勉強と違いお仕事ってどんな職種でも同じです。

リモコンリレーが動作しない時は最初に私はリモコンリレーの取替をします。
ワンショットの一瞬しか操作回路からは信号が来ないためリレーやマグネット
の様に測定して不具合調査というのは難しいです。リモコンリレーの基本的
取扱いはこんな感じですね。照明専用と思われていますが私が勤務する現
場ではリモコンリレーでファンコイルのON/OFFもしています。容量の小さな
ファン程度なら運転もできます。右の青端子は他のリモコンと共通配線して
リモコンTRに接続、赤端子にリモコン動作信号(ON/OFF)を与えるのがTU
の役目です。

照明が点灯しないは誰でもすぐにわかり故障は即連絡されてきます。
1個のリモコンリレーには照明器具が10個程度接続されてるので"その
ままで我慢してください"なんて許されません。まずリモコンリレーがONか
配給元のMCBが過電流で切れてないか確認しますがほぼ100%リモコン
故障です。
取替は営業終了後に行い朝の応急としてOFFになってる表示
を指でONにさせれば照明の点灯はできます。TUがもし故障したら最悪
4回路も点灯しないので一体の照明は全滅ですがTUは滅多に故障しま
せん。ですがすでに10年経過してるならばTUも計画的に交換をすべき
です。前任の電気主任が取替程度をしてたなら貴方も無条件で取替は
しなくてはいけません。これは私が管理してる現場でこんな感じで取付
されていますがリモコンは1個15分もあれば取替できるので簡単です。
ただ1個だけ照明器具が点灯しないのは器具不良で不灯の範囲を見
て的確な対応
を電気主任技術者となったならされてください。


⇒最新記事へ