2021年3月13日土曜日

電気主任技術者の仕事・低圧絶縁抵抗測定手順



工場勤務時代、停電作業の中で低圧絶縁測定を私も含めた
設備課の人がしていました。電気室送り1と受盤主幹2の
各MCBを切り、幹線の絶縁抵抗を500Vメガで実施(幹線メガ)
次に主幹2を切り各盤の絶縁抵抗の実施、使用するメガは
対地電圧100V回路は100Vメガ、対地電圧200V回路は250V
メガで行います。幹線ケーブルの絶縁抵抗はどの位ある
のか高級メガで測定したら、2000MΩ以上あったので普通
の500Vメガなら100MΩ以上が当たり前なんだと納得。又
赤線から下の絶縁抵抗はビル管理会社が行うケースが多
く、実質的に見学だけして済ませれた停電作業は過去の
話です。

赤線とは変圧器二次側にある各幹線MCBの位置です。
地絡が発生した時にI0を測定する部分ですね。

ここがテナント盤主幹、上も切る事で電気室と各現場間
ケーブル単体の絶縁抵抗が測定できます。ここを切るの
を忘れて電気室から500Vメガはされないでください。
単相三線式のテナント盤は必ず100Vメガで行います。
右盤は三相なので250Vメガで測定します。単相三線式も
三相も主幹は同じ3本ですが、盤を見ただけでそれが単
相盤か三相盤か?前に説明した事を覚えていますか?何
かの表記を確認ではなく配線を見れば一瞬でわかります。
停電作業では非常灯を消すため、真っ暗で手元しか見え
ません。

今の会社に入社して他現場の停電作業報告書を見る機会
がありこんな値の低い数値もばらつきがある結果を見て
不思議に思いました。いったいどういう測定の方法を
しているのかという事です。あれ?幹線ケーブルの
絶縁抵抗測定のはずなのに100Vメガを使用している!
確かに絶縁抵抗の良否は100Vメガでも可能ですがそ
れはOKとしても、すべて20MΩ以上にならないのは
なぜなのか?担当の電気主任に質問してみました。

判明したのは受盤主幹はすべて投入状態で電気室の
送りMCBの絶縁抵抗測定のみですべて済ませている
という点です。テナント盤内まで試験電圧がかか
るために安全を考慮して100Vメガで測定してるの
です、効率的な作業の様に思いますがこの方法は
私的には問題を感じます。

動力回路はスターデルタならばメインマグネットの
二次側で測定しないとモーターの絶縁抵抗は測定で
きないです。電気室送り1点測定ではそこに試験電
圧がかかりません。だって停電してるんだからマグ
ネットは切れてます。
もっとも停電作業日以外でこ
ういう部分を年に1回絶縁測定してるなら保安規定上
は条件を満たします。

単相モーターも停電するとマグネット二次側で
ないと絶縁抵抗は測定できないのです。写真は
マグネット交換後に負荷電流に変化がないか?
確認をした時です。二次側とはクランプを当て
てる側の配線の事です。

停電作業では通常リモコンリレーの照明は先にOFFさせ
るので絶縁抵抗測定の時は上と同じくビルの照明回路
が絶縁抵抗測定では含まれない。この場合私は分電盤
にあるリモコンリレーは指でOFFをONにさせてから絶
縁抵抗測定をします。これも停電作業日以外で照明を
使用してない時に測定するならば問題はありません。
×印が気になった方に説明すると営業中ONしてない
リモコンリレーという意味です。通路が1列照明が点
灯していない、すぐEPSを見て×以外でONしてないの
があると即どれが故障かわかります。営業修理後に
交換を私はします。とりあえずOFF表示を指でONに
すればリモコン接点を強制ONさせて照明は点灯で
きます。ただ中央監視のスケジュールで自動ON/OFF
できないと不便ですから応急対応です。

末端低圧回路を接続して電気室送りで絶縁を測定して
しまうと、接続された低圧回路の影響を受けるので純
粋なケーブルの状態がわからないです。もし幹線ケー
ブルのみを独立させて500Vメガで測定したら間違いな
くこういう状態です。冒頭で見たA1~A10の値と比較
して同じ回路なのにまったく数値が違います。良い
悪い、法的に基準を満たすかというより後で異常が発
生した時に有効な点検データーにならないのでは一番
困るのは担当する電気主任技術者です。もちろんこの
値ですから法的にも十分満たしています。

幹線が100MΩあっても末端で0.XMΩがあれば電気室
からの絶縁測定では0.XMΩになります。
幹線メガが
単独でもし0.2MΩとかならばかなりの劣化進行中で
電気室が停電したら波及する影響が大きいです。
幹線メガは特に正確な絶縁状況を私は知りたいです
から今回問題定義した方法は私はしません。

テナント盤の絶縁抵抗結果ですが上司やオーナーに提出
する物は階数、テナント名、主幹一括メガを一覧にして
私は提出します。細かい事は彼らには不要で結果だけが
一目でわかる様にします。REDの様な不良個所はどう一
次対応又は修理したかは別に作成してこの紙の下に加
えます。空調機なども同様に作成しますが決まった書
式はないので電気主任が考えて作成されたらいいです。
これに単独の幹線メガ表、こうするのが誰もが納得で
きる絶縁抵抗の管理表と言えます。すべてを接続した
状態で電気室から一括メガ値でというのは、測定でき
てない抜け部分が必ず発生します。

ただ停電作業の時間ですべてのテナント盤メガ測定
をするのは現実困難なケースが多いのでテナント盤
にあっては主幹一括でメガ測定をします。この位置
にあっては主幹にて100Vメガで合格なら不良回路は
ありません。これは私の経験上間違いありません。
1箇所1点測定なら100箇所測定が必要でも仲間3人
と手分けすれば2時間もあれば作業は完了できます。
事務所の主幹測定では20MΩになるのが常識です。
もし主幹で0.1MΩなら必ず同じ0.1MΩの箇所が存
在します、その場合は個別に調査が必要です。
基準値ギリとは劣化進行中でいずれ地絡か主幹
がELBなら店舗全停電に至る
でしょう。過去記事
でも説明しましたが、0.1や0.2MΩの基準値管理
では余裕がなく、低圧回路は内線規程1MΩ基準
を私はお勧めします。