★これはビルや工場には必ずある空調機という物。
これに熱源で作成した冷水や温水を通して冷暖房をします。
特に真冬、真夏にまともに機能しないと利用者から相当
苦情が出るため業者任せでは間に合わないケースもあり
現場で働く私達は相応の対策をしています。
電気主任でも右側に見えてるVベルト交換くらいしますよ。
(Bタイプの4本かけくらいなら私も一人で交換できる)
現場の電気主任でもベルト交換、グリースアップ、圧力計
交換程度は日常業務としてできないといけません。
空調機はモーター回路シーケンスと冷暖房のための制御シーケンス
で構成されていてどちらが故障してもいけません。
モーター回路シーケンスはこちら⇒モーター故障対応
今回制御シーケンスについて説明していますが温度コントローラー
というのが心臓部になります。
取扱説明には仕様や操作方法の説明はあるけどこうした回路
動作説明まではありません。
それをしてほしければ有料で保守契約をしてください。という話
で必要ない情報までメーカーは公開しないんです。
そうなると必ず回路図はつけてあるのでそれを見ながら自分で
信号を追い研究して覚えていくしかありません。
★シーケンスさえ読めるならどこの現場に着任しても何とかなる★
現場電気主任はこうした地道な努力をしながら一人前を目指します
が私の現場ケースでも習得しておけば比較対象ができるので貴方
の努力もより早く達成できるでしょう。
経験がない人は比較知識がないから苦労するのです。
習うより慣れろの精神でまずここに載せたシーケンス図面を紙の上
に書いて丸暗記してください。
とにかく業者契約してるから何もしない、できないという最低ランク
の電気主任技術者にだけはならないでくださいね。
冷房と暖房ではバルブ制御が逆になるため冷房か暖房か
を最初に設定しないといけません。
SWX1というリレーがONになると冷房でセレクターSWで
①の信号を入切させる事でそれが可能となります。
(逆にSWX1がOFFなら暖房運転となる意味)
通常は中央位置にしておけば中央監視の冷暖房切換
信号でCX1(冷房)TX1(暖房)が各動作し遠隔で冷暖房
の切替ができます。
Bは加湿センサーでこれは動作して端子3-4がONになり
同時にFX2がONであればWX1リレーがONします。
するとそのa接点で加湿器の電磁弁に電圧をかけます。
NFはノイズフィルターで制御動作とは無関係です。
空調機マグネット補助接点Aが閉じるとFX1リレーがONとなる。
冷暖房制御は開始しますがタイマーTMによりOAダンパーは
一定時間は全閉のままで運転しこれを起動時のウォミーング
アップ運転と言います。
冬は最初から冷たいOAを通さない、夏なら熱いOAを通さない
事で冷暖房の効きを迅速にするのが目的の回路!
設定時間後にTMのタイマーa接点が閉じてFX2がONとなって
からOAダンパーは全開されます。(こういう現場は多い)
CX1のa接点が閉じるとSWX1リレーがON、CX1は一瞬しか
ONしませんがSWX1リレーの自己保持接点も閉じるため
SWX1リレーはON状態を維持する、つまり冷房モード状態。
次に上の状態からTX1リレーONとなるとそれのb接点が開
くためSWX1リレーはOFF、つまりこれで暖房モード状態。
ただ遠隔で冷暖切換をした場合、部品交換で電源を切ると
SWX1がOFFとなり必ず暖房モードになってしまいます。
中央監視で再度冷房中のみ冷房設定すればいいんだけど
★これを自動化するなら貴方ならどう改造しますか★
私ならこの回路はこう設計します。
まず既存の回路は青×部分でCUTしてリレーAとサブ回路用
MCB、スナップSWを新設する
(S.SWは回路が故障した場合の緊急のため)
TX1とCX1は中央監視PCからの1ショット信号です。
つまり通常はOFFですからa接点は開いた、b接点は閉じた
状態であり一瞬しかONになりません!
暖房切換でTX1が閉じるとリレーAはONとなります。
それのA-1で自己保持されてリレーAはON状態を保持。
(冷房切換CX1はb接点を利用するので入状態)
するとA-2のb接点は常時開いてるため主回路電源MCB
を入切してもSWX1は常時OFFとなり暖房運転を自動で
再開できる。
冷房切換ではCX1のb接点は開くためにリレーAはOFF
となるのでA-2のb接点は閉じた状態となる。
CX1のb接点は1ショット信号のため閉じてもA-1はa接点
なのでリレーAには通電されない。
これで主回路電源MCBを入切してもSWX1は常時ONとなり
冷房運転を自動で再開できる。
何事もできない事はないので不足に対するカスタマイズ
を考えると急場をしのぐ力は身につくと思います。
初めての方には大変でしょうがここを超えないで電気主任
になれても電気の技術者とは言えません!
下が天井ダクトにあるOAダンパーです。
FX2がONするとa接点が閉じるために31-32間がONと
なりダンパーは全開します。
逆に空調器が停止しFX2がOFFしてb接点が閉じると
31-33間がONとなりダンパーは全閉になります。
ダンパーが全開しない場合は単体故障以外はジャンパー
すれば強制開放できるのはわかるでしょう。
これが長時間開かず業者が来るのは明日朝一番では
CO2が1000ppmを超えてまずいので対応は必要ですよ。
こういう操作は職場でも電気主任しかわかりません!
下の図面を簡単に説明すると
・PCからの冷暖房切換信号を受けて動作しますがCX1が
冷房でTX1が暖房を遠隔操作で行うリレー
・ロールフィルターが巻き終わったらリミットSWのDが動作
して中央監視に知らせます。
・ダクトの温度を検出して中央監視PCに表示させます。
実際のトラブルとしてリミットSWのDが故障して巻取り完了
が中央監視に来ない、同じそこで現場温度が表示しない。
回路をのつながりを知ってれば原因を探すのも簡単です。
空調設備温度のコントローラーの裏配線です。
この単体取説を読んでも容易にはわかりませんがシーケンス
図面の線番と対比すればこれら配線が何を意味してるのか
わかるのです。
・上の線番7,8,9は下の回路図から還気温度センサーと
つながっているのでここは計測温度の入力端子。
・上線番10,11,12に抵抗の図があるでしょ?
これはポテンションメーターといいバルブの現在の開度を
コントローラーが知るための入力端子。
このタイプでは操作出力が出てるのに現場がリンクして
開閉しない場合はエアー表示となります。
・上線番R1A,S1Aはコントローラー電源入力端子
・上線番13,14,00Cは下図面から冷温水二方弁への
操作信号(開閉信号)の出力端子。
下回路に冒頭で説明した冷暖房切換SWX1のa接点があり
ますが冷暖房が切換らない場合はリレー不良です。
こういう電子式基盤は10年~15年は大丈夫でその間
ならコントローラー本体故障はまずないと思う。
(設置の環境条件が悪い場合は除く)
空調器のダンパーやバルブは機械が停止した時は全閉
にする仕組みがあります。
古い調節器だと操作電源が切れるとスプリングの力で全閉
させるスプリングリターンという機能があるけど通常上の様
に自動制御でそれを行います。
FX1リレーとは空調器が起動すると連動してONになるリレー。
バルブの線番13と15を短絡させたら全閉となります。
(図ではFX1リレーのb接点がその役目)
運転中はFX1リレーのa接点がONでないと冷温水2方弁は
開きません。(つまり冷暖房ができない)
シーケンスの勉強のためもう1例を紹介します。
★これは受電VCB回路に関してでこれもそう!
VCBとは簡単に言えば22000Vや6600VなどのSWの事
でこれが入らないと広範囲に停電となり電気主任は特に
理解しておかないといけない存在です。
P0-N0又P1-N1間は直流(DC)100V電源、DCのプラスはP
マイナスはNと表記します。
BLやALは警報関係、LTはランプテスト用電源配線です。
通常BL(ベル)は現場で鳴る警報でAl(アラーム)は遠隔監視
に信号を送る作りが多い様に思います。
P0に接続されてる引いて入りの操作SW⇒67YのB接点
⇒51YのB接点⇒VCBの3番入力⇒VCB投入となります。
又異常発生時はVCBの再投入をB接点で禁止させます。
これで3番がVCBの入りの端子だとわかりますよね。
同じ見方で切りSWが接続されてるからVCBの5番端子
がVCBの切り端子だとわかります。
横からの破線はOCR、GRからのVCBを切れという信号で
だから手動切れと同一回路となります。
4番は3番のマイナス側で6番は5番のマイナス側ですね。
ゆっくり考えたらそう難しくはないと思う。
VCBの8番と12番端子に接続されてるのが盤にあるON
とOFFの動作確認ランプで7~12は表示回路。
工場勤務の方は緑表示がONで赤表示OFFが常識で
しょうがこうした受変電設備は逆で赤がONで緑がOFF
なので気をつけてくださいね。
設備の一般職の方はこれが何のSWで程度の理解力で構い
ませんが電気主任技術者は配線のつながりと回路の動作
を熟知しておかないといけません。
業者がいるから大丈夫?...でも故障して連絡してもすぐ
彼らが来れない場合もあり、応急対応という事が必要な場合
もありたとえばこんな時⇒加湿器故障
オーナーから何とかならないのかというお叱りを受ける
事態は極力避けないといけません。
できない物はできない...ならどうしてできる様になる努力を
しないのか?と逆に言われてしまう時代です。
SW操作しかできないなら電気主任の存在価値はない
と父から昔言われましたが私もそう思います。
電験二種や一種を所持してようが現場では関係ないです。
(それがあっても実際何もできないなら意味ありません)
ですがここまで読めてるならば現場でのシーケンス見方の
基本は理解して頂けたと思います。
私の経験上、シーケンスさえ読めるならどこの現場に着任
しても何とかなります。