どこの現場でもしてる空調機点検、これはその運転回路
1/19は新人さんと勉強会をしたのでBlogでも再度記事に
しましたがもう貴方は完璧ですか?
1.スターデルタ起動回路の動きを目視確認
5KW以上の7.5W程度のモーターからこの方式となりどんな
ビル、工場でも必ずこれと同じ起動方式があります。
通常は遠隔操作だけど手動で起動してスター回路で減圧起動
(ルート3分の1)後に約10秒後デルタ回路となり全電圧200Vの
正常運転となるのを確認しましょう。
マグネット(MC)は動作すると凸部が引っ込むので目視で動作
確認できます。
(①②MCがONで減圧起動、10秒後に③MCがONでデルタ回路)
ただスターからデルタに切替る時に電圧が一瞬0になるため
電動機が空転状態となり突入電流が流れてしまいます。
初めてそれを見た人はその時にガタンと割りと大きな音が
するのでビックリされるでしょう。(リダクションキック)
なぜすべての電源線を挟む事で漏電がわかるのか
私は人に物を教える時はこうした実験でなるべく見せる様に
して教える様にしているんです、言葉だけではわかってない!
三相交流の電流総和は不平衡回路でも0になる。
(漏電なければキルヒホッフの法則でIa+Ib+Ic=0)
たとえばこの6回路の三相ケーブルをすべてクランプでI0を
計測すると理論的には0になるはずです。
あれ0じゃない...6mAとはこれが微妙な漏れ電流でこの
場合は0と考えても構いません。
次にケーブルを1本だけ外して計測するとなんと8.25Aつまり
8250mAにもなりました。
三相交流の電流総和が成立しないからでこれが漏電により
他回路へ流れていても同様ですよね。
(この値はその外した線に流れてる電流と同じにもなる)
だから三相電源すべての配線を挟む事で漏電量をクランプ
で知る事ができるのです。
ただ接続される負荷しだいでは高調波、ノイズが指示を狂わす
からリーククランプメーターを私達、電気屋さんは使います。
後1mA(0.001A)を測定できない安いクランプではダメ!
2.漏電CHECK
日中は機械を停止できない場合メガはできませんがこの方法なら
運転中でも絶縁診断ができます。
漏れ電流は単独モーターならばまず5mA(0.005A)未満。
上の場合でも約2mAでした。(表示は2.5mA)
もし故障漏電してると桁違いに大きな漏れ値(100~300mA)
が検出されメガをするとたいてい0.1MΩ未満で修理・取替
が必要な状況になります。
もちろん電源がELBなら切れる事になりますよね。
ただ上の回路はMCBなので完全地絡に至らない限り切れない
ため変圧器のB種接地のLGR警報で知る事になるでしょう。
I0rはI0より低いからI0が2mAとかではこの値で十分です。
実際、機械を止め絶縁を計測しても100MΩ以上あります。
3.運転電流や電圧
運転状態のモーター配給電圧を知りたいのだからRST各
相間電圧をマグネットMCの二次側、運転状態で計測します。
(マグネットの状態も含めて知りたいからそれの二次側で測定)
たまにMCBの下で測定してる人いるけど私的には意味ないです。
電流は配線間にあるのは制御電源のみで他200V単相モーター
はないので各電流値差は1Aもないのが正常です。
もちろん相間に何があるかで正常でもそれ以上ありえます
からそれは調べてみてください。
運転電流が3本共に低い場合で多いのがVベルト不良による
スリップ。
5.5kwのモーターなのにスリップして3kw分しか仕事をして
ないと空調機としても十分な能力が出ていません。
ベルトや軸受の異変は音に出るのですぐわかる!
ただ張り調整やプーリー不良ならベルト交換してもダメで
業者に連絡して調整又は交換してもらってください。
特に注意はMC不良による単相運転の兆候を見逃がさない
運転中(回転)に単相になったのなら定格電流の約ルート3倍と
なりTHR機能で停止するでしょうが、停止状態ですでにそうなっている
とすべてが短絡エネルギーとなるのでMCBが結果として動作しても
老朽化してるモーターだとコイルを焼いてしまいます。
各線の運転電流の差が大きい場合はヤバいかも?
マグネットの接点が劣化して1本だけ電圧が低いのかも。
電流のアンバランスは配給電圧をまず疑いましょう。
それは運転状態でのMCの二次側電圧の事です。
同時に逆相トルクが発生してモーターでいつもと違う振動
まで出てるはずだから異変は電気量だけに収まらないです。
これの末路が停止状態からの単相運転です。
最近モーターの音が大きいけど本当に古いせいだけでしょうか?
ベアリングだけでなく電圧でもモーターが振動するのを意外と
設備現場でも知らない方は多いです。
配給電圧がアンバランスになるとモーターには逆方向に回転
させようとする逆相トルクというのが発生します。
(理由は難しくなるからとにかくそういう道理もあり)
10年以上経過して毎日使ってるマグネットは交換すべき!
同じ型番のがあればしてみるとそれほどできなくもないから
ぜひ挑戦されてみてください。