前記事では受電シーケンスの基礎を説明しました。電気主任に
着任されたら、その次に習得が必要なのは空調機の動きです。
通常は省エネ目的でインバーター運転ですが、事情により一時
的に商用運転にする時もあり。老朽化で高調波分が多くなり
変圧器LGRまで時々動作する、オーナーに機器更新費用もない
ケースではずっと商用運転で運用されるでしょう。
変圧器LGRまで時々動作する、オーナーに機器更新費用もない
ケースではずっと商用運転で運用されるでしょう。
⇒インバーター空調機が原因で、動力変圧器B種接地電流が190mAの動画
商用運転とインバーター運転は常に単独でしか稼動しない
上回路でMC1が①、MC2が②、MC3が③となります。
★全体回路図
ビルの場合はモーター容量が異なるだけでこうした運転回路は同じ
1箇所習得すれば他の階の空調機においても有効です。最初は面倒
かもしれませんが頑張りましょう。取扱説明書にこうした回路図は
あっても回路動作の説明はないです。取説にあるのは誰でもわかる
一般的な操作方法だけです。
インバーター運転時の回路動作です。遠方又は手動のどちらかで運転開始
逆相、過負荷がなければb接点はONなので、RY7とRY8リレーに通電される。
RY7のa接点がONとなる事でRY-11に通電されてインバーター運転です。
RY8は中央監視PCへの運転信号リレーです。_正常停止からの運転開始で
はRY-9とRY-5のb接点はON状態のため、RY-11まで通電される流れはわ
かると思います。_(RY-11⇒RY-14への説明は今回省略します)
補足:リレーに並列にあるフリーホイルダイーオードはリレー接点が
切れた時に発生する逆起電力をリレー外に放出しないのが目的。
次に商用運転時の回路動作です。RY-7のa接点から通電されるまでは同じ
RY-9リレーのa接点がONとなる事で、RY-10リレーに通電され商用運転
となります。RY-9リレーのb接点が切れてるので、インバーター回路には
通電されません。このモードに省エネ効果はないけど管理する側としては
一番楽ですね。(故障トラブルはまずないとも言えます)
一番楽ですね。(故障トラブルはまずないとも言えます)
次に故障時です。インバーター運転中に各種故障が発生したらRY-5リレー
に通電、そのb接点が切れる事でインバーター運転は強制停止、RY-5リレー
a接点により、RY-10リレーに通電され商用運転に自動で切替ります。逆
に言えばRY-5リレーに不具合が発生すると、自動切替にならない事を学
べました。_又夏場台風時期など瞬時停電により基盤過電流がインバータ
ー電源は発生する事がありますので知っておいてください。この様に商用
自動切換がない場合は、現地盤で手動リセット後に機器再起動が必要です。
0.1秒以下の瞬時停電で受電52Rはトリップはしない(2秒程度の継続停電
ではトリップ)_けれどインバーター機器は瞬時停電に注意してください。
ー電源は発生する事がありますので知っておいてください。この様に商用
自動切換がない場合は、現地盤で手動リセット後に機器再起動が必要です。
0.1秒以下の瞬時停電で受電52Rはトリップはしない(2秒程度の継続停電
ではトリップ)_けれどインバーター機器は瞬時停電に注意してください。
基盤過電流とかで異状停止した場合は運転再開後にリーククランプ
メーター以上で制御電源のI0を確認されてください。インバーター
回路に絶縁抵抗測定をするのはお勧めできません。その結果不具合
故障を発生させると会社に報告書提出や誰の指示でしたのか?とか
責められる可能性あり。インバーター回路は100Vメガでも私はしな
い。又ここはインバーター運転電流回路ではないから高調波が絡み
I0は高くならない、通常は下の場合で1mA未満です。ただ24V回路
ですとトランスが間にあるから非接地状態、その場合のI0値は参考
にならない。商用運転を継続してメーカーに相談されてください。
トランスで電源変性してる制御回路に検電器を当ててみてください。
そこが仮にAC100Vあっても検電器は反応しません。理解できた?
AC200V、トランスなし通常の制御回路の場合です。
30mAもありヤバイ!この時は完全に不良部分がありました。
MCBから電源を取ってる場合は対地間で完全0Ωになるまで
不良状態で使えてしまう。元変圧器B種接地が平常時に10mA
しかないとたとえそれが35mAになっても50mA以下だからつい
様子見としてしまう、意外な盲点は常にあります。
下程度回路で電源I0が10mAもあればどこかに0.01MΩ未満
のポイントがあると考えるべきです。下回路内の調べ方
として1個づつサーキットプロテクター(CP)を切ると不良
部分が絡む回路を切った時にI0が正常となる、回路が確定
したら不良回路だけ絶縁抵抗測定をしてみる!最初から
メインの制御回路用MCBにメガをしてはいけません。
運転回路側つまりインバーター本体、モーターの絶縁管理
はこうするのはわかると思いますが、測定点から二次側の
ケーブルと機器についてですから注意されてください。
オーナーさんに現地説明する時に"どこの漏電の事ですか"
と質問されて一瞬の健忘症とならない様に注意!業者修理
が必要となった場合は電気主任がオーナーに状況の説明を
する事はよくあります。_経費がSPOTで必要になるとオーナ
ーも会社に対して稟議書を提出するので現状を知りたい。
そこで電気主任がまったく説明できないではその修理提案
って大丈夫なのかと思われてしまいます。業者からの提案
でも電気主任の意見も必要なのです。壊れてますよ、これ
だけかかりますよ、の紙1枚だけお金を簡単に出すオーナ
ーは今の時代は稀です。
制御に絡む回路の正常時のI0は1mA未満です。I0rで測定
したらたぶんほぼ0です。こういう回路ではメガしない
この値ではしなくても絶縁抵抗は大丈夫です。動力は三相
制御は単相から、その他三相から単相200Vを出して制御電
源にしてるケースもあります。後者の場合でもこの位置で
の測定が楽です。
わからないから異状停止した電気機器の元電源を切り、再起動
とかした事ありませんか?こういうb接点が動作して回路全体
又は一部への通電を強制停止させます。元電源を切ればRY-16
は平常時のON状態に一端なりはします。でも故障原因は改善
されていません。電源を切り即再起動する人の根拠は実は何
もない適当、復旧できたらラッキーな感覚に近いです。ただ
それで機器焼損させたりしたら、貴方を雇用する会社がオーナ
ーに弁償しないといけません。_こういう設備員の安易な判断
ミスでオーナー様所有の機器を破損させるケース時々あります。
図面の下の補足図もよく見ます。図面上の番号間に何が接続されてるか
これでわかります。以上がこの空調機回路のコア部分です。
たとえば現場で空調機は稼動してるのに中央監視に運転表示が来ない?
業者に連絡するのも方法ですが、制御盤間の6と7の中央監視行きの配線
を外して、その間で導通があるか?テスターで電気主任が調べたらいいの
です。ないならリレー故障です。ただこういう物を点検する場合で私は
端子ネジ緩みがないか最初に確認はします。_ここまで日常的にしてれば
貴方の職場での評価は急上昇!_有利に働く上で自然な型で自分の能力を
示すのは大切な事です。
外部配線との接続ターミナルには番号があるのでここで配線を外して
導通や電圧があるかとか確認します。外部センサー類、外部接点は
すべてここに接続されます。私でもその制御の何が故障なのか程度
は調べられます。
今回はインバーター空調機を説明しましたが、スターデルタ起動方式の
空調機も今だ多数存在しています。運転中はスターマグネットだけが切
れた状態で運転されます。スターデルタ専用モーターは電源が6本ある。
このモーターの絶縁抵抗測定をする時はメインマグネットの二次側で
行う、マグネットの片側が金属で短絡されたのがスターマグネットです。
省エネ目的がないなら、スターデルタ起動方式は高調波発生ない、起動
プロセスもシンプル、私はこちらのタイプの方が好きです。
起動時はデルタマグネットのみ切れた状態で、モーターが回転を
まず始めます。(減圧起動)、直入起動と比較してトルクは1/3に
なるので始動トルクの大きな機械には適さないが、ビルの空調機
程度では十分。(ベルトを持ちモーターの手回しが可能な機械)
UVWXYZの関係は下の通りですので覚えておいてくださいね。
設定時間後(10秒程度)になれば必ずスターマグネットが切れてから
デルタマグネットが投入されます。盤表電流計の表示値の√3分の1
の値が実際のモーターコイルに流れる電流です。計測用CTは通常
MCBとメインマグネット間にあるため。
起動時の不具合で注目するのは起動プロセスのどこまでいけたかです。
まったく起動しない、最後にスターからデルタに切替らない。スター
デルタ専用タイマーを交換してください。50%の確率で起動不具合
直ります。...でも取替部品まで在庫してる現場って稀!_とりあえず
この程度知っておけば電気主任として、恥をかく事はないと思います。
スターデルタ起動方式は電気主任技術者必須なので以下の回路図は丸暗記
してください。スターマグネットとデルタマグネットは互いのb接点で相
手に制限を与えてる点も注目、10年経過してる設備ではタイマー以外の
そうしたb接点不良が発生する可能性もあります。とりあえず自分が電気
主任となったらオーナーにお願いして、スターデルタタイマーを購入して
在庫で持ちましょう。空調機が起動しない⇒電気主任さんお願いします。
と必ず言われます。準備なしで直入起動みたいに簡単対応できないです。
特に知っておいてほしいのは、温度とか量を制御する自動制御は業者が
定期点検してるので最悪そこに電話したらいいです。ところがこういう
動力関係の起動回路まで業者点検してない現場がほとんど。動力の起動
回路は電気主任技術者が対応しないといけません。だから普段からよく
研究しておかないと困るのは自分です。
ビルでの自動制御とは冷水、温水の流量や温度の制御の事です。
こういうコントロラー故障は修理ではなく全取替ですね。工場
に送り修理、その間の代替品取付工事とかしてたら購入しても
ほとんど変わらないからです。
月に1回は中で電流を測定して盤表計とのずれ確認、後I0をリーク
クランプメーターで測定します。通常は1mA未満です。10年に1回
ほどマグネット3個、スターデルタタイマー交換、適切なベルト管
理、グリースアップさえしていれば、故障知らずで運用できます。
電気主任だから電気しかしないではなく、最低限Vベルト交換とグリ
ースアップはできる様にしておいてください。
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