前記事の続きでフレキシブルクランプメーターCFL-02Rは負荷電流を
測定する物で口径170mmでどんな場所でもワイヤーを通し電流測定
ができます。実売15000円程度でこの機能が可能なのはこの製品だけ
で素晴らしいです。空調機モーターの様にベルト駆動は±0.5A程度にて
ゆっくり変動し測定時間差があるので電流値はJUSTにはなりません。
電流値の変動幅がいつもより大きいとか数A低い場合はVベルト交換
をするのが設備のお仕事です。電気主任も交換作業はできないといけ
ません。後盤指示値と実測に差がある場合はCT~基盤異状ですから
在庫にあるので交換します。CTは二次側開放してはいけないので必ず
電源を切り一次側に電流がない状態で行うのは電気屋の常識です。
どこでも測定できる点から変圧器地絡時に挟めないケーブルを挟み地絡
調査に利用できないかの検証です。変圧器地絡が発生するとその時のI0
は私の経験上I0≒I0rとなる、又このビルは昔から誤報防止のため地絡
LGR設定を300mAで設定している。×0.7の210mA以上のI0から動作す
るので発生した復旧不能な地絡電流は必ず200mAを超えてるというこの
現場特有の癖があります。まずI0値=I0rという事は力率1の機器を使用
した時に流れる電流と同じ、実験で容易に準備できるのは白熱電球です。
今回38W、19W、10Wの3個を準備しました。これらの点灯電流を正確に
まず測定できるか?が確認したい点です。
こんな実験KITにしましたが完全にこの回路において漏電がない事をI0r
モードで確認、つまり黒白に流れる電流は完全に同一です。正確に電流を
測定比較するためにI0r100も使用しました。これは0.1mAを正確に測定
できるI0rクランプメーターです。初心者の方に復習ですがもし黒か白の1
本だけ挟めば0Aにはなりません。漏電なし状態ΣI=0の条件が成立しな
いからです。ELBとはこの理屈を利用して漏電検出自動トリップをします。
本当に変圧器で地絡をさせたいならば電源白線ではなくアース線に黒か
らの電流を接続すればいいのですがそれは業務に支障が出るのででき
ません。(40Wの白熱電球なら400mA流れて確実に地絡警報出せます)
以下は製品正規の取扱方法ではないのでお持ちの方は真似はされない
でください。フレキシブルクランプメーターCFL-02Rでも同じ測定をして0A
になる事を確認、もしこの状態で0.35Aとか表示されたら実験終了です。
漏電はなくΣI=0なのでこの場合でも0Aでないといけません。最初に心配
したのはリーククランプメーターではないのとΣI=0状態でありながら口径
が大きいので線の磁界が影響して値が出るのではと思ったのです。漏電
がないのに値が出ては漏電検出には使えません。今回はダメは覚悟で
個人的に購入したのです。尚、家の分電盤主幹で同じ事をしましたが0A
で変な指示値とはなりませんでした。周波数表示は3A以上でないと機能
しないのでこういう使い方では表示されません。
38Wランプに流れる電流は385mA、CFL-02Rは340mAで表示しました。
この測定器はACは0.2A~と説明書にありこういう低い値は誤差が多
いのですがこれなら地絡があるというのを認識できます。尚左のI0r
100はmA単位でCFL-02RはA単位な点に注意!このビルでは変圧器
地絡時はCFL-02RのI0測定方法でこの位の値でほとんどが表示され
るはずです。電圧100Vで38Wランプに385mAですから≒力率1はわか
ると思います。(電圧が少し100Vより違ったのかも?白熱は力率1)
19Wランプでも行ってみました。CFL-02Rの測定限界ギリだけど意外にも
170mA(0.17A)で悪い感じではありません。これは実測で素直に結果を
受入れます。取扱書の通り0.2Aから測定できるのは確認できました。
この実験とは関係ないけどテナントさんが最近電気代が高いので調べて
ほしいと言われたらこれに機器を接続して負荷電流をクランプメーターで
測定すればいいのです。又漏電も見たいなら2線をリーククランプメーター
で挟み1mA未満(通常I0で0.1~0.3mA程度)で確認できます。まさか
顧客の機器のコードの被覆は剥いで中の2線を出すわけにはいきませ
んがラインセパレーターを買わなくても電源コードの電流は測定できます。
10Wランプで行いましたがI0r100は漏れ電流専用測定器なので1mAを
正確に測定できますがCFL-02Rは100mA以下は限界の様ですね。ただ
私はCFL-02RでI0管理をするわけでなく地絡事故時に80mmのリーク
クランプメーターで挟めないケーブルでそこで漏電があるのかないのか
を知るためだけに使うので問題はありません。その事からCFL-02R
の最小表示限界値を実測で知っておきたかったので今回は10Wランプま
で準備したのです。CFL-02Rは元々負荷電流を測定する物ですからこの
結果には問題ありませんが漏れ電流で絶縁管理を行う場合なぜリークク
ランプメーターである必要があるかというのはご理解頂けたと思います。
更に完璧を求めるならI0中のI0rを知る必要があるのでI0rクランプメー
ターならば完璧です。I0rが対地間抵抗により流れる漏れ電流で絶縁抵
抗測定は停電させて対地間抵抗を測定する作業です。RM-1は使う方の
熟練度により誤差が出る可能性があるけどそれなら誰でも正確にI0rを
測定、つまり活線状態で絶縁判定ができます。私の測定経験では正常回
路でI0中の2~3割はI0c成分です。ただI0>I0rなので単独回路にて
I0が1mA未満ならI0rを測定する必要はありません。
三相動力回路をCFL-02RでI0測定して0Aでも実際この場合は≒27mA
あります。CFL-02Rの説明書にある様に日常的なI0管理にCFL-02Rは
使えません。尚同じ条件とするためリーククランプメーターのノイズカット
機能はOFFで測定しています、あくまで指示能力の違いだけです。
負荷に近くなるほどフィルターを内蔵していないので指示値に誤差
が出やすくなります。これはリーククランプでない物でI0測定をした
時の不具合の原因に近いでしょう。運転電流では10A以上なので
15Aが15.2Aと表示されても影響はありませんがI0測定を行うと
時々0Aとならずこういう指示関係になった箇所もありました。でき
れば上と同じ様に漏電がなくmA単位が測定できないならば0A表示
が好ましいです。地絡が発生した時だけ0.3A(300mA)と表示させ
るのが目的です。
前記事の実験でRM-1を使用して正常回路なら0A表示にできるの
は確認しましたがスリムに行いたいです。考えたのは絶縁不良に
より流れるI0r電流は60Hz帯域に流れる。という事は同じ60HZ
で稼動する家電に使う高周波フィルターもある程度効果があるの
ではと思いついたのです。フェライトコアフィルターをCFL-02Rの
ワイヤーに取付ました。フェライトとは磁気を吸収してそれを内部
抵抗により熱として消費する事でアースに捨てる事なく高周波ノ
イズを除去する物です。内径が小さく外形が大きく、長さが長いほ
ど効果がある製品となります。フェライトコアのインピーダンスR+
jXLにおいてXLが高周波成分を反射させ減衰、Rで熱として消費
させるそうでフェライトの材質も関係するそうです。尚、内径にワイ
ヤーを通す時は隙間がない様にJUSTサイズな物を購入するのも
大切です。適当に買っては十分な効果は期待できないです。
同じ内径、外形でも長さが15mmと30mmでは周波数に対する特性
が微妙に異なります。製品メーカーによっては技術資料を公開して
る場合もあります。この製品は長さ変化においてインピーダンスは
高い周波数では変わらないけど低い周波数~中間ではフィルター
が長いほどインピーダンスが高くなるのでノイズカット効果が高くな
っています。広い効果を期待するなら長い方が効果が期待できる
又材質にも影響するので各社で比較してみると面白いでしょう。
不要な指示値の改善をALLではないけど確認しました。_ただ★こう
いう方法はメーカー保障対象外なのでCFL-02Rユーザーは買ってまで
私の真似はされないでくださいね。私は自費で購入したからこんな事を
しているのです。会社の経費で購入した物を実験し測定器が動作不良
となったら始末書を書くはめになりますから!そのため今回使用した上
のパーツの商品名は公開しません。もしCFL-02Rのメーカーに問合せ
しても"使用してはいけません"としか絶対に言わないでしょう。
明らかに効果があったのは単体の動力系でI0は5mA未満なのに0.17A
とか表示してたのがなくなりました。これなら地絡発生して0.3A(300mA)
となるとこの回路で漏電してると誰でもわかりますね。ここは制御回路が
リレー式ではない電子式(基盤)なのでそういう類が影響していたのかも
しれません!電流成分まで分析できないので想像の域ですがこの辺は
現場の状況にも絶対左右します。ノイズ対策を使用者レベルで行うのは
暗中模索状態で何をするにも実際に買ってしてみるしかありません。
尚、絶縁不良により流れるI0rは60Hzなのでフェライトコアは影響しま
せん。それ以外のI0成分はすべて60Hz帯にはいないのです。
それ以外特定は困難だけど総括しノイズや高調波成分と言えます。
前記事でI0が0.87mAなのに110mA(0.11A)なんてUPSからの電源
回路で表示されたのを覚えていますか?
指示を狂わす要素が省かれているのが確実に体感できました。ここは
電源回路でノイズが多いはずで一番効果がわかるとは思っていました
こういうとこはフィルター付0.1mA表示可能でもI0rに近づけずI0rモ
ードで測定したら0.3mAになります。それが絶縁に関する真値です。
今回はリーククランプで挟めないパイントのみCFL-02Rで漏電がある
かないかだけを知るのが目的で正確なI0値を知るためではない点は
達成できました。小さいフィルターが通常よく使う店で売ってるタイプ
でメインで機能してる大きい方は店にないのでNETで購入しました。
フェライトコアフィルターは60HZの通常の負荷電流や絶縁不良による
I0rには影響しない、下はR相の負荷電流の測定です。これを購入し
て変圧器地絡が発生してないので明日か3ヶ月後か試せる時が楽し
みですが理論的にはこの回路ならば0.3Aとか表示されるはずです。
クランプメーターが電流を測定する理屈はこうです。だからワイヤー
にフィルターを装着したのです。実際にリーククランプメーターに内蔵
されてるのはLPF(ローパスフィルター)というもっと高度で高いパーツ
ですからフレキシブルタイプで日常の漏電管理までされるというなら高
周波カット機能がある製品盤を購入されてください。
私はその類は存知ませんがマルチ社が販売してる口径が110mmの10万
円リーククランプメーターなら知っています。今使用中の同社の口径80mm
が壊れたらこの110mmタイプを会社で購入してもらうつもりです。マルチ社
製品は精度がとてもいいのです。少し高いですがもし会社で購入予定があ
るならばこの製品なら最強の漏電管理ツールとなりえます。私もほしいです
ツールがなくては現状は知れないわけで知識だけでは電気管理は無理!
医者に薬を一切使わないで病気を治せと言ってるのと同じです。もちろん
ツールがあっても理屈を知らないと正確に扱えないわけで知識とツールは
電気主任技術者には両方必要な武器です。測定は電気保守管理の基本!
(この言葉は停電作業でお世話になってる保安協会の方の助言です)
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