2017年9月30日土曜日

電気主任技術者 ポンプ空転防止回路

どこにでもある排水ポンプ回路があるとします。フロート故障で起動
したポンプが停止しない場合最後は空転してしまいます。又飲食関
係の雑排水槽では稀に油が固まりフロートに悪影響を与えて同じ空
転という同様の事態となります。とにかく規定時間以上排水ポンプが
回ってる場合はヤバい
のです。ですが一般的に排水槽には減水警
報がないのでこういう場合では警報も出ません。(受水槽では減水
警報が動作するとポンプを運転ロックさせるのはご存知でしょう)
水中ポンプは通過水が冷却も兼ねてるので水がない状態で運転され
る空転の長時間運転によりメカニカシール等が焼損するのです。
対策として途中からの仕様変更改造は責任を避けたいのでメーカー
はしてくれないです。それが必要な事情の現場では電気主任技術者
が勇気を持って"私に任せてください"しかありません。そういう心構
えを工場勤務時代に私は父から学びました。

水中ポンプはモーターとポンプが一体物ですから一式取替となり
工賃込みで50万円はかかるのでオーナーからもなぜそうなった
のか?管理が悪いのか?防止対策はなかったのか?言われます
そういう事が発生する可能性がわかってるなら無策のままはダメ

オムロンとかでこういうのがあるのを発見しました。モーター電流値
で無負荷運転を検出する方式ですね。ですが最初からこういう装置
があるビル排水槽制御ってほとんどないと思います。確かにこの方
式までとなればメーカーでないとできません。

空転で温度上昇するとモーター内蔵のサーマルプロテクターが動作
するので大丈夫という意見も聞きますがこの点をポンプ業者に確認
しました"仮にモーターは保護できてもポンプ側まで万全ではなく特
に老朽化してるポンプだと温度停止SWがあるから絶対安全とは言え
ない"との返答でした。つまり空転したら温度を上げる前に早急にポ
ンプを停止させる
のが一番安全という話になり私も同感です。
MCBがあるから短絡させてもモーターは絶対に大丈夫かと考えたら
安全装置が動作する状況を発生させない事が重要ですよね。

私が管理するビルでは機械が設定時間以上運転をしたら警報を出す
機能が中央監視PCにあるのでそれを利用しています。もし水槽ポンプ
が規定時間以上運転したら警報が出るので夜勤者が仮眠していても
気がつけます。中央監視で警報を出す事は発生と復旧時間の履歴
もPC上残るので速やかにOPは対応しないといけません。ただすべて
のビルでこういう機能があるわけではありません。

以前私が施工した回路事例を今回は組立も説明します。
(近くの支店が担当する巡回物件ビルのため実際の施工状態
を今撮影できないので机上ですが組立てながら以後説明します)
排水制御において運転時間は一定でこれが5分とすると10分も
運転していれば明らかにポンプに異常が発生しているためポンプ
緊急停止が必要となります。水槽内にポンプON位置まで溜まった
ら定速ポンプで揚水つまり排水時間はほぼ一定という性質を利用
して空転防止を考えました。ポンプ運転によりタイマーに10分通電
するとリレー(今回はマグネットで代用)が動作してポンプ緊急停止
更に自己保持となるのでポンプ室に人が来て制御電源を切るまで
はポンプは停止状態を維持する回路です。又空転原因がポンプ
本体ではなくフロートにある場合は自己保持がないとポンプは
起動・停止を繰り返してしまいます。


中央監視への警報は盤内にある故障表示リレーのa接点を短絡
させたらポンプ室で異常が発生した事も知らせる事もできます。
(無人ビルで遠隔監視でも理屈は同じ)そこを短絡させたからと
既存警報設備に悪影響を与える事はないのは電気の知識があ
る方ならわからないといけません。もちろん線番を間違えたら
最悪焼損ですから今回の作業はビルで一番に電気が詳しい
電気主任技術者以外は禁止です。


まずこの部分の回路から作成します。ここでは手元にある配線を
使用していますが実際に施工する場合はAC200Vをかけても大丈
夫なより線で行います。間違いを少なくするなら用途事に色の違う
配線を使用すれば結線ミスも減らせるでしょう。タイマーはソケット
込みで購入すればこんなハンダづけして外線を出す必要はありま
せん。タイマーはプラグイン取付なのでタイマーだけを注文すると
こうしたタイマー本体のみとなります。

ポンプマグネットa接点からタイマーへの通電回路、既存ポンプ回路
では運転表示用に補助a接点を使用していますが通常1個は補助a
接点が空いてるのでそれを利用します。もし1a1bのマグネットならば
少し面倒ですが既存マグネットと連動するリレーかマグネットを併設さ
れてください。又制御電源MCBから回路電源は取る事とします。

更にタイマー接点とマグネットRを追加します。パズル的に考えてください。


自己保持回路の部分です。このマグネットにはb接点しかないので
今回は主接点でa接点を代用してその回路を組んでいます。主接
点をそういう用途で使うと考えたらこのマグネットは1bタイプですが
3a1bの使い方ができるという事です。このマグネットRが一番重要
回路でこれでポンプ強制停止と中央監視への警報回路を作成
しま
す。マグネットRは現場で制御電源MCBを手動で切らないと動作を
解除できない様にするため自己保持が必要なのです。こういう誤動
作防止回路は消防設備の様に自動動作、手動復帰が理想です。


自己保持回路電源をマグネットRのa接点に給電するためにNO1ポンプ
マグネットa接点上に接続したいのですが前にも説明した通り1端子に
3本は挿入すべきではない
のでこんな感じで接続しました。
紙の上ではどうでも接続できますが実際に配線する場合はこういう
制約が発生するので考えながら適所で接続を行います。

マグネットRのa接点を利用して中央監視に異常信号を知らせます。
又b接点に既存の水槽制御信号線を経由すればマグネットRが動作
すればNO1マグネットの励磁コイル通電はなくなる
のでNO1ポンプは
停止します。2a2bのマグネットがもう1個ないのですが実際はそれ
をマグネットRには使用してNO2ポンプ側も同じ配線をすれば10分
以上運転で2台のポンプは運転ロックされます。回路ですから今回
の様なマグネットではなくリレーをパーツSHOPで購入して配線でも
も構いませんが部品調達の点でマグネットの方が簡単なだけです。

ここまでしたならば空転が発生した時の表示ランプがあれば万全です
が上回路のどこの2点にランプを接続すればいいでしょうか?理解力
を試す意味で考えてみてください。

前述した様に手元に2a2bのマグネットがないため1台分しか回路を組ん
でいませんが排水ポンプは必ず2台で自動交互運転なので同じ配線を
NO2側にも施工します。警報はNO1側でするからNO2側には不要です。
タイマーは昔父からもらったのが手元にあってそれを使っただけで実際
にするならばソケット込みのタイマーを購入して使用されてください。
これは机上の事で実際に現場設備に組む時は職場の仲間が見た時に
動作はいいけど何て雑でセンスのない組立てなんて思われない様に
プロまでは無理だけど常識的な範囲で綺麗に配線、取付されてください。
そういう意識でするから最低半日は取付に時間はかかります。

既存盤内が狭くマグネットでは組めない場合はリレー使用となる
ので参考までにリレーの概要だけ説明します。本体カバーを外す
とこうなっていますが構造を考えたらb接点動作が必要ならどこと
どこに接続すればいいかわかると思います。リレーはDC、ACから
12V~200Vなど電圧用途各種あるのでその辺のSPECはよく確認
が必要です。こういう物だけは自分でパーツSHOPで買われる方が
いいです。端子構成も必ず確認されてください。リレーは小さな電流
だけを扱う物でマグネットはそれに+大きな運転電流も扱えるのです。
あくまで取付スペースの問題が発生した以外ではこういう事に詳しく
ない方にはリレーはあまりお勧めしません。


配線の考え方はマグネット同じです。ソケットも忘れずに購入する事!

3000円くらいしますが動作表示用LEDのあるリレーがお勧めです。
電圧は確認されるでしょうが間違えてDC用を買わない様にしてください。
AC回路にDC用リレーを使うとジーと大きな音が出て使用できません。
AC用とDC用リレーは本体外観が同じなので印刷表示をよく確認します。
不良品以外ではこういう物は返品はできないので注意してください。

初めて作業では盤へのパーツ固定が最初の難題でしょうね。取付作業が
想像してた以上に時間がかかるはずです。ドリルを使った事がない方は
金物に穴を確実に開ける練習を必ずしてからです。こういう盤は硬く穴が
開くまでは刃先が滑り易いのでポンチを使いましょう。(プラスチックに穴
を開ける感覚では全然穴は開けられないです)真っ直ぐに体重をかける
事で腕力だけで無理に押そうとすると手元がぶれて位置がずれたり刃先
が滑るとケガの原因
となります。それでも刃先がロックしそうならば刃先
が劣化してるので工具は万全とか思わないでください。(私はイザで困ら
ない様にドリル刃先は個人で持っています)ペンチetcもそうで工具は
他人と共用では使うのは嫌です。(職場の工具にガタツキがあるのは
下手な人も使うからで工具が正確でないと仕上げも悪くなります)

ネジ穴を作成するのは既存のパーツがすでに取付してるある状況では
狭く作業が困難でしょう。そうかと言って取付面がフラットでないので工
業用アクリルテープでも無理です。それは金属、プラスチック同士など
で完全に互いにフラットなら予想以上に接着できますがでこぼこしてい
たら工業用アクリルテープでも全然ダメです。

私の場合は先に極小穴をドリルで開け、ドリルビスでもみ込んで固定します。
マグネットは通常2点止めだけどこの方法で取れる事はないです。それとドリ
ルビスは下穴を開けないで...を知らないでしてるわけじゃない!
物を単に固定するつもりで電動でガチにするとマグネットの樹脂穴の方が割
れてしまうので注意されてください。M5サイズをよく使います。(ドリルビスは
ある会社のドリル付きタッピングビスの商品名)

これはマグネット交換を私がした時だけど既存配線を外す場合はどんな場合
でもどれがどの配線かわからなくならない様にマークしておきましょう。

どうしても既存の配線を触る事となるのでこの辺の意識も知識として持って
おいてほしいと思います。尖った端子とかで指先をケガをしてから反省して
も遅いので気をつけてください。

準備ができたら注文するだけです。会社にできると宣言してパーツを買って
もらうわけだから絶対に完成させて使用できる様にする責任はあります。
ですが自分の程度を職場の仲間や会社に示す最大のチャンスです。

貴方は導体に傷をつけずに配線が剥けますか、電気工事士の試験では
Wストリッパーを使うためにペンチで配線を剥けない方をよく目にします。
そのWストリッパーで剥いたという配線もよく見ると傷が少しあるケースが
あります。私が勤務する職場でも完璧に中に傷を入れずに剥けてる人
っているのかな?って感じですね。免許だけで電気工事士ではないので
ある程度は仕方ないとは思いますけど中には後で私が手直しする事も
あります。1000円以下のペンチでは刃先の仕上げが悪いのですぐ切れ
なくなり剥くのに不要に力をかけるせいというのもあります。3000円位
のペンチを使ってみてください。腕前が上がったと思うほど違います。
工具は室本鉄工のが間違いがなく長く良い状態で作業ができます。

2017年9月28日木曜日

電験三種 電気計算基礎2

16.単相交流の基本特性
単相交流の基本特性
力率0.5で抵抗分電流が6Aではこう計算したらtanθでも無効分
やリアクタンスが判明します。tanは無効分と有効分をつなぐ
役割ができます。電験試験では関数電卓が使えないので位相
に関する問題は60度(π/3)を扱う事が多いです。_力率0.5
の時の無効分は有効分に√3を掛けた値というのを記憶の隅
にでもストックしておきましょう。
単相交流の基本特性

17.単相交流の計算問題

H29年度電験三種_理論問8
難しいから価値があり挑戦する意味があるのです、私の計算
の流れから問題の何に最初は着眼するのかを知ってください。
単相交流の計算問題
回路電圧、電流、リアクタンスも与えられているので並列部分
が3Ωとすぐわかります、並列部分の電圧をVP共通として式を
立てるとR1=3R2の関係がわかります、更に並列抵抗式にR2=R1/3
を代入して変形していくとRの4倍がR1と求められます。
単相交流の計算問題

18.三相交流の基本特性

三相交流は3個の位相が120度(2π/3)ずれる単相交流の
集まりです、スター結線ではVL=√3VP、IL=IP、デルタ
結線ではVL=VP、IL=√3IPは絶対に暗記してください。
すべての電源を位相も考慮して加算すると0となる!
相電力の3倍が回路全体の電力になる点には注意の事。
三相交流の基本特性

19.三相交流の回路計算基礎

上回路Rを求めるにはIPが必要、下全体電力を求めるには
相電力を求めて3倍しました。
三相交流の回路計算基礎
電気計算ではデルタ結線をスター結線に変更する問題が
出題される事があります、デルタをスターにすると抵抗
やリアクタンスは1/3になります。そうなれば後は単なる
スター回路となるので線電流ILは求められます。問題は
デルタ結線IPですから更に√3で割る必要があります。
三相交流の回路計算基礎

20.静電力等について

電荷Q1とQ2間に働く力F、電荷Qによる電界の強さE、電荷Q
による電位V、重用項目です暗記しましょう。
静電力等について

21.コンデンサー等の特性について

電荷Qによる電気力線の総数、電束密度D、平行板コンデンサー
の静電容量C(ε誘電率、A断面積、L間隔)、コンデンサーの
直列と並列の合成式、コンデンサーの分担電圧は容量に反比例
する、コンデンサーに蓄えられるエネルギー、すべて試験当日
でこれらの公式が頭にないではヤバいです。
コンデンサー等の特性

22.コンデンサーに関する計算問題

上⇒C2に蓄えられるエネルギーWc2を求める、分担電圧を求め
て、公式に代入するだけです。下⇒回路に流れる電流を求める
静電容量の合成を行う、後は交流回路で学んだ知識を使い回路
に流れる電流を求めます、電験三種では0点防止のサービス問
題が毎年2問は出題されます、下の問題はそれに出そうな問題
かと思います。
コンデンサーに関する計算問題

23.コンデンサーに比誘電率εs=2の絶縁体を挿入した時
のコンデンサー容量の計算


この類の絶縁体を挿入して何かを問う問題は電験三種では
よく目にします、とにかくその場合の静電容量の合成方法
がわからないでは何もできません。_つまりコンデンサー
が直列接続された
と考えたらいいのです。ただ値が小さく
て計算が少し面倒なのはわかります、慣れるしかないので
貴方も計算されてみてください。_断面積はたぶん同じの
ケースが多いけど距離を最初より広げ、絶縁帯を挿入した
何もしてない最初の時の何倍に静電容量はなるか?とか
単に絶縁体を挿入しただけか?何が変化したのかその点
を注意深く問題を読みましょう!
比誘電率εs=2の絶縁体を挿入
こういう問題は最後良い感じのまとまった値になる様に
定数を設定して出題される事が多いので途中で辺な無理
数とかが出てきたら計算が間違えてないかそこで検証す
べきです、試験では時間とも戦かわないといけません。

24.磁気回路に関する公式1
後で例題を解く前にまずは22と23で公式を紹介します。25
~の問題を解きながら覚えても構いませんが最後は22と23
で紹介する公式は丸暗記してください。

磁極間に働く力F、磁極と磁界の強さに働く力F、磁界の強さH
磁力線の総数N本、磁束密度B、ビオサバールの法則、円形コイ
ルの中心磁界の強さH、I(A)の電流により距離r点の磁界の強さH
磁束φ=起磁力F÷磁気抵抗R、磁気抵抗R=長さL÷(透磁率μ×
断面積A)
磁気回路に関する公式1

25.磁気回路に関する公式2
フレミングの左手の法則F、フレミングの右手の法則e、2線間
に働く力F、2個の連結したコイルのインダクタンス式L、相互
インダクタンスM、コイルのエネルギーW


26.電磁気問題1

電磁気問題1
巻数Nの円形コイルの中心時間の強さは以下の公式です。
なぜかとなるとビオサバールの法則を積分しないといけ
ないので三種ではこういう公式は丸暗記してください。
電磁気問題1
φは磁束、Rは磁気抵抗、μは透磁率、Hは磁界の強さ
Aが断面積、Lは長さです。これらの公式も丸暗記で!
(電磁気の計算問題を解く上で最重要式)_それを知った
上でこう変形します。Lは半径r+断面の半分d/2の円の
長さですからそれを2倍してπを掛けます。円の長さは
直径×πです。
電磁気問題1

27.電磁気問題2

電磁気問題2
R1が鉄心磁気抵抗、R2がエア磁気抵抗、cm2をm2にする
場合は10のマイナス4乗を掛けるのは暗記する事、以上
で計算できると思います、本解答の3倍丁寧に途中式
をすべて書きました。μ0やε0を使う計算は小さな値
を扱う計算力を要求されるので、落着いてしないとす
ぐ間違えてしまう
点は注意してください。_後計算の流
れを真似てください。
電磁気問題2
ラストはオームの法則と同じ感じで行えます、NIを機磁力
と言い起磁力はF=NIで表します、従い磁束φ=F÷Rです。
磁束φは磁束密度に断面積を掛けてφ=B×Aでも求められる!
電磁気問題2

28.__H29年度電験三種_理論問6


直流電源での定常状態ではコンデンサーには電流は流れません
電流経路はL1⇒R1⇒L2⇒R2ですから電流はR1+R2だけが影響し
ます、コイルのエネルギーは1/2×L×I×Iでコンデンサーが
電圧がかかった状態でのエネルギーは1/2×C×V×Vです。C1
のコンデンサーにかかる電圧はR1の抵抗電圧です、LとCがミ
リ(0.001)の単位である事に注意しましょう。以上から各エ
ネルギーを求め総計しました。
直流電源での定常状態では

29.__R1年度電験三種_理論問3

年度電験三種_理論問
図の様に2個のコイルを配置して電流を流した時のインダクタンス
はL1+L2±2KMとなる、Mは相互インダクタンス、Kは結合係数という
2個のコイル電流の向きが同じならL1+L2-2KM、違うならL1+L2+2KM
M=√L1L1の知識があるかがこの問題のポイントです。計算の流れは
わかると思います。
R1年度電験三種_理論問3

30.B-H曲線
これは電験三種では共振状態と同じく最重要項目ですから必ず覚え
ておきましょう。

H:磁界の強さ [A/m],B:磁束密度 [T],Hc:保磁力 [A/m],Br:
残留磁気 [T] という。周囲の曲線をヒステリシス曲線 ( ヒステリシ
スループ)という、ヒステリシス曲線の面積に比例した電気エネルギ
ーが熱損失として失われる。 永久磁石の材料としては,Br,Hc と
もに大きい磁性体が適している。すなわちヒステリシスループの面
積が大きい材料が適している。
B-H曲線

膨大な電験三種の出題範囲をすべて個人が網羅する事は無理
ですが、基本的な範囲として60点を取るために必要な範囲に
は触れる事ができたと思います。後は更に過去問題に挑戦し
て出題パターンと解き方を理解取得さるなら、貴方の今年の
電験三種理論の合格は明るいのではと思います。_電気の理屈
を理解した、後は問題作成者の癖に慣れる事です。


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2017年9月25日月曜日

スターデルタ始動モーターの運用方法(基礎丸山式)

空調自動制御盤と違いこうした動力盤までは業者が定期メンテ
していない現場がほとんどなので空調機が動かない、ポンプが
回らないの故障では対応は電気主任技術者が行います。

そのために保安協会に委託せず電気がわかる電気主任技術者
を選任してるのだとオーナーに言われたら返す言葉もないです。
経費節減のため電気主任を選任せず保安協会に委託する状況
が多いこの時代に★自分が選任された意味を理解しましょう★
貴方は下スターデルタ始動モーターの各1本の意味わかりますか
今回記事の後半ではスターデルタ回路組立も行いました。


上は基盤制御なのですが動作を一般回路で簡単に説明するとこうです。
現場では空調機設計者によるりオリジナル回路を扱うわけですが初め
ての方は下回路図の流れを覚えてください。スターマグネットとデルタ
マグネットの動作には0.25~0.5秒程度のタイムラグがあります。
漏電調査と同じで電気主任がスターデルタ回路がわからないでは現場
での緊急対応ができず困るのは自分自身です。

主マグネットは一旦ONとなると自己保持回路a接点が生きるので
スターマグネットがOFFとなってもONのままです。スターとデルタの
マグネットは互いに相手のb接点を持ってるため同時投入されない
...この程度なら工業高校の学生さんも理解されるはずです。
上は回路動作の基礎の基礎だけど受電・停電回路などもこういう
見方の応用なのです。図面記号は新旧両方で読める様にしておき
ましょう。私は工場で旧記号にて最初覚えたのでどちらかというと旧
記号の方が見易いですね。

こういうのをスターデルタ専用タイマーと言います。故障時に自分
で取替する場合は既存の設定に合わせてください。スターデルタ
方式の不具合のかなりがこのタイマー故障に関係します。

スターとデルタの混在した状態の展開図をどれだけの方が理解
してるのか疑問に思っています。私も最初はわかってる様でわか
ってない状態でした。スターデルタ結線を完全理解するなら実際
に自分の手で組立をしてみてください。それがイザ現場でも対応
できる様になる習得の方法です。

左が教科書に良く出てくる結線ですが私が勤務してる現場にある
モーターは右の結線となっています。NETでも同じ状況で迷ってる
方もいるかもしれませんが両社共にスターデルタモーターの結線
で扱いや特性は同じです。指で各結線を追って確認してください。
XがVに行くかWに行くかの違いでとにかく最初にUから出て最後は
Uに戻り、閉じたデルタ結線が完成します。以下説明は見易い左
結線で行います。

このスターデルタモーターの3個のコイルには一次と二次側があ
り各UVWやXYZという記号があります。そうスターデルタ結線の
モーターは電源線として6本あります。

5.5KW程度のモーターでは電源配線が3本しかないのは電圧を
下げないで直入起動してるからでスター結線にコイルの組替の
必要がないからです。11KW以上のモーターで直入起動をすると
MCBが耐え切れず起動電流で電源トリップする可能性があります。
だからスター回路で配給電圧を√3分の1にして起動電流を直入
起動より下げて起動します。(電流とトルクが1/3となる)ただ電圧
を下げるとトルクも述べた様に低下するのでその状態でも起動
できる負荷でないといけません。

スターデルタモーターの配線を接続する端子台の接続も当然
6箇所となります。

モーター各配線のどれがU~Zか暗記してください。下はスター結線
なので片極を短絡していますが現場ではこういう配線ではなく短絡
金具というのが使用されます。こういうスターデルタ回路を見る時は
最初にどれがスター用のマグネットか確認してそこから全体のつな
がりを目で追えば構成と配置を容易に把握できます。


次がデルタ回路についてですがこの部分が少し理解し難い方が多い
と思うのでこういう配置で私は説明してみました。

さっそくデルタ結線を接続してみましょう。スター部分を省いて
あるのでゆっくり目で追いながら実際の配線と比較されてね。
U⇒X⇒V⇒Y⇒W⇒Z⇒Uの閉回路を結線します。

つまり3個のコイルを直列で接続してuで閉じるという意味です。

U⇒X⇒Vまでの接続がこうです。

V⇒Y⇒Wまでの接続

W⇒Z⇒Uまでの接続、これで1個の閉ループ回路ができデルタ
回路となります。

動力盤はMCB二次側辺の電流値をCTで読んで盤表の電流計を表示
させています。そこを実測したこの値が運転状態(デルタ)のモーター
コイルに流れてる電流ではありません。ただ起動時(スター)は盤電流
値はモーターコイルに流れてる電流値を表示しています。

デルタマグネットのとこで測定した電流値が通常運転中にモーター
コイルに流れてる電流値ですから測定しないとそれはわかりません。

上のクランプメーターは電力KWも測定できますが1mA単位でノイズカット
で測定できないのでこちらでI0の測定をして絶縁状態を判定します。
左がデルタマグネット一次側で測定した時のI0値で右は電源RST側で
測定した時のI0値です。左の方がよりモーター単体測定に近いです。
こんな値ではI0rで測定すれば≒0mAでメガをすれば確実に100MΩは
ある
状態です。屋内用モーターですからどれもこんな物です。対地電圧
が200Vなら0.2MΩが最低基準ですがこういうモーターでそんな値にな
ってるのを私は一度も目撃した事がありません。ビルの中にある空調機
モーターがすべて100MΩで1台だけ0.5MΩとしたらたとえ法定基準を満
たしていても要注意です。常識的に考えて何かの劣化進行の途中と考
えるべきで貴方の現場での測定経験での常識値を信じてください。

同じ設置環境、使用条件での他モーターとの絶縁抵抗値を比較すると
いう見方が現場管理では重要です。
法定基準とは限界値それになるま
で放置していては適正な管理方法とは考えられません。後がなく即使用
禁止となり利用者に多大な迷惑をかける事になります。管理とは変化の
異常を確認する事で最終的な限界値かを確認する事ではありません。
各変化の異常とは自分が測定作業をしてきた経験が教えてくれます。
会社によっては故障原因の調査をする場合もありますが鋭い業者にその
変化を見落としたと報告書に記載されるかもしれませんよ。I0/I0rは
停電せずに簡単に今の絶縁状況を確認する方法です。

1.7mAですが中高年の方はこの小数点を見落とす方が多いので注意
されてくださいね。私は記録として残す電気測定業務はすべて自分で
行う事にしています。間違えて困る事は他人をアテにしない
たとえばテナント分電盤で各子回路がすべて1mA未満(≒0~0.3mA)
程度なのに主幹で17mAになるわけないのです。単相三線式主幹では
通常5mA未満が通常、でも漏電や漏れ電流の理屈がわからない人は
平気で17mAなんて書いてしまうので測定業務を自分以外と手分けし
て行う場合では人選して行わないと測定の信用性がありません。

最低月に1回は測定して電圧、電流(主幹とデルタ回路)、漏れ電流の
記録を残します。こういう記録だけが管理をきちんとしてる証拠になります。
私も昔、職場の上司からきちんと点検してるのか記録を見せる様に何回
も言われました。各種点検結果は毎月社内管理部に提出してCHECKされ
ますが意味がわからない場合は問い合わせがあります。明確に自分のし
てる点検の意味を説明する必要があるので適当に測定してるというのは
ダメですよ。会社では一人の人間の行動結果は常に会社からもCHECK
されるのです。

このフレキシブルクランプメーターがほしいので会社に購入提案書を提出
しています。保守管理の事を考えてまで配線されてないのでいくつかの盤
ではクランプメーターが挟めないポイントがあるのです。これなら自在に
曲がるのでいいですね。電気のお仕事は測定ツールがないと状態がわか
らないので保守管理なんてできません。
状態がわからないで行う対策や
点検は意味ないです。前月にテナント機器増設で動力回路の空き容量調査
を業者から依頼されたのですが肝心なポイントでクランプが入らず電気室の
送りとその他を測定してその差で判定。ですがきちんと測定すべきポイント
で正確に測定を行いたいです。機器増設に関しての現状負荷調査はよく
受ける電気主任業務の一つです。


容量が不足してるのに間違えて大丈夫と返答して運用開始で電源が飛んだ
ら返答した電気主任を雇用する会社の費用負担で改善・弁償しなくてはいけ
なくなります。ただ測定するだけですがお仕事は"間違えたごめん"では済ま
ない事も多々あります。業者も電気主任さんのに指示に従いました。と逃げ
ますしそういう事を避けたいからテナントに"空電気容量をビルから返答を
もらってください"と伝えテナントがオーナーを通して電気主任に調査依頼を
されるのです。オーナーから言われたらまさか電気担当として調査できませ
んなんて言えません。

これまでの組立を1個にしてスターデルタ回路が完成しました。
主マグネット、スターマグネット投入⇒モーター起動⇒約10秒後
⇒スターマグネットが切れる⇒デルタマグネット投入が一連の動
作でそれを行うのが制御回路で今回はそこまでは大変なので
組立はしていません。ただ最近の制御はリレーやタイマーでは
なく基盤制御が多いです。この10年以内のビルならほぼそうだ
と思います。(中央監視PCがビルシステムにある現場に限る)

スター回路からデルタ回路に切替わる瞬間は一瞬モーターが無
電圧になるために突入電流が流れてしまいます。 針式電流メー
ターなら切替時に針が大きく振れるのを確認できます。ただあくま
で瞬間だからこれで故障したりはしません。(これをリダクション
キックというのだそうです。)
実際はタイマーでスターの時間が終わりデルタに切り替える間に
0.5秒ほどの時間を入れています。
これはマグネット接点の残留
アークの消滅時間です。

現場に入り実際に切替わる瞬間を体感された人にしかわからない事
結構ガチャンと大きな音がしますが驚かないでください。

どう見ても頻繁に繰り返すには適さないのでスターデルタモーターは
短時間に何回も起動・停止をさせていけません。

このスターデルタ回路は主マグネットがデルタ回路の中にあるタイプ。

その場合はこういう結線になりますがその違いだけで運用はまったく
同じです。自分が着任した現場の三相モーターをよく見て研究されて
みてくださいね。ただこうする事で主マグネットの通過電流がデルタ
回路の外の場合より電流が√3分の1となるのでマグネットの能力を
下げる事ができコストが下がるのが利点かもしれません。ただモータ
停止中でもデルタマグネットの一次側に電圧がかかったままで昔工場
で勤務してた時にあった2コンタクト方式のスターデルタに近く個人的
には好きな結線方法ではありません。主マグネットが切れたら完全に
その二次側回路すべての電気が止まる方が私はいいです。

今日は接続してませんがデルタマグネットMCDとスターマグネットMCS
の上にある互いのb接点、この接点が故障するとモーターに通電でき
ないので起動しなくなります。切替タイマーと共にスターデルタモータ
ーの起動トラブルで最初に確認しなければいけないポイントです。


電源ONでモーターが起動しない...いつもの10秒後デルタ切替時間
となりいきなりデルタ回路で起動してしまった。容量の大きなモーター
では起動電流の違いでトリップしてしまいます。たとえばスターマグネット
MCS上にあるデルタマグネットMCDのb接点が焼損で切れたままになって
いるとそうした故障が発生します。タイマー接点A接点がONとなりMCSは
入らないのでそのb接点は入りですからMCDが投入されてしまうからです。
こういう場合は電源ONしてすぐにデルタマグネットMCDのb接点間で開放
電圧200Vの有無を確認します。正常ならモーター起動前は接点はON
なので接点間は0Vで正常です。
おそらく200Vでマグネット交換が必要。
電気主任の貴方が迅速に発見する事で復旧が1秒でも早くなります。

現場にてデルタマグネットのb接点がどのポイントかわからないでは役
に立たない単なる知識とかしか言えません。今回の例で言えば私が写
真上で指で示すこの位置に配線が接続されてるb接点の事でこの接点
間をテスターで測定します。

少し邪道ですが制御回路が変圧してないAC回路なら検電器でも接点
状態を確認できない事はないです。おそらくネオン式ではなく非接触式
の検電器がほとんどでしょうからテスターの黒を指で持ち赤を充電部
に当てて確認されるのが正確です。(対地電圧200V回路なら150V前後
で表示)接点がOFFで電圧がなければ≒0Vではっきりしています。
この場合はテスターに139Vがかかり私と線路間の対地間静電容量に数
10Vで私にはわずかの電圧しかかかっていないから感電しないのです。
これが危険というならネオン式検電器も危険という話になります。

7.5KW程度のモーターはビルでは負荷の軽いファンなのでいきなりデル
タ起動でも起動できてしまいます。そのため何の問題もなく正常運転表示
が中央監視のPCでは出てしまいます。デルタマグネットのa接点でモータ
ーが起動か停止を見てるだけなのでスター回路の異状がわからないから
です。空調機ですとモーターが30KWとか大きいので同じ故障ならばTHR
トリップで異状としてわかります。同じ故障で11KWの三相モーターが直起
動状態になった経験が私はあります。11KWでもいきなりデルタ起動できる
のかと思いましたが正規使用方法ではないのでそのままではいけません。

通常は中央監視PCからの遠隔操作で起動・停止していて巡回点検では常
に運転状態なので意外な盲点と言えます。回路で対応するならで考えみた
のですがこんな感じはいかがでしょうか?タイマーTXは3秒、中央監視PC
というのは故障信号を一旦受けたらOPが確認操作をするまではエラーは
画面からは消えません。TXのタイマーB接点をA点に挿入します。

故障箇所は判明したがパーツがないでは何もできません。
普段自動ですが★人間スターデルタ方式で起動させればいいのです★
タンブラSWですから自己保持回路は不要です。物がないからその機械
を起動できないと極めて深刻な事態となり業者に暢気に依頼する暇も
ないとしたら電気主任が自ら配線して手動にてこの方法でスターデルタ
モーターを起動させるしかないでしょう。もしこのマグネット本体ならば
ビルにある設備の中で今使用していない停止しても影響がない回路か
らマグネットを取外して取替してでも運転再開をする以外ありません。

起動時に一番気をつけるのは1秒の間を置く事で慌てて③をOFFする
前に②をONさせたら短絡
してしまいます。だから電気主任しかできません。
スターからデルタ切替の間は0.5秒程度、ですが人の感覚では1と数
を唱えて②をONするしかありません。とにかく失速しない内にデルタ運転
にしないといけません。余裕があれば各タンブラSWの配線に電磁開閉器
の下にあるTHRの端子も挿入できたら最善ですが緊急時ではとにかく動
かす応急処置をするのが精一杯でしょうね。業者に連絡してもすぐ来れ
ない場合...モーターが動かないがなんとかならないのか?とオーナー
から怒られるのは電気主任技術者なのです。

後で写真を見て気がついたのですが左のタンブラSWのON位置が逆。
動作には影響しませんがこうのは右か上にしてONとなる様にします。
テナントや客先では気をつけるのですが遊び気分で楽しく練習していた
のでそこまで意識していませんでした。ベテランの方ほどそういうとこで
私の見えない程度を勘ぐるのでここで説明しました。


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