2016年7月31日日曜日

電気主任技術者 故障時シーケンス回路点検

前記事で力率改善コンデンサーの説明をしましたが実際に
ジャンパーすると言ってもどうするのか私流を
紹介します。
まず追加説明をすると力率改善コンデンサー設備全体の電気的
流れは6600V⇒DS⇒VCS⇒リアクトル⇒コンデンサーと電流は
流れていくのです。
VCSとは高圧のSW、リアクトルはコンデンサー投入時の突入電流
を制限する物で変圧器に見えますが受電変圧器とは異なります。
通常は中央監視PCでの遠隔操作だから現場で手動で運用する
事はどこの現場でもまずないと思います。

まず制御部分だけどこの回路に電源供給してるのは6600Vを
変性するVTの二次側電圧110Vを電源元とするAC電源です。
受変電設備にあるVTの二次側は必ず110Vと覚えておいてね。
盤電源ランプはこの様にVT二次電圧で直に点灯しています。
(こういう風にヒューズがあるのはVTだけでCTにはなし)
UVR(27)はこの電圧値が85V未満に低下し2秒以上継続したら
外部停電発生と判断して発電機、VCBに指令を出すのです。
当然コンデンサー回路にはUVRはなく受電のVTで行いますが
私が担当する現場では一次側は22000Vだけど二次側は同じ
110Vなのは前述した通りです。

この回路本体電源はVT二次側からのAC110Vですがリアクトル
コンデンサー、PFの各異常時で動作するリレーだけは直流電源で
動作させる設計になっています。
この直流電源元は第1変電室にある蓄電池設備から来ています。
屋外キューブクルではそこまでの配線が難しいので盤内で整流
して直流電源を利用しています。

前記事のシーケンスと上パーツを対比させて見てください。
下回路内の故障なら上部分の場所で修理交換できこの程度まで
なら私でもほとんど対応可能です。

手動ではコンデンサーの投入はできるが遠隔操作ができない場合
2個のリレーで下回路のマーク部分の接点が悪いのです。
青い矢印番号を線番と言いますがこういう回路点検ではこの番号を
間違わない事
が特に重要です。
真実に到達できないし、ジャンパーする場合ではバチと火花が出て
しまうかもしれません。(指先火傷、接点焼損など)

賢明な読者の方ならそこに該当するリレーを交換すればいいのでは?
正解です。これはそのパーツがない場合の処置方法です。
遠方でコンデンサーが投入できないならばCX1とTX1のリレーを交換。
ソケットになってるのでこれで瞬時に修理完了です。
前に記事にしたスターデルタの起動タイマーと同じでパーツさえあるなら
すぐに危機回避できたのに!という話なのです。
ですがこう細かいポイントまで在庫として現場で持ってるのは稀でしょう。

制御部分を拡大するとそこに上の現場での配線が確認できます。
青矢印79と78番の線がTX1のb接点に赤矢印80と79がCX1の
a接点に接続されているのです。
この間を下の様な物でジャンバー(導通)させればいいのです。
その他の故障でも線番で見ていけば該当場所はわかります。
ですがこういう事をする場合は制御電源を一旦切りジャンパー
させてから制御電源を再投入します。

電源を生かしたままではジャンパーさせ様と触れた瞬間に回路は
動作しますが、VCSの投入音はガチャンと意外に大きいために反射的
にすぐ指を離してしまう人もいるはずです。
その場合バチと火花が出る可能性があるので指を焼けどするかも?
だから電源を切り動作しない様にしてクリップ部分で確実に挟んでから
電源を入れてすべきだと私は思います。
通電中の接点を裸の状態で開放してはいけない

VCSはVCBと違いラッチ機能がないので投入状態では常時回路を
生かした状態となります。
TX1をジャンパーさせて強制投入した場合コンデンサーOFF時に
そのジャンパーを生で外すと火花が出るのでその時は制御電源
MCBを手動で切れば安全にコンデンサーをOFFできます。

タイマーTM1接点とパーツとの関係も同じ様に見ればわかります。
故障した場合交換までは74と80の線が接続されるタイマーの端子台接点
をジャンパーすれば遠方投入はできる様にはなります。
ただ次回再度投入がすぐにできてしまいますから、時間制御の場合はそれ
がなくなる事のリスク検証は必要です。

コンデンサー本体、リアクトル本体、PF溶断では回路ロックさせる回路
本当の事故なら修理完了まで絶対に操作してはなりません。
ですが現場検出の異常で事故が確実に発生してないならば下の各間
をジャンパーすれば正常に使用できます。
これはここのリレーを交換してもダメなのはわかりますよね?

以上はこの制御回路内部パーツでの故障の場合ですが制御回路に
つながる外部故障ではこうしたターミル部分の配線が重要です。
たとえば空調機回路である機械とインターロックを組んでいた場合で
その機械が運転すれば130と131間の先にあるその機械内部のa接点
がONになるはず?
そういう場合はここをジャンパーすれば強制的に正常状態にできる。
言葉を変えたらインターロックを解除できる事になります。
それで正常状態ならば相手先のリレーが不良というのがわかります。

配線を外してテスターでa接点の導通を見ても理論的には正論だけど
前に同類の故障でそういう見方をした時に変な挙動をしました。
つまりその相手先までの距離がある場合に電線の絶縁体にテスター
の電圧が吸収されるではないかと思うのです。
同じ室内にある機械同士なら問題ないけど距離のある先にある接点
の状態をテスターで調べるのは私はしません。

接続される機器が電磁弁とかならばその端子間には必要時に規定の
電圧がかかるわけで今度はそこをテスターで電圧CHECKしたりします。
こういう風に調べていけばどこの何が悪いかは必ず見つける事が
できるのです。
通常ターミナル配線が各何を意味するのか一覧表があるのでそれで
確認をすればいいのです。
こんな表なんて職場の人は誰も見るわけないのしあるのも知りませ
んが、どこの現場でもシーケンス回路と一緒にあります。
もちろん解説なんか一切ないので地道に一人で研究が必要だけど
私はこういうのが好きなんです。

扱う以上はその端子が各何を意味してるか知っておきます。
・PF断とは電力ヒューズが切れた場合に連動して動作するa接点。
・R相A/TD出力とは現地CTで変換したR相電流値をDC信号にして
出力される端子で中央監視PCはこれを見てパソコン上にR相の
アンペアを画面表示させます。(電圧、電力でも同じ仕組)
トランスデューサーという変換器が故障なら業者に取替してもらう
しかありませんがもしこの端子が緩んでいたら表示されないので
緩んでないか程度は最初に私が点検します。

・変圧器26警報とはこの現場では油温度が85℃になると接点付
温度計のa接点がONになります。
・漏電とあるのはこの第2電気室には500KVAの変圧器が4台ある
のすがB種接地で地絡が発生した場合のLGRのa接点からです。
・MCCBトリップとはMCBのどれかが1個でもトリップしたら中央監視
PCに知らせるための接点で各変圧器事でグループになっています。
★ここで述べたのは中央監視PCへ情報として送られているのです★

コンセント、照明タンブラSW、蛍光灯安定器等交換、簡単な電気工事
程度は電気主任でなくても同じ設備の何人かの方はされます。
(貴方が名前を聞いた事のある様なビル管理会社の設備員ならば
電気に関してその程度のスキルはあります
)
ビルの電気主任となるからには一応は最低上作業はこなせる様になって
転職しないと"今度の電気主任は駄目だな"と陰口言われから!
だってその現場で電験三種所持者がいないわけで彼らの上を行き
その資格手当てまで別にもらっての入社なんだからいちいち基本
作業なんて教えてなんてくれません。
入社した段階では見方なんていないんだからとにかく自分が頼り!
当時の私と同じ意気込みで電気主任技術者は目指してください。

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