つまりビルや工場で電気主任技術者をする場合は電気だけして
おけばいいわけではありません。
電気主任はその施設管理の職員でもあるので水、空調など機械
関係なども少しはメンテや修理ができないといけません。
その日は皆さん用事+交代の夏休みで設備は最低人数勤務
4名しかいませんでした。
新人の方が冷温水発生機の冷水二次ポンプの漏水が多くて
ナットを締めても止まらないと私に報告されました。
(締め過ぎると焼けるのでほどほどですよ)
係長も機械主任も休んでるから今日は電気主任の私がここ
の責任者です。
少々多めの漏れなら明日は機械主任が出勤するから水が
出てないよりマシと思っていたけどかなりの量でしかも
冷水ヘッダーの圧力まで下がっていて良くない状態です。
グランドパッキンからは水がまったく出てないのはダメで
ポタポタ状態で正常(冷却と潤滑のため)です。
(メカニカルシールのポンプではグランドパッキンなし)
まずグランドを締め込む余裕がないからグランドパッキン交換
が必要なのはすぐにわかりました。
1台が停止してればそれに切り替えていけるんだけど夏場だった
ので3台運転が必要な上に今グランドパッキンからの水漏れを
正常なポタポタ状態にしないといけません。
やもうえませんが20分だけ2台運転で前の2本交換をする事
にしました。(これでたいてい急場はしのげます)
こんな感じでシャフトに巻きつける様に通常は5本程度が中に
挿入されているのです。(全交換の時間はない)
まずポンプの電源MCBを切ったならばポンプには入と出に
バルブがあるのでこれを必ず全閉します。
特にこういう感じで地下にあるポンプは配管中の水頭圧
がかかってるからバルブを開放した状態でグランドパッキン
交換なんかしたら水がそこから大噴出してしまいます
たとえばポンプからTOP配管まで40mあれば上から4キロ
の圧力がかかりますがこの圧力で噴出させたらハンパ
ではありません。(水10mが1キロ相当)
すぐバルブを閉めてもポンプ室の床は水びたしになります。
まず1ナットをサイズの合ったスパナで外す。
モンキーレンチはサイズフリーでも隙間がずれるから
私はこういうナット作業ではスパナしか使いません。
完全に外したら2の隙間にスパナの先を刺して少しづつ
手前に起こばグランド押さえが前に出てきます。
この時左右に均等に少しづつ移動させてね。
1と2を外せば中にグランドパッキンという物が順番に
挿入されてるのが見えます。
グランドパッキンを抜く専用ツールが設備職場には
あるのでそれで引っ掛けて抜き出せばいいのです。
もしなければ2本程度の手前の交換ならば先の尖った硬い
物でも抜き出せますがシャフトに傷をつけいない事!
これが新品のグランドパッキンでこれを抜いた後に挿入すれば
いいだけです。
シャフトに巻く時切れ目は互いに90度ずらして挿入します。
同じ位置だと水漏れ量が多くなるからと私は教わりました。
マイナスドライバーで傷がつかない様に最初の1本
を中に押し込み更に2本目を普通の力程度で押し込む。
上の2のグランド押さえをはめてから1のナットを取付
してある程度締め込みます。(言葉にするのは難しい)
次にポンプのバルブを全開します。
配管中の水圧がかかるので2から水が出てきたら1ナットを
締めます。一番大切なのは左右を均等に締める
ポンプを運転してグランドパッキンからの水がパタポタ
程度になるまで1ナットを左右均等に締めていきます。
締めながらグランド押さえに時々触れ温度を感じながらです。
締める過ぎると最悪煙が出て焼けるのは本当ですから
触れないほど熱くなっては絶対にいけません。
最後にナットを締め込んでいく工程は特に慎重にされてね。
グランドパッキン程度を業者にさせてるとしたらその職場は
レベルが低い現場でゆえにお給料も安いのは仕方ないでしょう。
こういうバルブが固着して回せない場合はどうしますか?
無理やりハンドルに工具をかけて力で回してる人は多いかも
しれませんがこの場合は底を軽くハンマーで叩けば嘘みたい
に動く様になります。
こういうのをゲートバルブと言いますが内部構造を知れば
その意味がわかると思います。
聞けば簡単でも知らないと何でも力任せで最後破損させて
しまう事が多いのです。
物の取扱いの道理は現場で先輩や業者に習うしかないです。
その他空調機のVベルト交換、圧力計交換、水道関係軽修理
ドアクローザー交換、そこの現場でしてるトラブル対応の方法など
すでに他現場で経験のある人ならともかくすべてがフレッシュ
な場合は電気も覚えないといけないし大変でしょうが誰でも
そうなので頑張るしかありません。
結局はいろんな事を一人でスラスラ対応できる様になるには
3年はかかる事になります。
施設管理の仲間と同じ事ができて尚、電気をリードできた時
に仲間は貴方を尊敬して電気主任として認めてくれるのです。
講釈だけで実務で何もできないなら知識も資格も意味ないです。
ホームセンターに行くとこうした無料の小冊子があります。
これは基礎知識として簡潔に要点がありガチいい。
施設管理のお仕事をされるというのはお客様の立場でいえば
日常大工のスペシャリストでもあるのです。
トイレがOVERBLOW状態でこのタイプでは中パッキン交換
が必要だけど小冊子図を見れば構造はわかります。
ボールタップを分解してパッキンを交換しますがこの程度は
施設管理をする者は片手間でもできないといけません!
父から面倒だから自分のする事だけを選ぶ奴ばかりだけど
そういうのは将来使い者にならないから何でも興味を持ち
できる人間になれと昔教わりました。
ただ建具とかの修理は難しいので今だ私は苦手です。
ドアクローザー交換程度ならできる程度ですね。
ドア全体が傾斜して床に当たり閉まらない、中のスライドキー
の位置がずれて鍵がかからないとか修理依頼がきます。
そうなるとドアを一旦外して下にワッシャを噛ませるとか
の作業では仲間数名と修理する事になります。
これ以上になると業者依頼ですが最初から何もできません。
は私の現場では許されません。
それしかできないではなく他もできて更に何かに特化してる
人こそ現場のリーダーに求められる資質なんです。