マグネットのコンタクター接点磨きを記事にしました。
この部分が酷くなると運転中に単相運転となりTHRが動作し
てトリップしたり、最悪完全単相状態で電圧をかけると
モーターを焼きます。
安全装置が動作すると安易に構えている方は多いかも
しれませんが一瞬はかなりの大きな電流が通過するので
古いモーターには相当なストレスがかかかる事になります。
定期的にこの部分をメンテしておけばモーター関係で大きな
トラブルはなくなるでしょう。
具体的故障例です⇒冷温水発生器緊急停止
(500冷凍トンの冷凍機が緊急停止して...)
日本電気工業会でも指摘されています。
今回は22才の新人さんの勉強のために彼に自らしてもらいました。
私が言葉で説明しても実際には手で覚えないとできません。
1.まず枠のビスを外します。
Fuji電機の今のタイプはビスではなくつまんで引っ張れば
外れます。
2.枠は外せばコンタクターが見えます。
3.この様にラジオペンチで優しく引き抜きます。
力づくで中のバネまで飛ばさないでくださいね。
バネがはじけて飛んでしまうとどこか遠くに飛んで無くなり
もう新品を購入してこのマグネットその物の交換が必要です。
初心者の方は一旦先に中のバネをラジオペンチで抜いて
からされた方がいいかもしれませんね。
4.3個供に撤去しました。
彼は若いけど木工技能士の資格を持つ技能工なのでこういう
事をしても相当に最初からスムーズです。
5.これは外したコンタクターの接点状態で表面が炭化
して黒くなり少し突起状態にもなっています。
電気というのは切れる時にアークがでるのです。
ON/OFFの回数が多い物ほど劣化が進行します。
もう10年も交換も今回の接点のすり合わせもした事が
ないマグネットはそろそろ電気主任技術者の方は
真剣に考えた方がいいですよ。
6.磨いてみました。
形状が変形するほど磨く必要はなく表面の黒いのと突起
であるコブがなくなればいいと思います。
特にこのコブが酷くなると運転中の単相運転や電圧降下が
発生して二次電圧がアンバランスとなりモーターを反対に
回転させようとする逆相トルクが発生してモーターが振動
したり今までとは異なる挙動をします。
そういう状態でだましながら使用してると完全に単相状態となり
モーター焼損事故は近いです。
モーターにかける三相電圧がアンバランスだと逆相トルクが
発生して、振動やコイルが通常より過熱するという癖は覚えて
おいてくださいね。
他のモーターと比較して熱い、音が大きい、振動が激しいは
機械的な原因だけでなく電圧でも起きえるのです。
そういう状況を生む一番可能性が高いのがこのマグネットの
接点劣化なんです。
コブは意外と硬いのでこれに当てて手でこすり削り落としました。
絶対にグラインダーみたいな電動工具で削ってはいけません。
接点の面その物が壊れます。精密部品ですから!
7.組立てだけどこの隙間に確実に挿入します。
8.まず頭を軽く差し込みます。
9.グッと指で確実に押し込みます。
ここがもっとも大切で中途半端に入れてマグネットを
ONさせたら大スパークしてしまいます。
★火災になる可能性もあるので簡単な事だけどここだけは
十分に注意されてくださいね。★
10.すべて投入したら手で可動部分を動かして
接点が確実に密着しているか確認しましょう!
これで古いマグネットでも後最低5年は大丈夫でしょう。
ただこういう作業は完全に★メーカー保証対象外作業★なので
電気主任技術者の責任の元に行ってください。
私は父から習いましたが昔の電気主任技術者にとってはこういう
のは当たり前の日常作業でした。
この程度の責任を取る気構えもない人が管理する現場って
だいたい想像ができます。
次にマグネットの二次側の配線を外してから無負荷の状態
で正常に機械的動作するか確認をします。
電源MCBを投入して運転SWをONしてみましょう。
マグネットだけがガチャンと投入されますから問題なければ
ONの状態で二次電圧RSTの各相間の電圧に差がないか確認
します。OKならMCBを切り二次側配線を接続!
最後にモーターを運転してみましょう。
今度は空操作ではなくて実際に負荷電流が流れます。
火花(アーク)とは電流が流れてる時に発生します。
一番確認する必要があるのはこのマグネットがONとOFFになる
瞬間で異常な火花が出てないかなモーターが振動をしてないか
運転状態でマグネットの二次電圧は正常?以上3点を確認!
三相モーターが運転中に単相になった場合理論的にはルート3倍
になると聞いた事があるかと思いますがこの計算式は電験2種を
勉強してる様な人でないと理解は難しいです。
ただ現場管理ではその結果だけを知ってればいいのです。
ですが実際は約2倍程度が正解です。
負荷の要求トルクに変化がないとして計算検証をした専門書の一部
を紹介します。理解する必要はなく専門書でもその証明がされてる事
だけ知ってください。
父が電気主任をしてる工場に勤務してた時にボイラーに水を張って
いてそのモーターが単相運転を急にしました。
異常音と共に運転電流を見たらやはり倍値が出ていました。
モーターが停止中状態から単相状態では始動トルクがないため
始動できず電圧がかかっていると拘束電流が流れて固定子コイル
が焼損する事はこの専門書内でも説明されていました。
★マグネットの接点が末期状態ではそうなります★
これだけは絶対に現場を管理する電気主任技術者として避け
ないといけません!
規模にもよりますが建物内にあるマグネットを業者に全部
取替させると最低でも700~1000万円はかかるでしょう。
契約電力1000KWを管理する知人が業者に見積もりさせたら
900万円とかいう見積もり金額だったそうです。
あれは電気工事士がするのではなくて専門の盤屋さんが
出張でされるので非常に高額となります。
しかしマグネットのコンタクターの接点磨きなら費用はかからず
に最悪の事態は回避できます。
客に見える部分はお金をかけますがこういう裏方は良くて
計画的かつ段階的な交換となるので常に万全な管理を
目指す電気主任にとってはそれを待っていれないというのが現状。
だから私もこういう作業は欠かせません!
ただ接点磨きでも無理な劣化はマグネット新品を購入して取替を
私は自分でしています。
滅多にはそこまで劣化はありませんからそれほど負担じゃない!
ただ私の経験上1回も何もされてない使うばかりの現場はヤバい
状況のマグネットが一つや二つではないと思います。
電圧でマグネットの大まかな状況を確認するならばマグネットが
ON、つまりモーターが運転状態でマグネットの二次側の電圧
RSTの相間の差を比較されてみてください。
もし違いがあってもマグネット一次側でもそうならそれはマグネット
には異常はありません。
ただその一次側RST相間差と異なるなら注意されてください。
モーター回路の電圧を計測するのにモーターを停止させて
MCBの二次側で測定される方がいますが電気をわかっていない!
モーターは★運転状態で★マグネットの二次側の電圧を計測
してこそ意味があります。
通常は200V、201V、201Vの様な状態で私の経験では3V以上
差があった経験はありません。
なぜ1Vでも差があるかは電源元の電圧は電流変化により電圧
が微量変化するためでどうしても3回計測する関係で時間的
ずれが主原因でしょう。
実際に電圧差があったとしても1V未満だと思います。
数ボルトもあるならば一度上で紹介した様にコンタクターの接点
状況を目視確認されてください。たぶん相当に真っ黒です。
こういう感じ毎月点検記録を残して、年1回~3年1回に接点磨き
をすれば十分でしょう。
更に前記事でのI0r測定を毎月して記録に残せば完璧です。
保安規定により年1で絶縁測定さえしとけばいいんだ!というのは
最低ランクの現場管理でしょうね。
ですがかなりの現場がたぶんそんな状況だと思います。
電気主任技術者をしたいが責任を取る自己行為はしたくない。
父が今の電気をする奴はそういう奴ばかりでイザという時に役に
立たない。と言っていたけどある意味それは正論です。
責任を取る覚悟のない人は私もこのお仕事は向いてないと思う。
上表では4Vも電圧差があるのがかなり劣化が進行してる可能性あり
一度マグネットの中を開けて接点目視確認が必要です。
何のために回路の電圧や電流を計測して記録してるのか
その意味さえわからない現場の方もかなりいると思います。
電圧が正常でも15年も何のメンテもしてないなら接点劣化
は相当進行してるはずなので至急マグネット交換すべきです。
(毎日使用してる機械なら10年で交換しても早い事はないです)
接点磨きと言ってもそれはその製品の期待寿命範囲の行為!
これは私が管理してるビルの特高(22000ボルト)~高圧
(6600ボルト)~低圧までの単線結線図という物です。
こういうのをただ掲示しても他の職場仲間は興味を持ちません。
わからない事を掲示しても無駄な広告と同じだからです。
解説を入れてそっとと掲示しておく事で少しづつ周りの方
も電気に興味を持ってくださりますし私の思考を理解してもらえます。
電気主任技術者の義務にも保安教育というのがありますし私が
勤務する職場では知識の共有がリーダーの目指す物で私も
ガチにそれは賛成です。
職場の働き易さはやはりそこのリーダーしだいだと思います。
ビルを停電させる以外なら何でも私の自由に電気をさせてくれる
職場は私にとってここしかないでしょう。
建前は電気主任技術者は電気設備を自由にしていいと思いがち
だけど会社という縦組織だから私が大失敗をすればリーダー
技術部長も一定の責任を会社から追及されます。
最後は互いの信用という1点しかありません。
それは日々発生するトラブルや問題点をどうクリアーしたかその
実績を見てそういう関係が生まれます。
これから就職して電気主任を目指す方はまず職場の仲間に信頼
される行動と結果を残す事に全力をあげましょう。
電験資格だけで最初から誰も信用なんてしてくれません!