今の職場での故障ですが夜勤者から夜中電話がかかってきました。
中央雑用水槽の排水ポンプブレーカーが切れて何回しても
電源を入れる事ができないという内容でした。
2台交互運転なので1台単独運転で使う様に指示しました。
でも残り1台まで壊れると飲食店舗厨房が使えなくなるため
原因と状況を知るためにすぐ支度して出勤しました。
実は飲食店舗のどこかが未修理の油を無断で捨ててるせいで
油の塊が槽内に発生しそれでフロートが正常に動作しない事
が時々発生していました。
夜勤者がポンプが停止しないまま2時間も空転をしていた事に
気がつかず2時間後に停止。
排水槽には満水警報のみで減水警報はありません
からこういう事はありえます。
その後念のためにその方は手動で運転するか確認する
ために手動でポンプをONしたらMCBがトリップしたそうです。
後過負荷保護が動作しなかった件もおかしい?
この盤はCTで電流を呼んで電子制御でMGを切りにいきます。
まずメガをしましたが完全0の状態でモーターは逝っていました。
社内の報告書に原因を記載しないといけませんがたぶん空転に
よりかなり加熱して絶縁体の抵抗が低下してる状態でとりあえず
1回手動運転した時の影響で絶縁破壊が発生したのかな?
5.5kwの直起動なので起動電流は運転電流より多いはず
そうでないにしても絶縁が限界状態で空転していて再投入に
より絶縁が完全に逝ったのかもしれません。
加熱してしまったモーターは停止したら1時間は動かさ
ないで冷えてから運転開始すべきですが電気に詳しくない
この方にその判断はなかったのだと思います。
温度が上昇すると絶縁体の抵抗は下がるのです。
日本電気技術者協会サイト記事にもこうありました↓
○○さん最後に貴方がモーターを手動で運転した事は私は
聞いてませんから後の報告、処置は私に任せてください。
とお願いしました。
同じ職場の仲間ですから私で可能な範囲で何事もなくこの件
は処置すべきだと判断したからです。
でも1点電気主任技術者として確認しておかないといけないのが
マグネット(MG)が接点不良で単相状態ではないかの確認です。
こういう感じでMGの二次側結線を外して無負荷で手動ONして
二次側の電圧をまず見てみました。
不良なモーターが接続されたままで測定してはいけません。
すべて205VでOKでしたがやはり負荷状態での電圧も必要なので
正常な方のもう1台のモーター配線を接続して運転してみました。
MCBがトリップする事もなくて運転中のMG二次電圧も運転電流も
正常でした。以上の事から回路側の正常は確認できました。
10年以上交換してないMGでその様な過電流でMGを切ったのなら
接点焼損もあると思うのでCHECKしておかないとモーター交換
後に停止状態からの単相STARTでは短絡してしまいます
実は半年前に私がMG接点を抜いてサンドペーパーで磨いても
いたのでそれはないのはわかってはいました。
でも何事もするべきはするを父から指導を受けています。
Fuji電気のMGはカバーを両手で摘んで引っ張るとケースが
外れてこんな状態になるのでラジオペンチで抜けばコンタクタ
を簡単に抜く事ができます。
これは父に習った方法で今の時代これを磨く人は少ない
かもしれませんが使用頻度の多いモーターのみ半年に
1回この作業をしています。
それとモーターコイルの抵抗計測もしてみましたがすべての
相間で低い値で.....
あそうかテスターはDCだからリアクタンスはのらないので
単純に巻き線のコイル抵抗Onlyだから低いのは当然か!
その上での異常となるとこのテスターでは値に信頼性がない
と直感したのでこれでの判定はやめました。
後で業者に質問したらミリオーム計という低い抵抗を正確に
計測できる測定器が必要との回答はもらいました。
父に夜中に電話をかけて相談してみましたが
"あれは直接モーターの端子台のとこで測定するなら可能
かもしれないけどターミナルのとこではケーブルにテスターの
電圧が吸収されたりしていい感じにならないから俺もそれはしない
短絡してメガがドボンならもうダメだよ"とは言っていました。
防止策としてはMGの空きのa接点があるのでそれでタイマーを
ONさせ設定時間になった時に満水警報の電極を短絡させる
様に改造を後で行いました。
(この伝説のタイマーは父からもらったんだけど父と同じ世代の
電気屋さんはよくご存知でしょう?
60Hzのレンジを20にSETしたら電圧がかかるとNO接点を
20分後に短絡する、電圧を切るとリセットされる仕組み)
通常の運転時間はそう大差ないのでそれを超える時間設定に
すればいいだけです。
これでとにかくポンプ室で必要以上に長時間運転をしたらポンプ
室で何かの異常がある事を監視室に知らせる事はできます。
空きa接点がなければ間にリレーを1個かませてください。
警報リセットは制御電源MCBを切ればタイマー接点も切れます。
わかり易くするのに電極で記載しましたが実際は電極ではなくて
フロート式でそれが横になるか縦になるかで内部のHG-SWが
ON/OFF、排水槽は満水警報のみで減水警報はありません。
とにかく盤の外線接続ターミナルのとこでコモンと満水の2線を
タイマーA接点で短絡させたらいいのです。
★これがどこの現場でも排水ポンプが回りぱなしの異常を離れた
場所にある監視室で知る一番簡単な方法です。★
ただこれポンプがダブル運転状態となるので一番都合の良い
警報a接点を現場で選択すればいいと思います。
MGの下にこうしたTHR(サーマル)がある場合で中央監視にそれを
知らせる様になってるなら外部警報接点があるのでそこを短絡する
のが個人的には一番良いと思います。
今回の記事の設備では電子化されて短絡させる端子がないので
電極短絡にしたんです。
尚警報接点を短絡させてもTHRが実際に動作したわけでは
ないから下にあるリセットボタンは関係ありません。
上の説明をするとMGの下にあるからこれが直接運転電流を切ると
思われてる方もいるかもしれませんがそうではありません。
運転電流が9Aになると95と96間がOFFになります。
(この製品は動作電流を7~11Aで変更可)
この動作を運転回路の一部として動作したら制御回路を切る事
でモーターを停止させます。
THRが動作したら白いボタンが出るので押してリセットします。
上の改造は受水槽から高架水槽に水を揚げるポンプにも応用でき
あれは時々フート弁が故障して吸込み管の水が抜けて空転して
しまう事があります。
そのままではずっと運転したままで停止する事はないので
グランドパッキンが焼けて煙が上がり煙感知器が発報となります。
一旦本気で燃え出したら黒い煙がモクモクと出ますよ。
グランドパッキンはOilを含んでいるので最後は引火する。
水中ポンプではないから空転してもモーターは焼けませんが
ポンプ修理は高い物になり最悪はポンプを交換が必要です。
実は私が勤務してる現場で5年前に消防訓練時に屋内消火栓
ポンプを運転した時に水が上がらずにグランドパッキンが焼けて
煙が上がり火災感知器が鳴った事故がありました。
結局ポンプの取替&納期に2ヶ月間かかったそうです。
あれから業者の年2回の点検以外でも最低月に1回は運転する
様にされたそうです。
(消防ポンプを運転する時はバイパス弁を開けて運転する)
こういう揚水ポンプ空転事故は他現場でもあるかと思います。
空転対策として低電流を感知させて警報を出すのは難しいけど
運転時間の長期化で警報を出すなら上で述べた様に簡単にできます。
この改造は1万円以下のパーツ代でできるので電気主任技術者
として職場で腕を見せたいならされてみてくださいね。