2015年8月12日水曜日

電気主任技術者 実務:漏電I0rとI0の違い実験

⇒私のブログの最新記事へJAMP

停電は故障か保安規定に基づく点検以外ではできません。
絶縁管理を毎月dataを取り行うなら行うならばI0r(抵抗分漏れ電流)
しかないと思いますが今回は前記事の補足です。
まずI0rとは電源周波数と同相の電流で逆に電源周波数以外
以外の漏れ電流成分は絶縁管理には必要ありません!
この高周波を除去できるクランプメーターをリーククランプメーターと言います。

会社の装置で実験した結果
まず測定器Aで行うと2.21mAで不適となりました。
(100V回路は0.1MΩ以上だから逆算すれば漏れ電流は1mA未満)
ただ電源回路のため高調波を含みこれを持って絶縁不良と判断
してはいけません。


同じリークメーターAのノイズフィルターをONで1.87mAまで低下


次は高性能な測定機BでノイズフィルターをONにて測定すると
0.7mAとなり基準値以内です。
ですがこれでも150Hz以上の高周波を減衰するに留まって
いるので完全なI0r値ではありません。
リーククランプメーターでも完全に電源周波数成分のみと
いうのは難しい様です。

気がついたかもしれませんが上測定器はIor100とありますが
これは直接I0rも計測できる測定器で最初からその測定
をすれば0.1mAとなりまったく異常がないのがわかります。
I0r管理をするにはこうした専用測定器か前記事で説明した
RM-1+mA計測可能なクランプメーターのsetで行う必要があります。
(下の方式なら最大でも4万円あれば購入可能)

漏れ電流は絶縁抵抗低下により流れる抵抗分漏れ電流I0rと
対地間静電容量により流れる漏れ電流I0cに分解できます。
火災とか感電の原因になるのはI0rですが高周波、ノイズ
と呼ばれる物がこのI0cに同時に加算されるため漏れ電流
全体が増え変圧器地絡警報の誤報も発生します。
(容量性リアクタンスは1/2πfcとなり周波数が高い成分に対して
は抵抗が低いので高周波成分を通過させます。
つまり周波数の違いより、電源より移相が1/2rad進み成分を
カットすればいいがI0r測定器の原理です。)

主幹ケーブルにはこうした各機械の漏れ電流が加算して流れる
ために当然1mA未満にはなりません。
ここに100Vは0.1MΩを適用して1mA未満でないといけないを
適用するのは間違いなので注意されてください。
1回路1MΩの回路を20個一度に絶縁測定したら0.05MΩに
なりますがだからとこの回路は絶縁不良ではないと考えたら
意味がわかると思います。

保安規定に基づく年1回のメガ測定値を異常時のサンプルデーター
とするにはスパンが長すぎるし、15年以上経過した設備では
経年劣化の急な進行もあり得ると個人的に思います。
私は正常時の各ケーブル、店舗EPS主幹のI0r値を月に1回測定
して変化をグラフ化して管理しています。
特に店舗内で絶縁劣化によるトラブルが発生した時に重要な資料

機器単体が経年劣化で内部から急に故障するケースはこの方法
でも無理なので去年から各テナントには15年以上経過した電気
設備機器の更新のお願いを書面でする様にしました。
古い照明器具の発火、コンセントのトラッキングが私が勤務
する現場でも過去あったそうです。
コンセントのトラッキングは短絡に近い現象なのでELBは有効
ではなく、そうならメガやI0r測定でも有効とは言えません。
清掃も大切だけど古く中まで汚損してるなら交換しかない
(仮にそれが原因で出火騒ぎが起きた場合でも消防に対して
電気担当として逃げ道を作る意味も実はあります)

又電気機器の寿命を時々テナントから質問されますが15年と
返答しておけば間違いありません。
電気設備の寿命はある時期を経過すると急激に故障率が上昇
する事を示すのをバスタブ曲線と言いますが予備知識として
その程度知ってれば客先に説明するのも困る事はないでしょう。