2015年6月30日火曜日

電気主任技術者 実務:スターデルタ起動故障対応1

電気主任技術者のお仕事をしていて必ず遭遇するのが
モーターつまり機械が起動しない
というトラブル。
出力が200Vで5.5KW以上のモーターはスターデルタ起動
という方法で起動しどこの工場、ビルでも必ずあるの
普段関心がないとイザこの故障が発生すると???状態。
これについては一番身近な設備になるので電気主任を
目指す方は扱える様にしておかないと必ず困る時が来ます。
又業者を呼んでもすぐには来ませんから待てない物に
関しては電気主任技術者が至急修理しないといけません。

今日はこの起動方式の前半だけ説明します。
この回路結線はどこでも基本これなので暗記されてください。
頭の中につながりの知識がないと現場では手は出ませんから!
まずは図面の横の記号を見ながら読んでください。
正常状態ではOFFボタンの二次側まで電圧は来ていてONボタンを
押す事でタイマーB接点を経由したのが①これでMCMというマグネットが
ONすれば主回路の通電が開始されます。
でもこれだけではモーター回路を構成してないので回転しません。

MCMというマグネットが投入状態になり同時に線Bの信号で
MCSというスター回路用のマグネットも投入状態になります。
これでスター結線が完成してモーターが回転を開始します。
スター起動は電源電圧をルート3分の1のまで下げて起動させ
全電圧起動と比較して起動トルクは1/3になりますが起動電流
も1/3まで下げる事ができます。
こうする事でMCBや配線などを必要以上に大きな容量にしなくても
すみます。(その後の動きは次回)

モーターが起動しない場合はどこに原因があるのか?
ここでいう起動とは最初の減圧起動(スター回路)での起動
ができない場合で、シーケンスで言えばなぜマグネットMCMに
電圧がかからないのか?という意味。


1.常識としてまず電気が来てるか?
つまりMCBやサーマルリレー(THR)が動作してないか?
2.OFFボタンが不良で切れたまま
3.ONボタンが不良で押してもONにならない
4.タイマーB接点が不良で切れたまま

1の点検ではそれが発生してる場合はすぐにモーターの
絶縁を測定して使用できるかの判定が必要です。
0Ω状態では最悪モーター交換が必要だけどよほど劣悪
した環境や不適切な使用をしてなければこういう故障は
10年程度使用してるモーターでもまず発生しません。

2の点検についてはジャンパー線でOFFボタンを短絡して
ONボタンを押してみてください。
OFFボタンが不良ならばこれで起動はできます。
(部品交換までモーターを停止させる時はこのジャンパー
を外すのではなく主幹MCBで停止させてください)

3の点検ではジャンパー線でONボタンを短絡してモーターが
起動すればONボタンの不良です。部品交換してね。

4の点検では確かに同じジャンパーしてONでテストしたいのですが
この接点はタイマー時間が経過したら切れる必要があるのでこれ
についてはいきなりタイマーの交換をしましょう。
タイマー交換すればタイマー接点も交換した事になります。
ONボタンやOFFボタンは押した時しか動きがない物でシンプルな
作りでめったに故障しません。
もちろん絶対ではないので点検方法だけは知っておいてください。
MCBやTHRが切れてなくモーターが起動しない場合
個人的にこのタイマーが一番怪しいです。

これはソケット式で誰でも交換できるのでスターデルタ
起動方式がある現場(ほとんど該当)ではこのタイマー
は在庫として購入しておきましょう。(交換時は電源OFF)

ここまでしてもまったく起動しない場合はMCMのマグネット(MG)
のコイルが断線している
ので交換が必要です。
念のためONボタンを押した時にMGのコイル端子に200Vが
来てるのを確認しそれでもMGが動作しない事を確認しましょう。
(テスターで電圧を計る人とONボタンを押す2名が必要)
理論上スター回路用のMgのコイル断線でも同様なので
MCMのMGが正常に投入された場合はスター回路用のMG
でも上と同様の電圧CHECKをされてみてください。
最後に残る不良箇所はもうスター回路しかない!

スター回路用のMGの故障では10秒後くらいにデルタMGが入ります
が全電圧起動となるので過電流によりTHRでトリップするでしょう。
実は私はスター回路用MGの故障に一度遭遇した事があります。
その時の事は次回記事にしますが、モーターの起動ボタンを押して
回転せず10秒後くらいにトリップしたらスター回路用MGの故障です。
これは私にとっても貴重な経験の一つになりました。
貴方も自分の経験として覚えておいてくださいね。

MGを交換する前準備としてシーケンスに不慣れな場合は
接続されてる配線に自分で決めた番号を書いたテープを貼る。
次にスケッチで接続の状態を絵に書いてその時に配線番号を記入。
組立てる時にどれがどの配線かわかる様に!

主接点端子がモーターへ電気を配給する、コイル端子に電圧をかける
とMGは投入される。
補助接点端子とはMGの投入に連動して動作するa接点かb接点で
スターデルタ起動回路ではスターのマグネットの投入回路となる。
これは連動起動とも言われる結線でいろんな場面で使います。

マグネットMGの交換手順

1.主電源、制御電源MCBを切る。
2.MGの端子を検電する
(制御電源と主電源は必ずしも同一ではなく主電源を
切っていると安易に触ると感電するかも)
3.MGに接続されてる配線をすべて外す(ネジ固定)
4.MGを盤から取り外す(通常ネジ固定)
5.新しいMGを盤に取付する.
6.最初に書いたスケッチを見ながら配線を間違う事
なく接続する。
7.配線を締めこむ時は適度に強くです。
簡単に書けばこれだけの事です。

ただ実際はネジが硬くて外れずMGが取れないとか互換製品しかなく
ネジのピッチが違うために既存のネジ穴が使えない、つまりそのまま
では盤にMGが取付できない。こういうトラブルは時々起こります。
あくまで電動ドライバーが現場にない事を想定して記事にすると
たとえばネジが取れない場合は今使用してる物より大きなドライバー
で体重を乗せて回してみる。
使ってるドライバーが小さいため回転力が不足して空回りしてるせいです。
一番まずいのはネジの頭をつぶしてしまう事でそうなると相当に厄介
な事になります。(特に握力の弱い方は注意!)
とにかくビスやネジは締め付けトルクより大きな力で回さないと
絶対に外れません。

それとビスは先端がとがっているもの、ネジは先端が平らな
ものをいいます。
時々業者が取付時に硬く締めてるネジがあり、電動ドライバー
でも無理、そういう場合はインパクトドライバーというのを私は使う。
外れない硬いビスやネジを外すツールで1現場に1個必要。
(インパクトドライバーには回転方向設定があるので注意)

MGを交換する時にネジ穴を新規で作る場合は簡単に言うと6mmの
ネジ穴なら5mmのドリルの刃先で穴を開けてからタップという物で
ネジ山をこしらえます。
これは自分でその道具を使い作る練習する事でしか習得できません
それか工業用の強力アクリルテープを使えば取付面がフラット
ならMG程度なら確実に取付はできます。
ただこれも事前に購入して準備しておかないとコンビニやスーパー
では売っていません。(なければその時に選択肢にならない)

ドリルでツルツル鉄板に穴を開ける場合でも未経験の人では
例外なく刃先が滑り上手く開ける事ができないと思います。
開ける事ができても穴の位置が数mmズレたりとか?
ポンチという物で小さな傷を作りそこにドリルの刃先を引っ掛けて
穴を開けますが現場に工具があっても使った事がないと
ないのと同じ
なのでもしそうなら練習を普段からしておきましょう。
これは前述したタップやインパクトドライバーにも言えます。
本でただ勉強しただけでは工具は実技では上手に使えません。
(それが通常の凡人の域なのは私も貴方と同じ)

モーターの日常点検
月に1回は各負荷電流、電圧を計測記録されてると思いますが
同じ電圧を計測するならば必ずMGの主接点端子の二次側
で各相間電圧を測定して比較されてください。

(★モーター運転状態で電圧を計測するという意味★)
たぶん停止状態でMCBの二次側とかで計っているでしょ?
電圧というのは負荷が稼動状態で計ってこそ意味があるの
私は相間電圧差が3Vを越えてるのは見た事がないです。
各相間電圧差が10V近くも差があるモーター用MGは至急の交換
をお勧めします。(コンタクターの接点劣化が相当進行中)
モーターもすでに逆相トルクにより振動したりかなり調子が悪い?
5V程度でも電圧差ある場合は要注意した方がいいと思う。
後MG一次側電圧がアンバランスになるのは変電室の変圧器
でも故障しない限りは通常は考えられない!
3
このまま接点劣化が進行して最悪単相状態となりそれで起動させる
とモーターコイルを焼損します。
運転状態で急に単相になると電流はルート3倍となりTHR動作する
だけど停止状態から単相だとすべてが短絡電流になるのです。
MCBやTHRが動作しても古いモーターでは相当のストレスを
与えるので動作するから安心ではありません。
モーターを焼いて業者に取替となれば50万円くらいは最低かかる
のでそうならないために毎月電流や電圧を見ているのです。
当然オーナーはなぜ焼けたのか報告書提出を求めてきたり
うるさい上司ではどういう日常管理をしてるのか問われます。

業者の方でも原因を必ず調査して報告されるのでそこでMG不良
によりモーター焼損が判明すれば電気主任技術者の管理不足
は避ける事はできません。
MGが単相状態になるのはいきなりではなく少しづつ劣化進行
した結果で必ずMG二次側電圧で劣化兆候を確認できていたはず。
3Eリレーがある場合でもその電圧検出がMGの二次側でなければ
まったく意味がないので、現在管理されてる現場の方もどこで
回路が電圧を見てるのか確認されてはいかかでしょうか?
MGの一次側で欠相保護していてもあまり役に立たないと思う。

2015年6月24日水曜日

電気主任技術者 実務:高圧スケルトン(単線結線図)

⇒私のブログの最新記事へJAMP

現場の電気主任技術者になったらできないといけない事
まずは再三ここで私が紹介してる回路シーケンス図面
もう一つ高圧スケルトン別名で単線結線図です。

私が勤務する現場ですはまず22000Vを受電したら3台ある
一次変圧器の内現在は2台使用して6600Vに変圧しそれが
4系統の6600V回路に各通電されています。
下の6600Vスケルトンはその一つで構成は基本すべて同じ
高圧スケルトン図面を見ればどんな現場の受変電設備の性質
もわかりこれが読める様に勉強しておかないといけません。

ここで述べた内容は必ずすべて暗記してください。
ケーブルヘッド(CH)⇒DS⇒VCB⇒各二次変圧器が流れ。
主な点だけを補足するとインターロックとあるのはこの設備は
高圧真空遮断器VCBが投入されているとDSを開放できない
安全装置がある。(最近はたぶんどこもそう)
過電流(OCR)と不足電圧(UVR)によりVCBをトリップさせる。
この盤には電力計、力率計、電圧計、電流計がある。
各トランスデューサーとは簡単に言うと測定した値を
DC信号に変換して遠隔監視のPCなどに送るための装置。

直接回路電流は計測できないためCTで300/5の比率で
電流変換して電流計を指示、同時に盤についてる電流計
の最大指示値は300Aになります。
VTは母線電圧6600Vを110Vに変換して110Vあれば
母線に6660Vあると認識しています。
昔はVTを各継電器の電源としても使用していたらしいけど
それでは停電時に保護回路が完全に機能を失います。
今は別置バッテリーからのDC100Vで動作するので受変電
設備ではこの蓄電池設備が最大重要設備でしょうね。

上VCBには5台の二次変圧器が接続されていて基本すべて
同じ構成に以下なっています。
(二次変圧器とは一次が最初にあるからただそう呼ぶだけ)
LBS(高圧交流負荷開閉器)⇒PF(電力ヒューズ)
⇒変圧器(T)がPower Flowですね。
Tにより6600Vが210Vの低圧の三相電気に変換されます。
ここからが各テナント店舗に動力として接続され実際の
トラブルのほとんどはこの下以降で発生します。

通常は生物被害、過負荷、異常な室内温度さえなければ
高圧側で事故というのはありえません。
だからこういう事さえ知らないでも電気主任を平気でしてる
方もいる様ですが万一発生したらお手上げですよね!

LBSの横にコイルみたいな記号があるけどこれは下のPFが
1本でも溶断するとLBSをトリップさせる。
そうしないと単相状態となり変圧器を焼損してしまいます。
普通PFはLBSと一体だけどこの現場のは別置形なので
こんな書き方になっていますが理屈は同じ。
変圧器の一次側がスター結線なのはコイル電圧がルート
3分の1まで下がるので絶縁を必要以上に強力にする
必要がなくたぶんどこもこうです。
デルタ結線がある事で変圧器励磁電流が含む第3高調波
を外部に出さなくて済みます。

LGRは変圧器の漏れ電流を計測して設定値以上になれば
警報を出す装置です。
この変圧器の二次側系統で漏電があれば警報が出ます。
ただ系統のどこかまではわかりません。
それを調べるのはもちろん電気主任技術者の業務。

デルタ結線の場合、単相3線式の様に中性点がないので
どこに接地してるのか知らない方もいるので説明すると
300V以下の場合に限り低圧側の1端子にこの様に接地します。
一般的にはS相を接地しますが、電気的にはR相でもT相
でも問題はありません。
300Vを超えると混触防止板という変圧器内部の絶縁板に
接地されてるのを父が電気主任をしてる工場に勤務してた
頃に見ました。

夜中に私が呼び出しを受けるのはこの警報が出たまま
つまり設定の許容値を超えたままという状況が多く電話が
自宅に休み、時間関係なくかかってきます。
それを受けたならば電気主任技術者は無条件に夜中
でも出勤しなければいけません。

原因としては店舗の冷蔵庫が製氷機が又はコンセントの
漏電などがほとんどの場合です。
この場合漏電を変圧器から探していくのが最初の行動。
明日朝とか放置して火災にでもなれば電気主任技術者
業務放棄で解任対象になるので注意されてください。

台風時期に落雷が近隣に落ちそれが接地から影響を与え
電気室にあるELBが焼損し投入不能になった事が一度ありました。
(低圧配電盤のMCBやELBがトリップすると警報が出る)
業務用の大サイズのELBは内部に電子回路みたいなのが
ありこれが落雷で壊れる事が稀にあるのは聞いてはいたけど?
それも夜23時に電話が来て緊急出勤して調査、でもやはり
回路が焼損していてまったく投入不能状態でした。
それは店舗冷房電源なのでこのまま翌朝業者連絡で
昼一番に修理では相当な苦情が予想されます。

あの時は違う電気室の盤に収まっていた225AのELBを
外してそこに取付したけど、手の上サイズの物と違い外して
交換するまでは相当に大変でした。
業者がいるからと言っても時間によっても誰も助けが来ない
特に夜中では職人さんを手配できず最短できても朝10時からとか
になるので今私がしないと間に合いません。
もしも225A部品手配の関係から午後からになったら最悪!

変電所より地下ケーブルで入線されてる場合は避雷器を
免除できるのは雷の影響をほとんど受けないからで雷では
受変電設備は楽観視してるけど低圧側機器の接地線から
雷が進入した場合は困り物です。

あるシャッター業者は制御回路の接地を外しているのは
落雷であちこちの現場で誤動作したら対応できないからと
言っていたけど気持はわかります。

接地は感電防止のため外してはいけませんがある重要設備
に関しては台風で落雷が予想される時は退社する時に私も
接地を外す様に今はしています。
もちろん夜中だけの行為でそれに触れる物は誰もいません。
天候の酷さによっては夜中出社できない場合もあるので
やもうえない対策も必要と思います。
ただ接地にはフレームアース(FG)とシグナルアース(SG)の二種類が
ありここで私が外すと言ってるのは盤を接地してるFGの事
で回路から出てる接地線(SG)は絶対に外してはいけません。

上メーカー提供図からも雷は電源からも来るわけでもしその系統
から進入した場合にSGを抜いていると逃げ場がなくなり回路を
焼いてしまうのではという私の自己判断です。
こういう相談を業者にしても知っていてもはっきり答えません!
それは何かあった時にはヤバいからで逃げ腰なんです。
電気主任技術者としてもヤバいから何もしないのか自己責任
で対策をするのかそれは現場に着任してる貴方の判断です。
職場の人もそこまでわからないから電気主任さんがそうまで
言うならお任せします。で終わりです。

すべき根拠があるなら行う、なければしない。
もちろんどんな現場作業もする以上は責任は伴います。
一番いけないのはどうしていいかまったくわからないという状況。
わからないとはすべき事があるかさえわからないのだから
電気主任技術者としてそうならない日々の勉強は大切!
だから業者がいるという考えでは三流だと思います。

2015年6月22日月曜日

電気主任技術者 仕事:電力用コンデンサー動作不良

⇒私のブログの最新記事へJAMP

これは去年の年末に発生した故障で力率改善用の受電設備
電力用コンデンサーがまったく投入できない状態になったの。
100とあるのが電力用コンデンサーで裏で直列接続されて
いるのが直列リアクトル、必ずこれらはSETで使用されます。
受電22000Vでも変圧器二次側6600Vに数種類の容量
のこれが私が勤務する現場では接続されてる。
こういう設備は発電所の負荷を軽減するための物でその代わり
に電気基本料金を減額してもらっています。

ただ電力会社も無効電力計でCheckしていて投入量が不足
した場合は該当月に限り割引率が下げられるため電気料金
が高くなるので至急修理しなければなりません。

わからないから何でも業者に丸投げでは職場の仲間の信頼も得る事
なんてできないでしょう?
特に年末やお盆で業者も休みでは電気主任技術者がなんとかしないと!
これが今回の操作回路でまずは冷静になって信号の流れをこういう
感じで書いて検証しましょう。
投入用VCSがONするには下のシーケンスで言えばVCSの3番端子
につながる52XのMCのa接点がONされたら投入できる。
これに気がつくのが最初に大切です。


ではその元の52XのMCがなぜONにならないのか
52XのMCの投入コイルに電圧がかかっていないからです。
(コイル断線は私の経験上は一度もなくめったにない)
ではそこまでにどんな事をクリアーしなければいけない
のでしょうか?
まずは遠隔回路と手動回路があるけどまったくダメか
手動では動作するか
で原因も大きく異なります。

手動で投入できるなら図面一番左にある遠隔信号を
受けるONのCXリレーのa接点がダメかOFFの1Xリレーの
b接点が切れたままなんでしょう。
この2個を交換すれば遠隔で投入できる様になるはずです。
一瞬だけVCSが投入されすぐ切れるならCXリレーa接点に
接続される自己保持接点52XのMCのa接点不良ですね。
今回遠隔、手動共にまったくダメなのでPFY、SCY、SRYの
各b接点以降が怪しいという結論になるの

PFYはヒューズ溶断、SCYはコンデンサ本体異常、SRYは
コンデンサーには必ずある直列リアクトル異常
たとえばヒューズが溶断すると赤矢印②のラインでPFXの
1番端子に電圧がかかる事で10番端子より電圧が出てその
下のPFYリレーがONとなりそのb接点を切る。
(事故が発生してるのだから回路を入れさせない意味)
だけど各単体でも異常表示は出てないし外観や臭いでも
異常はないのであるとすればこの3個のb接点どれかが
何かの理由で切れた状態になっていると考えるのが自然

こういう場合はリレーの配線を外してテスターで導通を見ても
いいけど簡単にいくならジャンパーでb接点を短絡してみれば
いいんです。
私は面倒だからPFYのb接点と一次とSRYのb接点の二次を短絡
してみた...これでこの3個のリレーの動作はいっきに無視
できるので調査が迅速にできます。

これでも入らない???
実は52XのMCの機械的動作は最初からしていたの
(投入コイルは動作しているから回路自体は正常)
点検方法を紹介するために記事にしたけど本当は52XのMCが
動作してるならばこのa接点が摩耗して電圧がVCSの3番端子
にかからないという単純な理由です。

でも年末で電材屋さんも休みで部品購入できません。
52XのMCを一旦回路から外し、接点だけを抜き出してサンドペーパー
にてすり合わせをして、接点を回復させました。
削れば綺麗な銀色の状態になり全然これでイケると感じた。
これはFUJI電機MCの場合だけど上のカバーを取りラジオペンチで
接点を引き抜けばいいんだよ。(組み立てる時は確実に挿入の事)
この方法は父から教わった事で頭の隅に記憶としてあった。

上は当時の部品ではなく実際は接点がまっ黒くなっていました。
つまりそこで通電が阻害されていたんです。
この盤が更新してからだから10年以上使用した結果でしょうね。
MG交換するより、接点を抜いて磨く方が簡単だからついでに
残りのコンデンサーの52XのMCもすべて接点を抜いて磨きました。
やはり他の接点も表面炭化が進行していてこれでこういう
トラブルはこの設備では10年はないと信じたいですね。

ただ一概にどこのMG製品でもこう簡単には処理できません。
バネを一旦抜かないといけない場合もあるし、小さなMCでは
外せても組立てる時に手先の器用さも必要かもしれません。
その後MC取替しなくても、半年経過今も特に問題なし。
ただ電力コンデンサーは毎日使用するので他の受電部品
と比較してこういう劣化は発生し易いと思う。

今回特に言いたかったのは接点不良が発生した場合
正常時OFFなら配線を抜く、逆にONならジャンパーして短絡して
みれば仮処置としてそのリレー回路は正常に動作してる状態に
できるという事。
それで順番に探していけば回路の故障個所は必ず見つけられる
という事です。

ただ正常時に切れるべきとこを短絡したりその逆もだけど回路を
読む違えてそういう事をすると思わぬとこで短絡事故等が発生
して修理が高い物につく場合もあるので
最初に確実にシーケンスを読み切る事が大切です。

では部品も今手に入らない、接点磨きも無理ならどうしたらいいか
貴方なら部品交換まで最後の応急手段としてどうされますか?
今一度シーケンス図面を見てください、様はVCSの3番に電圧をかければ
いいのですから、その上にある52XのMCのa接点を撤去し20AのMCB
でも接続してこれで通電すればいいのです。
ジャンパーで短絡させるとVCSを遮断させるのにジャンパーを外す
とたぶんアーク(火花)が生で出るからMCBを使います。

ただ上の方法は保護回路無視なのでPFYのb接点一次側とSRYの
b接点の二次側を既存回路から外してこれをMCBの片側に接続して
そこに最初に接続予定の2線を接続すれば完璧です。つまりこう!
これなら異常が発生しても各b接点でMCBの通電が切れます
私は最後はこれをするつもりでした。
何もなければいいけど運悪く機器本体異常まで発生してVCSが
投入状態が継続すると完全に機器が焼損してしまいます。
だから電気主任技術者がすべきはこの方法しかありません。
適切な処置をした結果の損害は責任は問われませんが保護回路
を忘れて焼損させたら、電気主任技術者は解任でしょう。

パズルの謎ときと同じでこれがダメならこうじゃないか?
という創意工夫で修理するのがシーケンス修理です。
そんな工夫が技術者に欠かせない資質だと思います。
難解な電気計算ができる頭だけでは現場では使えません。
こういう事を過去自分で行った経験の積重ねだけがイザで
役に立つ本当の現場の技術です。

電力用コンデンサー回路の故障の記事を書いたので予備知識
としてコンデンサーにAC電圧をかけると電流は位相が90度進む
のはご存知でしょうがではなぜか?と言われたら???
電力用コンデンサーは現場で扱うのでこの質問をたまに受ける
場合があるけど電気主任なんだからわからないは言いたくないよね?
コンデンサーの電流はjωCvでjがあるから位相が90度進むと
いう答え方ではただ法則を棒読みしてるだけに過ぎません。
電流は電荷を時間で微分して求められます。

Q=CVにしてVは電圧の瞬時値にして求めていきます。
sinを微分したらcosでそれを三角関数の公式でsinにするとそこに
π/2ラジアンという角度が出てくる、それを度単位にしたら90度。
だから電流は電圧より90度位相が進みます。
質問されてこう返答できたら格好良いから覚えておいたらいいと思うよ。
な感じで電気の現象というのはすべて数学で解析できます。

後電力用コンデンサーの一次側にある直列リアクトルは突入電流防止
と高調波抑制のためにあります。
リアクトルは様はコイルなんだけどこれを通す事で電力用コンデンサー
にかかる電圧(Vc)が少しだけ母線電圧(E)より高くなるんだよ。
(あのフェランチ効果とは理由は違うので注意してね。)
これは電験三種を持ってる人なら計算で納得できるでしょう。
最終式は虚数jがないから分母は常に1未満でVcはEより大きくなる。
単に電力コンデンサー容量と母線電圧で電流を求めた時に少し
計算値と実測が違う誤差はここから生まれます。
これは意外と気がついてない方が現場でも多いと思います。

現場で故障時に何かの役に立つわけじゃないけど納得して
現象を理解するなら電験三種理論で学んだ複素数計算は常に
いつでも使える様にしておく
といいと思います。
複素数計算は大昔天才科学者が交流回路を直流と同じ様に
計算するために編み出した手法で、交流回路を頭上で極めるなら
複素数計算ができないと無理なんです。
ただ故障時のこういう処置は頭で理論を極めていても処置が
必ずしもできない事は現場に着任して身に染みる事が多い。

トラブルこそ学びの場で日々というか一生勉強です。

★貴方に質問★
ある日後輩が丸山主任、倉庫の照明が暗いので100Vのハロゲン
のスポット中古が2個あるので200V回路に100Vのハロゲンを
2個直列でつないで工事しようと提案してきました。
オームの法則で言えばまったく同じワット数を2個直列だから各
100Vに分圧するのは正しいので彼はいけると思ったのでしょう。
(ワット数が異なると1個は暗く、明るい方はすぐに切れます)

そういう発想は私もした事がなかったので一瞬いいね!と思った
けど、よく考えたらこれには致命的な欠陥がある事に気がつきました。
電気設備基準第○条で禁止されてるという話の前に理論的に
ああそうか、と彼も後で納得してくれました。
実は点灯はしますが後である行為をする時に不具合が発生します。
貴方は彼を納得させられますか?
1個電球切れすると直列だからもう1個も点灯しないは答えと
してここでは除きます。

頭ごなしにダメはダメでは賢い指導者ではないと思います。
出入りしてる電気工事業者にも私は質問してみましたが
そんな工事はしないので経験的にそれはまずいだろう。と
言うだけでその答えをはっきりと答えてはくれませんでした。
第2種電気工事士以上の勉強をした人でないとわかりませんが
電験三種を合格した人でも全員が彼を納得させられないでしょう。

ヒントは2個直列の同じランプは点灯中電圧は均等分圧だけど
1個だけランプを抜いた状態で、そのランプを抜いた器具の開放
電圧は計測したらどうなるでしょう?
上の問題の場合でも100Vではありません、電気の基本オーム
の法則で考えてみましょう。

2015年6月18日木曜日

電気主任技術者 実務:テナント盤何かあやしい?

今日も駐車場照明盤の工作を彼としていたの(前記事続き)
もうほとんど完成に近くイイ感じだと思う。
そこへ職場の方が丸山さん申し訳ないんだけどどうしても
わからないから見てほしいと言われてきた?

何でも店舗でエアコン室外機を業者が修理するのにそれの
電源のブレーカー(MCB)がどう探しても見当たらないという話
.....実際に動いてるのだからそれはないでしょう
でも実際にテナント盤の中を見るとそれらしいMCBがない???
これってどういう事!

図面ありますかとテナントさんに聞いたらわからないという返答。
テナント財産なんだから共用部から取るわけないよね。
よく見たら厨房排水ポンプのMCBの二次側に変な2線があり
三相200Vから単相200Vを出している???なんか怪しい
この位置にこれは極めて不自然なんです。
(三相200Vから単相200Vを出す事は自家用電気工作物で
は違法じゃない、ただ低圧受電してる場合は契約上禁止)
お客様に許可を得てこのMCBを切ると業者が電気が切れました。
と言ってきたので正解!
つまり専用開閉器なしでポンプMCB二次側から兼用させて
直に施工されていました。
客先設備で写真は撮れなかったので下イメージだけ

私はこの施工に関して文句を言う立場にないのでテナントには
ありのままを告げ電気主任技術者として安全に使うアドバイス又
処置をするのが義務。
ちょうど今電装部品を触りまくっているのでその流れでポンプ回路
のMCBの一次側から20AのELB経由で室外機に接続する工事を
サービスでしました。
(この店とは設備の保守管理契約を結んでいます)

この店舗のエアコンはGHPというコンプレッサーをモーターではなく
ガスエンジンで稼動させるエアコンで電気はほとんど消費しない。
厨房がある店舗ではガスを使うからそのままGHPでも利用すれば
効率的という事で飲食店舗ではよく見かる方式。
あんなに図体が大きいけど単相200VでOKなのはそういう意味。
それで手軽に既存三相回路でも問題なしと接続したんでしょうね。

こういうテナントが業者に発注した設備の場合、施工図面が最初
からなく取説のみというケースが多いの。
エアコン業者はあくまで機械の設置だけでどこの電気屋にさせた
かも店長がわからないという事もよくある!
たぶん職場設備の人は室外機だから三相200Vで3本の配線と
いう先入観があったのでこれを見逃したんでしょう
ただ専用のMCBないのが一番の原因ですけどね!

今回は分岐回路がそれほど電気を消費しないから何も
問題なく使用されていたけど分岐先の消費電力が大きい
と最悪元回路が過電流でトリップするか分岐の配線間
だけ電圧が低下して三相が不平衡状態となり結局同じ状態
が発生する可能性があります。
三相不平衡電圧をモーターにかけると逆相トルクが
発生するので運転電流は確実に上昇する
し振動もします。

三相交流不平衡電圧が加わると、電動機から発生する正味トルク
は正相トルクと逆相トルクとの差となります。
正相電流によるトルクに対し、逆相電流によるトルクはブレーキと
して作用し、三相誘導電動機の過熱、焼損等の障害を生ずる。
このため3Eリレーを装備してる高価な設備もあります。
電気の日常点検で変圧器、特に三相電源の電圧値のアンバランス
を意識するのはそのためなんだよ。意外と気がついてないでしょ?

又NETで三相ブレーカーから単相200Vを出すなら真ん中を
飛ばせばいいみたいなこんな安易な記載を見た。
理屈はそうでしょうが単相三線式から単相200Vを出すのと異なり
三相からでは対地電圧が150Vを超えるから人が容易に
触れる機器類でこの取り方をするのは私は勧めません。

家庭の受電方式でもある単相三線式は単相200Vが取れますが
ここでの200Vというのは線間電圧の事で対地間電圧は100V。
200V機器を使える上に三相より安全性が高いのが単相三線式
の利点です。

職場の年上の後輩に体で体験してもらうのに通電中の単相三線式
の中性線に触ってもらいました。感電しません!
接地してる線に触っても人体にかかる電位差が0だから。
黒、赤の配線で同じ事をしたら100Vに感電するから触ってはダメ。
それが単相三線式の単相200Vに不幸にも感電するのと同じ状態。
(普通の着衣、靴の服装なら死ぬ事はないけど感電したら痛い)

ところが三相200Vから取った単相200V電源は線間だけでなく
対地間電圧も200Vなの。つまり上の倍の危険性あり。
(200Vに感電したらハンマーで叩かれた様な衝撃です。)
通常人が触ない天井照明器具内部や室外機では使用者は安全
でも業者には関係するから単相200Vは基本電灯盤(単相三線式)
からのみ取るべきだと私は思う。
もしビル共用部工事として相談があったら私はさせないよ。

ネオン式の検電器を持ってる方は単相三線式から出した単相200V
と三相200Vを当てて検電器の点灯具合を比較してみてください。
三相200Vの方が明るく光るんです。
(ネオン式の検電器は高抵抗を通して人体を導体とする原理で電圧
の有無を調べるからこういう事ができる。)

あくまで普通の着衣の状態で私の経験上を語ってるだけで全裸で
体が塗れた状態で感電したら100Vでも死ぬかもしれません。
感電の危険性は厳密に言えば人体の通過電流と通過時間です。
mA単位で通過電流×通過時間(秒単位)が30を超えたら人体の
限界と私は昔父から教わりました。
通常多い30mAトリップのELBは1秒未満で切れないといけない
又人が電気を感じる始めるのは1mAからでそれで電圧を割ると
100Vで0.1MΩ、200Vなら0.2MΩ、どこかで聞いた値です?
そうこれがあの絶縁抵抗値の根拠です。
これ知っておくと意外と便利なので覚えておいてね。

2015年6月16日火曜日

電気主任技術者 仕事:動力盤製作

22才の若い男性が入社して来るというので無愛想な奴
だったら嫌だなと思っていたらとても礼儀正しい
この人まっすぐに成長できる人だと直感!
それもよく聞けば工業高校の電気科卒じゃない
だから2種電気工事士の資格もあるし3年間も先生に勉強
や実技を習っているのだから私があれこれ教える事は多くないよ。

前からしてみたかった事に普通は盤屋さんに依頼する盤を
製作する事。
駐車場の照明盤を更新する見積を依頼していたけど部長に
言ってあれ私が新人さんと自作してはいけませんか?
と相談してみました。
更新だから単なる部品交換ではなく配線から取替してすべて
新品にしています。 これが製作風景です。
(排気ファンもあるからスターデルタも教えられるし聞いた
だけより、自分で組み立てれば意味がわかるはず)
詳しい人は下の写真を見ただけでわかったでしょ?

私の顔を一瞬見て丸山君を信じてるから任せるからやって
みなさい。きっと彼にも良い勉強になるでしょうからと
おっしゃってくださいました。
部長は積極的に頑張る人には応援してくれる人でやるだけ
やって駄目ならごめんなさい。でいいんだから何もせず立ち見
してる人はいらん!といつも言われています。
部長が係長に丸山君たちは駐車場の盤を作るから完成までは
通常業務は外す指示もしてくれたのでこれだけに集中できてます。

だからそればかりしてるんだけどほんとど趣味の自作気分で
楽しいです。
この程度の回路では間違える事はないけど正式な設備として
残すのだから綺麗に仕上げないといけません。
自動制御を組んでるアズビルの盤を見本にしながら頑張っています。
部品は付き合いのある電材屋さんに盤図をmailで送りこれを
作るのでパーツを揃えてほしいと注文しました。

綺麗にお金になる物を作るというのは思いの他難しいですね。
いつものパーツが故障してMCやタイマーを交換するだけなら
少々配線が長くても、そのまま接続して長い分はインシュロック
で束ねてごまかしたりしていました。
たけど見本となる物となると1cm単位で正確に寸法も取らないと
いけません。
ただ時々やもうえず行う活線作業ではないからその点では安全に
落ち着いて作業できます。
それに私は元々こういう手作業は大好き。

彼はマグネットとか触るのは初めてでしたが現場でa接点
b接点、電源コイル接続や自己保持とか説明したらすぐ理解
さすが電気科出身だね、
彼に貴方はここでこうした実務を覚えて電験やいろんな
資格を取り5年も経験を積んだら若いしどこでも通用する
からとエールをあげた。
本で学んだだけの単なる物知りではなく実務もできる
本物の技術者になってほしいと思います。

この程度は電気主任技術者を目指す方は知ってないとダメ
(MGはFuji電器の製品が私は好きでいつもこれの
シリーズを注文します。
水位制御ではオムロン61シリーズしかないでしょう)

本で読んで勉強しただけではイザ故障となった時には
凡人ではすぐに体が反応しないけど自作した経験が
あればつなぎを見ただけでたいていわかるんです。
手作業で経験しないと知識は本物になりません!
そしてそれを経験といいます。


彼は契約社員なのでいつ正社員になれるかわからないけど
このまま順調に成長してくれたら私が部長に社員昇進試験
を受けさせてあげる様にお願いしてみるつもりです。
いつも作業をする前はお願いします。と終わったら
ありがとございました。言ってくれる点も人から
助けをもらえる性格ですね。

何かの工事で○○電工のSさんが来た時に見せるつもりなの
でとにかく綺麗に仕上げます。
Sさんも部長同様、父と同じで私の電気の先生なんだよ。
部長は高卒で唯一あの職域まで行けた努力の人で現場から
技術部長になられた方で尊敬しています。
めったにいないけど本物の技術者と縁を持てるかが自分がより
飛躍できるKeYPointだと思う。私もまだまだ修行中なんだから!
今すでに現場の人、これからの人もそういう人と交友を持てるかが
大切だと思います。
類は類を呼ぶでレベルの高い人とだけ付き合えば必ずスキルは高まるの

そういう人の特徴は共通していて、職場の同僚や人の悪口とか愚痴
なんか絶対に言わない。
物事をするのも計画を立てて、スキルに合わせた人の使い方が上手。
何よりいろんな知識、現象に詳しく器用で技能力もすごいです。
だから何も言わなくても自然と人が相談されたり人脈が広がる。
職場でも他人の悪口や愚痴を言う人はたいした事ないです。
相手が悪く思えるのは自分らしく生きていない心の裏返し。
反面自分だけは最高という過信もあり、行き場を失った思いが
他人へのイラダチとして愚痴になるんです。根本原因は自分!

2015年6月14日日曜日

電気主任技術者 仕事:受電設備基礎説明

これから電気主任技術者を目指す方の参考に書いてます。
22000V受電室にはガチな骨董品に近いアナログ針メーター
が1個今も不自然にあるの
これは歴代の電気主任からの遺産だけど私もこのお仕事
をする様になりこういう針メーターが好きになった。
(受電22KVだから22000Vを示しています。)

もちろん下↓が正規の盤付きのメーターで22.1KV、60Hz
COSφ=99.9%と情報としてはこちらの方が便利。
切替えればRSTの各電流値や対地間電圧も表示できる
マルチメーターで今はどこもこんなだと思う。
ただこういうのは一旦デジタル値に変換して表示させてる。
針メーターは22000VをVTで110Vにしてるだけで電圧
が今確実にあるかないかを検電以外で的確に教えて
くれるので一番信頼しています。
経験上もっとも信頼できるのは高度で複雑な仕組み
ではなくもっとも単純な仕組みだと思います。
受変電に関しては中央監視室のPC情報のみでは一切
行動せず、必ず現場のメーターで確認するのが私のこだわり!

受電で異常が出ると下モニター部分の該当ランプが赤く点灯。
左から制御電源100/24、過電流、地絡過電流、不足電圧
地絡過電圧、過電圧、方向短絡、不足周波数、逆電力と
あるけどこれはその現場に着任できたらその製品の仕様書
を読んでまず最初に勉強されてください。
現場の電気主任技術者なのにこれらが意味不明ではお仕事
になりませんから
現場により仕様が異なるけどどんな現場でも過電流、地絡
不足電圧、過電圧の4個は必ずあります。


上の表示とリンクしてるのがこれで継電器と言います。
ここで各動作設定をしたりこちらにも異常の動作表示が出る。
よく電気屋さんがターゲットという会話をするけどターゲット
とは異常表示の事を意味しています。

こういう物の取扱説明を最初読んでも難解で慣れないと
すぐには理解できないけどこの次元では継電器内部の
電子回路の流れまでは必要ない
様は設定の仕方と設定の意味を知る事が大切です。
一例をあげるとこういう物は受電電圧を110Vに変換
して電圧制御ではこの110Vがある時にここでは22000V
があると認識しています。
(6600V受電現場なら6600Vの時110Vです。)

貴方が今後一番関係するターゲットは不足電圧です。
受電で停電した場合必ずこれが動作してこれを起点にして
非常用発電機が運転したり各高圧VCBが所定の動作をする
事になります。
(停電作業の時は発電機を基本動作させません)
不足電圧はUVRとか27という言い方でもしますがこの3個
の呼び方は必ず覚えておいてね。

UVRは何Vで?それが何秒継続したら?の2条件で動作します。
たとえば80Vの2秒で設定したなら先ほど22000Vを110Vにする
と説明したけど、その比率で言えば16000Vが2秒間継続したら
UVRが動作してメインのVCBをOFF、非常用発電機を自動運転
させます。

メインのVCBと非常用発電機の送電用VCBは同時に投入
できない様に安全装置が必ずあります。
こういうのをインターロックといい、ビル外に逆送電
を防止するためです。

UVRは電力会社から電気がくれば自動復帰するけど過電流
地絡だけは現場で安全を確認して手動復帰させるのが原則なの
でそのままでは復帰しない、復帰しなければVCBは投入できません。
復帰は原因調査し修理完了するまでは絶対に禁止です。
この場合は所内事故でメインVCBが切れて全館停電になって
いますがVCBの一次側の電圧はあるのでUVRは動作しません。
そう受電の電圧計やUVRというのはメインVCBの一次側の
電圧を見ているんです。
最初の針メーターのとこに電圧確認とあるのは所内事故
か電力会社の停電なのか知る意味もあります。

UVRの機能がある部分の継電器がこれです。
少し写真がわかり難いけど赤いLED点灯部分が不足電圧
この動作表示だけは残るため手動リセットすれば消えます。
UVRのターゲット表示はあくまで遍歴であって制御には
まったく関係していません。
上のモニター表示でも中央監視でも確認できるのでこの部分
の表示だけは停電作業の後もわざと残しているのは後で
職場の人に勉強会で教えるためです。

次に絶対知る必要があるのはCTという物です。
たとえばこういう電流計があったとします。
最大で2500Aの電流を直接計測するわけにはいきません
からこれを先ほどの22000V⇒110Vで認識すると同じ理屈
で電流もメーターの最大値⇒5Aとして認識しています。
この電流変換する物をCTと言いい、受電にある過電流の設定
もこのCTの出力値に合わせて設定していきます。

実際のCTとは私の勤務してる現場ではこれです。
赤い色の物体だけどこの場合の変換比率は2500:5の
CTがあるという言い方を一般的にはします。
(22000V特高室にあるのは接近するのが危険なので低圧
1φ3W盤についてるのをUPしたけど基本は同じ)

たとえば過電流の設定が4Aがならば上の場合だと2500Aの
時に5Aだから一次側が何Aで動作するか比率計算すれば
わかるでしょう?
受変電の過電流の設定をする物をOCRというけどそこでの
設定の基本はCTが5Aの時に一次側の電流が何Aかをまず
調べる事から始まります。
OCRの動作時間はそこに流れる電流に反比例して動作して
これは反限時特性といい、ある値以上の過電流では瞬時に
動作する瞬時特性もありこれが最初わかり難いかもしれません。
(いつかそれも記事にする予定です)

次にLBSや断路器の開閉などDS棒を使った実際の操作

頭でわかっていても経験がないと手が震えるでしょう。
それに不完全にブレード(刃)を投入しては熱を持ちますよ。
これを練習する機会も難しいのでもし未経験ならば
停電作業の時に業者に言ってまず見本をしてもらい
そこで練習されてください。
え?電気主任なのにそんな事もできないの?という顔を
されてもどこかでその恥をかかないといつまでも
何もできる様にはなりません。本なんか読んでもダメ!

前記事で変圧器を止める場合を記事にしたけどDS棒
を使いLBSを切ったりする操作は時々電気主任は
しないといけません。
切るのは簡単だけど投入する時にどの程度の力具合で
入れたらいいとかどの位手前から押し込めばいいかとか
その力具合などは文字にできないのです。
先輩に教わりながら自分の体で覚えるしかありません。


電験を取れたら電気主任技術者になれるかもしれない
けど現場の本当の電気主任技術者になるには現場着任
してからが日々勉強なんです。
難解な微積分を使う電気計算ができたとしてもそういう設備を
研究開発してるとこに勤務してる人や学校の先生以外
つまり現場の保守管理をしてる私たちではたぶん一生現場
では使う事ないです。
電気工事の仕事でも本にある高度な電気理論は必要ありません。

私はこの会社に入社する前に父が電気主任技術者をする
工場で働きながらそこで現場作業をいろいろ覚えました。
一般的にこういう受電設備に関して習えるとしたら停電作業
の時だと思います。

彼らは貴方の数倍の電気のプロフェショナルですから現場の
実務を習ってください。プライドなんかその時は捨てましょう!

一人でいくら本で勉強したとしてもたかがしれています
車を運転した事がない人が本で運転操作を勉強しただけで
東京まで運転したら絶対事故を起こします。電気も同じです!
実際の現場で発生する現象は頭で知ってる単一な知識
のみでは発生せず、それを生かせるのはよりたくさんの
現場経験がある方だけなんです。知識を技能にするのが経験

2015年6月13日土曜日

電気主任技術者 仕事:低圧配電設備

⇒私のブログの最新記事へJAMP

22000Vで受電⇒6600V変電(第1変電室)⇒各低圧変電室
という流れで私が勤務してる現場は電気が変化していきます。
今回は屋外にあるキュービクルの一つから200Vの電源CVT
ケーブルをテナント入居に当たり配線する工事空MCBがない
ので増設のためキュービクル内の動力変圧器を1台停止させ
ないといけません。
このキュービクルは6600Vで受けて100や200Vにします。

キュービクルの裏を開けると変圧器があります。
幹線ケーブルの工事になると電気工事業者にさせますが
その場合幹線を接続するMCBがないと盤内に増設をする
ためMCBの一次側の電源を停止させる必要がありつまり
変圧器を停止させないといけません。
この変圧器を止めるのは誰がするのか?

工事業者というのは基本的に電源の操作はしない.
電気主任技術者が変圧器の停止操作をしなければ
いけません。
電気主任技術者になるとこの操作は時々ある
ので
これから目指す方は知っておいてね。
彼らは指定したルートのCVTのケーブリングとテナント
室内分電盤工事が仕事でこの変圧器の影響範囲まで
知らないので無断で切ってトラブルが起きてはまずい。
だから必ず貴方に変圧器を止めてください。とお願いされ
ますし、何かあった場合に業者が操作していたというのでは
電気主任技術者として言い訳ができません!

尚、実際のこういう作業は変圧器に絡むテナントすべてが
停電となるので場合によっては夜中でないとできない事が
多いと思う。
工事日は関係するテナントすべてから承諾をもらえる日
となるので工事日を決めるのも電気主任技術者の仕事!

最初にその変圧器の二次側のMCBをすべてOFFします。
こういう物のレバーは基本上か右にするとONになり
この場合はこのレバーを下にします。
初めて操作すると家にある20AのMCBとは違い思いほか
操作に力が必要ですがそれが正常です。
1個切ったら必ず指差確認で"ヨシ"と声に出してください。
馬鹿みたいだけどKYT(危険予知訓練)をする様なまともな
現場では指差確認は必ずします。
つまらない事故は不注意から発生して今自分が何をしてるのか
アクション事に確認の声を出す事でかなりが防げる

次にLBSをDS棒で操作してトリップさせます。
これで変圧器一次側6600V給電が停止するので変圧器が
停止できますが、すぐに接触接近してはいけません!
この時アークシュート(白)からブレード(刃)がガチャンと
降りてきますが初めての方はびっくりしないでね。
後LBS一次側には6600Vあるのでどこに電圧があるのか
ないのか確認して業者にも一言注意してください。
彼らは慣れてるかもしれないけど安全確認の指示をしたか
というのは事故が発生した時に問題になりますから

特にこういう区分停電での作業はすぐ隣は充電状態で
電気主任技術者とは○○の保安監督ですから作業員が
感電死傷事故でも起こしたら貴方の責任になります。
けして変圧器を止めたからと部屋に戻り一服しながら
作業の完了を待っていてはいけません。

作業の立会いとはだから必要で意味があるんです。
後下請け作業員の服装にも気をつけてください。
一度夏の作業で年配の作業員で半そで姿で作業
していた人がいたので外してもらった事があります。
電気主任技術者は不適切な工事を中断する権限が
あので遠慮していては災難は自分にかかります。

よくこういう安全チェックシートというのがあるけど大手の
電気工事業者では必ず今はされる時代でこういう数名
でする電気工事ではされる事はあまりないので自分で
作成してされたら電気主任技術者として万全です。
職務中のケガは必ず労災問題になりますからそんな
あってはならない事が発生した時に貴方は保安監督の
責任者として何をしていたかを証明できます。

LBSを切ったら盤表の電圧計が0Vである事を確認
この状態で電気工事業者に合図すると彼らは検電や放電
処置、場合によっては接地処理をされます。
高圧検電器を業者が持参してない場合はこちらで準備
してLBSの二次側、変圧器一次側の検電はされてください。
上の盤付メーターは変圧器二次側のみの確認です。
(安全チェックシートにはこれらの項目も必ず入れる事)
スィツチ切りを何度も確認したから安全確認OK。は通りません。
電気が消えてる事を確認するのが安全確認です。

停電はどんなに大規模な受変電設備でも末端から
切っていき最後にメインのVCB又はLBSを切ります。

これがどこでも停電作業の基本
でもいきなり大元のVCBやLBSを切ったとしてもその
程度で機器は壊れはしないんです。
短絡ではなく通常の負荷状態での急なトリップ程度
で壊れていては使い物になりません。

負荷電流が最小の方がVCBに負担がかからないと
思ってる方もいるかもしれませんが負荷電流が通電
状態での手動トリップは性能保障範囲でましてそういう
作業をする時は負荷は停止しています。
つまり電流もほとんど流れてないのでそれならいきなり
メインを切れば1動作で停電作業は完結します。

ではなぜ末端から順次切り操作をするのか?
意外とそれを質問されて全員が答えられないと思います。
実はこう切る事で設備に帯電する電気の量を最小限
にする事ができるのです。

機器のためではなくこれから作業する人の安全対策
のためにこういう操作は必要です。

上の様なキュービクル程度の範囲でならいきなりLBS
切りで停電を行ってもほとんど影響ないかもしれない
けど22000Vの引き込みにある大元のVCBでいきなり
これの1動作で全館停電をさせるのは絶対ダメ!
もちろん放電処置は必ず高圧作業ではしますが操作と
しても帯電量を最小に抑えるのは大切という意味だと
思います。
もし作業員が感電したら必ず停電作業の操作手順から
調べられます
から基本通りにしておけばいいんです。

実は前任者はいきなりMain切りでビルを全停電させていました。
まだ入社したばかりの私はそれを見てビックリしたと同時に
この人がいない来年の作業からはきちんとした方法で作業を
行う事を誓いました。
ましてこの現場はあの保安協会を下請けとして雇い作業を
してるのですから大恥です。

こちらがお金を払ってるので保安協会はあえて何も言わないけど
この現場の電気主任技術者はど素人と絶対思っていたはず。
どうも彼の素性は資格だけ取ってその前の前任者から引き継いだ
みたいですが他の現場を知らないから先輩の悪い習慣が
正しいと信じていたんです。

彼がいなくなった最初の年の停電作業からはすべて方法
を変更して私が父の工場で覚えた正規方法で作業を行いました。
こういう事に限らず電気の操作と言われる事には意味があって
それを知らないと自己流で楽な方法をしてしまう現場もあるかも?

前述の作業の話に戻るけど電気工事業者が作業が終了
しました。と言ってきたら二次側のMCBがすべて切りの
状態で変圧器二次側から対地間絶縁測定
をしてください。
相間は100Vメガレンジで測定するのが無難でしょう。
これは工具などを充電部に置いたままにしてないか確認
するためです。
もしそうなら0Ω状態となるのでそれでLBSを投入したら
大変な事になるのは想像できると思います。
★変圧器の二次側~MCBの一次側間での短絡事故は一番
してはいけない事★で被害は相当になります。

最悪この変圧器は数日使用不能となり、店舗が絡んで
いるとその間の売上げ保障など修理費も入れたら数百万円
の費用が発生してしまいます。
電気事故は一瞬で発生してこういう変圧器周辺でのそれは
甚大なので安全確認は何より大切だと思います。
当然起こしてしまったら電気主任技術者は解任でしょう。
忘れた業者が悪いでは済みはしません!


電気を生かす時は停電の逆でLBSを投入して
電圧計で変圧器二次側電圧を確認したらMCBを順次投入します。
何もないはずだけどLBSを投入して変圧器を生かしたら
まずは電圧がきちんと出てる事は必ず確認してね。
MCBを投入する事はテナント財産に通電する事で変な値の
電気を送電してはいけません。(電気の品質の確認)
そうあるはず。という思い込みの裏で事故は起きます。
いくら物知りでも事故を起こしたらすべての信用を失う
技術論より安全への意識が現場の電気主任技術者には
優先される事項です。

貴方がいくら凄い物知りでも実作業をしてる作業員は必ず
しもそうでない場合もあるから安全確認は必要なんです。

2015年6月10日水曜日

電気主任技術者 実務:ダウンライト安定器取替

日常的に一番発生する事が多い故障の一つで今日は
一番簡単なFDL蛍光灯の安定器交換で説明します。

というか、どこのビル管理現場でもこの程度はされてるはず

①が天井照明器具でまず化粧カバーを外す。
②で固定金具を外すと器具がフリー③がその金具です。
④でそのまま器具を下に降ろしますがこの時塗装などがくっいて
いると外れず、それを力づくで引き降ろすと天井材に亀裂や
ピンホールが開く場合があります。

(故障意外では普通は触らないのでたぶんほとんどがこんな
感じで金具をフリーにしてもすぐ外せないでしょう)
その場合は左右に揺らしながら少しづつ降ろすのがコツ!
上司に器具を外す時に天井ボードを壊したなんて言ったら
ガチに説教されるし電気主任の肩書きも薄れますから注意。

この場所は電源を切れないので一番先に電圧が
ある電源線を安定器から抜くの
(営業中しか入室できず他の照明まで同時に切る事ができない)
外したら電気が生きているので必ずテーピングしておきます。
裸のまま電源線を放置して作業中に器具金属部に触れると
顔の前で短絡して火花が出るので気をつけましょう。
⑥で残りの4線も抜いて既存故障安定器をプレートから撤去。
(電源を先に抜いてるので⑥の作業は大丈夫!)
⑦で新品安定器を取付して⑧で電源以外の⑥で抜いた4線を
電源より先に取付します。

最後に電圧のある線を上手に剥いて1本づつ安定器に取付。
ここまで完了したらFDL蛍光灯を取付して点灯するのを確認後
に器具を天井内に最初と逆手順で固定する。
金具は必ずきちんと固定しないともし落下してお客様の
頭の上に落ちたら"ごめんなさい"では済みません!
不安な方は外す前の取付状態を撮って比較しましょう。

直管安定器ではそれから配線が出ていて色で接続はわかるけど
FDL安定器は配線が出てないので現場で自由に接続されています。
何も考えないで配線を外すとどれがどの配線かわからなくなる
ので必ず外す前の状態を覚えておきましょう。か同じく撮る事!
尚一番左の2穴が電源と決まっていて極性はなし。

天井に取付する前にランプ点灯状態で電源線にてI0が0mAである事
5分点灯したままで異臭や煙など出ないか確認は忘れないでね。


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