2021年4月22日木曜日

電気は楽しみながら覚えるのが私流です。





これ趣味実験ながら自分でも勉強になった過去記事です。
電気は楽しみながら覚えるべき、どこかの本に書いてある
事を丸暗記しても教養レベルでイザで他人に語りやそれを
実務に生かせるわけない!だって自身で確認してないから
実は半信半疑は自分自身なのです。
実験する変圧器仕様はビルにある変圧器と同じ一次側と二次
側が分離した複巻コイルですから変圧器の性質は学べると判
断してamazonで購入したパーツです。測定に使ったモニター
はUSA製品なのですが驚くほど性能がいい。結構あちらって
自由な国みたいで面白い製品があります。

MCB投入で通電、26mA、力率(PF)0.36の電流が無負荷なのに
流れましたがこれは変圧器の無負荷損による物です。

その時の消費電力は1.3W、配給電圧は104Vです。12VAの変圧器
の消費電力は微量ですが配電用変圧器では無視できない値となります。

励磁回路とは磁界を発生するため必要な回路です。変圧器は二次側
を開放しても電圧を一次側に接続してる限り電力を消費する機器なの
です。又電圧が高くなれば励磁回路の接続状態から無負荷損失も上
がるのは容易に想像できると思います。

無負荷時の消費電力つまり無負荷損は負荷に関係なく一定です。
三種を勉強されてる方はご存知ですがこの無負荷損と負荷電流
による損失が同じとなる様な負荷のかけ方がもっとも効率が良い
と計算で算出できるのです。下で言う70%負荷は目安で厳密には
各変圧器事に計算が必要ですが現場においてそのためだけのた
めに負荷を移動調整するのは移設工事費用や利用者への影響
を考慮すると難しい。せめて変圧器を過負荷状態にしない確認と
と未使用な物にあっては電力用の変圧器に限らず電圧を変換す
る物はすべて電源配給を切る程度は管理上、電気主任技術者
は意識すべきです。

この変圧器の無負荷時の二次側電圧は以下の通りでした。どうして
24Vでないかと言うと100/24Vの接続において現在104V一次側が
ある分、二次側の電圧が高いのです。もし変圧器一次側を110V端
子に接続してこの電圧なら逆に二次側は24Vよりは下がります。
変圧器のタップ切換の理屈はこれと同じ意味です。
抵抗や電圧を測定する場合はなるべくクリップを私は使用します。
正確に測定したいので接触抵抗の影響を最小限にしたいからです。

それでは実際に二次側に負荷を接続してみました。12VAしか容量
がないので会社にあったミニランプを点灯させました。電流50mA
消費電力は4.6W、PFは0.77まで上昇しました。このランプは力率
1ですから改善する方向に変化します。(一次電流に占める有効分
の割合が増えた
)

今度は二次側の負荷が加算されます。リアタンスXは電力消費しま
せんからこの図で電力を消費するのは抵抗の部分です。一次側で
測定された4.6Wが単純に負荷であるランプの消費電力と言うわけ
ではありません。

これまでの無負荷電流の測定結果も踏まえて変圧器二次側の
電流を計算してみました。
電圧比は100/24なので4でしました。
V1I1=V2I2よりV2が1/4ならI2は4倍、結果ランプ電流値とほ
ぼ一致しました。実際一次側は104Vなので僅か0.11Aより多く
ても不思議ではありません。二次側ランプ電流PFは116.56÷120
=0.97ですからランプ数を増やせば一次側の有効電流の割合が
増える事で一次側PFは改善されます。実験結果を元にした計算
検証です。更に1mAを正確に測定可能なリーククランプメーター
での実測では128mAでした。計算は電験三種の複素数基本レベル。

次はランプを2個にして実験しました。PFは0.95で負荷も8/12=67%
程度かかっています。撮りませんが3個だとPFは0.98まで改善しまし
たがこの変圧器ではこれ以上は過負荷となるので実験はここまで。
自分が実験した事と計算結果や傾向が合うと嬉しいです。

それでは次にモーターの実験です。これは分相始動方式です。
中身は玩具ではなくビルや工場で使用されるモーターと同じ
構造ですから試す結果はお仕事にも適用できます。
amazonってこういう物まで手軽に購入可能なんです。
たかが単相モーターですが机の前にあると少し感動物
静かな家で運転させると重厚な運転音から凄い頑丈と
いうのがわかる、家電とは次元が違いますね。

モーターは始めに回転を与えてやれば回転し続けるためにSWは
起動後回転数が上昇すると遠心力で自動で始動回路SをOFFに
するための物、運転中は主回路Mだけに電流は流れます。コイル
のもつ誘導リアクタンスの差を利用して回転磁界を作る。コンデン
サー始動方式はこの始動回路にコンデンサーを挿入した物でより
強い回転力を得る事ができるのです。又単相モーターは見えてる
配線は2本でも接続端子ではそうではありません。


配線のカップリングはテスター導通テストでわかります。モーター表記
にあるローテーションとは回転と言う意味でつまり回転方向を示して
います。赤ー黒を変える事で回転方向が変化するという事は赤ー黒
が始動コイルですから測定しなくてもここでもわかります。それを踏ま
えて接続し運転準備を行いましょう。正回転がモーター側から見て右
回転です。


マグネットで電源投入した方が様になるけどコイル電圧100Vマグネット
が今ないのでMCB直結で稼動させる事にします。

運転電流が2.696Aだけど力率が0.21なんて何かの間違い
ではと一瞬思いましたが事実がすべて正しいのですから
その他も継続しました。尚始動電流は定格電流の3~5倍流れ
ますが無負荷ですと0.1秒程度と短いので測定できません。

皮相電力W=VI=102×2.696≒275VA、力率PF=56.8W÷275VA≒0.21
ちゃんと理屈に合っています。つまりこれは無効電流が多いのです。
Iq=2.696×√(1-0.21×0.21)=2.635A、有効電流はIp=2.696×0.21
=0.566Aで2.696-2.635ではないのは電気専門の貴方ならば
ご存知のはずです。

負荷をかけてその変化をお見せしたいのです。少し危険を伴い
ますがタオルでモーターシャフトを力をかけて持つ事にしました
ただ回転するドリルの刃先を指でつまんで電源SWを入れるなん
てできない、このモーターも人の力で反抗できないほど強力。
こんな事を本気でこのモーターですると指を骨折するので良い
子は真似しないでください。

すぐ変化が出たのはやはり力率、0.21⇒0.25と改善されました。
電流が2.696A⇒2.670Aに低下、無効電流は2.67×√(1-0.25×0.25)
=2.585Aと低下しています。ちゃんとした機械負荷を接続して90%近く負荷
をかけたら0.8程度まで改善されるでしょうが私の握力ではこれが限度。
ただ負荷により力率が変化するのはご理解頂けたと思います。

モーター力率は負荷のかかり具合で下の様に大きく変化します。
85~90%程度の負荷で運転するのが一番最適と言えます。負荷
が少ないほど力率が低下するつまり余分な無効電流が流れてし
まいます。実際現場でのモーター使用では60~80%負荷で運転
される事がほとんどです。運転電流<定格電流値が通常のモーター
の運転状態
なのを現場に着任して知る方がほとんどでしょうね。

単相モーターの反転回路を自作してみました。
始動コイルに通電する電流の向きを変更すればいいので知恵の
輪を解く要領でこんな回路を考えました。そうは言っても動画では
なく見る方に正転・逆転状況がわかる様に状態ランプ回路も追加
運転前に正転か逆転を選択し運転SWを入れ単相モーターを稼動
させます。家で200V給電はできないので別に購入した100Vリレー
(10A通電可)を使用又このモーターの運転電流は3A程度なので
マグネットは使用せず直にリレー接点でモーターも稼動させる事に
しました。尚、運転SWを押しボタン式(momentary)にすると自己
保持回路が必要となるので普通のタンブラSWで代用しました。

リレーの構造と使われ方を少し説明したいと思います。貴方が電気
主任をされるならぜひ知っておいてほしい事です。モーター回路ら
しくON/OFF押しボタン式にするなら電源側はこんな感じにします。
自己保持回路は空調機~受変電設備まであらゆる回路で使われ
るガチな基本回路でありながら一番必要な使い方なのです。

自己保持回路とはONボタン間に並列にa接点を入れる行為
だからONボタンから手を離してもONボタン間の導通はな
くなる事はなくランプは点灯を継続します。

電源~SW~リレーまでの配線です。

ランプ回路と正転のモーター結線まで終了、中間確認として電圧を
かけて正転回路だけ正常に稼動するか確認をします。

注意するのはモーター図にある始動コイルの正転回路配線向きを
回路正転向きと合わせる事です。


主コイルは配線青を電源側、配線黄を回路コモン側にします。

電源を投入する前にSW関係をすべてONにしてMCB二次側で絶縁
抵抗測定ではなくて配線間の抵抗をテスターでCHECKしました。
何Ωでもいいのですが0Ωとかなった場合どこか短絡しているの
でその確認です。配線間が0Ωなのに電源投入はできません。
何Ωでもいいと言ったのは基準がないからで普通テスターなら
OL表示(オーバーレンジ)になります。

正転運転です。回転切替SWをONにして運転開始SWを投入します。
力率が悪いのは無負荷のため励磁電流の占める割合が多いから
で私のBlog読者は過去記事にてすでに納得されてると思います。

次にX1~X3周辺の逆転回路結線をしました。自分が書いた図面を
よく見ながら行いましたが紙の上で理解してるのと実際に組立てる
のは全然違いますね。


逆転運転です。回転切替SWをOFFにして運転開始SWを投入します。
リレーX1とX2のa接点は開いてb接点が閉じるため始動コイルに流
れる電流が逆になるのでモーターは逆回転します。電流値の差は
ありません。その時の微妙な電圧の違いで僅かあるのは誤差範囲
です。いずれにしても今回の実験で私が考えた回路で正転/逆転
できる事が証明されました。
三相モーターは電源のどれか2線を
入替えるだけですが単相モーターで応急に逆転させる場合はモータ
ー端子台のカバーを外して中にある始動コイルの配線を反対にす
ればいいのです。単相モーターを反転できる方は意外に少ない!

運転30分後のサーモグラフィー温度分布。最初に触った感じ
は私の体温が36.5℃なので熱くも冷たくもない_という事は同
程度かと想像しましたがやはりそうでした。50℃を越すと人は
触る事ができないので手で触っていられるなら熱いと感じても
その程度では電気製品の絶縁は全然大丈夫です。このモータ
ーの絶縁階級はE種だから120℃、以前業者が表面は中より
10~15℃程度下がると言っていたのでそれから言えばこの
モーターの表面限界温度は100℃程度
です。私が管理する
現場のモーターで表面温度は冬40℃、夏60℃手前です。
今回は負荷がないから温度があまり上がらないのです。

停止中は熱を発生しないのですから単なる鉄塊、周囲の方が温度
が高いのです。可視光線でなく赤外線で見る世界は面白いです。
本や人から習った事より実験で苦心しながら得た事は何倍も生か
せる、だから測定器も使いながらが必要。
今自分がしてる事の
確認もしないと単なる愚策をしてるに過ぎないです。