2020年7月16日木曜日

電気主任技術者の仕事-現場でしか学べないスキル

この現場は昔コージェネをしていたのですが現在は止め非常用
発電機として使用されています。こういう古い現場もNEWな現場
もビル停電時の動きの基本は同じです。
停電発生してその状態が2秒継続したら、152Rと52BのVCB切れ
と発電機起動指令が発生、上の2個のVCBが切れたら52G1.52G2の
VCBが自動投入されて発電機回路に送電されるのです。なぜ2秒
か、それは瞬時停電時の不要動作を防止するためです。ただ
細かい部分の動作違いは現場事あるので完全に同じじゃない。

中央監視PCへ停電警報が来てるという事は現場のUVRは動作
してるという事です。現場で調査する前にどういう関連物
は正常なのかを冷静に考えればどこに原因があるのか候補
が思いつきます。ですから回路上のつながりを知る電気
主任はトラブル対応も強いのです。
これは受電だけでなく
電気制御で稼動する機械物に共通する考え方です。

VCBの5番に電圧がかかる事でVCBは切り、1番にかかると投入
ただb接点(赤矢印)があるのでは何かが動作してる時は投入
はロックされます。ピンク矢印は現場盤の状態表示ランプ
VCBが投入できない、切れない不具合では各1番と5番にDC
100Vがかかるという確認が重要。ただ投入の場合はそのb
接点がある点も注意ですね。_DC電源ですから検電器で
電圧なしなんて点検はされないでください。
テスターで
点検する場合はどこの2点に当てるべきか?この時は短絡
には気をつけてください。_回路端子部は狭いため測定リ
ードの先がどこか2点に接触してしまう事故、バチと火花
が出てそこが焼損、元電源が切れます。ベテラン業者は
苦もなくされてますが、やはり慣れて細心意識で作業を
されています。電圧を測定するって意外と危険作業です。
ある意味、絶縁測定作業より危険と私は思います。

停電時に電力側へ逆送電してはいけないので関連VCBが切れな
いと送電用の発電機のVCBが自働投入されないのです。逆に発
電機VCBだけを投入しようとしても切れるべきVCBが投入状態で
すと手動操作でも発電機VCBは投入信号を受付けない
シーケン
スになっています。これが受電回路にある52Bを切らせるリレー
端子間をジャンパーさせれば52Bの5盤端子にDC100Vをかけられ
VCBを切る事ができます。_こういう事までしてVCBを動作させ
た事はありませんが、考えられる想定においてそれを実現する
ための方法は日頃研究しておくべきです。

ただこの盤回路では同じリレーを使用しています。仮に不具合
のあるリレーがあるなら停電切替には使用されないリレーと
入替えたらいいのです。たとえば過電圧動作の回路なんてその
時には関係ないですからその回路のリレーを使えばいいのです。
理想はこのリレーの新品を準備しておく事ですが、こういうと
こまでされてる現場は少ないでしょう。_電気主任をされる場合
は普段から回路を研究してどのリレーが何の役目をしてるか?
確認をしておきます。イザトラブルが発生してこういう物を1
から調べるとなれば、動揺な心もありまずできないです。でき
ればリレーにテプラー等で記号をつけておけば以後はいつでも
扱えます。

過電流と地絡でトリップするVCB回路、これはどこの現場でも
あります。
VCBの5番が切り回路という事さえわっていればそ
こに接続される51.67の2番からDC100Vが出力される(破線)
図VCBの横にある2個のb接点は故障リセットしないとこの
VCBは投入できないとわかります。_VCBの5番に切りSWが接続
されてるから5番が切り入力とわかります。大切な事は故障
が発生したら修理完了してからリセットする。低圧盤で漏電
したり短絡しても同じですが、とりあえずリセットして再稼
動というのは電気主任が一番してはいけない事
です。

電気トラブルが発生、業者も夕方しか来れない、その間座って
他の職員と同じ様に待機なんてできない心境はわかります。
ですが安全装置が動作したのに何も対策せず再投入して焼損
でも発生させたらもう自己都合退職しかないでしょう。電気
主任という仕事は僅かな判断間違いで失職する可能性あり。
今何もできない現実は自分の勉強不足と判断して素直にオー
ナー等に謝罪、余計な事をしないという選択も時には必要。
その悔しさをバネに以後は、その現場の更なる研究ですね。
電験資格がどうのこうのなんてその状況では意味ないです。

上の回路ってこんな感じに現場で組んであります。だから
図面で勉強したら現場で配線を目で追っておかないと机上
の空論になってしまうのです。自分で触ってみるとこうい
事をしたら危険とかここで確認した方が安全かつ効率的
とか教えられなくてもわかるんです。_電気止めて導通
で確認?_こういう部分でそれをするとなるとあちこち
配線を外す必要が出てきてそれは現時的じゃないです。
なるべくこのままの状態で状態確認をしたいです。

ビルでは受電シーケンスにDC電源を使います。COIL電源がこの様
にDC(直流)の場合はAC(交流)は入力できません。周波数に応じて
接点がON・OFFする事になり焼損します。パナソニックのリレー
取扱い注意にも"DCコイルには矩形波、ACコイルには正弦波を印
加してください。"とあります。リレーを新規に購入する場合は
その辺も気をつけましょう。

VCB本体は停電作業の時に毎年業者点検、5年に1回はOHをしてるのでこれ
本体が故障する事はまずないです、こういう物が動作しない場合はその
操作回路の何かが悪くて回路を構成できないのです。写真は発電機盤です
が電気主任以外の職員の方がする一般操作など注意点を掲示しておきます。
何か問題、誤操作が発生した時に、電気担当から説明を受けてないとか言
われたら困る事になります。ただ上で説明した様な説明までは掲示しない
触れて困る情報は逆にトラブルの元です。

貴方がもし電気主任技術者をされてるとして上のVCBの引き出し
できますか?DS.LBS.VCBの実操作は理屈どうこうを除けば操作
だけなら中学生でも練習したらできる程度の物です。次回の
停電作業では業者に習いできる様にしておきましょう。ただ
中学生ではインターロック機能のないDSを通電状態でもし切
れば大変な事になります。ですから扱うのは停電作業の業者
と電気主任技術者しかしてはいけません。


私が電気を扱う上で100V~22000Vで意識してるのは電圧のあ
るの2点を接触させない、電流が流れてる回路を裸SWや接点で
開放しないという2点です。それさえ常に意識してれば電気事
故のほとんどは防げます。そんなの常識じゃない?そう誰しも
思うのですが、なぜかそれが起きてしまうのです。何年電気を
触っていてもその意識だけは大切にしています。電気を扱う
とは危険物を扱うのと同じです。


⇒最新記事へ