クランプメーターによる保守管理基本をどこよりも簡単に説明したい
と思います。ビルで電気主任をする場合、専用回路である動力回路
ではまず電気的トラブルは発生しません。保守管理や漏電故障で一
番係るのは単相三線式回路でこの性質を理解しておく必要がありま
すが今更電気主任が聞けないという話ですね。こういう負荷が接続
されてるとして電流は各線でどうなるかです。通電前は当然0mAで
すが正確に示したいので0.1mAを正確に測定できるクランプメーター
で実験を行いました。
同じランプですから電流は赤、黒共に理論的には同じですが
容量の微小な違いはあるのでその差が中線の黄で測定され
ています。3本の電流を見た時に何KVAの負荷があるかわか
りますか?保守管理する上で回路にどれだけの負荷KVAが
あるのかわからないというのは電気主任として問題です。実
際の表示では350A、23A、321Aみたいな感じに単相三線式
ではメーター表示されます。真ん中の値は関係なくこの場合
ならば電圧(100)×(350+321)VAが求める値です。意外と三種
がありながら答えられない方が多いです。実際電圧は100~
105Vの範囲ですから正確には電圧を実測されてください。
消費電力Wを求めるならば電力クランプメーターとか測定ツール
がないと回路力率がわからないので計算では求められません。
単に負荷量ではなくて省エネどうこうを検討するなら電力測定
も今の時代必要です。電気料金は電力量にビル電力単価を
掛けた物ですからW数が下がらない事には何の省エネ効果も
ないのです。テナント要望で調査する場合、お金に係わる事
は理論や計算ではなく実測でないとダメです。
この単相三線式回路の消費電力はP1+P2で19.69KWです。電圧
と電流で求めた皮相KVA(VI1+VI3)は必ずそれより大きくなりま
す。もし23KVAなら19.69÷23で総合力率は0.86という事です。
(電力を測定できる特別なクランプメーターというのもあります)
尚、埃がするのを防止するためシートを取付しています。
最初の話に戻り次に赤にランプをもう1個追加しました。当然
電流値は倍となります。本当はランプは少し点灯しています
が撮った時の光で消えて見えるだけです。
黄には赤と黒の差電流が流れます。赤と黒を同時に測定しても
同じ値が測定されます。このランプは1個当たり13.5mA~14mA。
赤黒一括でランプ3個分の電流が測定されると一般の方は思うで
しょうが赤と黒に流れる電流は位相の向きが逆なので2線の電流
値の差をクランプでは表示しているのです。だから黄の線と同じ値
になります。発生する電流のタイミングが同じならDCの様に計算で
きますがACではこれがあるのです。電圧波形に対しての時間的
な発生のズレを位相とか角度とかで表現します。
すべての赤黄黒を挟むと0Aになります。これは漏電していない
という意味です。私が毎月テナント分電盤主幹でI0測定をして
るのはこういう意味です。停電しなくても精度の高い測定ツール
で行えば絶縁抵抗判定がメガでなくてもできます。絶縁抵抗測定
のためだけで停電させるなんて年に1回しか現場ではできません。
位相も含めた電源電流の総括は漏電がなければ理論的には0
となるは三相の場合でも同じです。後現場で働いてない方と思い
ますが中黄線の電流が多いと漏れ電流が増えると勘違いされて
る方がいます、どれだけ3線の電流値がアンバランスでも漏電に
は影響しません。ただACを電源として使うため対地間静電容量
回路なる見えない回路が絡むため実際漏電がなくても完全0に
はなりません。ですが通常それは微量です。
下絵で説明するとメガはDC電圧を使う事で対地間静電容量Cの
影響を受けず純粋に対地間抵抗Rを測定します。ただ停電して
測定するがために意外な盲点があるのです。(前記事参照)
私の絶縁抵抗管理では停電させ行うメガと停電せずに行う今回
説明してるクランプメーターによる方法のどちらも必要です。
黒と黄の2本に接続されてるランプをコンセントや何かの機器と
考えてください。2本を挟んでI0を測定しても漏電チェックができ
ます。5台の機器があるなら1回路づつ測定していけば絶縁不良
機器を探せます。乾燥した事務所環境では単独1回路ならI0は
0.1mA程度程度、各回路I0総括が上の主幹の3本挟む方法で
測定されるのです。ただこのポイントの管理基準は1mA未満
(千分の1A未満)ですからそれが測定可能なクランプメーター
を準備する必要はあります。
ほとんど3万円以上しますが共立のこれが実売25000円で販売
していました。0.01mAまでいけるので性能も申し分ありません。
この価格で径が40φあるのもいいですね。私と同じ活線状態での
絶縁抵抗管理をされるならば会社に進言して購入手続きを取ら
れてください。貴方の博学だけで管理状況は改善しないのです。
漏電や毎月行う変圧器B種接地電流測定では最低1mAを正確
に測定する能力が必要ありホームセンターで売ってる1万円
クランプメーターでは100%それらの目的には使用できません。
普通のクランプメーターでもし変圧器B種接地電流を測定し
0Aと表示されてもそれは単にI0を検出できてないのです。
B種接地でI0の一桁はありますが生きてる変圧器でI0が0A
なんて詳しい方が聞いたら不審に思われるはずです。
単相三線式で中性線欠相してはいけない実験ですがこの場合
電圧は倍になっても負荷抵抗も倍で電流値は変わらない又同
じ抵抗値だからV1=V2=100Vで影響はない。でもこれは実験
の世界でまずありえないので抵抗値に比例して200Vが分圧
してV1=150V、V2=50Vとかありえます。そうなると150V側に
接続される100V機器が焼損するので単相三線式での中性線
欠相はガチにヤバいです。でも漏電や過電流保護では中性線
の欠相保護はできません。焼損した場合に被覆が溶けて漏電
によるELB動作か変圧器地絡で気がつくかもしれませんね。
だから単相三線式主幹MCBはその保護機能がついています。
古い現場の単相三線式主幹MCBにはない事が多いです。
私が住んでるマンションでも中性線欠相保護あります。各回路
の漏電量をCHECKするなら緑線のとこでクランプメーターでI0
を測定すればいいのです。家では30mA_ELBなので最短15mA
漏電で動作します。ですが基準値ギリ0.1MΩでは1mAでELBは
動作せず!劣化兆候を発見するためにお仕事では絶縁保守管
理をします。乾燥環境で主幹一括100Vメガで20MΩ以上、主幹
I0で0.3mA未満であって当たり前です。絶縁抵抗が0.1や0.2MΩ
なんて劣化進行中で半年以内には0.05MΩ以下になります。
SRC構造のビルと違い住宅は漏電に弱く火災に直結するので怖い
です。絶縁抵抗の法定基準値は最低限界値である点は意識しま
しょう。住宅程度のボリューム盤で主幹は通常I0で1mA未満。
I0が10mAもあればどれかの子回路の絶縁抵抗が0.1MΩ未満で
ある可能性が高い。当然主幹ELBは動作していません。いずれ
主幹ELBが動作した時点で異状に気がつくでしょうがもう劣化が
進行した状態で不良箇所の一式取替しか対策がないのです。
主幹ELBが切れるのは癌で言えばステージ3状態ですね。
1mAで動作するELBが仮にあり主幹に使用したらエアコンとか
インバーター機器などが稼動した時に誤動作してELBが切れる
かもしれません。ELBは高調波ノイズや対地間静電容量により
誤動作をする、いえその動作原理上仕方ないのです。
住宅では4年に1回しか検査してもらえませんが電気主任として
電気担当がいる環境では前述したステージが3になる1か2の
状態で見つけるために私達は保守点検をしています。それでも
100%漏電を事前に見つける事はできません。一般の方で自分
の家の漏電が心配なら上で紹介したクランプメーターを購入し
て主幹で月に1回I0を測定されてください。測定業務には資格
は必要ありません。異状があれば次にどの子回路かを調べ次
にその子回路に接続されてる機器をコンセントから抜いてみて
ください。これで改善しないならコンセント内部で焼損が発生し
てる可能性が高いので電気屋さんに大至急連絡です。
(天井の照明器具が漏電するのは絶対はないが極めて稀)
停電できるならばメガなら15000円程度で買えます。家で使う
場合は100Vメガ専用機の方がいいです。単相三線式の200V
は対地電圧100Vなのでこれで構いません。勤務する会社では
間違えて設備員全員が500Vレンジをテナント盤で使用しない
様に私の提案でこれを購入してもらいました。amazonでも楽天
でも買えます。とても使い易く安全対策もあり、お勧めの1台です。
会社でも単相三線式盤のメガ測定は100Vメガだけでいいのです。
感電、漏電とは線間電圧値ではなく対地電圧値で発生するわけで
対地電圧と同程度の電圧をかけその時の対地間抵抗を測定する
のが極めて合理的です。絶縁抵抗測定は使用電圧相等の電圧で
の測定を推奨するとよく聞きますが私はその使用電圧とは対地電
圧と理解しています。(低圧絶縁抵抗測定は試験電圧値の法的定
めがないのでどこも推奨なる曖昧な記載ですから電気担当として
実施根拠を説明できる方法で行うべきです)
対地電圧とは電路と接地間をテスターで測定すればわかります。通常
メガは電圧も測定できます、何V電圧レンジで絶縁抵抗測定すれば迷
う時は回路の対地電圧を測定されてみればいいのです。これが三相
なら対地電圧200Vです(動力変圧器二次側は通常デルタ結線)
紙の上で理解してるだけでなく自分で測定確認してこそそれは技能
となります。何でも座学や知識だけで検証していては真実はわかり
ません。同じ線間200Vでも単相三線式は対地電圧100Vで三相は
なぜ200Vなのですか?そういう疑問は実測した人しか生まれません。
(ただ三相もRSTのどれか1相はB種接地されてるのでその相の対地
電圧は0V)_故障発生調査時など凡人はプレッシャーがかかると頭
だけの知識は一瞬の健忘症となる。でも目で手で感覚で身につけ
た経験だけは絶対に忘れる事なくそれだけが私にとっても頼りです。
500KVAとわずか12VAの変圧器は人と蟻ですが基本となる性質は同じ
なのです。12VAの変圧器ならば誰でも購入して触れたり実験できます。
変圧器の並列運転について実際に実験してみました。尚、変圧器基本
性質は以前検証しました。⇒変圧器特性実験
1. 定格電圧が一次及び二次側とも等しい。
2. 百分率インピーダンス電圧が等しい。
3. インピーダンスのリアクタンス分と抵抗分の比が等しい。
4. 極性が等しい。
同じ物ですから極性さえ合っていれば並列運転は問題はありません。
amazonで購入した100/24V変圧器による並列運転ですが電源配給
能力が倍になったと言えます。尚、配給電圧が100Vより少し高いため
二次側の電圧も27Vあります。
変圧器一次側は0-100-110で0に電源の接地側を接続し100に
非接地側を接続します。変圧器二次側は0-6-12-24ですが24
を使用するとします。2台の変圧器の二次側を接続する場合は
0-24と0-24(下1)ではその間は48V、24-0と0-24(2)では
その間は0Vです。又一次側Vを接地側である電位0Vとすれば
二次側Vも同じ。通常変圧器の一次側と二次側の電圧の出方
は同じ向きでこれを減極性と言います。この様に変圧器には
極性というのがあります。ここでは●のある一次側に100Vをか
けて同じくその●二次側が24V端子です。変圧器二次側UVを
乾電池の+-で考えたらより理解できます。
0-24と0-24の接続1ですと55Vと結構高い電圧となります。
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