2017年5月14日日曜日

月例動力盤・分電盤点検(私流)

キュートでProfessionalな女性を今日は紹介します。
私もより一層の努力で未熟な自分のスキルアップをしていかないといけ
ないと思いました。こういう誰が見てもできる人になりたいです。
私は知力と頭の切れでは彼女に負けてますが、体力、気力では負てま
せんから後は努力という私だけの才能で頑張ります。
⇒ある女性エンジニア動画

どこの現場でも動力盤、テナント分電盤の点検は月に1回は行っています
が現場未経験の方のために私が実施してる方法を今日は紹介します。
まずは三相200V回路空調機などの動力盤からです。
空調機のVベルトや軸受など機械的な点検は営業時間外である夜か
早朝でないとできないので今日は運転中で点検可能な盤内の電気
点検についての話です。
たとえば下の構成だと①~⑤でI0測定にて絶縁状態の確認をします。
同時にモーター負荷電流の測定も行います。
(盤付の電流計の狂いもありえるのでその確認と実測が一番正確)
運転電流の上下変化は機械的な異常が原因による物が多く電流値
は単に負荷量を知るためだけの情報ではありません。


毎月測定していてこのI0値はほぼ変化しません。これが大きく上昇す
れば絶縁抵抗不良がどこかで発生している
のでその時は停止させて
絶縁抵抗測定を行い不良なモーター回路の調査が必要です。
(故障以外では機械を停止できないため月例点検では基本メガはできない)
20~30mAになっている場合は絶縁抵抗測定をしてみないといけません。
I0rでもほぼ同値ならばまず間違いなく絶縁低下が発生しています。
ただ動力盤は固定した設備しかなく途中で自由に負荷増設はないため
特に共用部設備では漏電事故は滅多に発生しません。

③測定ではあの位置でないとクランプが挟めません、充電状態だから
強引ではなく優しく挿入できる位置で測定を行います。
その時にモーターの負荷電流の測定も各RSTで行いますが31.5、31.8
32.0A程度の違いは正常ですが大きくアンバランスがあれば音や発生熱
まで通常より大きくなります。

又負荷電流が通常より低い場合はVベルトが磨耗してモーター動力が
空調機に円滑に伝達されてない、逆に高い場合はベアリング故障による
軸ロックの兆候があるのかもしれません。
そうした場合は回転音の異常も発生してるので誰でも何かおかしいと気
がつくはずです。

Vベルトで軽度劣化ならばベルトワックスをスプレーして営業時間終了程度
までは持たせて夜勤者に取替をしてもらいます。
インバーターではない定速度モーターでは負荷電流は1Aも変化しませんか
電流が下がるという事はモーター回転力がスリップしているのです。
結局その事で空調機の風量が下がり冷暖房能力が落ちるわけです。

グリースは半年に1回はグリースアップしてるので油切れトラブルはないです。
ベアリング不良では独特の音ですぐわかるので業者に連絡して夜中取替。
プーリーは機械を停止させないと異常はわかりません。
ビル管理の仕事に就いて空調機というのは同じ物でもベルトの針具合やいろ
んな条件の違いで微妙に音が違うのです。
もちろん着任した時はどの機械も同じに聞こえましたが今は音だけを聞いたら
何階のどの空調機というのが私はわかります。
正常に稼動してる時の音、文字にできないけどそれが大切かと思います。
ベアリングの異音を放置して軸ロックによる過電流でモーター停止の結末
は人災と言えます。★盤点検では電流値だけでなく回転音も意識します★
電気しか頭にない電気屋さんはビル・工場では勤務できません!

電圧は各マグネット二次側にて運転状態で測定します。(赤矢印)
青矢印のポイントで測定してもあまり意味がないです。
マグネット接点で単相状態への兆候が発生していないか知るため
に運転状態で電圧確認
しているのです。
(尚、スターマグネットが動作するのは起動時の10秒程度の間です)
スターデルタ回路でモーターの絶縁抵抗測定は写真のクランプを挟ん
でる充電部で行ってください。
間違えてもMCB二次側やメインマグネット一次側では無意味です。

制御系の正常時I0は通常1mA未満です。
電源ユニットがある場合で3mA程度となる場合はI0rで測定すれば確認
できますのでこういうケースではI0rクランプメーターがほしいですね。
操作電源とはモーター運転制御に関する電源で自動制御電源とは温度
制御、圧力制御などを行う回路の電源です。
屋外の機器類に接続されている場合はこういう物でも絶縁抵抗不良を
起こします。又こういう制御系にはメガでの絶縁抵抗測定を実施する
のはお勧めできません。(精密装置を故障させる可能性あり)
ですから私は制御回路の絶縁判定はI0/I0rでしか点検を行いません。

⑤の自動制御電源は隣の自動制御盤主幹MCBに接続されています。
これが故障すると冷暖房の自動制御ができなくのでメガは禁止です。
100Vメガだから大丈夫なんて!どうしてわかるのですか?
モーターは最悪回路をいじる事で起動させる事はできますが自動
制御はコントローラーが壊れたら取替しか方法がありません。

テナント分電盤においては主幹の1点でI0を毎月測定しています。
ほとんどが3~10mA程度ですね。

テナントすべてを一度にはできないので分けて少しづつ測定を行います。
私の経験上、短絡事故というのは意外にもほとんどありません!
★テナントでの電気事故の9割以上は私の経験では漏電です★
(電気主任をする場合は漏電対応というのはできないといけません)
テナント負荷状況、規模により若干違いますからあくまで実測した
dataがすべてでいくらがI0適正値かというのは現場事に調べます。
ですが主幹でI0が3~10mAの盤が30mAとかに急になっていると
子回路MCBのどこかに絶縁不良回路がある可能性が極めて高い!

主幹の下子回路(20AのELBやMCBの事)での2線I0測定となると
リーククランプメーターで測定し正常な絶縁状態ではI0で1mA未満。
I0が約44mAの状態ですとELB回路ならば15~30mAでトリップしま
すがMCB回路では対地間短絡に至るまで切れないので絶縁抵抗値
はほとんど0に近い状態で使用された状態でした。
このクランプメーターはI0rの測定もできますが20AのMCBやELBの
単独回路でI0が10mA以上も出てる場合100%で絶縁は0.1MΩ未満
なのでI0rの測定は今更しません。
右は不良回路発見時で絶縁修理を行ったらI0は0.05mAに回復です。
コンセントに使用された機器の急な不良、電線人的破損などあり年1
の保安規定による絶縁抵抗測定のみで安心していれる状況というのは
新築~築10年未満のビルや工場だけでしょう。

私が勤務する現場には低圧地絡警報がありますが故障原因の回路
変化で言えばかなり絶縁劣化が進行しないとわからないのです。
コンセント回路は対地電圧が100Vだから絶縁基準限界は0.1MΩで
仮に0.05MΩの状態が発生してもそれで流れるI0は2mAです。
変圧器の低圧地絡警報(LGR)設定が50mAならばそれが動作する
までとなればかなり絶縁状態劣化が必要となります。
ですからLGRが出てないから絶対にそのビルや工場内で法定値未満
の絶縁状態回路がないとは言えません。

★電気主任が毎月主幹でI0を測定する事には意味があります★

測定結果はエクセルでシートを作成してテナント事に保存しておけば
いつでも状況がわかります。★記録整理が大切です
テナントすべてのため膨大な量でありPCでの管理が便利ですね。
こういう変化はグラフを入れて誰が見てもわかる様に作成します。
過去1年分の平均値をそのテナント分電盤主幹においてのI0管理
基準
とし翌年は使います。(根拠は質問される事がある)
data化する事ですべてのテナントの分電盤主幹の通常時I0値
は常に暗記しています。そうでないとdata化の意味がありません。

今からこういうdataを取る場合は中にはすでに劣化状態を含む回路
もあり単純にI0平均値を管理基準とするのは怪しい盤もありそうです。
そういう場合は同程度の回路の状態を統計的に比較してください。
主幹のI0が一桁なら問題ないけどそれ以上ならば初めて調査する
場合は子回路のI0をすべて面倒でも測定される事をお勧めします。
年1の全館低圧絶縁抵抗測定を実施し不良回路が判明した後から
こういう管理を開始するのが一番スムーズでしょうね。

測定をしたら値をホールドしテナントにも見せ確認してもらったら以下
用紙にサインか印をしてもらいます。
テナント財産に電気を配給する部分なのでせっかくならお客さんにも
状況を確認してもらいこうした記載を残せば何が発生しても電気主任
技術者としての立場も守れます。
どんな点検項目でただ異常なしに〇しても常に見間違いという疑念は
生じる物で値として二人の目でしかも客先にも確認してもらい異常
なしならば
その測定した時点では異常なかった確かな証拠です。

これにより突発的な漏電が発生しても私は一度も管理が悪いと言われ
た事はありません。
"毎月よく見てくれてるのに申し訳ない"とテナントには逆に言われる事
が多いです。小さな手間で大きな信頼を得る一つの方法ですね!

実際に電気火災が発生して消防が絡むと最初に指摘を受けるのは
消防署です。
(工場勤務時代に火災経験しました、当時私は単なる設備員)
"一番直近の絶縁状態を示す値をいつ測定したのか"それが重視される
わけで"保安規定により年1の絶縁抵抗をしている。ただ10ヶ月前"と
返答して消防査察担当が素直に納得してくれるかです。
10ヶ月前の値が異常ないからその間に漏電が起きない保障なんてない!
私がその立場なら納得しませんから10年を経過してる様な建物は何ら
かの方法で絶縁調査を毎月行うべきです。

毎月昼間でも停電させてくれて絶縁抵抗測定をさせてもらえるなら問題
ないけど今の時代にはそれは無理という物です。★だからI0/I0r★

誰にも絶縁状態を理解してもらえるのはやはり絶縁抵抗値MΩですから
調査の段階では停電させなくても末端の故障原因が判明したらそこは
停電させて絶縁抵抗測定を行いそれを根拠に修理したり業者への修理
をテナントにはお願いします。
I0rなんて説明しても普通の方には理解できないので調査を迅速にする
ための電気主任だけの有効な方法の一つと私は考えています。
どういうオリジナルな点検方法をしても保安規定で定める点検項目は
必ず実施した上での方法です。


今回の月例点検方法は充電状態で測定を行うので主幹のトリップボタン
に指が触れない様に
十分に注意されてから行ってくださいね。
盤が高所にあるならば脚立を使用して目線と同じ位置で測定する事!
下から上の視線で作業するとMCBのレバーに触れて切るかもしれません。
測定中に自分の不注意で店舗を全停電させたら笑っては許してはもらえ
ませんから指先の動きには十分注意して作業は行います。
下手すると会社の上層部まで話が行って処分されます。(減給、解任)
電気をテナントに無断で切るというのは情報関係の損失が発生すると特
に面倒な事になるのです。(故意でなくても不注意という点で責任あり)
もちろん飲食店やお店でも全停電を発生させても同じ事ですからね。
こういう作業は簡単に思えても電気をわかってない設備の仲間にはさせ
てはいけません、あくまで電気主任自ら測定作業を行うのです。


漏れ電流による毎月絶縁管理を始めるために測定器を会社で購入計画し
てるならば今最高のツールはマルチ計測器のMCL-800IRVで決まりです。
CT口径は80mmであり1台で負荷電流(I)+漏れ電流(Io)+抵抗分漏れ電流
(Ior)を測定可能です。口径はこの程度はないと分電盤の主幹を挟めません。
ただ10万円を超える購入申請は通常面倒なので私が使用してるMCL800D
でも口径80mmのリーククランプメーター
ですから私と同じ管理はできます。
これなら5万円程度ですから普通の会社ならば購入してもらえるはずです。
口径は大きくてもノイズカットのできない少し安いのはダメですから注意!
こういう事を会社に説明して購入してもらうのも電気主任のお仕事なのです。

たとえ貴方が電験1種を持っていようが状態を正確に知れないのならば
必要な道具(測定器)なくして質の良い電気管理は絶対に無理です
電気を止める事ができない今の時代、充電状態での絶縁管理は電気屋の
永遠の課題かと思います。漏電発生時においても電気を止めないでの調査
を求められる時代です。



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