2017年3月16日木曜日

低圧地絡警報が出ています。

過去記事で停電時の対応を2回に分け前半訓練が終了しました。
次は後半の復電操作についてですから今日資料を作成しました。
リーダー(係長)に見てもらって問題がなければ職場の皆さんにこの内容
で教育するつもりではいます。
文字だけのマニアルでは停電なんてないと思ってる人はなかなか覚え様
としないので今回は中学生でも理解できる様に作成しました。
特に50才以上の大先輩にもわかる様に現地の表示も工夫しました。

3月となりある変圧器で低圧地絡警報(LGR)が時々発生しています。
すぐに変圧器のB種接地で測定すると3mAといつものガチな正常値!
ところが最近少し発生時間が長くなり5分程度継続はするので変圧器
の各二次側回路I0測定でL4回路であるのはだけはわかりました。
そのL4回路は毎月のI0測定では5mA程度で地絡時は140mAになって
いるから間違いなくこれに接続される3店舗のどこかです。
私の経験からこのまま放置するとこの発生頻度が更に多くなりI0も
500mAまで上昇するでしょう、更に放置すると1000mAまで上がりもう
今すぐでも電源を止めないといけない事態となります。
(文献では1000mAを超えると火災の危険性があるので今の段階で
原因を早急に見つけないといけません)

実はこの2月に停電作業でこれら店舗の低圧盤の絶縁抵抗測定をして
いて絶縁は各100Vメガで20MΩあり盤内にもネズミなどの異物もなし。
おそらく接続される冷蔵庫や製氷機などコンプレッサーなどの急な不調
ではないかと思っています。
(業者が機器点検しても点検した時正常では異常を見つけられません)
そこで2月の点検は別に新規に幹線メガからこの3店舗については
絶縁抵抗測定を再度実施する事にしました。

2店舗は事情を言って分電盤の絶縁抵抗測定を朝していますが幹線と
難しいオーナーがいる店舗だけは完全に夜中に行うしかありません。
だから当日2店舗は主幹一括メガのみとしています。

完全にI0が300mAとか出たままというならばクランプで追っていけます
が今はそれがいつ発生するか不明で出ても継続時間が5分程度では
とりあえず絶縁抵抗測定を行ってみたいと思っています。
正常なら絶縁抵抗値は20MΩはあるからあれでもすでに1MΩ未満と極端
に低い値となっていれば発見できる可能性はあります。
ここで理解してほしいのは法定基準ではなくて過去の各場所でのこれまで
の絶縁抵抗値を基準に私はしています。
0.1MΩというのは最低基準であって2月に20MΩなのにたった1ヶ月で0.1
となったならばそれは法的には合格でも実際は不合格です。


会社の方にこういう作業計画書を私が提出してからこれを元にフロアー
担当が各店舗に作業許可のお願いに行かれます。
会社というのは何でもこういう手順が必要なのでPCで書類作成をする
のが最初の電気主任のお仕事なのです。(エクセルで作成)

この日の夜勤の人はあまり電気に詳しくないので私一人で行います。
(不慣れな補助者ではその方の行動結果まで私が確認しないといけない)
もしこれで原因が特定できないならば出入りの電気業者が24時間監視
と記録できる測定器を貸してくれる話になってるのでそれしかないです。
もちろん無料ではないので先に出来る事を電気主任として次の話です。
こういう間欠漏電と思われる状態が一番難しいです。

冷静になって考るとI0が140mAも流れて切れないという事はMCB回路。
(3店舗共に主幹はMCBなので子もMCBだと漏電では切れない)
ただそれが20MΩ⇒0.5MΩとかにわずか1ヶ月でなっていても0.5MΩの
ままなら変圧器で低圧地絡警報は絶対に出ません。
何かのきっかけで間欠的に絶縁値が更に低下してるわけだから絶縁の
低い回路を発見できたら30mAのELBに
してみようかと思っています。
それでELBがトリップしたら原因はその回路に接続される何かです。

こういう機器不良漏電では測定した瞬間の値が急に変化するケースが
あり"今、法定基準値以上ある"はアテにはならないのです。
もちろんELB取付には事前にテナント許可が必要です。
天井裏の配線に埃などが堆積して経年的に劣化する絶縁抵抗値低下
では20MΩ⇒0.5MΩの様な急激な変化は発生しません。

地絡状態のI0を変圧器⇒回路確定⇒EPS盤とまできてそのEPS盤を見ると
更に2系統に分かれている、だけど片側しか測定器が挟めないとしたら?
片側でも入るならもう片側の状態は差でわかるからのは理解できますよね。
右が5mAとかなら測定できなくても左回路先のテナントに漏電があります。
こういう当たり前でも慌てていると凡人はつまづくのです。
こういうEPS盤内のMCBは絶対にどんな理由があっても切ってはいけません。
特に表面にあるトリップボタンに測定中に触れない様に注意されてください。
店舗が全停電となり損害が発生でもしたら弁償しないといけなくなります。
停電させないで測定するのはいいんだけど測定上のうっかり事故は始末書
や程度によっては減給となります。


いきなり停電させて笑って許してくれるテナント、店舗なんてないです。

電気主任になると電圧が低下した時にどんな影響があるのか職場の仲間
とかに急に質問される事があります。
必要な時に即座に対応できるが職場での貴方の一番の評価ですからこう
いう答えをいくつか用意しておきましょう。
同じ電験を勉強した相手に教えるなら計算式でも構いませんがそうでない
場合そういう答え方は駄目です。
説明をするのに数学をまず勉強してください。なんて人に教えたいのか相手
を試しているのか?という事になるからです。

こういう質問には私はいつもモーター(誘導電動機)の起動を例に説明します。
テナントさんはこんな質問をしてくる事はありませんからたいていそんな質問
は同じ職場の方です。
まったくの機械や電気については素人ではないのですぐわかるはずです。
すべりS=1はモータ停止中、ですべりS=0は同期速度が○○なんて話は出さ
ないで簡単に定格速度という話ですればいいです。

モーターの配給電圧が正常に200Vあればモーター発生トルクは回転数に
応じた負荷要求トルクを常にOVERしていますがもし電圧が低下すれば曲線
のa~bの範囲では逆に下回る事となります。
実際にはa点からモーター回転数が起動時に上昇しない事になります。
つまり起動時の高い電流が下がらないという意味でこのまま放置すると
モーターは焼けてしまいます。
それを防ぐためTHRが動作して過負荷トリップする事になるでしょう。

実際はS=0の同期速度では誘導電動機は回転を継続できないので下の
様に起動完了後は同期速度より少し低い回転数で運転継続を行います。
同じ一致でもa点で運転継続しては高い起動電流のままなのでヤバイと
いう話ですね。
実際無理だけど仮にすべりb点まで回転数を外から上げる事ができたら
モーター発生トルクは負荷要求トルクを超えるので100%電圧より少し低い
回転数で回転は落ち着きます。

すべりSが小さいほどモーター内部での電力損失も少ないのです。
P2:Pm:Pc2=1:(1-s):Sは電験を勉強されてる方はご存知と思います。
モーターを過負荷状態にすると熱くなり内部の絶縁がE種程度なら
モーター表面温度が100℃とかになったらヤバイです。
普通は70%負荷程度では屋外タイプで涼しい季節なら表面で40℃程度
屋内型なら50℃程度と思います。表面温度で80℃までなら平気です。
50℃以上は触れられないのでモーターの温度点検は非接触式温度計
で私は行っています。

モーターへの配給電圧が低下するというのは具体的に考えたら変圧器の
二次電圧が低下するという話ですがこのお仕事をしていて配給電圧が
所内設備の原因でそうなった事は一度もありません。
そのために年次点検とか業者にさせてるしOIL式変圧器ではサンプリング
試験もして必要ならばOIL交換もしています。
ただ電力会社からの周波数はまったく変化しないけど受電電圧だけは微妙
に変化するので変圧器二次側で数ボルトの変化というのはあります。
又普通のビル現場で変圧器が100%負荷状態となるのはまず有得ないです。

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