2017年1月26日木曜日

電気主任技術者 工事安全対策

近日NO3変圧器を1000⇒2500KVA変更に当たり通過電流が倍以上と
なるのでパーツ更新工事の様子です。こういう時こそ学びの時ですね。
お仕事の隙間を見て普段の疑問点などを職人に質問・相談します。
本でいくら調べてもわからない事も彼らの経験を通せば一定の答えが
いつも得られるのです。

この変圧器の一次側と二次側で同じ内容の工事が必要となります。
一次側のスケルトンで説明すると赤線部分で二次側も同様です。

これは変圧器二次側の取替だけどこういうCTやVTは昔からあまり形状
が変化しない物なのですね。
尚ここの電圧は22000Vではなく6600Vですから同じ2500KVAであって
も通過電流は約220Aとなります、つまり300/5のCTとなります。
そうなるとCT二次は3.6Aだから1.5倍値目安でOCRは5Aに設定します。

NO3変圧器の二次側DS一式更新は明日されるそうです。
ここだけなぜか固着する癖があったので取替を会社にお願いして
いました。(DSを抜く時にとても硬い時がある!)

変圧器一次側も同様にまず電流計とCTが変更となりました。
2500KVAで22KVだから定格電流は約66Aになりますから電流計
は100Aを選定となったのです、CTも100/5とそれに合わせます。


NO3変圧器のOCRは受電用OCRではありません!
前は1000KVAなので26.2Aですから50/5のCTで2.62Aですね。
3Aタップを選定してるのは当時これを設定した人は3÷2.62で114%
負荷でOCR動作としたのがわかります。
2500KVAなら65.6Aですから100/5で3.28Aが定格、その114%
ならば3.7Aですから3.5Aのタップでこの場合ならいけますね。
尚、瞬時は20⇒30A変更で変圧器突入電流は防げるはずです。
(基本既存設定の考え方を継承して設定すべきだと思います)

更新工事ではメーカーの方で保護協調も考えて設定変更案を電気主任
に持ってくるので工事をするならば事前にOCR設定を勉強しておきましょう。
最終的には電気主任技術者の同意の上で新しい設定変更で運用
を開始する事になります。

★同意ですからメーカーと同じだけの責任が電気主任にも発生します★

これは受電OCR(赤)が変電所のOCR(51K)より早く動作するという保護協調
を示す物ですが更新機器の過電流保護の曲線はビル内ならば受電曲線の
必ず左側に網羅されていないといけません。
いかなる場合でも受電が更新機器より先にトリップしてはいけません。
私が勤務するビル受電OCRは計算検証したら契約電力ではなく特高変圧器
のトータルKVAの1.5倍を動作点にされていました。
昨年受電VCB更新工事の時に業者は契約電力基準に変更しようとしましたが
これまで年次点検結果もそれで記載してるしこれでこれまで何の問題もなか
ったのですから
受電OCRについては変圧器定格基準でする事にしました。
一般論よりその現場の過去実績を私は優先して考えています。
★私がこれからは保守管理するのですから自分が納得できない事は業者の
提案でも他現場がどうしてようが受入れるわけにはいきません★

今回の工事で中央監視のレンジ変更をする業者から元請の工事責任者
からもらった資料の新しいCT比率はおかしいと私に相談があったのです。
それで私も確認したら明らかに少ないのです、下請けから元請には反論し難い
立場を理解し、私から元請の電気工事施工管理技士に指摘をしました。
これでは冬はいいけど真夏にレンジオーバーをしてしまうので指摘をしたら
記載間違いなる回答がありました。そう業者であっても間違いはあるのです。
あの後8万円する特高検電器を寄贈しますともってこられたので私もこの件
はこれ以上は言わない事にしました。(ちょうど買い替えを考えていた)

実はこういう液晶表示が標準ですが私が電気主任の間は重要設備に
あってはデジタル表示以外の針式メーターも残します。
故障して困る部分こそVTやCTで単純に動作する針式が一番です。
又職場の50代以上の方は老眼で液晶が見えないという理由もあります。
電圧、電流、周波数、力率が一度に見れる点で機能としては便利ですね。

変圧器一次側VCB盤のとこには工事期間中は接地をつけています。
DSやVCB投入操作は本工事においては私以外は操作禁止なので間違
えて通電する事はありませんがだからとこういう事は省略はできません。
こういうとこで取付作業をする時は腰道具などは外して行います。
もし工具などが碍子(白い部分)に落下したら破損させますから!
都合で足場などを電気室内で組む場合も足場業者には必ず注意をして
ください。ああいう人は足場を組む以外考えていません。

2500KVA変圧器は電気室には事情で入れられないので屋外設置の
キュービクル式としてケーブルでこの電気室と接続されます。
そのため建物のコア抜きが必要となりましたが1級建築士を持つ職場
上司から抜いた後の防水処置を質問されました。
モルタルを充填して防止処置をしてと説明したのだけどそれでは駄目
だと指摘を受けてしまいました。
施工業者の責任者を呼んで詳しく説明してもらいましたが建築関係に
なると私も専門ではないので困ります。
でもそういう1個を経験する事で私の無知も1個減るわけでこういう
工事はいろんな意味で勉強になる事が多いのです。

2500KVAの変圧器は2月になったら夜中に大きな車に載せて持って来る
そうです。(搬入に25トンのレッカー車が必要との事)
尚、今日のは現場だけの工事で遠隔監視もレンジがアップするので弱電
とソフト面の変更・部品交換が必要となります。
それらがすべて終了したら2500KVA変圧器を接続の上で使用前自主検査
(耐圧、絶縁、リレーテスト、接地抵抗など)を行い合格後に充電します。
最初の充電を試充電といい10分程度問題がないのを確認したら負荷を
接続、更に二次電圧や外観異常がなければこの取替工事は終了です。

現状負荷を考慮したら今回のNO3変圧器1台でもビルの運用は可能です。
2500KVAを選定したのは数年後に建物の大幅な増築を計画してる事を考慮
した結果です。又無駄な待機電力を減らすため当面はNO3変圧器1台で運用
する指示を技術部長からは受けています。(受電OCRも設定変更が必要)
今回のNO3変圧器更新工事では付随工事込みで4000万円かかるそうです。
でも500KWの非常用発電機を燃料タンクも込みで新設したら1億円かかる
そうですから高くはないのかもしれませんね。

6600V変圧器更新なら上に22000Vの保護回路があるけど今回はその
22000Vにつながる電圧の変圧器取替工事ですから波及事故について!
電力会社担当から私にその試充電の時に間違えても線路が落ちない様に
保護協調を十分に考慮して行う様に確認の電話がありました。
もし落ちて隣のビルまで停電させ損害が発生したらオーナーが弁償謝罪
が必要となる、電気事故として事故報告も必要となるので前述した継電器
関係の設定に間違いがないか業者任せではいけません。
こういう工事では電力会社の許可が必要と思っていましたが必要ないのは
意外でした、ただ事故を起こせば全責任を問われのは言うまでもないです。
(電力会社との配給契約の中に需要家内での工事が原因とする損害は
全額需要家が責任を持つ記載があったので今更言われません)
そういう波及事故を起こさないために試充電の前に使用前検査をします。

電気工事作業をしてもらう時は作業前に職人に高圧検電器で当てながら
受電部とそうでない部分は見たらわかるじゃなく説明をしておきます。

ただ事故に絶対の安全はないですから私が勤務する会社では高圧盤に
触れる場合はこれを腕につけるのがルールにしています。
これは30cm程度に高い電圧が接近するとアラームで教えてくれます。
VCB操作、引き出し、DSやLBS開放作業をする時は私も着用しますの
で作業する業者さんにも貸し出ししてお願いをします。

もし事故が発生した場合に電気主任としてどういう対応をしたのかが
問題となるので人を使う時は自分が行うつもりで安全については意識
が必要となります。
電気主任技術者の職務は受電設備や配線など電気設備の保安監督
である事を忘れてはいけません。
後何の作業をいつしていつ終了したのか時間も忘れずに記録します。

こういう全体で数千万円の電気工事では業者側に電気工事施工管理
技士がいて
その人と電気主任技術者は工事中のやり取りを行います。
当然そういう方がいる場合は工事工程表から緻密に計画されています。
その中で電気主任技術者様操作とか電気主任技術者様ご指示なる
項目があるのでその点については事前に確認・準備をしておきます。
どんなに凄い電気の達人でもいきなり他の現場に来て何もかもわかる
わけではなくて工程表を作る段階で何度も状況の質問を業者側の電気
工事施工管理技士からされました。それはそうだと思います。

作業前に施工管理技士が中心となりKYやTBMは当然されますがそれは
それとして電気主任技術者として伝えるべき指示は重複しても構わないの
で行います。
業者が勝手に打ち合わせをし工事がいつのまにか始まりそろそろ様子
を見にいこうか!ではそんな電気主任技術者なんていらないです。
そういう工事を何回か経験する事で作業の流れや配慮が私もわかって
きて日々今も勉強する事ばかりです。

たとえば停電させる時に私がVCB操作やDSを抜いたりする時はその業者
の施工管理技士も私の後で見ていて"○○系統VCB開放ヨシ"とか大きな声
で二人で指差し確認をしています。
もともな会社では作業のアクション事に指差し、声だし確認は当たり前で
黙って一人でSWを入れたり切ったりするのは安全意識を疑われます。
貴方が電気主任として現場に入った時はこれは必ず行ってください。
見たらわかるじゃないか!は事故や失敗が発生したら通らない時代です。
年間の届出の電気事故数が1万件を超えてる現実はそういう安全意識
の欠落が原因だと思います。

電気主任技術者は電気設備の保安監督ですから相応の会社に入社する
なら安全に対する知識は必要です。

又多くの企業では私が過去記事で紹介したこうした活動はされています。
私が勤務する会社でも毎朝KYT活動をしています。(会社命令)
⇒安全活動

私が勤務してるビルではテナントが退去して新しいテナントが入居するまで
その部屋の一部に照明タイマーをある理由でセットします。
このタイマーは渡り配線を内蔵してるので、電源S1-S2に単相電源を入れ
たらL1-L2に負荷を直接接続して照明制御ができます。
今日先輩がこのタイマーは電源S1-S2と負荷へのL1-L2を逆接続でも使える
と言っていたので一瞬"嘘つき"と心で思いました。
後からそれで取りつけた現場を見たら確かに逆接続でも照明がタイマー運転
しているのです。
よく考えたらこれは内部で渡り結線をしてるタイマーで回路図を想像したらその
通り電源と負荷の2線を逆に接続してもタイマー動作ができます。
(普通の電源回路と操作回路が分離してるタイマーでは無理、無電圧接点)

逆接続ではOFF時間中はタイマー回路通電は切れますが停電保障が次回
のON時間まで機能するならタイマー接点が閉じてランプに通電できます。
(同時にタイマー内部の停電保障回路の電池にも充電される)
停電保障が駄目になるとOFF時間になった時点でタイマーの通電はなくな
るでその時点でタイマーは停止したままとなります。
正常結線なら停電がなければ停電保証が駄目になっても照明制御は可能。
以上から当たり前だけどこのタイマーの逆接続はされない方がいいです。