2016年11月20日日曜日

電気主任技術者 照明器具から煙が!

最近強電関係の話題ばかりでしたので今日は身近な話題にしました。
もう3年前の事故ですが稀ではあるけどこういうトラブルもあるのを
これから電気主任を目指す方には知ってほしいと思います。


売り場のコルトンBOXの照明が切れているので蛍光灯を交換したけど
ランプが一瞬で切れたとフロアー担当の男性から連絡があり点検を
しました。(安定器不良と最初は思っていました)
男性が私の顔を見るなり"丸山さんカバーを開けてみたらなんだか
いつもより中が凄く熱いんだけど感じない?”と言われました。

あれ?そう言えばまるで中にヒーターがある様に熱い??????
どういう事かとしばらく配線とか見ていたら器具の1個から煙が出たきた
のでビックリしましたが気を取り直してもしかして指定以上の電圧が
かかっているのでは?
すぐ安定器の電源で測定したら225Vという中途半端な値で理屈に
合いません、EPSの200Vは205~210Vなのになぜなんですか?

安定器表面の記載を見たら100Vとあるのを知り天井内に電圧変換
するアダプターがあるタイプでそれが故障してあんな225Vという中途
半端な電圧になっていると瞬間感じました。
EPS直送で100Vが来ているのであればいかなる理由でもここが200V
になる事はありえません。それに225Vという値その物が変です!
ビルではこうした電源変換器を天井内に設置し200Vから100Vや12V
に下げて用途に応じたランプを取付するケースは割りと多いのです。
図面にはそういう細かい仕様までは記載がないので私もそこまで把握
できてないのが現状です。

そうこうしていたら残りすべての器具からも煙が出てきてもうEPSの
何番のMCBとか一切の調査をする時間がありません。
(5灯でも3A程度ですから1個のアダプターですべてのランプに電源
を配給してるのがこの時点でわかりました)
こういう事態では★即電源を切るしかないのです。★
必ず電源は1本づつで2本一緒にペンチで充電状態で線を切ったら
短絡により大スパークしてペンチの刃先さえ少し溶けます。
流れてる電流を単線で生切断するのでも少しスパークは出ますが
照明器具なら1台1Aも流れてないので実際僅かでした。


動力機器なら機器本体にSWがあるからそれでOFFすればいいけど
こうした照明器具は天井内で電源直結で器具個別にSWがありません。
これを10秒以内で電気を止めるなら切断しかないです。
切断時に出た火花で指を焼けどしない様に素手の作業は禁止!
ただ流れてる電流が相当で同じ操作をしたら危険行為ですから
やもうえない場合で数A程度が限度な行為でしょうね。

係長が事態を聞いて現場に来られたのですが原因は電圧が倍となり
焼損が発生したわけですが確かこういうのは温度ヒューズがあって
温度が上昇すると自ら電源を切る仕組みがある事も説明しました。
接近しただけで熱いと感じるほど加熱をしていたのにそれがなぜ
動作しなかったのかはわかりません。
家電でも電源に温度ヒューズがあるのですからこういう物が何も
安全対策がなく販売されてるわけないし、あのPSEマークもあり。
施工業者を通じてメーカーに返答させる事となりすべての器具を
ボックス内から下の様に撤去しました。

モタモタしていたらこういう事態となり安定器から周辺が火事になって
いたでしょう。
あの時は周辺に一般客も見ていて他人の不安を背中にたくさん感じて
いたので10秒以内に電気を止めるしかありませんでした。
それにこんな場所で火事にでもなれば一般客の誰かが消防署に通報
して騒ぎが拡大するのだけは避けなくてはいけません。
でも下事例の報告があるという事は器具内蔵の安全装置が動作しな
い事はありえる事を証明しています。


安定器の寿命10年というのは使用周囲温度が40℃を想定しており
調査の結果、問題となったのはコルトンBOX内部がカバーを閉めた
状態でランプ周囲温度が60℃を超えていたのです。
施工時に排熱用の穴があれば良かったのですが完全に塞いだ状態
でこの事が安定器の寿命を大きく低下させ正常な機能まで失った
可能性があるのです。
こうしたケース中にあるランプは開放状態ランプより劣化する可能性
が高いと言う結論になります。
すべての同様箇所を調査したら周囲温度が60℃近い物がいくつか
見つかり取付業者にすべて放熱対策をしてもらいました。

違う事例では飲食店の客間の蛍光灯が急に焦げ臭いと連絡があり
現地にいくと同じ様に煙がカバーから出てきた事例もありました。
これが俗にいう10年以上古い安定器は発火すると言われるケース。
(私が勤務するビルで過去5年間に3件この事故が発生)
さすがに私やもうえず店内の照明を切る事態となりました。
この発火初期の煙が出始めた段階なら通電さえSTOPできたならば
しだいに煙もなくなり危機は回避できます。
難燃材料のはずですが火が天井ボードまで飛んだら終わりです。
ただ200Vの照明配線が片切りSWのためその器具内の電源線は
2本完全に切断を行いました。

お店は全器具をLEDに変更されましたが賢明な選択だと思います。

このケースでは変圧器LGR警報もなく毎月の分電盤主幹I0r測定でも
当然年1のメガ測定でも異常が出ていないのです。
結局、私たち電気屋の調査方法は絶縁に関する調査が主体ですから
絶縁不良に至らない故障については調べ様がないのです。
又20A未満の電流で漏電にも至らないで機器内部で発生する焼損事故
については現場回路トリップもしないし、ビルにある漏電検知システムも
機能しません。

ビルで予想もできない出火とか煙に至るのは私はこうした古い照明
器具の可能性が高いと思っています

コンセントは見て手で触れる位置にあるのでトラッキング防止は可能です
が天井にある照明器具は通常器具を開放してまで毎年確認するという
のはどこの現場でもされてはいないはずです。
ビル全体となれば何百個となり無理ですからできる事と言えば絶縁管理
しかないのが現状なのです。
メーカーでも10年したら内部点検、交換を呼びかけている状況です。


過去5年間に3件の内2件は真下で肉を焼いたり火を使う器具で発生
してるのですが最初のコルトンBOXの例からも継続的な熱気で器具
周辺温度が上昇したせいでは?と私は思ってはいます。
10年以上経過した照明器具では取付場所の周囲温度というのは重要
な確認要素
ではないかと思います。
ただそうでなければ絶対に大丈夫かという保障は私にはできません。

点検しろと言われても個別でメガに問題ないとしても安定器材質の内部
劣化まではわからないし電気主任としてもそんな古い安定器を異常なし
とオーナーに言うには問題があります、メーカーに聞けば間違いなく
交換を勧められるでしょう!それならば今の時代は.............

LEDランプなら熱を出す安定器もないしボルトフリーなのでアダプター
も必要なく
予想できない電気事故もかなり低減するのが道理です。
ただホームセンターにある"工事なしで使用するLEDランプ"はそれらが
残るために省エネ効果がないだけでなく安全面で不安が残ります。
既存の安定器には触れずランプの省エネ性だけを強調して販売されて
る点でも怪しい商品です。
今の世の中は購入者の自己責任という条件で安全性に不安があって
も物が堂々と売られる時代と私は思っています。

私が勤務するビルでは共用部の照明器具はすべてLED化されましたが
テナント店舗においてはまだ50%程度です。
テナント蛍光灯の安定器が壊れて交換が必要になった場合、私はバイパス
工事をしてLEDランプにする対応を今はしています。

ソケットがG13の通常の照明器具には下製品が問題なく40W蛍光灯の代替
とできます。(LEDランプは同じ直管40Wタイプでも口金の形に種類あり)
★安定器が不要なので純粋に14Wで消費電力は1/3の省エネとなる★
ただ光束が2000ℓmしかないので3000ℓmのFLR40ランプより暗いと最初
思いましたがそうではありません、以下説明

直管蛍光灯は360°全方向放射ですから上方向の光は反射して下を照らし
ます。そこでロスが発生して総合的に照らすために生かされる光束は70%
程度の2100ℓmとの情報がありました。
LEDランプは片面しか光を出さないのでそういう無駄はなくFLR40Wランプ
に等価なLEDランプの光束は2000ℓm程度で良い事になります。
以下ホームセンターで販売していたLEDの箱を見てFLR40W2灯式がLED
なら4000ℓmで等価と言うならばやはり間違いない事を確認しました。
こういうのは値だけを見ていてはわからない事ですよね。

この片側給電方式は電源を片側ソケットに接続するだけです。
これが一番簡単にバイパス工事ができる私のお勧めですね。

FLR40W蛍光灯からLED化のためのバイパス工事は簡単です。
★第二種電気工事士の資格が取れる人なら女子一人でも工事可能★
片側給電方式ならば既存の渡り線に電源線を接続するだけです。
渡り線は最初から両方ソケットにパラ接続となってるので接続する
だけで2個のランプに電源を供給できるのはわかると思います。

使用する脚立は職場にあるなるべく高い物を、低い脚立は操作性が悪い。
(脚立の天(TOP)に乗らないと作業できない脚立は禁止!)
道具は安定器交換ではないのでペンチ、圧着工具、絶縁テープ、検電器
テスターを用意しましょう。
既存蛍光灯を外したら両端の固定ネジを緩めればカバーは外れます。

カバーを外して安定器右側の電源と渡り線ソケット行き配線をその安定器
右側の根元で切断します。
電気が生きたまま行うならば最初に電源線を1本づつ切り、切った電源線
は短絡防止のため仮テーピングを必ず行う事を忘れないでくださいね。
尚写真の説明器具では完全に電気は切れています。
200Vの片切り照明SWは切っても電源片線には電気が来てますので注意!

直管LEDバイパス工事で必要なのは左右のソケット行き配線と電源線
だけなのです。

その間にあった安定器やグローなどはLED化では不要となります。
LEDバイパス工事方法としては両側給電と片側給電がありますがバイパス
工事とはその方式に従い電源をソケットに直結する作業の事を言います。


左右を見て2個のソケットに対して2本しか線が行ってない方が
渡り線側ソケットの線
でそれに電源2本を下の様に各接続する。
こうした電源内蔵のLEDランプはAC電源接続については極性なし。
蛍光灯の配線はより線なので指で線をツイストして最後に圧着で
接続・テーピングすれば完成です。

作業が済んだからカバーはきちんと枠に合わせ両端のネジを確実
に締めないといけません。
実際はカバーをする前にランプを装着して点灯状態で電源にてI0
を測定、0mAを確認しましょう。(絶縁確認)

今のLEDはすべての蛍光灯の色温度に対応してるので既存ランプ
の色温度だけは事前に確認してから購入しましょう。
食品を扱う店では色温度が500K異なっても商品の見え方が違って
見えるのでランプ色温度というのは重要な要素です。
ちなみに今回紹介してるLED直管ランプはFLR40W代替ランプです。
価格は1本6千円程度でどこのテナントでも安定器取替で費用が
請求されるならLEDランプにしてほしいと言われます。
私としてもその方が修理は楽ですし、以後電球交換不要で安全!


ただFHF2灯式器具の場合は渡り線先のソケット部分が下の様に
直列状態になっていますの並列接続に変更が必要となります。
上の方でFLR40Wの結線を紹介してるので比較してみてください。
どちらにしても施工前に既存器具のつなぎは確認が必要です。
FHFとはインバーターで点灯する直管蛍光灯の事ですがこの
10年以内に設置された照明器具はまずこのタイプです。
ランプ器具記載の型番(FHF32)を見ればわかります。
FHF器具はランプフリーのためFLR40W、FL40Wランプも使用
できるので装着したランプを見て判断するのはやめましょう。


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