年末に22000VのVCB交換工事に当たり1万V以上の機器更新
では経済産業省に工事申請をまずする必要があります。
その時の短絡電流を計算して新設VCBがそれに耐えられるか?
1回目は昔コージェネで使用していた発電機を現在非常用として
使用してるに当たり、設定上でその動作をしてるなら操作一つで
系統連携状態になるという指摘受けました。
結局は電力側と所内発電機の2電源給電状態においてのVCB
短絡電流を計算する必要が発生したのです。
最初に初めて読む方のために保護継電器の基本中の基本を
紹介します。
これは私の現場にある特高NO3変圧器でこれのOCR動作について
簡単に説明します。OCR(51)とは過電流保護をする!
1000KVAで22KV変圧器の一次側定格電流はこのBlogを読む
ほどの方はわかるはず。そう26.24Aですよね。
簡単に言うと26.24Aまでは電流を使うけどそれを超えたら機器
が危険なのでVCBをOCRで自動で切りたいのです。
CTでこの電流を50:5に下げるので50Aの時に5Aなら26.24A
ならばいくらになるか比例式で求めると2.62AとなりこれがCTか
ら下のOCRという物に入力される電流です。
そこで下のOCRのタップという物を3Aにしますが。3Aならば2.62A
では動作しないがそれを超えたら動作して自動でVCBを切ります。
つまり★一次側で言えば26.24Aを超えたら切れるという意味★
では4Aタップにしたら?それでは保護になりません。変圧器の
容量が大きくなれば都度適正なタップを選択します。
ダイヤルとはOCRがVCBを切りにいく時間を設定する物、需要家
より先に電力会社が切れては困ります。負荷側ほど早く動作!
こういう考え方を保護協調といいこの言葉は覚えてくださいね。
瞬時電流とは短絡などガチヤバイ電流が流れた時に最高速で
OCRを動作させるためのCTからの電流の設定点です。
OCRは他とのバランスを見て設定しないと自分のとこの事故で
電力の送電を止めてしまうと隣のビルまで停電させる波及事故
という重大な事故に至り取扱いは絶対一人でしてはいけません。
それでメーカーが新規に計算書etcを送ってきました。。
最初に確認したのは既存の3台の特高変圧器とVCBに付属
するOCRとの関係でこれは納得できました。
表1の通り3台の定格電流の合計は22000Vで105Aで契約電力
分(65A)を超える事は絶対にありません。
そうなると保護曲線にはまったく触れる事はないためOCRが動作
してVCBをトリップさせる事は絶対にありません。
励磁突入電流とは変圧器の一次側を電路に投入する時に発生
する特有な現象だけど1050Aのため1秒継続するとOCR動作で
トリップするけどそれの持続時間は0.1秒のため問題なし。
VCB二次側短絡容量が200.5MVAなので200.5MVA=1.732×
22000V×IでIを求めると5262Aですがこれが発生すると表で
は0.018秒でOCRが瞬時動作しトリップして回路保護します。
この程度は選任の電気主任をしてる人なら全員わかります。
上で知ってほしいのはOCRが動作する時、動作時間は電流値に
反比例する①の限時要素とある値以上のガチ危険な状態では
即切をする②の瞬時要素2個の状態があるという事です。
下一般設定例ですが設定変更が必要ならば前述した通りこれが守ら
れる様にトランスメーカー技術者と検討するのが間違いがないです。
・① 受電設備(変圧器容量)の定格電流までは動作しないこと。
・② 電力配電所の 51 リレーより先に動作すること(波及事故防止)
・③ 受電時の変圧器突入電流で動作しないこと(投入時の誤動作防止)
納得いかない事があり勉強の意味でメーカーに質問しました。
実はその申請の時は電気主任技術者が役所の担当官と質疑応答
をするので今回いつもより私も内容を理解しておかないといけません。
まず現状の特高(22000V)~高圧母線だけが今回関係します。
(赤線が22000Vのライン)
B点の短絡容量は電力会社に発電機の短絡容量はメーカーに
返答してもらわないとわかりません。
所内発電機は短絡時エネルギー配給元はエンジンのみのため意外
と短絡した時の電流が少ないのを私も今回初めて知りました。
というより大きな短絡電流を配給する能力がないという意味ですね。
(定格500KVAの発電機なのに短絡容量はわずか625KVA)
発電機の話はその程度にして、最初に感じた疑問点の自己検証!
もしか計算間違いではないかと思い見ても途中式を簡略化してるため
わかないので面倒でも私も計算をしてみました。
最初に10MVA換算した各%Z(パーセント・インピーダンス)を求めます。
1がB点、2がNO1変圧器、3がNO2変圧器、4がNO3変圧器5がNO1
~NO3の合成+発電機2台分の%ZでAとB点の短絡電流が出ます。
こういうメガ単位を扱う計算は指数計算すれば簡単にできます。
(電卓で0を何個も最初から打っていたら絶対に桁を間違える)
ある点の短絡電流は短絡容量Ps=1.732×電圧×短絡電流の関係
でもわかりますがあるポイントの短絡電流を自由に求めるならば
電源配給点からその点までの各機器の合成%Zを算出して最初に
定めた基準容量と電圧で計算します。
下は10MVA換算の状態でB点の短絡電流を求めていますが試しに
直接200.5MVA=1.732×22000V×IでIを求めると同じく5262A
になるので計算は合っています。
すべての点で最初から短絡容量を知るのは難しいのでこういう%Zで
短絡電流計算を行うのは今年三種を受験した人はわかるでしょう?
B点に関しての短絡電流計算は私もすぐにわかりました。
問題はA点で計算をしてみたら確かに計算は合ってるでも145A
なんてあまりに少ないのでは?
VCBの二次側で5262Aも短絡電流があるのに一次側で145A
なんてどうも納得いかないので技術部長に質問したら部長も
”そうだね丸山君、至急電話をかけてみなさい"
メーカーから"A点には確かに電力会社分とビル発電機分の短絡電流
が流れますが今回はVCBの通過電流が必要なのでA点短絡時にそこに
流れるのは所内発電機による短絡電流のみです。との返答を頂きました。
あ!そうか今回はVCBに流れる電流を検証してるわけで単に短絡点の
電流を求める必要はないんですよね。
2線短絡なら確かにその間で電源に戻るからイメージとしてはこうです。
通常のコージェネがない受電では所内の非常用発電機は運転できな
いのでこういう検証は必要なく今回ならB点だけでいいのです。
A点が短絡した時にVCBに流れるのは所内発電機による短絡電流とし
ても6600V出力の機器なのになぜ22000Vの電圧で計算してるかと言
うと22000/6600Vの変圧器を通して電圧が途中で変化するからです。
通常一次側に22KVをかけて二次側で6.6KVを出していますが逆に
二次側に6.6KVをかけても一次側に22KVが変圧器は出ます。
それは私は見てすぐに想像ついたので質問はしませんでした。
厳密に計算するならばA点の計算では線路の%Zも加算すべきと思いま
すが担当官がガチ詳しい人ならばそこを追及されたら再度出直しに
なるかもしれません?
IS=IN×100÷%Zなので短絡電流値は逆に下がるわけで線路%Zが
ないとしても検証への影響はないはず。
今回は新設のVCBがそれを安全に遮断できる性能があるかが問題
ですからね、でも一応頭には入れておこうと思います。
やはり他人が作成した計算結果表を見てもそこに隠れた問題点は
自分もしてみないと気がつかないです。
今回の計算は特別な事ではありません電験三種で出題された問題
を同じ方法で解いてみました。下のA点での短絡電流を求めます。
①で線路と変圧器の%Zを10MVA基準に変換して②で短絡電流を求める
基本式に代入して計算すれば中学3年生でも計算できます。
電力の逆相は厳禁でコージェネは電力会社と同期検定器でリンクして
るから並列運転ができるのです。(下私の勤務現場の)
電圧、周波数を一致させ正確に同期点でVCBを投入する事で突入電流
を押さえ系統乱、発電機ショックを和らげる円滑な同期投入を行います。
ただ今は非常用発電機としてしか使用しないので電力とはまったく同期
状態ではありません。(ランニングコストでメリットが出ないので特別な
事情がない限りコージェネをするケースはありません)
通常は受電VCBが投入されてると発電機VCBが投入されない様にVCB
の入回路に互いにb接点でインターロックが組んでありますが、今回は
それらを設定で行っていてハード的な変更をしていなかったのでこんな
指摘をされてしまったのです。
尚、過去記事で今日に近い内容を記事にしてるので一度目を通して
おいてもらえたら次回読み易いと思います。
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