2016年7月28日木曜日

電気主任技術者 力率改善用コンデンサー

自家用電気工作物の現場に必ずある物、それは力率改善用
コンデンサー
で今日はその制御回路について説明します。
受電力率を100%前後にするのが一番効率が良くこういう設備を
使用して操作する代わりに電力料金の割引をしてもらってるの
でどこの現場(工場やビル)でもしています。
(各需要家が適正に受電力率を管理する事で電力会社も配給
負担を減らせます。)

たとえば下は現在50Kvarほどコンデンサーの投入が必要と
いうのを意味しています。
(本当は反対に+50Kvar多いと見れた方が自然なのですが
この中央監視はそういう組み方をしているだけ)

そこで115Kvarのコンデンサーを切り、172Kvarを投入すると
受電無効電力は0kvarとなりました。こういう操作を力率改善
と言うのです。
コンデンサーは変圧器二次側6600V側ですがここを力率改善
すれば22000V受電側も改善されるのです。
遅れ無効電力量計はMOFのとこで積算されてるのでコンデンサー
投入をあまり怠ると当月の基本料金が高くなる
ため会社から
なぜか理由を問われるはめになります。
受電力率が電力量計積算値で99%となると100%の時より請求
基本料金は該当月のみ高くなる(割引率が下がるため)。

ではコンデンサーが中央監視室の遠隔操作で入らないとします。
電気主任技術者の貴方はどうされますか?
これは私が管理してる現場の実際の製品のシーケンス回路です。
故障部品がわかったならそれを注文してこの程度の物なら私が
取替していつも修理をしています。

手動投入入りを押すとTM1タイマー接点がONならばSR1X、SC1X
LS2XのB接点を経由してMC1がONする事でコンデンサーが投入
されます。
一方自動回路は遠隔投入接点CX1のa接点がONする事でTM1タイマー
接点がONならば同じくSR1X、SC1X、LS2XのB接点を経由してMC1が
ONする、MC1がONすると赤矢印が示すMC1のa接点がONする事で
自己保持回路となる。

まずコンデンサーが投入されないのはMC1がONしないからに気
がつく事です。

テスターで電圧を追う方法以外で今日は調査してみましょう。
まず手動投入ボタンでコンデンサーが投入できるか、できるならば
SR1X、SC1X、LS2Xのリレーは正常、そうなると線番74より上の
自動回路に異常があり。

自動回路②下の自動切り接点TX1を短絡(ジャンパー)した上で
遠隔投入してみます。
これでも一瞬でも入る気配がなければ遠隔投入接点CX1をジャンパー
してみましょう。
最後にTM1タイマー接点をジャンパーします、必ずどこかで入るはず
で上のどれかが不良。

一瞬でもと言ったのはMC1の自己保持回路があるからで一旦
投入されるのにすぐに切れる場合は自己保持回路MC1のa接点
が不良です。
シーケンス図で接点のとこにある番号はその部品の接点番号
で配線に書いてあるのを線番と言います。


コンデンサーを切ると真ん中上のVCS-1のb接点がONになる事
で線番81より電圧がかかり切りランプのGL1が点等します。
同時にTM1のタイマーに電圧がかかり一定時間後に左上にある
TM1タイマー接点がONします。
そうこのタイマーはコンデンサーの連続投入を防止するために
あるんです。

電力コンデンサーは電荷を充電しますが前の投入した時の電荷
が残っていると過電流になるために内部に電荷消費用の抵抗か
放電コイルを内蔵しているのです。

図面右のB、C、Dは遠隔盤に故障信号を送る接点でE、Fは遠隔盤
より信号を受けて現場のコンデンサーを入切するリレーです。
コンデンサー異常とはコンデンサーの箱内部の圧力が異常上昇
した時に動作する圧力SWCX1とTX1リレーのとこにパラでダイオード
の記号があるけどあれは何だと思われます?
あれはこのリレーが切れた時に発生する逆起電力を外回路に出さ
ないための物でこの先に電子回路が絡む場合時々見ます。
たしかフリーホイルダイオードという名前だったと思います。

上で述べたコンデンサー投入用MC1が動作すると下の様な流れ
で投入信号が投入用の高圧SWであるVCSに来るのです。
VCS2-1番間にAC100Vがかかり内部で整流されDCとなる。
それが投入コイルCCに印加されてVCSは投入されます。
VCSが投入されるとVCS7-8番a接点がONとなり中央監視に
投入を知らせるのはわかると思います。

このVCSはラッチ式ではないので投入後も保持電流が必要なタイプ。
つまトリップコイルを内蔵してなくてもVCS2-1番間が無電圧に
なれば切れます。
受電VCBの様に基本停電作業以外では365日投入を維持する場合
はラッチ式で投入後は機械的に状態を保持して、必要時にトリップ
コイルで切らせるのです。
そうでないと数年で投入コイルが熱で断線する可能性があります。

業者と話をするのでもただ"SWを入れた何かが入る"だけでは相手
は電験資格があるだけで実務は素人と絶対に思っています。
ですがこういう流れで話をすると相手もガチな目でこちらの話や
要望を聞いてくれるのです。
"この人にはごまかしは通用しない"と思わせてこそプロフェショナル
だと思いませんか?