2016年7月27日水曜日

電気主任技術者 停電時対応

父が若い事は夏場の雷で停電というのが時々あったそうです。
昼間受電状態における全館停電というのは私は経験ありません。
電柱からではなく地中より給電されてるので今はその可能性もない
かもしれませんが受電停電はいつ発生しても対応できる様に
しておかないと利用者全員に多大な迷惑をかけてしまいます。

同時に★所内事故による区分停電時の見極め意識も必要。

私が管理してる現場では受電停電が発生すると受電UVR動作
により自家発電が自動起動、VCBは発電機回路を除きその他
のVCBは自動遮断します。
夏場ですと2500KW程度の電力は必要だけど発電機は最大
で1000KW分しかないので消防負荷やその建物にとって
停電が許されない設備のみに給電するために余計な負荷は
停止させる必要があるのです。


停電時は正常な営業活動はできなくなる事をテナント会議で伝え
ていてもテナントで働く一般の方は発電機が運転すれば停電前
と何ら変わる事なく業務ができる
と思い苦情電話をされてきます。
イザそういう事態になればその気持もわかります。
ですがテナント店舗では原則非常灯とGAC回路で点灯する非常
照明にしか給電されません。

ただ大型冷蔵庫などは入居時に発電機で運転再開できる様に
テナント費用で接続工事されています。
(非常用なのに1000KWの発電機分があるのは消防設備以外
もある程度考慮してるため)
発電機さえ正常起動するならば電気主任も相応に言い分も
ありますが問題はそれが起動せず館内が完全に照明がない
真っ暗な状態そして前述した大型冷蔵庫が稼働できない!
大昔そんな事があり食品損害が100万円発生してオーナーが
弁償されたそうです。
これが病院や工場で電気を止めれない重要施設があるなら
ば同様な被害が発生するでしょう。


私が管理してる現場では52BというVCBが切れてないと絶対に
発電機で送電してはいけません。
後どこの現場でも電力への逆送電防止のため受電VCBが投入
状態では発電機VCBは投入できないインターロック仕様です。

受電停電でない事故、所内OCRやDGR動作によるVCBトリップでは
受電VCBの一次側のVTが生きてるためにUVRが動作しないので
発電機は自動起動しません。


全体停電か区分停電か?瞬時に判断して電気主任は適切なテナント
対応が必要となります。
これは電気保安教育で設備の皆さんに配布するために私が作成
した資料です。
停電故障時はせめて何が必要かは知っておいてほしいのです。

下図ではPCですが変圧器の上はLBSが通常なのでそう見てね。
たとえば青点短絡事故でLBSのPFが動作した場合はその変圧器
から電力配給されるされるテナントは全停電です。
ですが受電点は何も動作してないのでその他は停電しません。
下位事故が上に波及しない様に設計、設定(保護協調)される。
焼損等よる事故修理が完了したらPFを交換して充電開始です。
こういうケースを区分停電と言いますが速やかにオーナー、テナント
関係者に状況説明をしなければなりません。

ですが赤点短絡では受電がトリップするので全館停電となります。
ただ需要家のOCRは配電用変電所のより早く動作しますから受電CB
で即時遮断しただけでCBの一次側には電気があるので発電機は
起動せずいきなりでは一瞬何が発生したかわからないかもしれません?
(図ではUVRがありませんがVTの電圧をそれが常時監視します)
この場合では事故ケーブルを本線から早急に切り離さないと受電
を生かす事ができません。

又完全に電力会社送電が停電してるのに発電機が起動しない
場合は最初に受電27のターゲット表示を確認しましょう。
受電電圧計が0Vなのに27が動作してないなら27の完全故障。
そう強制的に発電機回路を動作させるしかありません!
停電でON経由の1番端子にDC100Vをかければ発電機に起動
信号を送る27-R22リレーをONできます。

つまり強制的に27動作による発電機起動回路を動作させます。
ただVCBなどが停電動作してるならば27-R22単体の故障となる
のでそのa接点間をジャンパーします。
なぜこんな事をするかと言うと27が動作しないと発電機VCB
が手動でも投入できない
二重安全回路があるからです。

逆に27が動作してるなら一旦発電機は自動起動して何かの原因
で重故障が発生してしまい緊急停止に至る場合だと思います。
軽故障では発電機は停止せず重故障は必ず緊急停止です。
重大なシステム異常のため即業者に連絡してください。
発電機の重故障では速やかな業者対応しかありません。
これが一番最悪のケースでどこの現場でも非常用発電機
試運転を月に数回行うのは異常を迅速に見つけるためです。

オーナーから現状どうなっているのか催促がきますから
何もわからずただ業者待ちなんて返答では激怒されます。
結果としてまだ復旧できなくても可能な限りの対策行動を
電気主任は行う必要があるのです。

極端に言えば金銭被害はお金で解決できますが信用を失うと
大変なので何かあればその時どういう対応をしていたのか?
相応の対応を現場もしたがこういう事態となったのなら顧客
も一定の理解もし信用低下も最小限にできます。
オーナーが事故発生時に考えるのはまずそれでしょう?
だから電気主任にもそれを要求されてくるのです。

非常灯は通常電気室のバッテリーと共用電源のため発電機が
稼働せず充電ができないでそのまま非常灯を点灯させてると
バッテーリー電圧が下がり最悪は受電操作ができなくなります。
受変電設備の保護継電器やVCBなどはDC電源で動作する。
このバッテリーも車と同じで触媒により水が減る事はありません
が触媒も有効期限があります。
ただ車のバッテリーは内部で2Vのセルを6個直列にして12Vを
出力していますが、これはこの1個の単体が2Vのバッテリーで
それを50個程度直列接続してDC100Vとして利用しているのです。

通常は浮動充電といい充電しながら負荷に給電しています。
負荷電流計の値はほぼ0に近くたぶん受電設備の待機電力
程度なのでしょう。
ここで大切なのは直流電圧の指示が常にDC100Vある事!
これがダメになると受変電設備の制御はDeadですからね。
一応は電圧低下警報設定を90Vにしてはいます。

比重にばらつきが発生したら均等充電を行います。
(2V/個より若干高い電圧をかけて全体充電する事をいう)
又起電力を求める公式は、比重+0.85です。
下の場合は比重1.24なので起電力は計算上2.09Vとなり実測
は2.1Vですから正常な状態と判断できます!
年に1回はすべて月に1回は代表する数点にてこの関係の点検
を私はしています。
上の公式は父が建築設備点検資格者の講習で教本にあった物
で適当な事を言ってるわけではありません。
電気室の蓄電池設備は受変電設備電源で最重要設備です

非常灯送りのMCB、ただこれは非難誘導のための電源で原則
OFFすべき物ではなく各現場でどういうタイミングでそうするのか
決めておきましょう。
とにかく1時間以上ビル全体の非常灯を充電なしで点灯させると
相当バッテリーは状態が悪くなると思います。
(発電機が正常なら充電されますから大丈夫です。)

中央監視UPSは停電が発生して5分以内に復電しないと自動
シャットダウンになる設定にしていますがその辺の確認し
そういう機能がないなら忘れずにシステムを落としてください。
尚、受変電制御は現場の回路で動作しているので中央監視
PCをシャットダウンしたままでも復電動作には影響ありません!

エレベーターは停電が発生すると非常用しか使用できなくなります。
それには発電機回路と連動した自家発管制というのがあり客用
は発電機運転により1階に強制帰着して扉が開放して以後使用
できないシステムになっています。
非常用は火災が発生した場合に消防隊が使用する必要がある
ためそういう自家発管制はされていません。
ただ怖いのは発電機が起動しないと利用者が缶詰状態になります。
ですが電気がないのですからどうし様もありません。

エスカレーターや駐車場は電力からの買電でしか運用できません。
水は高架水槽方式でない圧力送水方式の場合は発電機が使用
できないとその時点でお手上げ状態です。
高架水槽方式なら一定時間なら館内のトイレは使用できます。
停電が発生するとあらゆる利用方法についてビルスタッフから
問合せが集中すので電気主任はすべて把握しておきます。



圧力送水方式は受水水槽までありますがそこからは圧力ポンプ
で圧力制御しながら連続加圧する方式で高架水槽がありません。
そのためポンプを回す電気がないとTHE ENDです。
高架水槽があればそこにある分だけは重力式ですから電気が
なくても使用できるのです。

発電機の法的義務は停電時に消防設備を運用するためです。
しかも停電してから1時間も運転継続できればいいので冷却
システムも冷却水槽からという簡易システムになります。
もし発電機を24H使用する常用という考えで設計するならば
冷却塔という強制冷却システムが必要です。
コージェネ用発電機に冷却塔があるのはそういう理由からです。

ですから発電機をどれだけ長く使用できるかは機械本体性能
ではなくて冷却システムの能力しだいと言えると思います。
よく燃料タンクが15KLで非常用ディーデル発電機の燃料消費量
が最大1時間に70ℓだから約9日間は連続運転できると思ってる
方がいますがその前に冷却水温度上昇で停止するでしょう。
あくまで非常用は非常用で常用とは異なります。

通常のビルの発電機冷却水槽は発電機直下に設置されて槽内
の水が減ったらボールタップや電磁弁で補給するだけで運転が
長くなるほど水温がじわじわと上昇していきます。
温調弁があり温度上昇に応じて排水していくほどの作りがある
現場ならば私には何とも言えません。

工場に勤務してる時はダミー抵抗器というのがありそれを専用水槽内
で放電させて実負荷KWを出して発電機試運転もしていました。
通常発電機試運転とは無負荷運転で起動するかどうかしかできません。
負荷をかけた時のガバナの追従性まではわからないのです。
相当高価な設備なのでここまではビルではまずないでしょう。
(ダミーモードに限り発電機VCBが手動投入できる)

今の時代昼間に停電する事が稀でそういう実経験はない人ばかり
ですからイザではたぶんパニックになるでしょう。
発電機は商業施設、病院、生産工場では生命線ですからイザで使用
できないというのは後で責任追及もされます。
それが嫌なら給料の安い小さな現場で働くしかありません。
私は毎週木曜日に試運転をし稼動するのは確認しています。
発電機は電気主任にとって最重要設備であるのは覚えておいてね。