ビル勤務をされてる方はどこも冷房運転保守管理はこの時期
大切な業務です。
冷温水発生機、ターボ冷凍機では必ずある冷却塔設備です。
猛暑時期に不調になり業者がすぐに来れない場合など応急
対応のため電気主任も相応の理解をしておかないといけません。
上にあるモーターで冷却ファンを運転させて下から上に熱気
を吸上げる事で循環水の一部を蒸発させる事で冷却させる。
内部の補給水は蒸発した水を補うための物で循環水の冷却
とは関係してないので勘違いしないでくださいね!
水の入と出の温度差は5℃があれば正常に機能しています。
逆に言えば入りが30℃であれば25℃には冷やせますが20℃
とかには絶対になりません。(設計の仕様のため)
これは冷凍機の冷却水の入と出の温度差が定格で5℃となる
様に設計されてるからで5℃には意味があるのです。
まず基本仕様はこうです。
水を蒸発させる冷却塔ファン制御と過冷却を防止するバイパス
制御がこれの基本制御ですね。
外気3℃になってONというのは配管の中の水が凍結する
のを防止するシステムだけど真冬は水を抜き冷却水ポンプ
電源をOFFにするのでこの現場では実際機能させません。
寒い地域で冷房運転をするなら当然必要な機能です。
こういう温度制御はTIC制御、T(温度)、I(指示)、C(制御)
と言います。
CDPとは冷却水ポンプ、TEWは温度検出、CWCはブロー装置
の事で現場でよく言われる言葉です。
バイパス弁はTEWで水の温度を検出してTICでバルブ開度
を制御してるのがわかると思います。
冷却塔のファンも同じ様に別のTEWとTICで発停制御してる
のは見ての通りですね。
圧力の制御ではPICという言い方をしますが冷却塔は温度
制御なのでPICは必要ありません。
ポンプ台数制御は当然PIC制御となるのは想像できるよね。
★TIC6の制御
冷却水ポンプが起動すると接点Aが閉じてリレーPX5が
ONとなり、①のa接点が閉じる事でR24からのDC24Vが
11番端子にかかり10番端子から信号が出リレーOPX5がON。
するそのa接点が閉じて冷却水バイパス弁が開く。
逆に閉める場合は12番端子から信号が出てリレーCLX5が
ONとなりそのa接点が閉じて冷却水バイパス弁が閉まる。
電磁弁は全開か全閉しかないけどこれは電動弁のため
冷却水入温度を計測しながら9~7番でその情報を受ける。
その温度を見ながら適当なバルブ開度になる意味です。
13~15端子はこのバルブの実際開度を入力しています。
停止中はダンパーやバルブを全閉するのが原則ですから
冷却水ポンプの運転が停止すると②のリレーPX5のb接点
が閉じる事でリレーCLX5に電圧をかけて冷却水バイパス弁
を全閉にしてしまいます。
★TIC5の制御
冷却水出温度を計測しながら9~7番でその情報を受ける。
冷やす必要があるならまずリレーCFX5がONとなり1段目
の冷却塔ファンが運転してそれでも冷えないならば
リレーCFX6がONとなり2段目の冷却塔ファンを運転します。
点検調査する上で大切なので赤横線で引いた部分にある
番号でこれが盤の下とかにあるターミナル配線にマーク
してあります。
たとえば2段目の冷却塔ファンが運転しないならば番号
82と83の外部入力線を外して導通を測定します。
もし運転すべき温度条件なのに導通がなければリレー
CFX6の取替が必要な場合もあります。
又冷却水バイパス弁が開かない場合は90と92番間にて
DC24Vが出力されてるのか計測すれば故障がバルブ側か
その手前かもわかるでしょう。
とりあえず不具合が発生した場合は関係する番号の線に
緩みがないか増し締めCHECK程度はしてください。
その程度は現場の電気担当技術者としてすべきです。
これは冷却塔内部の水の濃縮を防ぐ物で槽内の水が汚れて
電気伝導度が設定より上昇すると水を補給する物で冷却水
ブロー調節器と言います。
これも冷却水ポンプと連動してるのでPX5接点が絡んで
いるのがわかります。
(冷房運転してない時は水の給水はしない仕組み)
PX5接点が閉じた状態で必要に応じてNO出力の信号で
給水バルブが開放し水が給水されます。
これがブロー調節器コントローラー本体です。
通常これの設定変更操作はしませんが電磁弁の開閉動作を
確認したい時に変更して点検します。
電磁弁に開出力が出てる時はblowdownが点灯します。
デジタル表示が電気伝導度を示していてたとえば70で電磁弁
開放で60で閉鎖ならこの50の表示で給水されてるとしたら
電磁弁本体の何かの異常、逆にblowdownが点灯してれば
コントローラーの故障。電気担当はそういう見方をしてください。
業者を呼ぶのでも正確な状況報告ができないと修理は後日で
費用まで余分にかかる事もよくあります。
そのために電気主任技術者がいるのですから!
これがコントローラーにより制御される現場の電磁弁ですね。
電磁弁は電動弁と異なり全開か全閉しかないので故障という
のはそう多くなく配管内の錆などが固着して給水が停止しない
事はよくあります。
上の操作で何回か電磁弁を強制的に開閉させたら軽い異物なら
取れて正常な状態になる事もあるので試します。
ただ冷凍機が停止したら強制停止するべき物が夜中ずっとここから
水が出たままで放置しておくと相当量でそれをずっと気がつけないで
水道検針の時にいつもより数百万円も水道料金が高い事態に!
そうなると管理会社はオーナーに弁償する事になるでしょう。
意地の悪いオーナーでは年間管理費の値下げを要求してくるかも?
そうなると現場の人も笑って許してはもらえませんよ。
ですから冷凍機というのは停止したら1回は冷却塔の内部を確認
しなければいけません。
又昼間運転中の巡回時に冷却塔内部の水が綺麗なのにブロー調節器
から給水されていたら"おかしい"と気がつかないといけません。
二重のCHECKを怠った結果ですから現場の責任も追及されます。
余談ですが冷却塔運転中はブロー調節器ではない通常の給水用
ボールタップから水が出てるのは正常です。
(冷房負荷が下がり冷凍機が自動停止してる場合に限りほとんど
出てないケースはありえます)
現場を見た事がない人のために、運転中はこんなにたくさん水が
連続給水されるのです。
冷却塔は水を蒸発させて水を冷やしているのですから蒸発した分
の連続補給が必要
もし運転中に給水用ボールタップから水が出てないと槽内の水位が
低下して最悪CDP(冷却水ポンプ)の空転でポンプ焼きます。
その前にキャビテーションを起こして振動するかもしれませんね。
同じ給水でもブロー調節器と給水用ボールタップは目的が違うのです。
ただ冷却塔停止中はいかなる給水もあってはなりません。
停止中の給水は水漏れですから至急修理対応をされてください。
ボールタップを分解して内部のパッキン交換程度なら私もできます。
この程度は業者には出しませんからビルや工場で電気主任を
するなら設備員の一人としてできないといけません!
基本構造はすべて同じで家庭のWCの場合で説明するとこうです。
割りピンは反対側で先端を曲げてあるのでペンチで真っ直ぐに
して反対側から回しながら引っ張れば割りと簡単に抜けます。
取付時に再度必要になるので絶対になくさないでね。
(できればボールタップ本体を配管から外した方が作業は楽)
設備のお仕事をするならこの程度の器用さは必要だよ!
電磁弁は交換しかありませんが底を叩いたら電磁弁でも復旧する
ケースがあります。
錆というより内部で固着していたのでしょうが硬くて開閉できない
ハンドバルブは底を軽く叩くと嘘みたいに回復するケースが
多いのですがそれと同じ理屈ですね。(業者から習いました)
ただラッキングとか撤去しないといけないので少し手間です。
受水槽の給水FMバルブのパイロット電磁弁が開いたままで
満水警報が出た時にそれをしたら正常になった経験はあります。
こういう場合同じ不具合が短期間で連続したら電磁弁本体の
交換が必要となります。
自分がして成功した過去経験こそその人にとってのスキルです。
イザで何かを実務で試す場合、本の理屈より過去成功事例を
基本に考え行動していくのが一番人は自信が持てるのです。
本にあるノウハウはその現場にしかない事情や想定外な要素
が絡むと必ずしも正攻法とならず書いてある事を現場で上手く
適用するのでも相応の現場経験があってこそです。
又他人のどんな方の成功体験談も成功したという結果において
たとえ間違い操作が少しあっても学ぶべき点があるので謙虚な
心で職場の先輩のお話は黙ってメモされてください。
私は先輩が語り聞かせてくれる時は必ずメモしながらお話を
頂いています。