2015年11月18日水曜日

電気主任技術者 直管型LEDバイパス工事

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ビルにはこうした案内ボードがあるんだけど営業の方が電球と
グローランプを交換して1灯だけ点灯しないので修理してください。
と私に連絡が入りました。
さあ貴方がこの現場の電気主任ならどういう行動をされますか?
自分と比較して読んだら面白いと思います。

内部はグロースターターFL40Wの蛍光灯が6本入っていました。
ラビットやFHFと比較してシンプルな構造のグロースターター
の照明器具安定器は滅多に壊れません。

このタイプが故障したのは私も初めてだったの
安定器を見ると凄く綺麗で聞けば5年前にどこかの業者で6灯すべて
一式交換されていました。
見るからに壊れる雰囲気をまったく感じないので私はそれ以外の
ソケットやグロー取付ホルダー断線と判断しました。

まず全体回路は誰もが知るこの回路ですね。
電源投入でグローランプがまったく動作しないのだから電圧が
下のとこにかからない
のです。
(逆にグローランプが動作するが点灯が安定しない至らないならば
稀ではあるけど安定器の取替が必要です。)
グロー取付ホルダー中の両金具間はテスター先が上手く当てられ
ないからそこでの測定は私的には無理でした。
ホルダーの外で線を切断し剥いて測定するしかないないと思います。
(事務所内でないためか、今回雑音防止用コンデンサーはなし)

グローランプを外した時にその間にかかってる開放電圧100Vが
あるならこのグロー取付ホルダーをそっくり交換しましょう。
この電圧が両端にあるなら絶対にグローランプは動作します。
表の断線がなくても内部で金具が変形してるのかもしれません。
細いマイナスドライバーの先で修理できたら運がいいです。
ところでこの開放電圧が100Vになるのは理解できますか?

開放電圧とは?
下の2回路では開放電圧は同じ100Vですが電気の常識は
理解しておきましょう。
開放電圧=電源電圧-(電流×抵抗)で電流が0だから開放
電圧は途中の抵抗値に関係なく電源電圧と同じになる。
電験三種を持っていてもイザの現場では電気の常識を忘れて
しまってる人が多いのです。
こうしたトラブルを経験しないとイザで機能しないのが人間
の知識や資格勉強の程度
なんです。

普段の冷静を欠くから知識が優先できないわけでその原因は
電気担当として自分が修理しないといけないプレッシャーです。
他の人は電気トラブルは私に伝えたら自分は関係ないとどこか
思ってるけど、でもそれが私のお仕事なわけで成功した経験
を積み重ねる事でプレッシャーもモチベーションになるんです。

グローランプは電圧がかかった時に内部がONします。
最初からONになっていると勘違いしないでね。
後★このFG-4Pのホルダーには同じピンタイプの下位のグロー
ランプが普通にSETできるのです。
間違えてFG-4PのホルダーにFG-1Pのグローとか規格外が挿入
されてないか最初に確認してください。
それと最後にEの記号があるのはねじ込み式でPがこういう足
があるタイプを意味しています。

最初にグローランプONで蛍光灯を余熱して、グローランプがOFFすると
一瞬回路電流は0になります。その瞬間、安定器内を貫く磁束が大きく
変化しますので、レンツの法則により大きな逆起電力が発生して蛍光灯
は放電を開始するのです。
放電開始後は安定器は抵抗として働きランプに過大な電流が流れるのを
防いでくれるのです。だから安定器と言われます。

ソケットの断線CHECK
導通なければこれを交換すれば修理完了です。
(500円以下で修理部品として販売されています)
異常ないなら接続し復旧させて

グロー取付ホルダー断線CHECK
導通なければこれを交換すれば修理完了です。
(こういう修理部品はNETで買えば確実に手に入ります)
異常ないなら接続し復旧させて

あれ?すべて導通があり断線はない...なぜ点灯しないのですか?
やはり安定器なのですか?わずか5年しか使ってないのに
それとさっきからガチに熱いので他の安定器の表面温度を計測
したら1台が95℃で残り4台はすべて70℃前後、更に1台
も劣化が進行してる気配でした。
(私がいつも所持してる非接触式温度計で測定、この4点を常に
所持してればたいていで困る事はありません!)

絶縁階級EなのでMAX120℃だから表面で100℃程度が限界でしょう。
モーターでもだいたい絶縁はEが多いので電気パーツは表面100℃
が限界
と思ってください。

これって欠陥品では?すぐ取付業者に連絡しなくては?
と思ったんだけど調べた結果、蛍光灯の安定器は周囲温度40℃
を標準状態といい
それなら10~15年使用できる。
でもそれより周囲温度が上昇すると著しく寿命が短くなります。
そう案内ボード内部は周囲温度が60℃も温度が上昇してすべて
の安定器寿命が短くなった状態!
その後環境条件が悪いと5年程度でも安定器は寿命に至る
事を照明メーカーからも回答を頂きました。

それで★40W直管型LEDに6灯すべてするため器具改造をしました。
電源電圧(100~240V)に直結して点灯できる直管型LEDが
あるのでこれを使えば安定器の呪縛から開放されるのです。
この程度なら2時間かからないで変更できるので私が一人で
行いました。LEDも熱は出しますがこんなには熱くはなりません!
女の私が現地でしたせいか一般の関係ない見学者の方ができて
後で見ていた一人の男性がそうやればLEDが使える様になるのですか?
と携帯で私の作業動画を取られていました。。。たぶん同業者だね?

これが変更回路図ですね。(直管型LEDバイパス工事と言います。)
簡単な工事だけど電気工事士の資格が必要でそういう方
がされるという条件なので線接続などの説明は省略します。
直管型LEDのタイプに応じて4種類のLEDバイパス工事がありますが
これは両側給電(両ピン接続)方式という結線方式です。

上の結線方式で使用できる直管型LEDは40型電源内蔵モデル
(両側給電方式 両ピン接続)というタイプのみです。
事務所で使う白色蛍光灯FLR40Wの色温度4200Kに同等なのを
一例紹介しますとアイリスオーヤマという会社の製品で4000K(白色)
で型式がLDG40S W/13/20直管型LEDがこの結線方式で点灯します。
今回私はこれを6本使用しました。
(定価は11000円だけど楽天で6千円程度で買えます。
他NETで凄い安いのがあるけど給電方式が対応してるか
確認してから購入されてください。
ただ安いのは安全回路が簡素なのでやはりそれ相応ですし
会社で使うならただ点灯すれば良いでは技術者として失格)

直管型LEDバイパス工事を施工した照明器具には絶対に元使用して
いた普通の40Wの蛍光灯を再度取付してはいけません。

最悪破裂する場合があるそうなので注意されてください。

★それでは机の上で変更方法を紹介します★
これは1灯式器具ですが2灯式でも様は安定器回路をCUTして
ソケット回路だけにしてそこに電源を接続するだけの事で
これを直管型LEDバイパス工事と言うのです。
両側給電(両ピン接続)方式という結線方式に変更します。


安定器とグローランプ回路は必要ないので線を切断します。
LED化ではソケットの両端の2線左右だけあればいいのです。
尚10年以上経過してる安定器は修理予備品として残さず
迷わず廃棄しましょう。(もう安定器の時代ではないです。)

完全に余計なパーツは撤去したら長さを揃えるために切断して被覆
を剥きました。
平行した2線を接続する時は同じ長さにして接続する癖をつけましょう。
電気を通す物を残すのはトラブルの原因になるので線を切断して不要
になった金属物はすべて器具から撤去すべきです。


接続はリングスリーブで行いテーピングを確実に実施!
電源線はある程度は長めにこの時点ではしておきましょう。
長いのは切り調整できるけど、短いと余計な接続点が増えます。

インシュロックで線を固定して完成です。
実際に現場で器具固定した後に必要な箇所の結束をされてね。
尚結束収納させる時に線を直角に曲げる(キンク)の状態が
発生しない様に注意されてください。(熱を持ちますから)

尚結線方式一覧表がこれです。
直管型LEDランプは工事が必要なタイプと工事が必要でないタイプ
の2種類があるので購入時確認の事!
工事が必要ないとは何もせず既存の器具に取付可能の意味。
一般の方は電気工事はできないのでホームセンターで売ってるのは
工事不要タイプがほとんどで、ただこれは直管型LEDバイパス工事
したLED照明器具には使用できません。

ただ工事必要なしLEDランプでは安定器を充電状態で残すため
経年劣化でこの安定器が焼損したりする可能性が将来
あるため私はお勧めしません。(安定器寿命は10年が定説)
それでも堂々で販売されてるのは電気火災なんて滅多にないという
過信か商品取説に小さな字ですでにに該当する注意事項があるなら
販売側には責任は発生しないのかも?
特に10年以上経過する古い照明器具に工事必要なしLEDランプを使う
のは絶対にやめた方がいいです。

元々LED用では設計されてない照明器具に後からLEDを使うのです
からそれは何があっても消費者の自己責任においての使用でしょうね。
ですから工事要ランプというのはその不具合が発生する部分を撤去して
使用するというのがコンセプトなんです。


テナントからも時々、工事必要なしLEDランプの問い合わせがあるので
私はこのビルの電気担当としては勧めないと返答しています。
その件である某電気店営業から苦情の電話がきた事があります。
その店系列に大量販売予定を私がそう返答したので社長がすべて
キャンセルされたらしいのです。
でも読売新聞など以前から問題視されている事ですし電気主任
として事故可能性がある物を肯定してお客様に発言できません。

内部というのはこんな感じでそれが並んで点灯するのは予想通りでした。
回路は各社の技術なので解説はNETでも公開されていませんが
工事要・不要に関係なくDCにする整流回路はないと点灯できません。
ただ用途に合わない取付をするとこんな電子回路なので一瞬で
焼損して使用できなくなると思います。
導入ではLEDランプと結線方式の相性には十分に注意されてください。

家ではグロー方式FL20Wのランプを使ってるのでこれのLED化のため
ホームセンター、電気店で20W型直管LEDランプが販売されています。
ただ直管LEDにあっては一般の方は手を出さない方がいいのでは?
きっとお店の人は大丈夫だから売られてるのです。と数の原理で
納得させようとされるでしょうが最後は自己責任で購入されてください。
私個人はどうしてもLED化なら専用器具一式で更新されるのが一番
安全かと判断します。(取付工事費が1~2万円別に必要)
繰り返しますが自身で行う場合、接続にリングスリーブ、圧着工具が
必要ですし電気工事士の免許も必要です。

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