2015年7月27日月曜日

電気主任技術者 実務:冷却塔トラブル

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つい最近発生したトラブルで私が勤務するビルの中には
大型の食品店舗がありそこでは食品を冷やすために
冷凍設備を当然もっているの
4台の冷凍機がありそれを冷やすのに2台の冷却塔を
並列運転しています。
これはテナント設備で管理はテナントが業者にさせて
いるんだけどその冷凍機に冷却水が十分に循環しない
事による高圧カットで冷凍機が停止したというトラブル
日曜日で業者と連絡がつかないという事で相談に来られました。

とりあえず外部設置の冷却塔内部を見たらなんとほとんど
水がない状態でこれでは冷凍機が停止しても当然。
冷却塔は稼動中は熱交換で水を蒸発させるので常時水
を補給しておかないといけませんが補給水が出ていない。
下からポンプ加圧で水を補給をしてるのでそのポンプが
停止すると水槽の水がどんどん蒸発してしまい最後は渇水
という空の状態になってしまいます。
時々補給水で冷却塔は冷却水を冷やしてると思ってる人
がいるけど冷却塔は水を蒸発させる事で冷却水を冷やし
補給水はその減った水を補給する物
で冷却とは関係ないの
(余談だけどこの蒸発した水量分は水道局への申請で下水道
料金の減額ができます。)

今度は地下にある昇圧ポンプを点検すると見た目普通に
運転中でこれはどういう事なのかと一瞬不思議に思い
ましたがコントロールパネルに表示されてる圧力値が
38mAqしかないのですぐにポンプの異常とわかった。
あの冷却塔がある高さまで水を上げるなら最低でも
45mAqは水圧がないと無理です。
(理論的に水を10m上げるなら1キロの水圧が必要)

ここでは2台のポンプで自動交互運転していて昇圧で停止
なんだけど水圧が上昇しないためずっと38mAqのまま
運転継続で結局水槽に水が入りません!
私もよそ様の設備なのでこれの操作経験はないんだけど
並列交互があるのだからポンプの単独運転モードがある
はずと考え正常な方のみで運転すれば急場はしのげると
判断して、まず停止SWを押してシステムをSTOPさせて
ポンプ選択ボタンを押すと並列交互⇒NO1⇒NO2と変化
するのでNO1として運転ボタンを押すと可能となる。

すると水圧も51mAqとなり十分な状態となり冷却塔に補給水
が入り始めました。
これでこの間にこのメーカーに電話してポンプ、フード弁
減圧弁などを点検して不良箇所を交換してもらえばいいですよ。
と教えてあげました。
私が一瞬見た感じでは以下のどれかと思った。
・下から水を上げてのだから吸込み口には水が抜けない様に
するフード弁あるはずでそれが故障するとポンプは揚水不能
(たぶん今回フード弁は大丈夫)
・減圧弁があるので故障して減圧がかかり過ぎ
・ポンプその物が劣化して能力が出ない
・インバーター運転なので電源関係の異常

それと
こういう物の設定を変更する時はたいてい運転状態では操作
できないのを知っておいてね。
ビルでも工場でも電気主任技術者をするなら常識的な機械に
関する知識も欠かせません。

電気が来ないだけでなく機械の不調でも電気主任技術者には
相談が来る事が多いからです。

又圧力値を見てmAqやmPaが何の事かわかないのでは技術者
とは言えません。
★今日はそれを知ってほしかったんです★

昔この冷凍機が長期に夜中に停止してしまい食品
が腐り100万円の損失があったらしいのでこういう大型
の飲食店舗では大問題ですよね。
それで店長から私たちが管理する中央監視の方でも管理
できる様にしてほしいという要望あり

こうなると毎月の保守管理費契約の話までなるのでそれは
営業に任せるとして私はその改造を担当しないといけません。
ただ中央監視のシステムに入れるにはメーカーが異なるので
インターフェースの違いで改造や登録作業で相当の費用が
かかります。
(上の51.8mAqという表示をそのまま中央監視パソコンに出し
このパソコンにて上下限設定をする必要があり)
私の勘では改造に最低50万円はかかる雰囲気!

後冷却塔の並列運転で1個問題がある。
こういう場合は連通管で水槽を連結しておかないと水位のアンバランス
が発生するので顕著になると1台の方が正常に機能しない可能性がある。
聞けば最初1台の冷却塔で可能であったのが途中で追加したらしいけど
どうも当時の施工が悪い様ですね。
メンテ業者も専門家だから気がついてるはずだけどどうせ点検に来
るのは下請けで言われた事しかしないのでしょうね?
(点検と言っても時々その水槽内を洗ったりdataを取りで終了程度)
その辺も改善していたらきちんするなら全部で今回100~200万円
はかかるかもしれません。