2018年6月21日木曜日

電気主任技術者 万物は消耗品です。

電力会社工事で22000V特高の深夜3時間停電がありました。
ビル側都合でなくても通常の停電作業と同じ様にDS開放しそれ
の一次側に甲種接地をして
停電中は待機します。今回は所内の
工事でないため乙種接地は不要、発電機は運転させるので中央
監視室各電源は正常なので苦痛ではありません。152Rと52Bは
切れてるので逆送電はなし。負荷側から電気を止めるのはどこ
でも同じす。
尚、負荷が少ない時期は省エネのため特高変圧器
NO1とNO2はDS開放して停止させています。無負荷損節減のた
め変圧器は一次側で電源を切る、受電OCR設定は特高TR総定
格電流1.5倍程度なのでNO3の2500KVAで運用中はそれに合
わせます。(TR容量を変更すると保護回路設定変更が必要)

TR総容量が4000KVAで受電CTが100/5ならば定格電流値のCT二
次側電流は5.25Aです(22000V回路)、その1.5倍ですと7.87Aになる
ので直近7.5AでOCRを設定する。瞬時要素(INST)は変圧器突入
電流を考慮し定格電流の10倍程度で50Aです。デジタル式は5Aを
100%として160%(8A)の様に%倍率で設定します。変圧器は無負
荷でも一次側に電圧をかけた瞬間に突入電流が瞬間だけ流れます。
それは投入時の電圧タイミング(位相)しだいではとても大きな値と
なるのでVCBがトリップしない様にINSTは設定されているはず!

下1と2の構成では過電流トリップ点が異なるのはわかると思います。
たとえば受電CTが500/5としてOCRを800Aで動作させなら何Aに設
定すればいいでしょうか?動作時間設定については電力会社との保
護協調
の関係もあるので受電OCRを変更する時は最終的には電力
会社にも相談して決めます。27(UVR)はそのままで構いません。

そのOCRの特性グラフを見ながら500/5のCTの時に一次側に800A
が流れた時、4Aタップ選択のため200%だからダイアル=10なら4.5
秒でOCRは動作、ダイアルを5にすればその半分の時間でOCRは動
作する!みたいな感じで動作時間がわかります。この場合は500/5
CTで400Aの電流をトリップさせるため4Aタップにしているのです。
CTの比率とその電流計の最大値は同じですから盤にある電流計
は500Aのはずです。(電流計を見ればCT比率はわかります)
安全管理上、電気主任はOCR、DGR、UVRの見方は最低限理解し
ておかないといけません。


VCBはレバー操作だけなので実操作としてはDS開放と接地の取付
だけはこちらで行わないといけません。接地は必ず接地をしてから
母線にかけます。誰も業者は来ません。まさかこの程度できないの
で電力会社の方に"誰か作業員を手配してください"なんては言え
ません。O君に経験のため一人で行ってもらいました。作業後復電
時は接地外し、DS投入を行い今度は電源側から電気を生かしてい
くだけです。
必ず1動作事に言葉を出し指差し確認をして自分の
耳で今した行動を確認しながらするのが安全作業の鉄則です。
線路には線路充電確認装置(ボルテック)がありますが高圧検電
もして基本作業は外さない事が大切です。

高圧回路各主幹にあるDSはVCBとインターロックを構成しており
VCBが投入状態ですとピンが移動しないのでDS操作ができません。
各高圧変圧器一次側にあるのはLBSでLBSは通電中でも開放でき
ます。DSは電圧があるだけなら開放・投入可能ですがDSは電流が
流れてる状態では絶対に開放操作をしてはいけません。
後DSを
投入した瞬間に電流が即流れてしまう操作は思わない事故になる
ので原則としてはDSは無電圧で開放・投入するのが安全です。

ビルによって復電したら行う細かい諸作業は違います。ですが必ず昼間
使う機器類、照明などは手動ですべて稼動させて昼間と同じ状態になる
か確認
をします。余談ですが停電時間が長いと各機器操作盤設定情報
が消え遠方から現場モードになり監視PCから遠方起動できない場合もあ
る点を知っておきましょう。その他設定が初期状態となったり電子化された
設備ほど長期停電では影響の確認をします。ところでNO1冷温水発生器
は正常ならばこうなりますが今回は冷水一次ポンプ(CHP-1)が起動せず
緊急停止となりました。ビル内では何も工事してないのになぜなのでしょう
停電しただけだからと起動確認を怠るとこういう事が稀にあります。後で不
具合があれば確認不足で電気主任技術者の完全なペナルティーです。

O君と二人で現地の動力盤に行くとCHP-1の盤が完全BLACK状態
でした。停止中はポジションランプ点灯、0Aと表示されていないと
いけません。この類は基盤がDEADですと手動運転もできないの
です。
昔の盤みたいにセレクターSWで手動に切替えてというわけ
にはいきません。

やもうえない裏技として基盤からマグネットコイルへの既存制御線を
外し片線は電源直結、残り片線をタンブラSWで入切すればでマグネ
ットを手動ON/OFFできます。ただこれは最後の応急対応です。でも
一瞬そこまで考えました。(制御回路をまったく生かせない場合)
下場合は三相のS相直結、R相にタンブラSWを入れて直起動!
仮に同じタイミングでONとなるマグネットがあるならそれの補助a
接点をタンブラSWの代わりに利用すれば自動化対応できます。
なければシステム稼動時間が8:00~21:00までなら7:50~
21:10までTB15601Kタイマーを使い時間制御運転すればいけ
ます。ビルの設備程度ならモーター焼損以外でできない応急対
応はないです。これは本で学んだ事ではなく私の経験で得た答
ですね。


この制御回路にDCが配給されてないのではと思ったので確認!
制御電源MCBは入ですがDC電源変換装置の動作LEDが点灯
していません。MCB二次側200Vあり、端子緩みなし、故障です。
今在庫ないのです。そこで隣の同じ部品のDC出力から分岐さ
せDCを挿入して基盤を生かしました。
取替は別に同じ物でなく
ても様はAC⇒DCに変換できて電圧入力出力と能力が同じなら
いいわけです。これはそれまでの仮処置です。ただDC回路なの
で極性を合わせて接続する点
にだけ気をつけました。今回程度
のコンバーター故障なら業者に出さず私の方でパーツを手配し
て取替しますと会社には報告しました。同じ物は他でも使用さ
れているので在庫も考慮し3個は買っておかないといけません
会社購入ですからいつものamazonというわけにはいかないの
でこういう物ですと最低一週間は納品までかかるでしょう。

保守管理のお仕事を始めて知ったのですが稀に電源を切り
再投入すると故障してしまう機器がある
という事です。なぜ
なのかは単に10年経過してるだけでは説明つかない場合
もありますがとにかく応急対応を可能な限りは行うのは電気
主任技術者のお仕事の一つです。ただ圧倒的に10年経過
してる様な機器でその故障は停電・復電タイミングで発生
し予兆としてI0やメガに顕著な変化があるわけではありま
せん。私が勤務する会社ではそれがテナント機器の場合
たいていの物は会社負担で弁償します。そういう事でもめて
は次の停電作業で支障が発生しますしそれがテナントへの
誠意という事で社長指示が出ています。私も賛成です。

万物は消耗品ですから点検をしていても動作しなくなる
時はなりその事まで電気主任に責任は要求されません。
ただそのためには可能な対処は必ず行って会社には
報告をします。"わかりません、動きません、業者への
連絡が必要です"というのは報告とは言いません!
厳しい上司ですと"キミはその結果を言う前に何をした
のか別途報告書を提出しなさい
"と言われます。
フルメンテナンス契約してない機器の故障では経費が
かかるわけで会社というのはその場合すべてにおいて
理由が必要なのです。自分がその故障に対してまったく
無力であるという理由だけは私は嫌ですね。せめて応急
対応だけはして業者に後を任せたいです。

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