2018年4月20日金曜日

変圧器特性実験etc

今回実験する変圧器仕様は以下ですがビルにある変圧器と同じ一
次側と二次側が分離した複巻コイルですから変圧器の性質は学べ
ます。接続は一次側100V、二次側24Vを選択しました。

単巻変圧器は小型になり,効率も高いので電圧調整スライダックで
私も製品として見た事はあります。反面、高圧側に異常高電圧が発
生すると低圧側に直接侵入しやすく危険性が大でなので配電用の
変圧器では採用されません。

変圧器一次側端子に100V電源配線をハンダで接続、二次側は
まだ配線をしてないので完全に無負荷の状態です。

MCB投入で通電、26mA、力率(PF)0.36の電流が無負荷なのに
流れましたがこれは変圧器の無負荷損による物です。

その時の消費電力は1.3W、配給電圧は104Vです。12VAの変圧器
の消費電力は微量ですが配電用変圧器では無視できない値となります。
昨年2500KVA変圧器を勤務するビルで新設した時に余分な1500KVA
変圧器2台を休止させたのは無負荷電力量による電気料金を発生させ
ないためです。

500KVA変圧器で電力単価15円/KWHとして年間で1.2KW×24H
×30日×12ヶ月×15円/KWH=15万5千円、建物により単価は異なり
ますが何も仕事をしてない変圧器を二次側だけ切り放置しておくと
年間でそれだけのお金を捨ててる事になるのです。トップランナー
の変圧器ならば表値の約半分程度になります。

励磁回路とは磁界を発生するため必要な回路です。変圧器は二次側
を開放しても電圧を一次側に接続してる限り電力を消費する機器なの
です。又電圧が高くなれば励磁回路の接続状態から無負荷損失も上
がるのは容易に想像できると思います。

無負荷時の消費電力つまり無負荷損は負荷に関係なく一定です。
三種を勉強されてる方はご存知ですがこの無負荷損と負荷電流
による損失が同じとなる様な負荷のかけ方がもっとも効率が良い
と計算で算出できるのです。下で言う70%負荷は目安で厳密には
各変圧器事に計算が必要ですが現場においてそのためだけのた
めに負荷を移動調整するのは移設工事費用や利用者への影響
を考慮すると難しい。せめて変圧器を過負荷状態にしない確認と
と未使用な物にあっては電力用の変圧器に限らず電圧を変換す
る物はすべて電源配給を切る程度は管理上、電気主任技術者
は意識すべきです。

変圧器を休止させる場合は一次側のLBSを開放させます。
二次側MCBすべて切り⇒盤電流計0A確認⇒LBS切り⇒変圧器
二次側検電0V確認が基本作業です。

この変圧器の無負荷時の二次側電圧は以下の通りでした。どうして
24Vでないかと言うと100/24Vの接続において現在104V一次側が
ある分、二次側の電圧が高いのです。もし変圧器一次側を110V端
子に接続してこの電圧なら逆に二次側は24Vよりは下がります。
変圧器のタップ切換の理屈はこれと同じ意味です。
抵抗や電圧を測定する場合はなるべくクリップを私は使用します。
正確に測定したいので接触抵抗の影響を最小限にしたいからです。

それでは実際に二次側に負荷を接続してみました。12VAしか容量
がないので会社にあったミニランプを点灯させました。電流50mA
消費電力は4.6W、PFは0.77まで上昇しました。このランプは力率
1ですから改善する方向に変化します。(一次電流に占める有効分
の割合が増えた
)

今度は二次側の負荷が加算されます。リアタンスXは電力消費しま
せんからこの図で電力を消費するのは抵抗の部分です。一次側で
測定された4.6Wが単純に負荷であるランプの消費電力と言うわけ
ではありません。

これまでの無負荷電流の測定結果も踏まえて変圧器二次側の
電流を計算してみました。
電圧比は100/24なので4でしました。
V1I1=V2I2よりV2が1/4ならI2は4倍、結果ランプ電流値とほ
ぼ一致しました。実際一次側は104Vなので僅か0.11Aより多く
ても不思議ではありません。二次側ランプ電流PFは116.56÷120
=0.97ですからランプ数を増やせば一次側の有効電流の割合が
増える事で一次側PFは改善されます。実験結果を元にした計算
検証です。更に1mAを正確に測定可能なリーククランプメーター
での実測では128mAでした。


これはモーターの回路ですが変圧器と似ています。負荷部分性質は
異なりますがモーターも無負荷損失というのがあります。モーターは
回転子(二次側)に電圧が誘導されそれにより流れる電流と固定子
側(一次側)の磁界との間で発生する力で回転するのです。この図
でE2は回転数に反比例するので起動時はI2がMAX当然I1も同じ
回転が上がればE2は下がり結果、I1は下がると大まかには理解
されてください、もし回転が上がらない機械的故障があればI1が
下がらないため過電流でTHRが動作する事になるのです。

もしかして真剣に考えてる方がいるかも?と後で感じたので上の
解説式も載せました。モーター回転中は二次側電圧E2とリアクタ
ンスX2はこう変化するのです。モーター停止中はS=1で回転が
上がるほどに最後は0.03程度で落着く。0にはならないです。

次はランプを2個にして実験しました。PFは0.95で負荷も8/12=67%
程度かかっています。撮りませんが3個だとPFは0.98まで改善しまし
たがこの変圧器ではこれ以上は過負荷となるので実験はここまで。
負荷がランプより力率の悪いモーターですとここまでPF値は改善され
ないです。

AC24Vで回せる何かは意外と身近になく会社で探したら空調回路
内に24Vタイマーがあったのでこの変圧器で稼働させてみました。
PF値が良くないけどたぶんモーターとかでも似た感じでしょう。

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