変圧器特性実験etc

今回実験する変圧器仕様は以下ですがビルにある変圧器と同じ一
次側と二次側が分離した複巻コイルですから変圧器の性質は学べ
ます。接続は一次側100V、二次側24Vを選択しました。

単巻変圧器は小型になり,効率も高いので電圧調整スライダックで
私も製品として見た事はあります。反面、高圧側に異常高電圧が発
生すると低圧側に直接侵入しやすく危険性が大でなので配電用の
変圧器では採用されません。

変圧器一次側端子に100V電源配線をハンダで接続、二次側は
まだ配線をしてないので完全に無負荷の状態です。

MCB投入で通電、26mA、力率(PF)0.36の電流が無負荷なのに
流れましたがこれは変圧器の無負荷損による物です。

その時の消費電力は1.3W、配給電圧は104Vです。12VAの変圧器
の消費電力は微量ですが配電用変圧器では無視できない値となります。
昨年2500KVA変圧器を勤務するビルで新設した時に余分な1500KVA
変圧器2台を休止させたのは無負荷電力量による電気料金を発生させ
ないためです。

500KVA変圧器で電力単価15円/KWHとして年間で1.2KW×24H
×30日×12ヶ月×15円/KWH=15万5千円、建物により単価は異なり
ますが何も仕事をしてない変圧器を二次側だけ切り放置しておくと
年間でそれだけのお金を捨ててる事になるのです。トップランナー
の変圧器ならば表値の約半分程度になります。

励磁回路とは磁界を発生するため必要な回路です。変圧器は二次側
を開放しても電圧を一次側に接続してる限り電力を消費する機器なの
です。又電圧が高くなれば励磁回路の接続状態から無負荷損失も上
がるのは容易に想像できると思います。

無負荷時の消費電力つまり無負荷損は負荷に関係なく一定です。
三種を勉強されてる方はご存知ですがこの無負荷損と負荷電流
による損失が同じとなる様な負荷のかけ方がもっとも効率が良い
と計算で算出できるのです。下で言う70%負荷は目安で厳密には
各変圧器事に計算が必要ですが現場においてそのためだけのた
めに負荷を移動調整するのは移設工事費用や利用者への影響
を考慮すると難しい。せめて変圧器を過負荷状態にしない確認と
と未使用な物にあっては電力用の変圧器に限らず電圧を変換す
る物はすべて電源配給を切る程度は管理上、電気主任技術者
は意識すべきです。

変圧器を休止させる場合は一次側のLBSを開放させます。
二次側MCBすべて切り⇒盤電流計0A確認⇒LBS切り⇒変圧器
二次側検電0V確認が基本作業です。

この変圧器の無負荷時の二次側電圧は以下の通りでした。どうして
24Vでないかと言うと100/24Vの接続において現在104V一次側が
ある分、二次側の電圧が高いのです。もし変圧器一次側を110V端
子に接続してこの電圧なら逆に二次側は24Vよりは下がります。
変圧器のタップ切換の理屈はこれと同じ意味です。
抵抗や電圧を測定する場合はなるべくクリップを私は使用します。
正確に測定したいので接触抵抗の影響を最小限にしたいからです。

それでは実際に二次側に負荷を接続してみました。12VAしか容量
がないので会社にあったミニランプを点灯させました。電流50mA
消費電力は4.6W、PFは0.77まで上昇しました。このランプは力率
1ですから改善する方向に変化します。(一次電流に占める有効分
の割合が増えた
)

今度は二次側の負荷が加算されます。リアタンスXは電力消費しま
せんからこの図で電力を消費するのは抵抗の部分です。一次側で
測定された4.6Wが単純に負荷であるランプの消費電力と言うわけ
ではありません。

これまでの無負荷電流の測定結果も踏まえて変圧器二次側の
電流を計算してみました。
電圧比は100/24なので4でしました。
V1I1=V2I2よりV2が1/4ならI2は4倍、結果ランプ電流値とほ
ぼ一致しました。実際一次側は104Vなので僅か0.11Aより多く
ても不思議ではありません。二次側ランプ電流PFは116.56÷120
=0.97ですからランプ数を増やせば一次側の有効電流の割合が
増える事で一次側PFは改善されます。実験結果を元にした計算
検証です。更に1mAを正確に測定可能なリーククランプメーター
での実測では128mAでした。


これはモーターの回路ですが変圧器と似ています。負荷部分性質は
異なりますがモーターも無負荷損失というのがあります。モーターは
回転子(二次側)に電圧が誘導されそれにより流れる電流と固定子
側(一次側)の磁界との間で発生する力で回転するのです。この図
でE2は回転数に反比例するので起動時はI2がMAX当然I1も同じ
回転が上がればE2は下がり結果、I1は下がると大まかには理解
されてください、もし回転が上がらない機械的故障があればI1が
下がらないため過電流でTHRが動作する事になるのです。

もしかして真剣に考えてる方がいるかも?と後で感じたので上の
解説式も載せました。モーター回転中は二次側電圧E2とリアクタ
ンスX2はこう変化するのです。モーター停止中はS=1で回転が
上がるほどに最後は0.03程度で落着く。0にはならないです。

次はランプを2個にして実験しました。PFは0.95で負荷も8/12=67%
程度かかっています。撮りませんが3個だとPFは0.98まで改善しまし
たがこの変圧器ではこれ以上は過負荷となるので実験はここまで。
負荷がランプより力率の悪いモーターですとここまでPF値は改善され
ないです。

AC24Vで回せる何かは意外と身近になく会社で探したら空調回路
内に24Vタイマーがあったのでこの変圧器で稼働させてみました。
PF値が良くないけどたぶんモーターとかでも似た感じでしょう。

ビルや工場ではモーター負荷が多いため受電点においてPF値は1付近
までは行きません、受電点PF値を改善するため電力コンデンサを変圧器
と同じ回路に投入します。私が勤務するビルは特高受電ですがその場合
でも電力コンデンサーは6600V回路に投入されます。PF値改善はそれが
接続される電源側に効果が出るので22000V回路のPF値も改善されるの
です。PF値改善は線路電流低減、軽負荷時の線路電圧上昇抑制効果が
あるので電力会社より電気の基本料金割引をしてもらっています。これ
力率割引と言います。本来は進み力率ではプラス表示がいいと思いま
すがこの現場は+50Kvar表示でその分のコンデンサーを追加しなさい
と見るのです。先輩らはそれで慣れているので私もそのまま運用してい
ます。(通常はコンデンサー分が不足してるならマイナス表示です)
これは負荷的に朝、まだテナントが営業活動をする前の状態ですね。


電力コンデンサーによる力率改善の意味を意外と正確に理解
してない方が多いので説明すると下の場合では電力コンデンサ
ーの取付点より電源側は遅れ無効電力と進み無効電力は打消
しあうのでその分、電流が減るわけです。ですが変圧器に流入
していた遅れ無効電力は変化ありません。
電力会社にとっては
需要家に配給する電流さえ減らせたら建物内変圧器の力率は
関係ないのです。受電点で力率100%にしてもビル内の無効電流
は何ら変わらない!


ビルの基準動力設備ではスターデルタ回路事に力率改善コンデンサー
がついてるケースが多いと思いますがそれ以外の動力設備幹線の
力率は100%はありえないので改善の余地はあるでしょうね。通常
変圧器容量は真夏でも十分余裕があるので幹線の電流が力率の
影響で多少多く流れてもあまり問題視されないのです。

18.5KWのモーターに18.5KW負荷がかかる様な選定はされないの
負荷が低いほどモーターの力率も低下するのです。たぶん0.8に
届いてないケースも多いと思うのでなければ個別に力率改善コンデン
サーを取付、台数が多くなれば変圧器一次側電流削減に効果あり。
費用はかかるけど力率改善コンデンサーは各モーター機械個別に
設置する方が無効電流を流す範囲を最小限にできるのです。

無効分が増えれば皮相分KVAも増加するので電流の絶対値も必然
的に上昇してしまいます。昼間電流が100%近くなる変圧器の対策
としては
変圧器容量UPする事を思えば試す価値はあります。
この場合モーターと連動してコンデンサーも投入される様に若干
シーケンスを触る必要もあると思いますがマグネットを使えば難し
くはないです。

変圧器の二次側に規定電圧をかけたら一次側にも規定電圧が発生
するのか?
この件はすでにメーカーで回答がこの様に出ています。
あくまでこのミニ変圧器においてですが一次と二次では二次の方が
コイル抵抗は低いので二次に電圧をかけると突入電流が多くなると
いう意味はわかります。変圧器への逆充電を考えるのは電気主任
になれば一度はあります。停電時に所内発電機で所内変圧器を
逆充電して電力会社へ逆送電してしまうのではないかという不安!

52Bも切れないと発電機VCB投入コイルにDC100Vがかからない
仕組みですから所内変圧器への逆充電はありません。又各特
高変圧器二次側も27で切るので二重に安全はされています。
ですが絶対は常に過信ですから故障で動作しなければどうな
るのかは知っておくべきです。ですがこういう安全回路があると
いう事は発電機が停電時に送電できない故障の原因ともなる
のです。たとえば停電発生⇒発電機起動⇒発電機VCBが投入
されない場合は52Gとインターロックを組んでる152Rか52Bの
リレー故障かもしれません。それなら盤の該当リレーを私なら
まず交換してみます。そもそも152Rや52Bが停電時切れてる
というのが最初の確認事項です。両方が切れてないなら27本
体故障ですから手動で152Rと52Bを切れば52Gは投入可能
となる可能性は高いです。

インターロック故障で回路が構成できないとはこういう事です。
逆に過電流、地絡、停電でVCBが自動で切れない場合は5番
端子に電圧がかからないからでそこをたどれば故障原因を見
つける事はできます。その場合は5番に電圧をかける各a接点
がたぶん動作していないのです。(手動操作回路がb接点前に
あるなら手動でもVCBは投入できないわけです)

温度上昇試験
1/3負荷で20分後に変圧器をサーモグラフィーで撮影しました。
3個点灯でも実験しましたが40℃を超える事はありませんでした。
定格負荷未満で使用すれば変圧器は加熱にはなりません。

会社にある2500KVAの変圧器でも4月頃は似た様な温度です。

%Zとは二次側を短絡し、一次側の電圧を徐々に上げていって二次側
定格電流が流れたときの一次側の電圧をV1とすると%Z=V1÷一次定
格電圧×100%です。電圧変換装置まではないので今回そこまで実験
できませんでした。たとえばVCBを更新しようとした場合に確認事項と
してそのVCB二次側での短絡電流の確認をします。各高圧機器の%Z
があればその点での短絡電流が算出できるのです。高圧機器工事業
者は全員ご存知です。%ZはDEEPなので今回これ以上は触れません。

VCB取替工事の時に業者が工事計画書を持ってきた時に計算書も
あったのですが普段使わないので%Zを私は完全に忘れていました。
自分でも計算してみました。実際保守管理で%Zを扱う事はないです。

その時に取替したVCBです。高圧も特高も遮断機を引出したり
入れたりの直接の操作は同じです。少し大きさが違う程度!

CTとは変圧器を利用して一次側の電流を測定する物です。変圧器の
基本法則は一次電圧(V1)×一次電流(I1)=二次電圧(V2)×二次電
流(I2)
ですがI2が低下すればI1も下がります。仮に二次側を開放し
て0にすればI1は励磁回路分の僅かな電流となります。もし二次側が
無負荷なのにI1を強制的に流したらどうなるかです?V1I1=V2I2の
関係式でI2=0としてV2を計算されてみてください。計算上は∞となりま
す。CTの二次側を開放したら焼損するのはまさにこれが理由です。
CT付電流計の電流計を交換する場合にCT二次側を短絡すれば可能
です、又電流計を見れば取付されてるCT比率は下の様にわかります。

VTは変圧器の性質をそのまま利用した物でこれは二次側を解放して
も大丈夫ですがVTの二次側を短絡したら焼損します。VTはヒューズ
があるので見分けがつきます。CTは二次側が解放してはいけないの
でヒューズはありません。CTとVTは現場の電気主任技術者がわから
ないは通らない機器ですから原理・扱いを覚えておきましょう。VTは
一次側の電圧を110Vに電圧変換する物です。電圧計指示や停電
の検出にUVR(27)が利用したりします。

実際のVTの扱われ方です。(私の管理する現場)



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