2017年4月25日火曜日

店の中が真っ暗なのですが?

今日、15時にタイトルの様な電話がかかってきました。そこは飲食店で店内
にはお客さんまでいる状態でヤバイ状況です。
不良回路を切り離して正常復帰させ営業可能とする!電気主任も休みます
からそんな時は設備の人で行わないとオーナーや店長から怒られます。
現場の写真を撮る暇はなかったので前記事で使用した勉強会用の分電盤
で説明を行います。
状況は子回路MCBはすべてON状態で主幹ELBが切れてるから店舗停電。
ELB本体の漏電表示でもわかるけど子回路MCBが切れてない事から過電流
ではなく漏電で主幹ELBがトリップ動作したのはわかります。
★過電流で分電盤主幹がトリップした経験は私は一度もないです★それが
動作する前に20Aの子MCBが先に動作して主幹トリップは防ぎます。


1.主幹ELBが切れた状態、すべてのMCBは投入状態で測定1の点で絶縁抵抗
測定を行います。
100mAトリップELBは50~100mAの漏電で切れるため絶縁は0.1MΩ未満となる。
正常ならばテナント分電盤なら主幹でもこの100Vメガで20MΩか∞表示となるの
が当たり前です。下指示は0.4ではなく0.04MΩですので見間違いない様に!
主幹のELBが飛ぶ場合は測定器ではほとんど0Ωと表示されるでしょう。
ですがMCBが切れてないので対地間絶縁抵抗値は0Ωではありません。
0Ωなら対地間短絡により子回路MCBがどれかトリップしていますし変圧器では
低圧地絡警報が出ているでしょう。漏電でもMCBが動作する事があります。

2.列Aだけをすべて切り測定1で絶縁抵抗測定をする。
3.列Bだけをすべて切り測定1で絶縁抵抗測定をする。
これで列Aか列Bのどちらの回路に絶縁抵抗不良回路があるか判明します。
4.列Aが原因と判明したなら列AのMCBをすべて切り1個づつ絶縁抵抗測定
を行い故障MCB回路を見つけます。(測定2)
5.故障MCB回路が判明したらそこだけ切り、他回路は投入状態で測定にて
絶縁抵抗値が正常か確認して主幹ELBは投入でき営業再開です。
6.以上で原因が発見できないならこの盤の中に異常あり(滅多に起きない)
原因は別として1分でも早くこの処置をして店舗が営業できる様にしてあげ
ないといけません。


最初の盤の写真、稀な事例で黄枠エリアにねずみが引っかかり漏電が発生する
というケース、飲食の人は退社時に冷蔵庫以外の不用回路をわざわざ切って帰
る方がなぜか多いのです。(前に子猫程のネズミが引っかかっていたそうです)
つまり盤の開閉を頻繁にされて閉め忘れをした時にネズミが夜中にここに侵入
してしまうケース、事務系テナントでは考えられません。(上6の原因の一例)

古い人はメガなんか使わないで電圧をかけ入れて切れたという方法で故障回路
を見つける方法をされるかもしれないけど機器にダメージを与えたくないので私
はそういう方法はしないです。

昔みたいに精密機器がない時代ならともかく今はそれは好ましくないと思う。

こういう飲食店は主幹はMCBで厨房関係、水回りのみ子にELBを使えば今日
の様な店舗全停電はかなり防げます。主幹にはELBは私は使ってほしくない
ただ店内分電盤はテナント負担工事で入居時にどこかの電気屋が入れてる
わけでそこまではビル側関係者は意見できないのです、そのためテナントに
より分電盤仕様に違いが発生してしまいます。
たとえば下店舗は主幹はMCB、水を使う場所はすべてELB、座敷やレジなど
水気がない場所はMCBとしていますがこれが理想的な分電盤だと思います。
ただイニシャルコストは一番高いでしょうね。
(対地電圧150V以下の乾燥場所にはELBの設置義務はありません)

不良MCB回路の漏電原因は配線、コンセント、機器プラグ、機器本体のどれか
だけど効率良く点検する手順を紹介します。
1回路に接続される機器類は5個程度だから1個づつ外して測定を行い正常値
になったらそれが悪い機器です。(多くは機器プラグが不良)
すべての機器を外してもMCBの絶縁抵抗値が回復しないならば配線かコンセント
のどれかが不良です。

たいていこういう飲食で配線というとネズミにかじられてるケースが多いです。
どんなに表向き綺麗な飲食店でも天井裏にネズミは必ずいるのです
夜中トラップをされてますがしていても絶滅できるほど効果は実際ありません。
ネズミがかじった配線は下の様にあちこちの被覆が露出した状態で物で被覆
を破損させた場合はピンポイントで損傷してるのですぐわかります。
又事務用テーブルタップを厨房床でころがしそれに汚水が入り漏電したケース
もありました。一般の方の中にはそんな無茶をする方もいらっしゃるのです。

露出した配線部分に異常がないならばコンセントを切り離してみましょう。
これが焼損や劣化してるならこんな綺麗ではなく目視でダメと即わかるでしょう。
数日前から機器のMCBが時々切れてるのにたびに店で入れて使用してしまい
コンセント内部を焦がしていた事例もありました。バイトの子とか無茶します。
あまりに悪質な場合はオーナー経由で業務改善命令を出しテナント費用で
修理してもらい修理完了までは営業停止です。(入居時テナント契約にあり)
ですがそこまでは数年に1回で少々の事は現場で処置します、テナントさん
との関係悪化で一番困るのは私たち現場の人間ですからね!

どう修理されるのかは現場により異なりますが配線修理やコンセント交換まで
される場合は先輩のお仕事をよく見て勉強されてください。
今回の原因はネズミが機器配線被覆をかじり露出させてそれが金属部に触れて
漏電したので私の方で不良個所を切断して再接続修理をしました。
破損部分をテープで巻いたりとか素人ぽい修理を設備の方がしてはいけません。
入居後にテナントが自分で追加した何かでたいていトラブルは発生しますが
配線の設置状態が悪いのでこういう物で壁に配線を固定したり結束させて
再発防止を最近はする様にはしています。
無造作に床などに触れてる部分があるからネズミのかじられや物損するのです。

面倒なのは主幹MCB⇒子MCBで発生した漏電で0Ω漏電までとなり対地間で
短絡すればMCBが切れて異常がわかりますがほとんどでは高い漏電値の
まま変圧器の低圧地絡警報で気がついて調査が必要
な場合です。
そういう場合は店舗は何事もない様に平常営業してるので停電させてもらえない
ために前述してきた絶縁抵抗測定では調査ができません。
こういう場合はリーククランプメーターなどを使い漏れ電流で調査を行います。
(メガ測定でないからMCBは入れたままです)
この方法は相当このBlogでも説明したので過去記事を参照されてください。
写真ではI0で0.15mAだけどI0rでは0mAですから絶縁抵抗値は20MΩ以上。
(法的には末端回路では1mA未満でないといけない正常ならI0r≒0です。)

こういう事例もありました。
ガスエンジンで室外機を運転するGHPというエアコンを昔設置されてるテナント。
この電源回路に電気を配給する変圧器で低圧地絡警報がまず発生しました。
2P2EのMCBから電気を取っていましたが地絡も発生したので対地間で短絡
が発生したのはすぐわかりました。当然このMCBはトリップしていました。
ただ主幹がELBでなかったので全停電は防げましたが基本施工が悪いです。
ちゃんとELBから室外機に電源を取っていればそこだけ切れて地絡も出ません。
(30mAのELBならば15~30mAの漏電が発生した時点で室外機電源切)
エアコン室外機はELBで電源配給して機器本体に接地工事もしておかないとね。
完全な施工ミスで取付業者が室外機修理とそのテナント分電盤には2P2E
ELBがなかったので変更取付工事も無償で行いました。

MCBから室外機に電源配給してはいましたがその2P2EのMCBが0Ω漏電を
遮断してくれました。_もし空2P1Eの100V用MCBを接続変更してこれから
200V電源を取り使用していたら...トリップ素子のない側でこの故障が発生
した場合は大電流が主幹MCBに流れてその場合は店舗全停電していたはず
です。そういう事をする三流業者はいると聞いた事があります。
たぶんテナントにはすでにいくらの金額で行うと約束をしていて後から2P2E
のELBがない事に気がついたのでしょう、今更言えないのである回路から
安易に電源を取ったのです。

業者だから間違えない、家賃を払ってる店舗内工事だからビル側に相談
なんか必要ないと判断した当時のテナント責任者にも問題があります。
ビル側が係ってない昔のテナント工事では電気に関係なく変な施工が後
で問題となる事は稀にありえます。

昔されたテナント工事においては絶対正常という意識は持たないでください。
とにかく200VはELBでもMCBでも2P2Eタイプでないといけません。

私の保守範囲は22000V~100Vまでです。
トラブルというのはビル現場では対地電圧100Vの回路がほとんどです。
電気設備安全管理においては対地電圧で物事を考える癖をつけましょう。


これは金ノコですがパイプを切ったりする物で私もたまに使用します。
面白い作業では南京錠の鍵を無くしたのでこれで切断した事もあります。
ただ替刃は真横からの力に意外と弱くて物を当てると割れてしまう事が
あるのでその部分には物を触れさせない扱いをしましょう。

こういうのを一度も使った事がない方に覚えておいてほしいのは切る時
普通のノコギリは引く時に切れますが金ノコは押す時に切れるのです。
つまり押す時に上から体重をかけたら硬い物でも切断ができるのです。
体が大きなくせに下手な男性がいますが切る姿勢(体制)になっていない
後最初の切り始めは少し注意が必要で最初はゆっくりと動かして確実に
切れ目ができてからいっきに切断します。(言葉よりも体験・練習ですよ)
塩ビのパイプや電線を収納するワゴンモール程度ならこれを使うと簡単
に切断できますがそういう物は正確に切断しないと意味がありません。
上手な人と下手な人の差はそこです。設備の仕事をしてたらいつか作業
をする事があります。

ドライバーでネジを回したり...その程度はできる...では固着して回らない
時はどうするのか...ドライバは押しながら回しているか、ネジに合うドライバー
を使用しているか?これでダメなら貴方の力ではその締り具合が開放できない
ためネジの頭をつぶすだけなので即中止です。最近私がよく使うのが個人的に
購入したこれです。
下は叩く部分が金属なので単なる貫通ドライバーに見えますが叩く事でネジを
緩める方向20°同時に回転させます。(打撃を回転力に変える)
叩く時は私的な表現だけど押さえるつける様にカンカンと機敏に叩きます。
それでダメならCRC等潤滑剤を噴射して5分程度してから再度行いましょう。
ヘッドがプラスチックになってる普通のドライバーをハンマーで叩くと割れたら
危険ですからやめましょう。そういう作業をしていたら工具の扱い方を知らない
初心者と設備のベテランの先輩に見抜かれてしまいます。


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★追記
4/29お休みでしたが10:30に会社から第二変電設備の一般動力1の
変圧器で地絡が出たと電話がありました。

聞けば一般動力1変圧器B種接地で測定すると150mA程度ありすぐに
毎月の測定値30mAに落ち着いてしまうとの事でした。
ノイズ、高調波類の誤報なら一瞬なので現地測定の段階では5分以上
経過してるため150mAなる値が出てるのは何か原因があります。
ただ現在いつものI0値では調査しても原因は見つけられないです。

少しできる人が今日は出勤していたので電話を変わってもらい次に出た
らその二次側各回路でI0を測定する様に頼んでいました。
17:30にその人から電話がありまた同じ変圧器で地絡が同程度出たの
で各回路でI0測定をしたらL3のMCBだけ40mAのI0があったとの事!
回路名からある階の空調機、排気ファン、共用通路エアコンとわかりました。
現在設定してる200mAの地絡設定が解除できなくなったら深夜でも出勤
するので様子を見てくださいと伝えました。

2月の停電作業での幹線メガは異常なしなのでケーブルが原因とは考え
難いわけでそれらの機械類は21時には停止する、今20:00でもう地絡は
出ないと判断して明日出勤してから調査する事にしました。
.....20:30に電話があり今度は170mAで下がらないとの事です。
だんだん症状がはっきりしてきてるので明日調査するつもりでしたが23時
に車で出勤する事にしました、I0はもうわかったから絶縁抵抗測定を行っ
てみたいのです。同じ系統で1日3回も地絡警報が出ては会社に報告書
の提出が必要なのですが今配線が異常ないという根拠は2月で異常ない
というのは理由となりません。電気主任は夜中でも対応が必要です。


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