2016年12月8日木曜日

電気主任技術者 発電機回路プチ改造

12/7の広島駅停電騒ぎからテナント様数社から停電時のこのビルとしての管理
は適正なのかという問い合わせがあり問題点を検証する事となりました。
このビルにおいては単に消防用負荷だけでなく飲食用の冷蔵庫電源やその他
重要設備にも発電機回路で送電する
ので★発電機が起動しない・起動はするが
送電されない★はあってはならない事故なのです。(だから500KWが2台ある)
もちろん駅とは規模は違いますが相応に困るという点では楽観視できません!

月に1回テナントの支店長、店舗店長を集めての責任者会議というのを開催され
ているのですが12月は初めての事ですがテナントの皆さんにこの現場の発電機
設備を見学もしてもらう事となりその時に私が皆さんの不安に質疑応答する事が
決まりましたので資料作りをしなければなりません。

私が管理する現場の発電機は元々コージェネ用のため重油を使うディーゼルとは
異なりガソリンエンジンの様に静か、簡単に言えばガスエアコンで使うGHPに近い。
昔はこのエンジンの排気を熱交換して空調機の暖房にも使用していました。
唯一はメンテナンス費用などランニングコストが高いので電気料金が昔と比較して
安い現状では特別な理由がない限りコージェネはビル等で使われる事はありません。

エンジンの排気を廃熱ボイラーに通す事で80℃の温水を作りこれの戻りの
レターンヘッダーです。

受変電設備故障では地絡、過電流による部分停電という現象がありますが異常
箇所を調査してその区画の切り離しなどは電気主任でないと無理でしょう。
それに地絡と過電流では所内で異常個所があるため発電機は起動しない様な
シーケンスが組まれています。
ただどこの現場にも言えますが電力よりの送電が停止する事での館内停電は
いつでも起こりえるのです。


私が勤務するビルでは受電27動作から2系統の停電信号が出ていますが発電機
への起動指令が確実に行われるかが重要です。
ですがこの回路状況では実際に受電停電させないとこの確認はできない!
又発電機の負荷試験機(水抵抗など)まである現場ではVCB投入試験も可能です
毎月実施する発電機点検というのは単にエンジンが起動するか、発電機やエンジン
単体のデータ取りで制御的な動作確認まではほとんどのビルで難しい状況。
今回はこの部分を解消する対策についての記事で改造方法自体は意外と簡単です。

通常はこの様に受電からのa接点で52BのVCB切り回路5番にトリップ信号が行きます
から自働で52BのVCBは切れる仕組みになっています。
52Bが切れないと発電機は起動で電圧確立できても52Gが投入されず送電されません
がこれは最悪52Bを手動で切る事で52G投入条件の確立はできます。
だから電気主任はイザでそういうのをわかってないといけません。
早く運転しないといけない。という冷静さを失うと凡人は一瞬の健忘症となるので
★深呼吸が緊急時には何より大切です★(自分を過信しない)

これが受電27で現在VTからの電圧が90Vになり2秒以上継続で動作します。
つまり(22000×90)÷110=18000V低下という意味

27が動作すると現場の異常ランプも点灯します。
もし停電して発電機が自働起動しない場合は上で言った52BのVCBが自働で切れて
いるか?もし切れていない場合は発電機側ではなく原因は100%受電回路側です。
下のランプが点灯していれば27単体は動作していますが"27からONさせるリレーの
a接点が動作してない"が可能性として高いですね。

最後まで読めばわかりますがこういう場合はそのリレーから発電機回路への入口
でジャンパーで短絡させてa接点と同じ条件を作るのが一番簡単ですね。
応急対応とは壊れた機能は無視してそれと同じ結果が得られる別の方法を処置
するという意味です。
実際のその状況ではテナント被害を迅速に回避するため発電機手動起動、VCB手動
投入で強制送電しますが原因調査の段階ではどちらにしても上の操作は必要です。

これがその27の2秒と言う動作の時間条件ですが瞬停による誤動作を防止する
ためです。
設備の人にもここまで説明した事はありませんが今回はここまでの説明をテナント
の皆様に行うつもりです。
こういう人が管理してくれてるのか!という安心感が一番大切ですから誰より
私は詳しいというプレゼンテーションをするつもりです。その位でJUSTでしょう?

11月のVCB取替工事の記事で非常用発電機が自動起動、自動停止しない故障が
発生した件は覚えていますか?

修理は基盤取替で終えていますがこの問題をこのままで終わらせてはいけません。
あの時は仕方なく手動で発電機を起動させてからVCBも手動で投入させました。
パネルを手動モードにして起動、遮断器を閉をパネルタッチでVCB投入です。
(52Bが切れてないと遮断器投入可表示となりません)
ただ真っ暗な中で行う操作で昼間に行うのとは状況が異なるので設備の誰もが
冷静にできるのかというとかなり無理があります。

このビルでは停電して5分以内に発電機を起動させる約束になっているので迅速
に操作完了が設備員の義務です。(食品被害が出たら弁償しないといけません)
★発電機が停電時に自働起動しないのでは私的には意味ないですし、消防負荷に
電気を配給する非常用の役目もあるのでそれでは法的にも問題があります★

昔からこの現場では週に1回発電機の試運転はしていますからエンジンの不調が
あればかなりの確率で事前に発見はできます。
ただあくまで手動運転ですから★受電27動作による自動起動ではありません★
一般的には所内停電なんてできないからが理由だけど私が今対策として考えて
いるのは以下の部分を短絡させればそれと同じ試験ができるという小改造です。
つまりこの2点間にスナップSWを入れてONすれば27が動作したのと同じ条件
で発電機は起動させる事はできます。


ただ52Bが入のため52Gが入らない事によるケースは重故障リストにないため
機関停止に至らず試運転も継続できるはずです。
又受電VCBとインターロックが別にあり電力受電中は受電からのb接点が切れて
いるので発電機VCBの投入回路はロック状態なので絶対に投入されません!

実際のSW取付後の1回目の動作試験は来年、年次停電、変圧器交換で数回
全館停電があるのでその時に行います。

現場が異なれば回路の絡みが違うので私と同じ事を行う場合は受電制御のすべて
を把握した上での検証が必要なので注意されてください。
受電側改造を行いVCB関連まで動作させると最悪全館停電となるのであくまで受電
から発電機回路入口の停電検出a接点のみを短絡させる
という意味です。
ただこの部分の短絡で逆に27本体が動作する事はありません。

その動作の動作条件をよく把握しておく事です。(ANDとOR回路)
電気動作というのは複数の条件が成立する事で次のSTEPに自働で進む様に組んで
あり、その条件を電気主任技術者だけはわかってないといけません
停電時に発電機の送電がされない!...今から業者に電話します!なんて通用
しないです。。。修理は無理でもどんな方法を使っても電気を送電するつもりで
いないといけません。


まず店舗店長が設備の部屋に怒鳴り込んでくるでしょうね。"商売ができない"
保険会社、銀行などUPSでもせいぜい電源容量は15分程度ですから★停電時に
発電機が起動しない、対応できないは電気主任としての信用が100%失墜します

故障が発生したその瞬間には業者もいないし電気主任しか対応できる人はいない
のですから普段からその現場システム研究は電気主任技術者は欠かせません。
特に土日、祭日の故障で24H対応で即来てくれるのはエレベーターの業者位です。

最後に技術部長からそれをしても問題はないのですか?と念押しされたので大丈夫!
と自信を持って返答
したので取付許可は出ました。
NEWな提案には責任は絶対ですが逆に責任がかかるからこそやりがいがあるのです。
★何の責任も必要としないお仕事なんてしても働きがいがないと思いませんか?★
こういう改造は発電機業者に相談してもメーカーの異なるその受電制御部分が
の絡みがあるのでたぶん返答はしてくれないでしょう。
だから現場の電気主任技術者が計画して行うしかありませんが原理理屈は簡単です。

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