電気主任技術者 故障時応急対策

冷房設備を前回記事にしたのでその本体故障に関する過去記事
を少し修正して再度載せてみました。

今でもはっきり覚えてる昨年の真夏一番暑い時期のトラブル
500冷凍トンの冷温水発生器を3台運転していた時NO1号機が
急に異常停止しました。

私はちょうど受変電設備の巡回のため館内のどこかにいたら
携帯に連絡が...係長からで冷凍機が停止したという事で
全員中央監視室に帰還命令でした。
すでに職場の男性が二人現地に行っていたので私も
丸山さんエラーコードではバーナーファン過負荷だけどこれは
どういう意味ですかね?と言われてすぐ制御盤の扉を開けて
ざっと中のパーツを目視してみました。
あ!これだ。バーナーファンのTHRがトリップしています。

すぐ業者に男性が連絡されましたが他のトラブルで技術者が現在
いないためすぐに来れない!
という返答でその後だから夕方に来る
事になりました。
ただ今日暑いから500冷凍トンが3台どうしても必要なのです。
一旦中央監視室へ戻りPC画面の温度を見てたらジワジワ冷水温度
が上昇、30分程度したらテナント数社から暑いと連絡が事務所
にありました。

各フロアー担当3人の方が来られて急に部屋が暑くなったけど
冷房してますか?ええ壊れたんですかと悲鳴!
業者が来るまで待っていれません。
係長が丸山さん何とか応急処置できませんか?とお願い。
テナントだけならともかく一般客もいますから、真夏でビルの
中を30℃は絶対に許されません。

男性3名と再度現地に行き問題のバーナーファンを検証開始です。
モーターが逝ったのならもうダメだけどマグネットの二次側でメガ
したら生きてる事を確認!
なのにどうして過電流が流れたのだろう
私の薄学では運転中に単相運転となり2倍の電流が流れTHR
の設定に達してトリップ動作したしかない!
(理論的には1.73倍だけど実際倍は流れます。)

簡単に言うと正常三相運転時電力は√3V3I3で単相時電力はV1I1
電力が等しいとしてI1を求めると√3V3I3÷V1でV1=V3だから結局
I1=√3I3となるのです。(単相運転時√3倍となる)
ただ実際はすべり、力率も変化するから約2倍というのが現実的
な変化と言えます。(この証明は難しいので省略)

まず状況を再現したいのでこのバーナーファンのみを単独運転
したいけど最初に見た通り電子制御なのでそういう操作は
サービスマンしかできませんが様するにマグネットのあそこを手
で押せばモーターに電圧がかかりバーナーファンを回せます。
異常警報を避けるため回路の制御電源をまず切りました。

上は運転状態で停止中はその部分が飛び出しています。
制御を無視して強制的に負荷を稼動させたい場合押せばいいの
手でそれを押したらファンが運転開始しました。
あれ?音も悪くない!でも1分くらい経過するとマグネットがブーン
とうなり音を発生。
この音と振動は単相運転になった時の状態にそっくりです。
私は経験した事が過去あったのですぐにわかりました。

これと同じ製品のマグネットで同じ型式のをどこかで見た覚えがある
...あ地下のあのポンプがそうでした。
配線をすべて外してのんびり交換してる暇なんてありません。
衛生関係のポンプで2日程度運転しなくでも大丈夫なのでそれと
中のコンタクターを抜いて交換しました。

その後で3分運転させたけど今度はまったく正常でTHRも動作しません。

もう10年経過したからすべての動力機器ましてこういう細部のモーター
も含めてマグネットをすべて交換してる現場はそれほどあるとは思えま
せんしだからこういう事はどこでもありえます。
すべての使用パーツをオーナーが事前に買ってくれてるなら別だけど
まずそこまではありえないでしょう。
同じ型番のマグネットが互いにどこで使用されてるのか覚えておくか
きちんとリストにしておけば応急的にこういう対応もできます。
たかがマグネットやリレー、でも壊れたら機械は動きません。


私が父から伝授された緊急時対応の一つを教えてあげる
電気主任として着任したばかりではまだその現場シーケンスも
十分にはわかりません。
ただ工場でもビルでも同じ仕様で設計された物が多く正常機械
を運転させて各マグネット、タイマー、リレーの動作状態を見ます。
逆に故障してる機械を手動で運転させた時に違ってる部分がないか
あれ?このリレーだけがONになってないとかある可能性が高い。
これは電気に限らず言える事で正常な物の状態や構造を比較
する事でその故障原因がわかる事が多いのです。


この前洗面台の石鹸容器から石鹸が出ないと連絡あり。
隣にあった壊れてない物と内部を比較したらまず心棒が脱落して
止め部分が割れて破損してる事に気がつきました。
でも破損なく変形では正常がわからないとそれに気がつけない!
自分の知識にない故障に遭遇した時は比較するというのは大切です。
私は電気以外を学ぶのでもそうして物事を覚えてきたんです。
未経験な物をそこで見てるだけでは永久に解決できません。
だから業者を呼ぶというのは一般の人のプロセスですが
私たちは業者を呼ぶにしても理由が必要なのです。

★せっかくだからマグネットを分解してみました。
底のフック式の止め金具を外して上ケースを取ってみました。
ただ実際はフックを外しただけでは簡単には取れないため真似は
絶対にしないでください。

真ん中のスプリングで可動部を押し戻し電磁石の力で逆らい接点を
投入するシンプルな構造ですね。
こうしてみるとマグネットは機械的な部分は滅多に壊れないでこれの
故障はほとんど接点絡みというのがわかるでしょう?
励磁コイルが断線するのは100V用に200Vをかけたとか回路上
常にずっとONした特殊な状況だけだと思います。

マグネットの表面には2通りの記載があるけど左のJIS~と書いて
あるのが日本規格でIECとかは国際規格です。
そう考えると日本の規格は国際規格より安全率を見てるのですね。
マグネットを選定する上でもう一つあるのは下にAC3とありますね。
通常の始動や停止で使用する場合はAC-3級を使用します。
インチング(寸動)やプラッギング(逆相制動)などを多用する場合
つまりAC-3級より過酷な開閉責務ではAC-4級というのを使用します。
通常のビル設備ではすべてAC-3級のはずですよ。

現場で電験で習う難しい電気の理論を人から質問される事は
99.9%ありませんがこういうよく使う製品はたまに質問を受けます。
ガチに詳しくなくてもいいけど概略だけでもすぐに答えられるだけ
で人はさすが技術者として見てくれるので覚えておきましょう。
理屈ぽい上司では"わからないのに扱ってるのか?"とか嫌な
愚痴を言う人が残念ながら会社にはよくいます。
広く浅くてもいいから自分が扱う物事でよく目にする用語は
調べて覚えておく事をお勧めします。