電気主任技術者として着任したら勉強しないといけない
事は保安規定、その他の1個として受電回路の仕組みです。
ただ製造メーカーは異なってもどこも大きな違いはないの
で今回この受電シーケンスを題材として説明します。今回
の記事が理解できれば貴方が電気主任着任時には必ず役に
立ちますので頑張ってください。
制御回路の代表選手、a接点、b接点、マグネット、リレー
タイマーの概略を紹介します。この程度は電気主任技術者
を名のるならば必須の知識です。
マグネットの基本説明です。主接点はa接点動作のみ
それに連動して稼動する側面のa接点、b接点を補助
接点と言います。2a2bとは各接点が2個あるという
意味、下が2a2bの製品です。補助接点で主接点の
大きさの電流開閉はできない点に注意。
これが制御回路に使われるリレー、ソケットに挿入される裏の
端子構成、電源に電圧をかけると内部の電磁石が動作します。
リレーは5Aとか程度で制御回路用、主回路の開閉には使えない
又接点は切れる時にアークが発生して経年で劣化します。
時々リレーにダイオードが並列接続されるのは切れる時に発生
する嫌な電圧をブロックするため(フリーホイルダイオード)
a接点動作をします、逆に真ん中と上接点は切れるのでb接点動作リレー
に使用されるこういう接点をc接点と言います。受電回路は状態が確定
したら変化がないので滅多故障ないけど、空調機用や毎日動作するリレ
ーは接点寿命や酸化変化を考慮して10年ごとに交換してればまず故障は
ないです。電磁石のコイル断線も滅多ない、
逆に切れるとかそういう目的で使います。これは独立したタイマー
接点を2個内蔵しています。UVRの停電確認、冷凍機の残留運転とか
タイマーは制御をする上で必須のパーツですね。_ソケットの各端子
には決められた番号があり、これが接点番号です。
何かの機械運転が一定時間経過したら、警報か表示を出したい
マグネットが投入されると、その補助a接点経由でタイマーに
電源が入力。たとえば同じ盤にある警報a接点にタイマーa接点
パラ接続すれば、遠方監視PCで異状が発生した事の把握は可能
必要に応じこの程度は電気主任がします。これ以上なら業者だね。
何かと関連させ何かを制御する、これがシーケンスの基本です。
図面の線番号と接点番号を確認しながら回路を
調査していくのです。
シーケンスは記号とその動作約束を覚える、線番号で回路を追う
全体の動きを読みきるのに必要なのはパズルを解くのと同じセンス
上下のラインが何か?見え難いですがPCとNCがDC100V
回路1、P1とN1がDC100V回路2、下ラインの黒矢印はBLで
ベル回路、たとえば過電流でALPからピンク矢印の電圧がBLの
線にかかれば現場盤でベルが鳴るという仕組みです。その他の
警報発生時でも同じベルが鳴りベル回路共通線という意味です。
後黄色でいう線番号はこの図面ではP1ラインから来てるため
P1です。特に個別記述指定してあれば別ですけどね。リレー
等の端子番号はわかり難いため線番号で回路接続を追う!
ただパーツ交換では端子番号の確認もします。線番号を正確
に読まないと故障対応ではトラブル原因になります。
VCB操作SWの入と切に注目する。
入操作の信号が最後に到達するのがここではVCBの
3番、切操作では5番です。まずこの確認をします。
VCB5番には過電流、地絡、不足電圧からの切信号
も入力されます。VCBの入と切のDC100V入力番号
がわかればそれに接続されるいろんな回路の意味は
線を追っていけば理解できます。
次にインターロック関連に注目
地絡、過電流、停電発生ですべてこれらb接点は
切れます。逆に言えばDS投入で電圧受電状態。
地絡や過電流が発生してない条件が成立してない
とVCBは自動、手動関係なく投入できません。
ただ67Y-Rと51Y-Rの前に27Xのb接点がないケー
スもある、もし停電作業中に試験のため52-Rを
単体で投入動作させたいならば27Xの7と9番端子
のジャンパーが必要ですね。更に注目は52Gのb
接点もある、つまり非常用発電機が送電中も52R
のVCBは投入不可です。(逆送電防止)
VCBと連動して動作する接点(青矢印)もある。
RLとは現場盤の投入状態ランプ、GLが遮断中ランプ
VCBが投入されると52-R1と52R-2のリレーが連動
してONになります。たとえば52ーR2だと緑矢印の接
点が動作、その先には中央監視盤やその他回路が接続
されます。中央監視行だとパソコンにVCBの状態を
知らせるためです。
51-RがOCR、67-Rが地絡継電器(方向性)それらの接点が
動作すると各ALPの1番にDC100Vがかかる、次に各2番
から出たDC100Vが左のVCB5番に入る事でこのVCBを
切る、トリップとはそういう状態でVCBが切れる事を言
います。OLは現場盤の各事故ランプ、51Y-Rリレーは
過電流発生時に連動して動作する回路にそれが発生した
事を知らせるための物ですね。
もし過電流発生時に盤の異常ランプが点灯しない、ALPの6番と基準
ラインN1間に100Vがあるか、あればランプ不良。51Y-Rリレーが
過電流発生なのに動作しない、ALPの15番とN1ラインに100Vがあ
るか?あればリレー不良ですね。ただ電圧なしなら業者を呼ぶしか
ないです。電気主任だからとメーカー主要機器修理まで無理です。
では次のシーケンスの解説です。
右にある52X-R1のb接点は受電VCB投入状態で切れ
だから停電が発生した時の切り電圧は青矢印回路で
VCB5番に入り52-BのVCBは切れる、手動操作でも
SWの3-4間を通してVCB5番に電圧がかかる事で
そのVCBは切る事ができる。
受電VCBが投入されると左の52X-R1のa接点は入り
かつ52-F2のVCBが切れていれば、手動SWで投入
操作をする事でSWの1-2間を通じVCBの3番に電圧
がかかる、つまり52-BのVCBは投入されます。停電
発生により52-BのVCBの切りは自動ですが、入りは
手動です。_受電VCBを投入してる、つまり受電DS
を投入した段階でUVRは自動復帰してるので一番右
の線には電圧はかからない、つまり赤矢印の様な流れ
では52-BのVCBは投入されない。
52-Bという呼び名はよく用されます。つまり停電したら
切れる事で非常用発電機が稼動した時にその負荷を発電機
回路に限定する、受電VCB側に電圧をかけない事で逆送電
を防止。_受電VCBと発電機VCBは同時に投入されない様
にもなっています。(系統連系してコージェネを稼動させ
る場合は別)_受電VCBはよく52Rと表現されます。52R-1
とか52R-X2とかいうリレーはその受電VCB関連のリレー
52Fは受電VCBより下回路のVCB関連と表現される事が
多いです。記号さえ見ればどこの現場の受電回路も少し
勉強したら私達電気主任経験者はほぼ理解できます。
これが高圧電路を入切するためのVCBです。機器単体
操作(右側)ができない方は停電作業の時に業者に習
ってください。してみれば中学生でもできますが本読
みの知識でいきなり実操作だけは禁止。お仕事は遊び
じゃないんです。
上のDSはインターロック式と言って下のVCBが切れ
てないとDS操作機のピンが出たままとなりレバー
操作ができない仕組みになっています。古い設備
でDSとVCBが独立してる場合は電流が流れてる
状態で絶対にDSを開放してはいけない。大火傷で
すめば幸運と言えるほどの事故になります。
停電させると電圧がなくなるので停電警報が中央監視PCに
出たままとなる。もっともPCもUPSに限界がありますから
支障なければ停電前に中央監視PCをシャットダウンさせます。
それか受電盤回路の27X-R31のリレーを抜けばいいです。
アズビルの中央監視PCならばメンテナンス切替すればどんな
警報も出さない処置も可能だけどそういう事はあまりしない
方がいいです。(操作を後で元に戻すのを忘れるとヤバイ)
停電作業で単相三線式と動力の変圧器があるけど、私は
先に単相三線式の変圧器から停電させます。動力を先に
切るとエアコンで通信異常U4エラーとか出たら嫌なの
でそうしています。家と違い会社のエアコンは内機は単相
200V、室外機は三相200Vですからね。たぶんああいうエ
ラーは残りますから翌朝テナントが来た時にエアコン操作
パネルがU4表示で点滅してますとクレームあると嫌です。
その他各現場にある機器の特性をよく考慮して必要なら
電気を止める変圧器の順番を検討が必要です。
最後に受電52Rだけが投入状態、電力会社と約束した時間
になれば切る電力からの送電停止を確認、DS開放、放電
DS一次側に甲種接地を確実に取付したら各業者に停電作業
開始の合図をするのが電気主任技術者の役目です。
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