前記事でVCBに触れたので2回目になりますが再度LBSの記事。
職場勉強会でも定期的に繰返す事で身につけられます。個人的
にもLBSが一番操作する事が多いと感じるのでこれから電気主任
を目指す方はこれの構造と操作は必ず習得されておいた方がい
いです。_私が勤務する現場では受電した22000Vを6600Vにし
てその電圧が各電気室に送電されてこのLBSを通して各変圧器
に充電されます。正面の長いのが電力ヒューズ(PF)で溶断する
とこれが切れて変圧器を保護する、そして1個でもPFが切れると
このLBS本体が強制的にトリップします。白いのはアークシュート
といい切れた時に発生するアークを閉じ込めて相間短絡を防止
する物、細かい事は別にして基本構造はどれも同じです。
LBS(高圧交流負荷開閉器)とは、トランスなどの一次側に設置する
高圧開閉器のこと、300KVA以下のキュービクルはLBSを主遮断装
置として使用することが多くあります。街で見かけるこういう小型の
キュービクルの事ですね。_停電させる時は右側のMCBをすべて切
り0Aになったら最後に左側のLBSを切る、受電時はその逆動作。
(厳密には励磁電流があるのでTR一次側は0AになりませんがDS
ではなくLBSは定格負荷電流まで開閉できるので大丈夫)
22000V受電もこうした小規模盤も電気の基本取扱は同じです。
LBS単体ではVCBと違い短絡電流の遮断ができないのでPFで遮断
させる事で対応します、PFは一旦溶断したら再使用はできず交換
が必要です。_(一般ビルでは受電点での短絡電流は5000Aを軽
く超えます、電力会社に聞けばそこの受電点短絡容量はわかる)
高圧コンデンサーは毎日数回、自動又は手動で入切しますがLBS
はそういう使用には適さずVCS(高圧電磁接触器)で行います。
VCSとは簡単に言えばマグネットと同じ日常的に入切するための
高圧機器、VCBと違い投入中は投入コイルに常時電流が流れて
います。高圧コンデンサーは切ると5分程度再投入できない仕組
みがあり(残留電荷放電)_シーケンス的にVCS投入回路に時間
要素があります。VCSはVCBの様に短絡電流の遮断はできません。
VCSは高圧真空コンタクターという名称でも覚えておいてください。
私が管理してる現場の電力用コンデンサー用VCS回路です。自己
保持接点があり、直入モーターと何ら変わらない低圧マグネット回
路と同じである点は感じれたはずです。タイマー時間は可変では
ありますがこれの時間変更する事はなし。_故障時はb接点が開く
ため図面で言えば投入コイルの励磁できません。_毎日使用する
ため10年もすればある日、VCSが制御的に投入できないという
故障はありえるかもしれません?_タイマー接点か故障時b接点
が開いたまま固着というのを私なら最初に考えます。(実際に
機器異状が発生してVCSが投入できないのは正常、機器不良
が改善すればb接点は閉じVCSは投入可能となる)
変圧器を見た事がない方のために補足するとこれが変圧器上で
手前の線の細い方が6600V高圧側で奥の太い方が低圧側です。
LBSは細い方の線に接続されています。これは動力500KVA変
圧器でよく見ると奥の低圧側の真ん中に緑の線が接続されてる
そうS相が接地されています。単相3線の中性点接地に似てる
けど、この変圧器は二次側が三相デルタなので二次側のどれ
かを接地します。(統一する意味で三相もS相接地が通常)
LBSの構造について話は戻ります。PFを下から撮ったのがこれ
PFは溶断すると底からストライカーという小さな棒が飛び出すそ
の動きをワイヤで上のリミットSWに伝えるます。これでこのPFが
動作したのを検知して中央監視PCに警報及びLBSの切り操作
へ進行します。(このLBSでは3本PFがあるのですべてにこれが
ある)逆に言えばこのリミットSWを手で押してもLBSは切れるの
はわかると思います。_停電作業の時に動作テストをされるな
らこの方法で可能です。LBSは定格電流までの遮断は可能で
すが私はPFを劣化させたくないので変圧器単体を停電させる
時は二次側MCB等を先に切り0Aにしてから最後にLBSを切っ
ています。誰かに質問してどうするより、0Aで切れば一切の
不安はないです。
これがLBSの右にある信号端子台の状況です。線番を見てそ
れぞれが何の配線なのかを知ります。
これがLBSの回路図です。左下の電力ヒューズ溶断でONがリミット
SWの事でそれがONすると格PFX11~PFX13のリレーがONになる
のは信号を追えばわかると思います。リレーがONすると上のa接
点がONとなりLBSのトリップコイル(TC)に電圧がかかりLBSを切
る、GRとも連動させるならそれからTCに電圧をかけます。又1個
でもPFが動作すればLBS全体が切れます。電気主任となったら
図面でも回路動作を把握しておきましょう。
現場で実物の動きを見たら何て事ないのですがこんな感じで
すね。重要なのは必要な時にLBSの実操作ができるです。
実操作経験がない方は停電作業の時に業者に指導を受けた
上で自分でもDS棒で入切操作を習得しておきましょう。入操
作では壊れる程に力を入れる必要はありませんがブレードが
きちんとアークシュート内に収まる様(接触不良がない意味)
に投入する力加減を感じてください。_扱う上での力加減や
タイミングはいくら本で勉強してもわかりません!未経験な
方が実務に感じる不安とはまさにこれなんです。
VCB⇒LBS⇒TRという接続関係となります。LBSのPFが溶断
したら中央監視PCでは異状発生表示がフリッカします。つま
りそのLBSの下にある変圧器も停電したわけでテナント設備
で相応な被害が発生しています、現状確認をまずする事!
なぜPFが溶断する大電流が流れたのか_それを解決せず
PFだけ交換しLBS再投入の愚行をする電気主任はいない
はず_高い確率で重大故障が原因である可能性が高くPF
取替は原因調査・修理完了後に行います。
変圧器二次側はMCBで短絡保護しているのでPFが溶断す
る可能性があるのはLBS~変圧器一次側ケーブル~変圧
器というラインになりますが生物などが進入しない様に施錠
管理を怠らないというのが大切です。_30年物の変圧器を
過負荷で使用とかPFをいつ取替したかわからず平気でい
る状態(停電作業業者から指摘もあるはず)も怖いです。
収益の悪いビルでは変圧器を30年以上使用してる事例
は時々あります。法的に古いから使用できないわけでは
ありませんが何かあった時に、点検業者が一概に悪いと
はもう言えない状況と考えるのが普通の常識です。
ある方が27年経過した受電設備の年次点検見積を依頼
したら相手に断れたとの事、そう業者でもいつどうなるか
わからない老朽化した設備は受けたくないのです。一般
の方は点検してれば永久に使用できると思ってる方が
多いのでその辺を説明するのも電気主任の役目です。
LBSに取付されるPFは用途により種類がある点だけは知って
おいてください。尚、PFが15年以上経過してるなら停電作業
の日にでも業者に交換してもらいましょう。_1本が数万円す
るので三相TRならば3本、単相TRならば2本をすべて取替
します。全体では工賃もいれたら100万円は軽く超えるので
オーナーには年間予算として事前に提案が必要です。何か
あれば必ず維持管理をどうしてるかが問題になります。
PFを交換したらマジックでもいいので取替日をPF本体に記
載しておきましょう。
1個の高圧回路系統はVCB単位で分けられていますがこの様
に末端負荷までの流れがあります。月例点検、日常点検を行
い記録として残し、異状な兆候があれば迅速に対応するのが
電気主任技術者のお仕事です。原則停電作業以外でこうした
機器の開閉作業は行えません。このタイプのDSはVCBが切れ
てないとDS操作器ロックピンが出たままとなりレバーが動かせ
ないので電流が流れた状態でDSを開放できない構造です。DS
とVCBが独立してる場合は絶対にVCBを切りの後にDSを開放
する点だけは覚えておいてください。顔面大火傷します。
操作経験のない方はLBS同様に本で読んだだけで習得した
気にならないで必ず実技練習しておく事!短絡させない、電流
が流れた状態でDSの様な露出接点を切らないは★電気を使
う上で最重要事項★電気事故の多くがこれらに絡む事故。
私が電気を扱う時は特高~低圧までその2点をいつも意識
して作業しています。
TRから二次側は対地間電圧が100VOR200V回路です。安全を
意識する上で重要なのは対地間電圧です。(工場とかでは線間
440VのTRがあるケースもあり)
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