朝10:23に一般電灯3変圧器より地絡(LGR)警報が中央監視PCで
出ました。
空調、給排水、熱源、電気をこのPCで遠隔監視していますが種類により
警報音に違いがあり電気はピーピーとしつこい音ですぐわかります。
この類の記事は過去何回か書いていますがこれは忘れた頃に定期的に
私を襲う憂鬱みたいですね。
こういう瞬間は職場の皆さんは私の顔を一瞬見るので電気主任技術者
が行動を始めないと誰も何もしてはくれません!
どう対応していいかわからないので仕方ないけど少しは勉強しろよ!
と思いますが私の義務ですから気持ちを取り直して頑張ります。
貴方も電気主任になったら私のこの瞬間の気持ちわかると思う。
★常にこういう事も電気主任は知っておかないといけません!
⇒ELBと接地の有効性
大至急その変圧器のB種接地でI0を計測すると750mAも出てる状態。
通常この変圧器のI0は毎月の月例点検では15mAなのです。
特に1000mAを越すと火災に進行する可能性を書物でも読んだ事が
あるので放置できない値のため早急なる対応が必要と判断しました。
こういう高い値ですと例外なくI0r値もI0値に近くI0r測定は下写真の
様に電圧クリップが必要なのでI0で最後まで調査をしても構いません。
尚、★漏電調査は最低性能としてある程度のノイズ除去ができるリーク
クランプメーターで行わないといけません★
実はすべて変圧器B種接地I0は50mA未満ですが1台だけ109mAと
いうのがあるのです。ただI0rで測定したらわずか17mAでビックリ!
保安協会に質問したらI0rでそうならまったく問題ないそうです。
私がこの現場に着任した時からで前任者はB種接地測定をまったくして
ませんでした。他にもこんな現場あるでしょうね?
I0rが測定可能なクランプメーターを会社から買ってもらった理由の
一つはこの変圧器の状態を知りたいのがありました。
これがその500KVA一般電灯3変圧器でその二次側回路にはH1~H8
回路があるためまずどの送りでそれが発生しているのか各回路にて
I0を計測する必要があります。
電灯変圧器とは単相三線式でコンセントとか照明回路になります。
動力変圧器回路は通常は固定した専用回線が多く途中で余計な負荷
を接続する事もないので動力回路ではほとんど漏電はないですね。
こういう場合意識するのはELBなら30mA程度漏電で即時遮断するので
主幹がMCBのテナントのMCB回路でこの漏電事故は発生してるので
私はこの時点で数社に頭の中では絞ってはいます。
管理する側としては主幹以外の子はすべてELBにしてほしいですね。
各回路I0の計測は配電盤の裏側で行いますから感電には注意!
この部分は変圧器二次側とMCB一次側になる部分で短絡を発生させ
ると電流がいくらでも流れて火の玉スパークが発生するのです。
又こういう場所は頭上にも充電部がありここでのこうした作業は職場
では電気主任だけが行い他の方には絶対に私はさせません。
ヘルメットと絶縁手袋は必ず着用して測定作業は行う事!
尚、ここでの計測では80mm程度の口径の大きなクランプメーターが
必要となります。(ケーブル3本を一度に挟むため)
(私はマルチのMCL-800Dを使用しています、実売45000円)
負荷電流を測定するクランプメーターは線1本だけ挟む設計のため
口径が30mm程度しかなくケーブル3本は無理なんです。
してみるとわかるけどこういうポイントでクランプをケーブルに挿入
する場合は斜めにして挿入するとか角度を考えないといけない。
正面からではきちんと挟めない事が割りと多いのです。
線を挟んだ時にクランプの先端に隙間があるとI0が10mAなのに
1000mAとか正確に測定ができないので注意してください。
高い値を検出したらまずクランプの先端に隙間がないか確認してね。
どうしても挟めないなら面倒でもケーブルダクト途中かEPS受側で
そのケーブルだけは測定するしかありません。
その結果がこうです。
誰が見てもH1回路の異常でそのH1回路はH-1AとH1Bに分かれている。
そのH1回路を測定するとH-1Bに問題があります。
H-1Bテナントの主幹I0値は毎月こういう状態で今回I0が1000mAなんて
確実に異常です。
8/18の直近計測では測定だけでなくテナント分電盤内MCBなども目視したが
焦げた跡などなかったのでこの短期間で発生したと推測できます。
こういう事態が発生すると直近の状態はどうであったのかを上司から指摘
されます。年1のメガ値なんて半年もしたら有効な値と言えるかですね?
電気事故が発生して有効な直近値は常識的に1ヶ月前だと私は思います。
でも毎月停電させてメガなんてさせてはもらえないし手間ですから各テナント
分電盤主幹でI0/I0rの測定を行い絶縁管理を私は行っています。
昔父が電気主任をしてる工場で老朽化で盤から深夜火災があった時は
消防署まで呼ぶ事態となったのですが現場検証で消防検査官が絶縁記録
だけでなく漏れ電流の記録も見せる様に言われていました。
私もすでにそこで勤務していたのですがあの事例を見てるから毎月各テナント
盤でもI0/I0r測定を私は行っているのです。
クリックしてね
EPS内のH-1Bテナント送りのMCB回路がこれでこのポイントで1000mA
の値を確認したのです。
この回路には現在1社分しか接続されませんから店舗内分電盤主幹で
もここでも主幹I0は測定可能だけど数社共用電源だと各室内分電盤
主幹で測定する必要があります。
写真の真ん中のケーブルにクランプを挿入する場合も正面からは無理。
上からゆっくり斜めに挿入、無理にするとクランプの挟む部分が
変形してメーカー修理が必要となるので覚えておいてくださいね。
すぐに保安規定上の保安統括管理者(技術部長)に連絡して店長に
事情を説明して頂きました。
所有者(社長)⇒保安統括管理者⇒電気主任というのがこの会社の保安
命令体系ですが私もこの方がいいです。(これは会社により異なる)
★テナント責任者から絶縁調査の許可を頂いてから室内調査開始です★
メガを使用できるのはここからで地絡発生からテナントまでの調査では
停電できないのでクランプメーターで調査をしたのです。
メガは1回路づつで測定したら即時投入して2回路同時に切らない。
照明回路を切る場合は”照明が切れます"と声を出してしないと責任者
に許可をもらってるから何でも好きかってしていいわけではないです。
急な事で店内で食事中のお客様もいたのでとても神経を使いました。
又その時のお客様の食事代金はすべて技術部長が支払いまでされて
いました。そう悪い噂が広まるとオーナー側も困ります!
コンセント回路つまり100Vで使用する機器が接続されてる状態での
メガ測定は100Vメガでされてください。
業者の中には設備の人が間違えて1000Vメガしたから機器の調子
が悪くなったのでは?とか適当な意見を言う人が時にいますから!
低圧メガは機器の使用電圧に近いレンジですべきです。
100Vメガの有効レンジは20MΩで測定器に∞と記載があっても記載
する時は20MΩ以上と書きます。(語る時も)
考えてみてくださいこの世の中で無限大(∞)の量があるのは宇宙
だけですから電気屋が∞と語るのは絶対に変だと私は思います。
今回のメガ測定で0又はほぼ0の回路が2回路ありました。
(目盛り表示のメガでは対数表示となってるので読み間違いに注意)
まずその2回路を切った状態で主幹I0を計測するといつもの10mA程度
しかなく故障個所は確定です。
必ず不良と思われる回路を除外した状態で全体の絶縁状態が回復するか
の確認は必要です。
最後にコンセントに接続される機器をすべて外しても0Ωかを確認します。
稀ではあるけど機器単体が故障してる可能性もあるからです。
しかし一度に2回路不良というのは電気主任になって私も初めてですね。
営業中で本格修理はできないけど応急対応をしないといけません。
POSが使用できないとレジが使えなくなるので9番回路においては違う
コンセントから電源を取りました。
次に8番回路はその悪い線をMCBから抜いて仮設回路で対応しました。
負荷的に専用回路でないと他コンセントからの分岐では無理だからです。
接続される100V負荷が1500WのFULLでは隣の別回路から分岐は無理!
このビルの場合、テナント電気工事はテナント費用で行うのでテナント内部
の電気図面とかはテナントが自主管理しています。
コピーの提出をお願いしてはいますがテナントで図面がないケースでは目視
と勘で回路を探し扱う必要があるので時間がかかります。
このテナントも設置した時の分電盤の回路はあるけど追加工事図面とかなく
室内コンセント図面もなぜかありません。
追加電気工事では小さな電気店に依頼した場合は現地で職人が工事して
終わりですからそうだと図面なんて普通ないです。
とにかく応急だからVAで2連式のコンセントを即作成してこれで配線を仮設
するしかありません。
本修理まで数日の仮設ですがなるべく見えない様に配線しないと飲食関係
では苦情が出るので注意します。
又こうした時は半数のテナントは私のした仮設配線でもいいとそのまま使用
されるので仮設ですが見栄えは意識して配線はします。
ねずみにかじられた線箇所を見つけて絶縁テープで巻いて対応完了という
のは普通の設備の人がするならともかく電気主任がしたなら応急対応で
あってもお粗末と思います。また数ヶ月したらそこが漏電するでしょう。
飲食店もねずみのトラップを設けてますがあの子達も賢いので容易には
改善されずテナントに飲食がある場合は年に数回はこういう対応は覚悟
して電気主任に着任してください。
I0が高くてもI0rが低いなら危険性はないと言われますが通常そう極端
はありません。
変圧器B種接地線で急に3桁出る様であればどこかのMCB回路で漏電が
発生してると考えるべきでLGR警報を切ったり感知設定を上げてエスケープ
なんて★まともな電気主任ならこんな処置はされるはずはありません★
指針では変圧器B種接地電流は50mA未満を基準として超過する場合
は原因を特定する様に私たち電気主任は義務があります。
(正確には50mAが連続5分以上継続した場合)
結局今回の漏電は明日の朝一番に業者にて本修理という事となりました。
この様に業者に急に連絡しても彼らも当日の仕事の予定があるために即来れ
ない事が多く、事故発生時は電気主任技術者が対応するしかありません。
たぶん今回の原因はねずみが線をかじったせいで生物被害は急に来ます!
そうでないと一度に2回線も同時期に漏電なんてありえませし正常使用での経年
劣化だけなら工事時100MΩが何年経過しようが0Ωなんてありえない。
だからこういうのは通常の年1のメガ測定では対応できません!
通常のコンセント回路のI0を精度の高いクランプメーターで計測すると
正常回路では0か0.1mAとかになります。法的基準は1回路で1mA未満
(100Vで0.1メガならばオームの法則で逆算すると1mA)
こういうポイントでの計測には私はこのI0R100を使用します。(8万円位)
I0量が多い場合はI0r測定で危険程度を知る事ができる優れ物なのです。
1回路では微量I0でも全体の主幹ではその分増えるのは当然ですが通常
店舗なら主幹で5~20mA程度だと思います。
その推移がないと根拠は言えないのでI0/I0r管理をするなら全テナント
分電盤主幹にて毎月1回は測定して記録を残しましょう。
環境測定で使用する測定器は1台が30万円以上、清掃の人が使う清掃
機械なら50~100万円はします。電気の測定器はけして高くないです。
職場にない場合は説得して会社に購入してもらいましょう。
遊び道具ではなく必要な物の購入を拒む様な会社は辞めた方がいいです。
だって物がないのにどうやって質の良い電気管理ができるのですか?
そういう会社が管理するビルでは電気主任としてできる事はほとんどなし!
尚、今回紹介した2個は私が会社に申請して購入してもらいました。
これは過去記事にした違うテナントでの漏電だけどこの時は夜中に地絡が
出て深夜02時に出勤して一人で調査しました。
電気主任というお仕事をしてると夜中にそれが出たら無条件出勤です。
だって明日対応にしてもし火災でもなったら解雇だけでは済まないでしょう?
応急処置は明日でもとにかく漏電してるテナントを探して不良回路を切る!
業者なんかお金を払って契約でもしてない限り、深夜に電話なんかしても
出るわけないか携帯電源を切っています。私しか対応する人はいません!
私の経験として適正状態でのI0指示値はほとんど変化しませんが
漏電が発生してる値を見てると値が常にUPDOWNして定まりません。
エアコンや冷蔵庫のコンプレッサー不良と言うには変化が早く高い
I0値の数値変化を見ていても何か異常ある雰囲気を感じます。
MCL-800DのSW部だけどFLがノイズカット機能で必ずONの状態で
使用します。
選任の電気主任技術者になるという事は休日でも電気で何かあれば職場
や場合によっては業者から指示を求める電話がかかってきます。
何かあれば業者に連絡すればエスケープできるという考えでそれに着任
した人が電気主任技術者を結局は途中退職されるのです。
それか職場先輩かテナントに"それでも電気担当か?"と罵声を受けたとか?
父の話では電気主任になれても半数は1年以内に退職するらしいです。
私も着任当初は現場未熟さ上に言われた事あるけどそれに負けて挫折
する様では電験三種は取れても電気主任には向いていないという事です。
電気主任になるには精神的な強さが着任して3年間は必要でしょうね!
だから★途中退職する電気主任前任者なんてたいして頼りにはなりません★
又そういう事態を見て個人ではたいした人はいないと判断したオーナーが
選任は止めて保安協会に委託するのでしょうね。経費節減もできます。
保安協会にさえ自分の管理する現場に限り負けないスキルになる
のが選任の電気主任技術者の目的で、それでこそ選任の価値があるのです。