2017年9月25日月曜日

スターデルタ始動モーターの運用方法(基礎丸山式)

空調自動制御盤と違いこうした動力盤までは業者が定期メンテ
していない現場がほとんどなので空調機が動かない、ポンプが
回らないの故障では対応は電気主任技術者が行います。

そのために保安協会に委託せず電気がわかる電気主任技術者
を選任してるのだとオーナーに言われたら返す言葉もないです。
経費節減のため電気主任を選任せず保安協会に委託する状況
が多いこの時代に★自分が選任された意味を理解しましょう★
貴方は下スターデルタ始動モーターの各1本の意味わかりますか
今回記事の後半ではスターデルタ回路組立も行いました。


上は基盤制御なのですが動作を一般回路で簡単に説明するとこうです。
現場では空調機設計者によるりオリジナル回路を扱うわけですが初め
ての方は下回路図の流れを覚えてください。スターマグネットとデルタ
マグネットの動作には0.25~0.5秒程度のタイムラグがあります。
漏電調査と同じで電気主任がスターデルタ回路がわからないでは現場
での緊急対応ができず困るのは自分自身です。

主マグネットは一旦ONとなると自己保持回路a接点が生きるので
スターマグネットがOFFとなってもONのままです。スターとデルタの
マグネットは互いに相手のb接点を持ってるため同時投入されない
...この程度なら工業高校の学生さんも理解されるはずです。
上は回路動作の基礎の基礎だけど受電・停電回路などもこういう
見方の応用なのです。図面記号は新旧両方で読める様にしておき
ましょう。私は工場で旧記号にて最初覚えたのでどちらかというと旧
記号の方が見易いですね。

こういうのをスターデルタ専用タイマーと言います。故障時に自分
で取替する場合は既存の設定に合わせてください。スターデルタ
方式の不具合のかなりがこのタイマー故障に関係します。

スターとデルタの混在した状態の展開図をどれだけの方が理解
してるのか疑問に思っています。私も最初はわかってる様でわか
ってない状態でした。スターデルタ結線を完全理解するなら実際
に自分の手で組立をしてみてください。それがイザ現場でも対応
できる様になる習得の方法です。

左が教科書に良く出てくる結線ですが私が勤務してる現場にある
モーターは右の結線となっています。NETでも同じ状況で迷ってる
方もいるかもしれませんが両社共にスターデルタモーターの結線
で扱いや特性は同じです。指で各結線を追って確認してください。
XがVに行くかWに行くかの違いでとにかく最初にUから出て最後は
Uに戻り、閉じたデルタ結線が完成します。以下説明は見易い左
結線で行います。

このスターデルタモーターの3個のコイルには一次と二次側があ
り各UVWやXYZという記号があります。そうスターデルタ結線の
モーターは電源線として6本あります。

5.5KW程度のモーターでは電源配線が3本しかないのは電圧を
下げないで直入起動してるからでスター結線にコイルの組替の
必要がないからです。11KW以上のモーターで直入起動をすると
MCBが耐え切れず起動電流で電源トリップする可能性があります。
だからスター回路で配給電圧を√3分の1にして起動電流を直入
起動より下げて起動します。(電流とトルクが1/3となる)ただ電圧
を下げるとトルクも述べた様に低下するのでその状態でも起動
できる負荷でないといけません。

スターデルタモーターの配線を接続する端子台の接続も当然
6箇所となります。

モーター各配線のどれがU~Zか暗記してください。下はスター結線
なので片極を短絡していますが現場ではこういう配線ではなく短絡
金具というのが使用されます。こういうスターデルタ回路を見る時は
最初にどれがスター用のマグネットか確認してそこから全体のつな
がりを目で追えば構成と配置を容易に把握できます。


次がデルタ回路についてですがこの部分が少し理解し難い方が多い
と思うのでこういう配置で私は説明してみました。

さっそくデルタ結線を接続してみましょう。スター部分を省いて
あるのでゆっくり目で追いながら実際の配線と比較されてね。
U⇒X⇒V⇒Y⇒W⇒Z⇒Uの閉回路を結線します。

つまり3個のコイルを直列で接続してuで閉じるという意味です。

U⇒X⇒Vまでの接続がこうです。

V⇒Y⇒Wまでの接続

W⇒Z⇒Uまでの接続、これで1個の閉ループ回路ができデルタ
回路となります。

動力盤はMCB二次側辺の電流値をCTで読んで盤表の電流計を表示
させています。そこを実測したこの値が運転状態(デルタ)のモーター
コイルに流れてる電流ではありません。ただ起動時(スター)は盤電流
値はモーターコイルに流れてる電流値を表示しています。

デルタマグネットのとこで測定した電流値が通常運転中にモーター
コイルに流れてる電流値ですから測定しないとそれはわかりません。

上のクランプメーターは電力KWも測定できますが1mA単位でノイズカット
で測定できないのでこちらでI0の測定をして絶縁状態を判定します。
左がデルタマグネット一次側で測定した時のI0値で右は電源RST側で
測定した時のI0値です。左の方がよりモーター単体測定に近いです。
こんな値ではI0rで測定すれば≒0mAでメガをすれば確実に100MΩは
ある
状態です。屋内用モーターですからどれもこんな物です。対地電圧
が200Vなら0.2MΩが最低基準ですがこういうモーターでそんな値にな
ってるのを私は一度も目撃した事がありません。ビルの中にある空調機
モーターがすべて100MΩで1台だけ0.5MΩとしたらたとえ法定基準を満
たしていても要注意です。常識的に考えて何かの劣化進行の途中と考
えるべきで貴方の現場での測定経験での常識値を信じてください。

同じ設置環境、使用条件での他モーターとの絶縁抵抗値を比較すると
いう見方が現場管理では重要です。
法定基準とは限界値それになるま
で放置していては適正な管理方法とは考えられません。後がなく即使用
禁止となり利用者に多大な迷惑をかける事になります。管理とは変化の
異常を確認する事で最終的な限界値かを確認する事ではありません。
各変化の異常とは自分が測定作業をしてきた経験が教えてくれます。
会社によっては故障原因の調査をする場合もありますが鋭い業者にその
変化を見落としたと報告書に記載されるかもしれませんよ。I0/I0rは
停電せずに簡単に今の絶縁状況を確認する方法です。

1.7mAですが中高年の方はこの小数点を見落とす方が多いので注意
されてくださいね。私は記録として残す電気測定業務はすべて自分で
行う事にしています。間違えて困る事は他人をアテにしない
たとえばテナント分電盤で各子回路がすべて1mA未満(≒0~0.3mA)
程度なのに主幹で17mAになるわけないのです。単相三線式主幹では
通常5mA未満が通常、でも漏電や漏れ電流の理屈がわからない人は
平気で17mAなんて書いてしまうので測定業務を自分以外と手分けし
て行う場合では人選して行わないと測定の信用性がありません。

最低月に1回は測定して電圧、電流(主幹とデルタ回路)、漏れ電流の
記録を残します。こういう記録だけが管理をきちんとしてる証拠になります。
私も昔、職場の上司からきちんと点検してるのか記録を見せる様に何回
も言われました。各種点検結果は毎月社内管理部に提出してCHECKされ
ますが意味がわからない場合は問い合わせがあります。明確に自分のし
てる点検の意味を説明する必要があるので適当に測定してるというのは
ダメですよ。会社では一人の人間の行動結果は常に会社からもCHECK
されるのです。

このフレキシブルクランプメーターがほしいので会社に購入提案書を提出
しています。保守管理の事を考えてまで配線されてないのでいくつかの盤
ではクランプメーターが挟めないポイントがあるのです。これなら自在に
曲がるのでいいですね。電気のお仕事は測定ツールがないと状態がわか
らないので保守管理なんてできません。
状態がわからないで行う対策や
点検は意味ないです。前月にテナント機器増設で動力回路の空き容量調査
を業者から依頼されたのですが肝心なポイントでクランプが入らず電気室の
送りとその他を測定してその差で判定。ですがきちんと測定すべきポイント
で正確に測定を行いたいです。機器増設に関しての現状負荷調査はよく
受ける電気主任業務の一つです。


容量が不足してるのに間違えて大丈夫と返答して運用開始で電源が飛んだ
ら返答した電気主任を雇用する会社の費用負担で改善・弁償しなくてはいけ
なくなります。ただ測定するだけですがお仕事は"間違えたごめん"では済ま
ない事も多々あります。業者も電気主任さんのに指示に従いました。と逃げ
ますしそういう事を避けたいからテナントに"空電気容量をビルから返答を
もらってください"と伝えテナントがオーナーを通して電気主任に調査依頼を
されるのです。オーナーから言われたらまさか電気担当として調査できませ
んなんて言えません。

これまでの組立を1個にしてスターデルタ回路が完成しました。
主マグネット、スターマグネット投入⇒モーター起動⇒約10秒後
⇒スターマグネットが切れる⇒デルタマグネット投入が一連の動
作でそれを行うのが制御回路で今回はそこまでは大変なので
組立はしていません。ただ最近の制御はリレーやタイマーでは
なく基盤制御が多いです。この10年以内のビルならほぼそうだ
と思います。(中央監視PCがビルシステムにある現場に限る)

スター回路からデルタ回路に切替わる瞬間は一瞬モーターが無
電圧になるために突入電流が流れてしまいます。 針式電流メー
ターなら切替時に針が大きく振れるのを確認できます。ただあくま
で瞬間だからこれで故障したりはしません。(これをリダクション
キックというのだそうです。)
実際はタイマーでスターの時間が終わりデルタに切り替える間に
0.5秒ほどの時間を入れています。
これはマグネット接点の残留
アークの消滅時間です。

現場に入り実際に切替わる瞬間を体感された人にしかわからない事
結構ガチャンと大きな音がしますが驚かないでください。

どう見ても頻繁に繰り返すには適さないのでスターデルタモーターは
短時間に何回も起動・停止をさせていけません。

このスターデルタ回路は主マグネットがデルタ回路の中にあるタイプ。

その場合はこういう結線になりますがその違いだけで運用はまったく
同じです。自分が着任した現場の三相モーターをよく見て研究されて
みてくださいね。ただこうする事で主マグネットの通過電流がデルタ
回路の外の場合より電流が√3分の1となるのでマグネットの能力を
下げる事ができコストが下がるのが利点かもしれません。ただモータ
停止中でもデルタマグネットの一次側に電圧がかかったままで昔工場
で勤務してた時にあった2コンタクト方式のスターデルタに近く個人的
には好きな結線方法ではありません。主マグネットが切れたら完全に
その二次側回路すべての電気が止まる方が私はいいです。

今日は接続してませんがデルタマグネットMCDとスターマグネットMCS
の上にある互いのb接点、この接点が故障するとモーターに通電でき
ないので起動しなくなります。切替タイマーと共にスターデルタモータ
ーの起動トラブルで最初に確認しなければいけないポイントです。


電源ONでモーターが起動しない...いつもの10秒後デルタ切替時間
となりいきなりデルタ回路で起動してしまった。容量の大きなモーター
では起動電流の違いでトリップしてしまいます。たとえばスターマグネット
MCS上にあるデルタマグネットMCDのb接点が焼損で切れたままになって
いるとそうした故障が発生します。タイマー接点A接点がONとなりMCSは
入らないのでそのb接点は入りですからMCDが投入されてしまうからです。
こういう場合は電源ONしてすぐにデルタマグネットMCDのb接点間で開放
電圧200Vの有無を確認します。正常ならモーター起動前は接点はON
なので接点間は0Vで正常です。
おそらく200Vでマグネット交換が必要。
電気主任の貴方が迅速に発見する事で復旧が1秒でも早くなります。

現場にてデルタマグネットのb接点がどのポイントかわからないでは役
に立たない単なる知識とかしか言えません。今回の例で言えば私が写
真上で指で示すこの位置に配線が接続されてるb接点の事でこの接点
間をテスターで測定します。

少し邪道ですが制御回路が変圧してないAC回路なら検電器でも接点
状態を確認できない事はないです。おそらくネオン式ではなく非接触式
の検電器がほとんどでしょうからテスターの黒を指で持ち赤を充電部
に当てて確認されるのが正確です。(対地電圧200V回路なら150V前後
で表示)接点がOFFで電圧がなければ≒0Vではっきりしています。
この場合はテスターに139Vがかかり私と線路間の対地間静電容量に数
10Vで私にはわずかの電圧しかかかっていないから感電しないのです。
これが危険というならネオン式検電器も危険という話になります。

7.5KW程度のモーターはビルでは負荷の軽いファンなのでいきなりデル
タ起動でも起動できてしまいます。そのため何の問題もなく正常運転表示
が中央監視のPCでは出てしまいます。デルタマグネットのa接点でモータ
ーが起動か停止を見てるだけなのでスター回路の異状がわからないから
です。空調機ですとモーターが30KWとか大きいので同じ故障ならばTHR
トリップで異状としてわかります。同じ故障で11KWの三相モーターが直起
動状態になった経験が私はあります。11KWでもいきなりデルタ起動できる
のかと思いましたが正規使用方法ではないのでそのままではいけません。

通常は中央監視PCからの遠隔操作で起動・停止していて巡回点検では常
に運転状態なので意外な盲点と言えます。回路で対応するならで考えみた
のですがこんな感じはいかがでしょうか?タイマーTXは3秒、中央監視PC
というのは故障信号を一旦受けたらOPが確認操作をするまではエラーは
画面からは消えません。TXのタイマーB接点をA点に挿入します。

故障箇所は判明したがパーツがないでは何もできません。
普段自動ですが★人間スターデルタ方式で起動させればいいのです★
タンブラSWですから自己保持回路は不要です。物がないからその機械
を起動できないと極めて深刻な事態となり業者に暢気に依頼する暇も
ないとしたら電気主任が自ら配線して手動にてこの方法でスターデルタ
モーターを起動させるしかないでしょう。もしこのマグネット本体ならば
ビルにある設備の中で今使用していない停止しても影響がない回路か
らマグネットを取外して取替してでも運転再開をする以外ありません。

起動時に一番気をつけるのは1秒の間を置く事で慌てて③をOFFする
前に②をONさせたら短絡
してしまいます。だから電気主任しかできません。
スターからデルタ切替の間は0.5秒程度、ですが人の感覚では1と数
を唱えて②をONするしかありません。とにかく失速しない内にデルタ運転
にしないといけません。余裕があれば各タンブラSWの配線に電磁開閉器
の下にあるTHRの端子も挿入できたら最善ですが緊急時ではとにかく動
かす応急処置をするのが精一杯でしょうね。業者に連絡してもすぐ来れ
ない場合...モーターが動かないがなんとかならないのか?とオーナー
から怒られるのは電気主任技術者なのです。

後で写真を見て気がついたのですが左のタンブラSWのON位置が逆。
動作には影響しませんがこうのは右か上にしてONとなる様にします。
テナントや客先では気をつけるのですが遊び気分で楽しく練習していた
のでそこまで意識していませんでした。ベテランの方ほどそういうとこで
私の見えない程度を勘ぐるのでここで説明しました。


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