2018年12月16日日曜日

漏れ電流I0/I0rの視覚化&電流波形検証

貴方は実務で漏れ電流を扱う上で十分にそれを理解されてい
ますか?
絶縁測定による漏電調査は停電が伴う!_ですが今
の時代それは容易ではなく漏れ電流による絶縁判断もできない
と電気実務管理には不都合としか言えません。_そのため検証
ツールの一つとして漏れ電流データーロガーMODEL5001を使
用しお仕事で管理してる変圧器のB種接地電流を測定しました。
又後半では機器のI0変化をグラフ化して私も改めて勉強になり
記事にしました。_漏れ電流とは言いますが奥が深いです。

漏電とは対地間絶縁抵抗値が絶縁基準値未満となり流れる
I0r(抵抗分漏れ電流)
と私は定義します。_厳密に言えば∞
な絶縁抵抗値はありえない、極微量なI0rは常に存在します。
又B種接地で常時漏れ電流I0が100mA以上の場合かなりの
確率で末端にて絶縁基準値未満の回路が接続機器も含め
て存在する可能性が濃厚です。特にMCB回路に要注意!
I0rで測定しても50mA超えならば原因を見つけてください。
負荷のボリュームが多いのか?本当の絶縁不良なのか?
メガ測定で判明できない機器内部漏電もありえ年1の絶縁
測定で異常なくても、B種I0が高いなら安堵はできません!

B種I0を扱うため管理基準の50mAに設定、3個の専用クランプ
を使用して同時に3回路I0監視が可能です。サンプリング時間
が1秒間隔で約5時間、2秒で11時間、5秒で1日連続でI0値
測定・記録が可能。1個しかクランプを接続せず5秒間隔でサン
プリングなら3日連続で可能です。このI0値を測定記録する方
式では電流設定は関係しません。

監視中のI0変化を記録しないで、電流が設定値を越した時
だけ記録する方式なら、ほぼメモリー消費しないため内蔵電
池の寿命がある間約40日は漏電監視が可能です。_下の様
な負荷0A回路のI0は当然0mA、そこで数mAある様では配線
又はコンセント絶縁不良の可能性ありですからメガをします。
基準I0rで1mA未満の事、とりあえずI0で1mAを超えてない
かの確認を最初にします。

測定終了でモニター上でも簡易的に確認できます。11/29の13:15
測定開始、測定期間内においてMAXのI0値が19.4mAという意味。
下グラフは500KVA_NO3変圧器のB種接地で測定した物ですが負荷
が増大するとI0も上昇するのがわかると思います。でもこれは漏電
ではなく機器が稼働するとI0も増加するから!
_もっとも測定時間
範囲において9~12.7mA、50mA未満ですからまったくI0値としては
異常ありません。★ビルでのB種接地電流の正常な時間変化です★
ですが50mA未満でも深夜変圧器負荷がないのに昼間とI0値がほとん
ど変わらない場合
、どこか漏電の可能性があるので気をつけてね。
深夜負荷がないのにB種接地電流が下がらないのは不自然です。
(この事も末端で絶縁不良が発生してる現象の可能性あり)

場所を第2変電室のNO4電灯500KVA変圧器に移動しました。
背面はマグネット式のため盤上いろんな場所に容易に固定取付でき
使用感はガチにスマートです。_普段私が漏電調査で使用する
sanwaのI0rクランプメーター_I0モードでの値の違いはこの程度。
I0rモードで測定したら約2mAになりますが、そこまでは必要あり
ませんからこのI0値を電気月点検記録とします。下はこのB種
接地電流の波形です。時間単位ms、一部波形が急に尖ったの
は何かの機器が稼働したせいかもしれません。各分電盤接地
からの総括なので原因特定は無理です。ただ10mAの範囲変化
ですから問題となる事ではありません。

変圧器B種接地電流は経済産業省通達で月1回測定しないといけ
ませんがついでに変圧器の二次側I0とできればテナント分電盤
主幹までI0測定しておきましょう。どこかで漏電が発生した場合
厳しい上司だと普段の絶縁管理はどうなってるのか?説明を求め
られます。
電気主任技術者でも何かあれば、CHECKされる身分で
あるのが会社組織と言う物なんです。_年1のメガ測定でしか管理
してない返答では保安規定に漏れ電流点検記載がないとしても
点検不足と言われるでしょう。保安規定は最低基準、だから停電
せず絶縁管理できる毎月の漏れ電流測定が欠かせないのです。

750KVA動力変圧器では、I0が70~80mAと50mAを超えています。
(急に80mAに上昇したのではなくかなり前から)_ただI0r測定
では39mAなので問題はありません。その80mAのI0波形が下。
変圧器がB種接地管理基準50mA未満を維持できないのは歪波
成分による物、絶縁抵抗劣化による物ではありません。機器類
が発生源で
対地間静電容量を通じて流入した高周波とかノイズ
が原因なのは電流波形からもわかります。もし綺麗な正弦波の
状態で80mAならば完全にどこかで漏電しています。

絶縁抵抗は力率1、I0rはその絶縁抵抗により流れる電流ですから
電源電圧と同相で実験の白熱電球波形と同じ波形です。ただ実際
はI0=I0r+I0cとなりI0rクランプメーターでこの抵抗分による正弦
波成分を測定して、B種接地管理基準50mA未満を満たすか知るの
です。_I0>I0rですから通常リーククランプメーターで50mA以下な
ら問題ありません。
ただリーククランプメーターはある域以上の高周
波成分を除去する物、電源と同相のI0rのみ測定はできず、極稀
に50mAを超え表示をするケースがあります。

オシロスコープの様な使い方もできる点がガチいいです。
漏れ電流データーロガーMODEL5001は漏れ電流測定用ですが
1000mAまでの負荷電流波形を調べる事ができます。(電流設
定を0Aにしてキャプチャーモードで測定します)_対地間静電容
量は容量性リアクタンス(1/2πfc)
のため高い周波数成分に
対して低い交流抵抗となり、高調波成分のみを漏れ電流I0cと
して通してしまうのです。結局I0=I0r+I0cとなりI0が増加!

電源に交流を使用する以上は対地間静電容の影響を完全になくす
事はできません。すべての交流充電線路はコンデンサ回路で対地
と接続されている!
_え?それってどこにあると言うのですか?
磁石は磁力線で説明できそれで貴方も納得されてると思います。
それと同じでとにかくそういう目に見えない回路があると理解して
おきましょう。_そうなると絶縁、漏電を考える場合はこの影響を
無視できないのです。稀に変圧器地絡警報やELBトリップを誘発
させる悪戯をするのもこの目に見えない電気回路です。

漏れ電流データーロガーMODEL5001をPCとUSB接続して専用
ソフト側から本体の設定変更するのが一番簡単です。
PCにドラ
イブがない方は共立サイトからソフトはダウンロード可能、正常
にPCとリンク状態になると本体にPCと表示されます。

NEXT私が住んでるマンションで測定してみました。テナント盤
にて漏れ電流データーロガーMODEL5001で間欠漏電の調査
をする時も同様にSETUPしてください。

そのdataをソフトに入力してグラフ化させてみました。グラフ縦軸は
Aだから0.001Aが1mAです。測定範囲中3:52がMAXI0で0.9mA
というのがわかります。1秒サンプリングにすると連続測定可能時間
は15時間と短くなりますが緻密に変化がわかります。この回路には
この時間なので冷蔵庫しか稼動してないはずです。漏電というより
対地間静電容量回路を通じて流れて来る高周波成分、電気機器
は程度の差はあれ稼動すればI0レベルでは値を上昇させる
ので
すね。_ただ測定グラフのベースが下の様に0なら問題ないけど
それが2mAとかならば絶縁抵抗測定を一度して見るべきです。

インバーター機器は高調波、ノイズが出やすいと聞きますがそれを
家のエアコン(3年前製品)で実験してみました。やはり起動直後は
I0が一番高くなる。テナント分電盤子回路で測定した時に稀にI0
で1mAを超えるケースがあるのですが、その回路にインバーター
高周波照明器具類が数台あればI0では1mAを超えても不思議で
はないです。更にエアコンI0波形も取得しましたがやはり高調波
成分を含むので波形も正弦波ではありません。_歪波は基本波
に直流成分、基本波の整数倍の高調波が重なり発生するわけ
で波形が基本波の正弦波とならないのは絶縁という抵抗成分
だけで流れてくる電流だけではないという事ですね。

参考までに簡単に言えば三角形の交流波形があった場合それは
上の様に基本波と奇数倍の高調波式です。正弦波以外で変形し
てる電流波形は何らかの高調波分を含みます。

今回使用の専用クランプは小径なのでこんなB種接地や分電盤内
での20A回路での漏電調査
にしか使用できませんがそれ以上では
口径の大きいタイプの購入が必要です。_使用してる専用クランプ
は8141というタイプですが8143があれば幹線ケーブルでの間欠
漏電調査
で使えます。

⇒変圧器特性実験もしました!
上は数台ファンがある動力盤とテナントフロアーEPS各分電盤の
の接地線の電流波形です。これら接地線は変圧器B種接地に接
続されています。少し波形に歪が見えますが対地間絶縁抵抗に
よる漏れ電流I0rのみに近いのが波形からわかります。これら
盤からB種接地電流を不要に増加させる原因はありません。
ただ装置回路内にあるノイズフィルターではかなり高調波成分
があるのが波形からわかります。これを接地に捨てるわけです
からB種接地電流が不要に増加するのは誰が見ても明白です。

漏れ電流は1mA未満である事という条文だけで言えば幹線が
10mAあるのはおかしいと思われるとしたら現場勤務をされた
経験がない方と思います、この誤解をまねき易い真意を理解
できる様になるのが建物全体漏電管理の最初の課題かな?

幹線ケーブルの最大漏れ電流はそのケーブル最大配給電流
の1\2000ですが、漏電なのかという観点から言えばそれ以下
は当然で、私の経験では幹線で30mA程度、テナント盤主幹で
10mA未満である事がほとんどです。
_あくまで1mAがそのまま
適用できるのは末端での子回路です。_貴方も現場に着任され
たら実際に施設内で測定されて実感されてみてくださいね。
それこそが貴方の役に立つ真の答えと判断します。すべての
正解は実験と現状だけが教えてくれる!

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