モーター特性実験

今日は実際に購入した新品の日立製モーターで説明したいと思い
ます。これはモーターの基本回路と言える単相の分相始動方式
です。尚中身は玩具ではなくビルや工場で使用されるモーターと
同じ構造ですから試す結果はお仕事にも適用できるのです。

モーターは始めに回転を与えてやれば回転し続けるためにSWは
起動後回転数が上昇すると遠心力で自動で始動回路SをOFFに
するための物、運転中は主回路Mだけに電流は流れます。コイル
のもつ誘導リアクタンスの差を利用して回転磁界を作る。コンデン
サー始動方式はこの始動回路にコンデンサーを挿入した物でより
強い回転力を得る事ができるのです。又単相モーターは見えてる
配線は2本でも接続端子ではそうではありません。


配線のカップリングはテスター導通テストでわかります。モーター表記
にあるローテーションとは回転と言う意味でつまり回転方向を示して
います。赤ー黒を変える事で回転方向が変化するという事は赤ー黒
が始動コイルですから測定しなくてもここでもわかります。それを踏ま
えて接続し運転準備を行いましょう。正回転がモーター側から見て右
回転です。


マグネットで電源投入した方が様になるけどコイル電圧100Vマグネット
が今ないのでMCB直結で稼動させる事にします。

運転電流が2.696Aだけど力率が0.21なんて何かの間違い
ではと一瞬思いましたが事実がすべて正しいのですから
その他も継続しました。尚始動電流は定格電流の3~5倍流れ
ますが無負荷ですと0.1秒程度と短いので測定できません。

皮相電力W=VI=102×2.696≒275VA、力率PF=56.8W÷275VA≒0.21
ちゃんと理屈に合っています。つまりこれは無効電流が多いのです。
Iq=2.696×√(1-0.21×0.21)=2.635A、有効電流はIp=2.696×0.21
=0.566Aで2.696-2.635ではないのは電気専門の貴方ならば
ご存知のはずです。

負荷をかけてその変化をお見せしたいのです。少し危険を伴い
ますがタオルでモーターシャフトを力をかけて持つ事にしました
ただ回転するドリルの刃先を指でつまんで電源SWを入れるなん
てできない、このモーターも人の力で反抗できないほど強力。
こんな事を本気でこのモーターですると指を骨折するので良い
子は真似しないでください。

すぐ変化が出たのはやはり力率、0.21⇒0.25と改善されました。
電流が2.696A⇒2.670Aに低下、無効電流は2.67×√(1-0.25×0.25)
=2.585Aと低下しています。ちゃんとした機械負荷を接続して90%近く負荷
をかけたら0.8程度まで改善されるでしょうが私の握力ではこれが限度。
ただ負荷により力率が変化するのはご理解頂けたと思います。

モーター力率は負荷のかかり具合で下の様に大きく変化します。
85~90%程度の負荷で運転するのが一番最適と言えます。負荷
が少ないほど力率が低下するつまり余分な無効電流が流れてし
まいます。実際現場でのモーター使用では60~80%負荷で運転
される事がほとんどです。運転電流<定格電流値が通常のモーター
の運転状態
なのを現場に着任して知る方がほとんどでしょうね。

力率を0.85とし消費電力WをVI×0.85で試算される方がいますが
厳密に言えば違います。正確に知りたいなら測定しかないです。
18.5KWのモーターでは何Aの電流が流れるか?についても力率は
一定値でなくそれを正確に知る術がない以上、運転中は一定負荷
としても計算でJUSTな実際値を求める事はできません。三相モータ
ーの電力KWを求める場合、私は電力クランプメーターを使いブロンデ
ルの定理で結線して2回測定してそれを合計します。つまりP1+P2が
√3VICOSΦの有効電力です。

接続される負荷トルクはモーターに電源を加えた瞬間に発生する始動
トルクより十分に小さくないといけない事。何か機械的故障原因により
回転に大きな抵抗が発生してる状況、それでは回転数が上昇できな
いため始動電流が流れたままとなりコイルを焼損します。実際は焼け
る前にTHRが動作して強制停止となるでしょうが切れたVベルトが
シャフトに運悪く食い込み、ベアリングロックなどモーターに影響を与
える機械的原因も頭の隅に入れておきましょう。ただ運転電流値が
最近下がった、軸受から異音をしている_そうした兆候に迅速に対応
してるまともな現場では起きえません。トルクは始動トルクから開始
山形に上昇して下降、最後に負荷トルクと一致した点で運転中のモー
ター回転数が決定します。発生する力と要求する力が一致するポイ
ントで回転を継続する
のがモーターの基本性質です。ただ同期速度
未満となる。同期速度Ns=120×周波数÷極数(回転磁界の回転速
度の事)

始動電流に合わせて回路設計をすると無用にイニシャルコストが
増大するため始動時のみ電源電圧を下げる方法があります。
ただ始動電流が下げる分、始動トルクも下がるのでモータと負荷
のカップリングには注意してモーターの選択を行います。スター
デルタ始動では始動トルクは全圧始動の1/3となります。
ビル
の空調機やファンの様な軽い負荷では私が経験した範囲では
7.5KWまでなら全電圧始動で運転されていました。

運転中の始動コイルの電流は0Aです。始動時は一瞬でテスター
では測定できません。尚、排水槽の水中ポンプが吸込口で異物
が詰まり10秒程度モーターを反転させるならば三相ならばマグ
ネット二次側配線の2本を入替えたら可能です、単相モーター
ではモーターの端子台を開いてこの場合ならば黒と赤を逆に
接続すればいいのです。

モーターの絶縁抵抗はほとんどのメーカーで1MΩ以上が好ましい
とあります。それではという事でこう測定しましたが正しいでしょうか?
メガのアースをモーター本体のネジ金属に接続しています。

モーターにある接地端子は有効なのかあえて確認してみます。軸と
接地端子は導通があり、つまり充電部以外の内部金属とつながっ
ています。

接地端子と本体で導通を調べるとOL(断線状態)つまり塗装があり
絶縁状態なのです。これでは触れて感電はしませんが内部の絶縁不
良は発見できません。絶縁抵抗測定は必ず接地端子に接続しないと
適当な金属面にメガのアースを接続して∞とすると稀にそれは本来の
絶縁抵抗測定をしてる事にならない場合もあると言えます。

これでこのモーターのコイルの絶縁抵抗は間違いなく正常です。
対地電圧100Vの回路で使用するモーターですから125Vメガ
レンジで測定しました。メガは人の感電危険度を調べるための
試験
ですから試験電圧値は明確に規定されてないと言えど感
電時に人体にかかる対地電圧値に近いメガ電圧レンジで行う
様に私はしています。

モーター接地が建物の接地に接続されてるならば測定回路MCB
を切りその一次接地側でメガのアースを取り、MCB二次側の絶縁
抵抗を測定できます(試験電流経路はメガL側⇒機器絶縁⇒D種
接地⇒対地⇒B種接地⇒線路中性線⇒コンセント接地側⇒メガE側)
絶縁抵抗測定を行う時に有効な接地点を挟めない場合にこの方法
でモーターなどの絶縁抵抗を私は測定します。このメガの試験電流
は10μAで安全。これは保安協会の方に去年習った方法です。

スターデルタ始動では切替時の瞬間電源が一瞬無電圧となった時
発電現象が発生します、そのためデルタ回路で電圧がかかった時
に発電した電圧の位相のズレで電源ショックが若干発生します。
現象としては現場の方は誰もがご存知のはずです。

前から疑問に思っていたのはモーターで電源が切れて止まる間で
も残留磁気により発電されるのかという疑問?結論はテスター指
示100V⇒0Vになる途中変化でこういうランダムな値が一瞬表示
されるだけで発電されてる雰囲気ではありませんでした。個人的
には一瞬発電するのでは?今度発電機業者が点検に来た時に
この件は質問してみるつもりです。何事もプロがいますから疑問
はそういう方に教えを頂くのが懸命です。

運転30分後のサーモグラフィー温度分布。最初に触った感じ
は私の体温が36.5℃なので熱くも冷たくもない_という事は同
程度かと想像しましたがやはりそうでした。50℃を越すと人は
触る事ができないので手で触っていられるなら熱いと感じても
その程度では電気製品の絶縁は全然大丈夫です。このモータ
ーの絶縁階級はE種だから120℃、以前業者が表面は中より
10~15℃程度下がると言っていたのでそれから言えばこの
モーターの表面限界温度は100℃程度
です。私が管理する
現場のモーターで表面温度は冬40℃、夏60℃手前です。
今回は負荷がないから温度があまり上がらないのです。

停止中は熱を発生しないのですから単なる鉄塊、周囲の方が温度
が高いのです。可視光線でなく赤外線で見る世界は面白いです。
たとえば室外機の目詰まり箇所も熱の発散の色違いでわかります。

製品付属取扱説明書を読みましたが要約すれば定格負荷未満で
使用、頻繁な起動・停止をしない、通風が効く場所で使用を遵守

すれば通常15年は故障しないと思います。反面モーターを焼損させる
とすればモーター以外の機械的原因、三相マグネットの単相運転など
適切な管理と部品交換を怠った場合、モーターはそれの付属設備の
管理が悪いと15年より前に故障する
でしょうね。モーターはけして
メンテナンスフリーな機器ではない点を勘違いしてはいけません。

モーター実験は第2回目もいつか行う予定ですが今度は何か制御回路を
作成してこのモーターを制御してみようかと思っています。


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