電気主任技術者 変電室月例点検

変電室での一番の重要設備は変圧器です。VCBやLBSを操作するのは
停電作業以外では特別な工事がある場合のみです。これらはサーモグ
ラフィーで点検すると通常使用ではそれほど熱を発生しない事に気が
つきました。ですが変圧器はエネルギーを直接変換する設備ですから
一番熱を発生する機器です。月例点検では変圧器を主体に私は点検
をしています。(ここは第三変電室ですが他でも同じ点検)

どこの現場も必ず月例点検でしてるのが変圧器B種接地電流測定
下はノイズカットで測定して約5mA(5.44mA)問題なし(50mA未満事)
もし50mAを超えたらそこで抵抗分漏れ電流I0rが50mAを超えてない
か確認します。I0>I0rですからI0で50mA未満ならば合格です。5mA
ではその数値を記載すればいいけどあえてI0rを測定してみましょう。
もし現場でお持ちでない場合は必要測定器として会社に説明して購入
してもらいましょう。現場で1台はB種接地電流が50mAを超えるという
現象はそう珍しい現象ではありません。二次負荷の多い回路では!
点検結果報告書は月末に会社に提出しますがその時に管理基準を
問われ50mAと返答した場合、これでいいのかと言われたら困るので
必要な物はきちんと事前に会社に進言しておくべきなのです。それ
で不要とかいう電気管理業務に無理解な会社は長くいる場所では
ないと思いますよ。経験だけ積んだら転職すべきです。

配電盤中の単相三線式の中性線(真ん中の線)が対地電圧が0Vな
のは上の変圧器でB種接地をしているからです。配電盤では年1で
接地抵抗を測定し毎月接地が効いているか測定で確認します。
(ここの接地が効かないとテナント盤の接地も機能しない事になる)
時々ある勘違いについて_中性線に電流が流れアンバランスになっ
ても漏れ電流が増える事はありません。三相の場合も三線の電流
値にばらつきがあっても同じです。漏れ電流は対地間抵抗と対地
間静電容量が絡んで増大する
のです。メガ測定で対地間抵抗が
指示上∞でも有限値で微量な対地間電流(I0r)は流れるから漏
れ電流は0にはならない、更に対地間静電容量の影響(I0c)もあ
るのですから尚更。ただそれらを無視すれば回路中電流の総和は
∑I=0が成立する
ので電源線をすべてクランプで挟めば回路電流
がどうであろうと漏れ電流は0という理屈は成立します。

電気主任を不選任してるビルでは漏電を遠隔監視していますが50mA
を基準にしています。100mA以上も出てるのに面倒だからと警報を止
めたり設定を500mAとかして火災が出たら電気主任を解任するだけ
では済みません。毎月変圧器B種接地電流を測定するの元は経済産
業省通達。保安規定に記載がなくても必ず測定実施しましょう。

この場合は単相三線式変圧器で基準電圧をこの様に入力します。
表示が2段になり上がI0rで下がI0値です。電圧を基準ベクトルとして
電圧と同相の抵抗分漏れ電流を測定するので電圧クリップが必要です
わずか5mAの変圧器でも実際に漏電に関する成分は半分程度というの
が今回の結果で確認できます。もしこれでI0rが50mAを超えてると原
因調査を行います。このビルの変圧器ではI0で4~35mA程度ですが
1台50mAを超えています!ただI0rでは50mA未満なので問題ありま
せん。(保安協会より助言あり)


単相三線式変圧器でI0rを測定する場合の結線図、三相ならば接地相
以外の2線を電圧クリップします。(三相では接地相の確認が必要)
三相では3本の線路のどれかですからR相が接地の場合もあります。
図面ではなくこういう物は実際に各線路の対地間電圧を測定して確認
すべきです。(接地相の対地間電圧は0V)検電器ではなくテスターで
確認してください。接地と電路間で測定する、検電器は非接触式でも
50V未満は反応しないので0Vを確認する事はできません。


ここはキュービクルなのでB種接地端子が盤の底にあって電圧クリップ
するならこのポイントが一番簡単です。人によって危険と思われるかも
しれませんが活線状態で行うI0r測定では100%の安全はありません。
だから電気主任の私だけがしています。手振れは私は一切ない!
もちろん脚立がないとできません。

こういう盤の底にある線をクランプで挟むのを初めての方にさせると
意外とできません。こういう物は一旦奥まで入れて奥から内にインサ
ートとする感じすれば挟めます。何でもそれ位できるじゃなく自分で
してみるのが大切です。下の値ですがI0は83mAだけどI0rは33mA
この場合基準値は満たしている...本当の漏電ならば放置すれば
I0は500mA程度まで短期に上昇最後は1000mAオーバーします。
私が着任した時からI0が50mAを超えていたが変わらず原因不明
で安全確認できないまま様子見となっていたのです。上で電圧クリ
ップしたのはこの三相変圧器のI0rを測定するためでした。もし
漏電であればI0r≒I0=83mAとなりこうなればまず間違いなくどこ
かで漏電してるので調査しないといけません。いつも地絡で夜中
呼ばれる時はI0r≒I0なる状態なので私もわかっています。

次に外観点検、サーモグラフィーでの温度分布です。加熱箇所はなし
変圧器以外は温度が低いのがわかります。このアングルでは変圧器
背面になりますが上のLBS、PFにもまったく加熱はないのが確認でき
ます。(室内はOAのみ導入で現在13℃)こういう感じで赤外線の目で
変圧器外観点検をを1台づつ行っています。室内は夏エアコン時より
寒いので発熱がない金属部分はガチ温度は低いですね。父から昔
CTは二次側が断線すると火が出るので特に注意しろと言われたの
で個人的にCTだけはいつも気にしています。確かにVTやCTは赤色
となるので変圧器と同じ熱を発生する物なのです。(写真から輪郭
を起こしてそれに配色する技術が素晴らしい)

第一変電室だけどここは常時人が立入るのでエアコン運転して人
のために室内は適正温度で運営しています。リアクトルは高圧コン
デンサーより熱くなる、同じ金属導体でも材質により温度は微妙に
異なるetcその他単一でしか温度を見てなかった頃には気づかな
かった事もあり色で温度を見るのは面白い。2月時期の高圧機器
温度は50℃未満が多いのではないでしょうか?やはり一瞬で全体
温度が見れるのが最大の長所ですが熱交換してるしてないとか
機械関係の状態点検にも使い方で応用できます。

記録紙に変圧器付温度計の値とオイルレベル、盤の表にある電圧計と
電流計の値、以下程度でしょうか、どちらにしろ触れる事はできないの
で月例点検は外観形状、電圧、電流、温度、異臭がないかが基本です。
変圧器以外の高圧コンデンサ、リアクトル、DS、LBS、CT、VT、VCBも
同じ様に確認します。清掃は毎年の停電作業で業者がしますから受電
中こういう場所は清掃してはいけません。感電事故の元です。



次に変圧器二次側の漏れ電流を測定します。こういう設備を見た事が
ない方のために数ポイントのI0値をそのまま載せてみました。この値
は各配線で異なりますが変動はしても昼間の値より夜間は大きくなら
ないし同じ時間で比較測定するならばそう違いもありません。はっきり
言って漏電したら明らかに違うほど大きな値となるので漏電していたら
わかります。私が管理する現場で一番I0が大きいのはある三相回路
幹線の25mAですね。30mAを超えてる幹線は確認していません。停
電時の幹線メガではすべて100MΩ以上あります。幹線ケーブルに関
しての監視ポイントは私の場合は毎月のI0値の変化量です。(低圧
電線路の絶縁性能は漏えい電流が最大使用電流の1/2,000 を
超えてはならない)ケーブル劣化より末端で接続されるテナント機器
による漏電が原因で100~200mA更に劣化すると500mA以上のI0
が幹線に流れてしまうのです。

これらはI0値だけど電圧をMCB二次側から入れたらI0rが測定できます。
ただこんな値ではI0rを測定する意味はないです。クランプメーターに限
らずメガにおいても測定器を扱う場合は小数点の表示を見落とさない事
0.01MΩを0.1MΩと見て法定値あるなんて測定ミスはありえます。測定
は日頃からして見慣れておくのと中高年の方はバックライトを点灯させる
とか自分を過信しない様にしましょう。正確な測定業務ができてないでは
電気保守管理はできません。このI0r100クランプではこれ以上太いケ
ーブルを挟めないので以降はいつもので測定します。

これでI0rを測定する時はRM-1を併用しています。ここも毎月の値
と変わらないのでI0rで測定は不要です。ただこれらが急に30mA
とかなったならI0rで測定してみる必要があります。I0rでも30mA
ならばどこかのテナント室内で絶縁低下が発生してる可能性あり。
地絡では100mAを超えるので疑いの余地はないけどこういう上昇
の仕方でも絶縁不良が発生してるケースが過去何回かありました。
(MCB⇒子回路MCB回路が一番怪しいです)ただ30mA程度の上昇
だと変圧器B種接地で50mA未満に収まってる場合もあります。
だからB種値には関係なく変圧器二次側各回路も漏れ電流を私は
測定しています。

RM-1はリーククランプメーターと併用して使う物で言葉を変えたら
信号発生機、それ単体ではI0rは測定できません。テナント分電
盤で主幹MCB⇒子回路MCBで漏電が発生すると下の様なEPS内
幹線で普段9mAしかないI0値が100mA以上流れます。その時の
I0中のI0rの割合はほぼI0≒I0rとなるのでI0r成分割合を見れば
どこかで漏電が発生してるのが確定です。正常時のI0中のI0r
の割合は1/2~6/10程度ですね、この現場で見る限りは!
ACを電源として使う以上は対地間静電容量の影響はなくせない
∞の対地間抵抗はないのでI0rは完全0mAにはならないと思います。
もしリーククランプメーターでない通常のクランプメーターだと仮
に1mAが測定できてもノイズの直撃を受け高い値が出てしまう
ので漏れ電流管理では1万円のクランプメーターは無理です。

漏電が発生してる幹線ではI0rクランプメーターの小数点以下の
値が連続激しく変動する事が私の経験上多いです。つまり安定し
てないという事。漏電してない場合その回路の漏れ電流はほぼ
一定値
です。(それは測定器を見てる間の長くても20秒の範囲
という意味)私はI0rで測定した時に値の変動をまずCHECKしま
す、次はもちろん値の大きさです。これは理論的根拠はない私の
体験からの気づきなので話半分で結構です。

通常幹線メガでは最低100MΩ以上、1000MΩは軽くあるはずです。
2000MΩまで測定できる500Vメガが会社にありますがそれですと
すべて2000MΩ以上でした。テナント盤での絶縁測定は機器を接
続した状態で絶縁測定を行うので100Vメガを単相三線式の盤では
使用していますが機器をすべて撤去して絶縁測定を通常の500V
メガですると100MΩ以上あります。テナントも10年使用したら機器
をすべて取替してくださるならば電気管理はもっと楽になりますが
そうもいきませんし、飲食物を扱う場所ではねずみ被害も絶えま
せん。(トラップを仕掛けた程度では壊滅できない賢い強敵)短絡
はまずないけど漏電は電気担当の永遠の課題ですね。

漏電発生時はELBや変圧器地絡LGRが俊敏に動作するためにも
接地が必要な箇所は確実にそれが効いてないといけません。きち
んと接地が効いてればビルならばコンセントで接地抵抗を測定す
ればこの程度の値が出ると思います。(8.3Ω)_家のコンセント
では50Ωでした、法定値は100Ω以下です。

保安規定による年1のメガ測定の結果で詳細は別として主幹値の
一覧表を作成しておくとその後に漏電とかあった時に上司等に説
明するのに便利ですのでお勧めします。不良回路だけでなく1MΩ
~0.1/0.2MΩの状況も改善する様に対応しています。今年も一部
テナント機器側に絶縁不良がありました。

ビルで電気主任技術者をする場合、高圧側でトラブルが発生する事
はまずないです。そのために年次点検をお金をかけて業者にしても
らっています。低圧回路の漏電、絶縁不良がトラブル対応のほとんど
ですから発生した時の対応方法といつ発生しても普段の自分の管理
を上司に見せれる様に点検報告書を整備しておきましょう。それ以外
の事ならば電験がなくても10年もいる先輩の方が新米の電気主任よ
りその現場の電気の事はご存知です。職場やテナントから電気担当
として頼られる様になるには最低3年はかかります。何か発生したら
解決させ結果を見せてこそ一般の方は信用してくれるのです。電気
主任をする上で回りが貴方を比較する基準は前任者のスキルです。

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