電気主任技術者 設備勉強会

毎月1回正社員が交代で職場の人に勉強会をしているのですが今月は私
が担当でしたので11月に処理したこの件を話題としましたので現場未経験
の方はぜひ参考にされてください。

4階のフロアー責任者から天井から大きな音がしてると連絡ありました。
あるエアコンの室内機から発生していて業者が夜中にフィルター清掃をした
時にきちんとはめてなくて振動してるのかと最初は思いました。
夜中に空調機や各エアコンフィルター洗浄、交換に業者が入り行いますが
作業後に取付が悪くて時々こんなクレームが来るのです。
カバーを外しフィルターも撤去して聞いた音はそういう種類の音じゃない!

このタイプのファンでは中に異物が混入して異音が発生する事があるの
ですがそれはなし又、私の経験ではベアリングの音とは違うと思いました。
完全にケーシングと羽が接触してる音で私の勘では軸が何らかの理由で
ぶれている可能性が高くこれを本体から分離して下で修理が必要で今
ここでどうこうできる状態ではありません。
たぶん10年経過してるので一式交換が必要でしょうがまずは至急に業者
点検が閉店後に必要です。
とにかくここは飲食店通路のセンターでいつまでもここに脚立を立てている
事はできません。
ただこんな大きな音が飲食店のある通路でしていてはとてもまずいです。

ちなみにこうした機械の異常音をより正確に聞く時はこうするのです。
その機械の異音がしてる部分にドライバーを当てて耳で聞く。
空間を通してだと回りがザワついているとどこで異音がピンポイントで
してるかわからない時があります。
職場に戻れば機械屋さんが使う聴診棒はありますが簡易的にはこれでも
ただ離れて聞くよりはるかにわかります。
上の場合ですとこの方法で"カリカリ"と扇風機の羽が硬い物に連続で
当たる様な音
がドライバーを通して聞こえてきました。
ただこれは対象物に接近するので十分に安全には注意されてください。
空調機とかではベルトとかに巻き込まれたら死んじゃいますから!
電気を扱う場合でも★私達の作業はすべて危険と隣り合わせなのです★

この通路のある各エアコンはフロアー責任者がコントローラーを操作して
運転・停止してるので彼にこの音のしてる機器の停止を話をしたのですが
"できないって?????"もう男の癖にメカ音痴なんだから!
私が交代して操作してみたのですがエアコンの何台かをグループに分けて
問題のはグループ2で3台のエアコンが同時起動・停止する制御。
いろいろしてアイコンを単独表示にできたのでこれで該当する機器だけを
選択して停止ボタンで停止するはず、ですが停止ができないのです?
音がかなりしてるから今更マニアルを暢気に探してる暇なんてもうない!
これのマニアルはフロアー責任者である営業が持ってるはずだけどたぶん
どこにあるかもわからないのは聞かなくても容易に想像しました。
バックヤードにある分電盤を探してそのエアコンの電源を切りました。

コントローラーで手動停止せずに電源を切ったために通信異常が!
業務用エアコンでは室内機の電源を切るとこれが出るのはわかって
いましたが他のエアコン運転には支障はないはずです。
余談ですが室外機が短絡、漏電でそれのELBがトリップしても通信異常
というエラーが発生します。
特に台風時期になると強風で室外機ファンに逆回転の風が運悪く吹き込
んでしまうと無理がかかり過電流で室外機ELBが落ちて通信異常が出る
事が私が勤務する現場では多いです。
通信異常のエラーが出た場合は室内機、室外機のMCBやELBがトリップ
してないか確認が必要ですので覚えておいてくださいね。
切れていたら投入する前に絶縁抵抗測定は必ず行わないといけません。

ところが奥にあるもう1台のエアコンまで同じ表示で停止したのです。
仲良く3個のMCBがある別電源になってるはずなのに電源が消えた場合
にでる通信異常が無関係と思われるエアコンでなぜ発生するのですか?
さあ貴方ならこんな時はどうされますか?
★ここからが電気主任技術者のお仕事STARTです★

飲食だからとねずみが天井裏で配線をかじった故障ではありません。
図面通りに配線されてないのですからそうなると既存の配線がどうなっ
てるか1から調査が必要です。

配線を指と目視でたどるとこういう関係になっていて照明のON/OFFで
使うリモコンリレーをエアコンの室内機運転に使用してるのがわかります。
どう考えても3台のエアコンの室内機は別電源になっているはずです。
ですが通信異常という電源を切った時に発生するエラーが該当しない
はずの室内機で発生してる★事実は事実なのです★


故障してる室内機用のリモコンリレーR-35を手動でON/OFFさせてみたら
この回路を生かせば3台目の室内機は正常運転する事がわかりました。
リモコンリレーは黄色のON/OFF表示を爪で反転させたら手動でON/OFF
させる事ができます。


つまり上の右側のR-36というリモコンは配線まで出しながら3台目の室内機
には接続されず実際は左のR-35のリモコンの配線と電源が共用になってい
たのです。
コントローラーで仮に単独で正規にR-35を切れても結局は2台が共用電源
なので3台目の室内機は運転できません。
R-36回路は10年以上も未使用でしたが絶縁測定は毎年してるので問題
はないでしょうからここに正規に配線しないといけません。
常に3台同時起動、停止で故障がこれまでなかったので誰もこの事には気が
つきませんでした。

天井裏で接続されてるなら今日の事にはならないと思いましたが束になって
る配線のインシュロックをほどいて1本づつ確認したらこの盤内で処理して
いたのでこういう接続変更で正規の状態に戻す事ができました。
これでR-35~R-37は正規に各単独電源となったのです。
念のためリモコンの出たとこで各I0を測定してみましたが1mA未満でした
から各室内機のモーターに絶縁不良はありませんでした。
あ!故障してるエアコンは電源がないのだからI0が0なのは当然でこれ
は携帯で職場に連絡して100Vメガを持ってきてもらい測定しました。
これも20MΩ以上で問題はありません。

絶縁は業者が点検に入る機器については事前に電気担当として確認して
おかないと業者から絶縁も悪いなんて逆指摘されたら電気主任技術者
として恥ずかしいですからね。

点検報告書に書かれると永久にそれが現場に残るので嫌ですし第三者
が単に見た場合に絶縁点検をしてるのかと疑念を持たれてしまいます。

業者点検の結果やはりシロッコファンの不良という報告で3日後に取替工事
となりました。
紙面では伝えられませんがベアリング(軸受)が経年劣化で発生する音とか
電気主任はモーター、空調機なども担当するので現場で聞く機会があれば
覚えておかないといけません。(Vベルトのスリップ音とは違います)
初期異常音が発生して放置すると完全にロック状態となるとTHRが動作しま
すがその手前で周辺の方には耐えられない様な機械音がして大迷惑です。
(音が小さい間に交換を至急行う必要があります)
テナントビル、飲食、病院とにかく人が利用する空間では停電だけでなく異音
がするというのはあってはなりません。


昔この現場であった話ですが一般客が警察交番に変な音がすると通報した人
がいて交番から指摘があった事があるそうです。
他人には笑い話に思えますがその話が社長の耳に入り、部長以下係長まで
厳重注意をされた事があるらしくて私が勤務するビルでは異音に関しては特に
誰もが敏感になっています。もしろん客商売ですから当然です!

★施設の電気主任技術者は単に技術だけでなく客商売をしてる意識を忘れて
は現場では勤務できません!常にお客様が最優先なのです。
ガチの単なる技術屋で融通のきかない人はダメ、まったく技術がなくても無理。
施設の電気主任技術者とは利用者に快適な空間を与える事も大切な業務で
問題点が発生すれば先頭に立って改善と提案をオーナーやテナントにできる
様な人になるのが誰しも理想です。
それには日々のこうした小さなトラブルを確実に処理する事が大切でその
積み重ねを見て誰もが電気主任の提案に耳を傾けてくれるのです。
単に本の理屈だけを語る人は学校の生徒さんだけでいいのです。

更に今回のトラブルから得られる教訓は以下です。
1.稀にではあるがこういう末端工事では施工ミスがありえる。
2.先入観を持たないで発生してる事実だけを受け入れる。
3.自分の都合ではなく利用者への影響を最優先して処理をする。
4.同じ状況が他でないか確認を必ずしておく
5.今回の事例はエクセルで書式にして結果を残す。

ビルで電気主任技術者をする場合は故障のほとんどが対地電圧150V以下
で発生するのですから原因なんて見つけてしまえば単一な要素です。
様は漏電調査と同じで先入観を持たないでつながりを正確に追っていく事
が大切
で機械が動作しない場合もそうですが各施工図面、シーケンス
図面というのを整理していつでも確認できる様にしておかないといけません。
難しい何とかの法則や回路計算なんてそれを設計する人ではないのです
から必要ありませんが★上で言う類の図面を読める能力が一番大切です★
そのため整理整頓ができない人では電気主任業務を円滑にはできません。

貴方は自分の指の長さをご存知ですか?
何かの作業をする時に自分の指の長さを知っていると意外と比較対象に
便利な時があります。
又常に空間的な長さを意識するのが安全作業には一番大切と思います。
昔自動車のバッテリー交換をした時にスパナのお尻が車体に触れて火花
を出した事があるのですが目の前の指先だけの意識しかありませんでした。
実際私もこういう失敗を通して安全を意識する事ばかりでした。


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