2016年6月21日火曜日

電磁接触器交換

今日はポンプ関係のマグネット交換を一人で行いました。
4個取替した中の1個の場合を記事にしました。
こういうのはどこでも電気主任技術者の日常業務と言えます。
去年回転中に単相運転が発生した時は同タイプがなく急ぎ在庫に
あった容量の大きな11KWのマグネットで交換しました。
ただ線端子が入らずそこまで取替が必要となったので今回は既存
と同じ型番を事前に在庫込で10個購入しました。
マグネット交換では蛍光灯安定器みたいに活線作業では私も
できないので主電源と制御電源MCBを最初に切ります。
★故障に合う前に取替しておくのが今回の趣旨です★

2線以上端子に線がある物はテープで各まとめておきます。
回路もわからないマグネットでいきなり交換する場合は
取付状態の配線接続状況は必ずメモしておきましょう。

ところがここで問題が発生したのは上段中のネジ゙が硬くて
回らないので線がもちろん外せません!(一次側S相)
それを回すのに10の力が必要なとこに9しかない場合に
ドライバーでネジが回らないという現象が発生するのです。
そのまま何度も回してしまうとネジ山をつぶしてしまうため
絶対に無理をしてはいけません。
私が男性より力が弱いのが原因ですがこういう場合はあの
インパクトドライバーを使用します。

同じ型番でも補助接点にはa接点とb接点の構成に種類があります。
既存を見ると補助接点はNOとNCの記載が各1個あるので今回
の場合Fuji電機のSC-5-1でコイル200V、1a1bを注文しました。
NOがa接点、NCがb接点の事。2aならb接点なしa接点2個の意味。
既存がすでに廃止の場合はこの接点構成が同じ物を買う事。

これがインパクトドライバーという物です。
BACKをハンマーでリズムをつけてカンカンと叩けば硬いネジは
外す事ができるのです。
ゴムハンマーではダメで金属ハンマーでワンショットで強く叩く!
小刻みにではなく押さえつける様にカンカンカンです。
(打撃を回転力に変える仕組みなので一瞬の強い打撃が有効)
その他ではドアクローザを交換する時とかに硬いネジで使います。
ただ方向性があるので回転方向だけは叩く前に確認します。

そのネジは外れたので無事に本体を撤去できました。
マグネット着脱では配線端子の尖った部分で手をケガしない
様に注意しましょう。
撤去した時の既存配線のこの形を崩さない様にそっと新品を
挿入するのがこういう物を交換する時に配線間違いをしないコツ。

既存の固定ネジで新品本体を取付します。
購入した新品パーツにはこの固定ネジまで付属してない
ので既存取外しの時に下に落として無くさない様に注意されてね。
又落としたネジが下にある何かの充電部にはさまり気がつかない
と後で短絡の原因になるのでネジを外す時は注意されてください。
サイズの異なる容量の大きいマグネットで代用するとネジ穴を作る
作業が発生するので今回の様に同じ型式でなら簡単。
こういう物は標準外を使用すると配線より取付・固定に意外と時間
がかかるので急でなければ同じ物を購入してから交換作業はすべき。

ネジ穴作成は先輩に習いながら指先で覚えるしかありません。
今はこういう物があるのだけは覚えておいてください。
コンクリに穴を開けるため振動ドリルを使うのも同じでどれも
してみれば簡単でたいした事ではありません。
ただ簡単な事も1回も操作経験がないとイザではできません!
本でいくら勉強しても実務ではできないのが凡人ですよ。

奥のCOIL、補助接点、主接点と順番に配線を接続していきます。
主接点は丸端子なので一旦完全にネジを外さないといけません。
COIL端子は奥のため指が太い人には本体取付状態では難しいと
思うのでその場合は本体固定する前に接続しておきましょう。
私は指が細いので取付状態でどんな細部でも指先で作業ができます。
この後は下段の配線を接続すれば交換作業は完了となります。
尚インパクトや電動で最大トルクで締め付けはやめましょう。
イザの部品交換でネジが回らないというのは勘弁してください。
人間の力でいっぱい締めこんだら十分です。
(業者は何かあったら嫌なのでそうした物でまじ締めするの)
私はこういう作業では穴開け以外で電動工具は使用しません!


水槽設備のポンプ動力盤は湿気が高いせいか相応に時間経過
してる配線を着脱した時に端子と配線の根元が折れる事が時々
あるのです。
又絶縁測定では異常なくても線被覆が劣化してるのを発見したら
修理取替も発生するので接続端子と配線は準備した上で
マグネット交換は行います。

詳しい人だとこの盤にはTHR(サーマルリレー)がないと思われた
かもしれませんがこの盤はCTで電流を読んでいて過電流に至ると
マグネットへの励磁を停止させるので必要ないのです。
排水ポンプに異物が引っかかりロック状態となった時にTHRが何回
か動作した事はあります。(今も時々そう)
原因は利用者が信じられない様な物をWCから流す、厨房の排水
に同じ様な事をするなどこちらでは防ぎ様がありません!
通常はTHRが動作するのを一度も体験した事がない現場の人が
いても不思議ではないほどです。
(電気事故は私の経験では漏電が9割、過電流は1割程度)

取替したらテプラ―で交換日を貼っておきます。
数年したらいつ取替したかわからなくなるからです。
わからないから放置してモーター焼損事故などに至れば電気主任
の管理責任を問われます。
点検で電圧に異常がないとしても寿命の点で相応に交換が必要な物は
電気担当はわかってないといけない事ですから、厳しいオーナーとか
ならなぜ故障前に交換を事前にしなかったのかを言われますよ。
会社というのは事故や故障が発生すると必ず報告書を提出しなければ
いけないのです。(特に★故障に至った過程が問題視される★)

最後にMCBを投入して手動運転をして三相電流値にばらつき
がなく電流値も正常時と同じか、マグネット二次側の電圧値に
ばらつきがないかを確認をします。
マグネット交換はしてみれば意外と簡単ですからぜひ挑戦されてね。
後中央監視で翌日確認したら自動運転も夜していたので問題なし!
22:42運転で22:53停止という意味。
補助接点の配線を1本入れ忘れ実は自動では動かないという事が
あってはいけないので自動で動く物は部品交換したら自動運転を
必ず確認するのを忘れてはいけません。


交換したマグネット4個の内1個は接点がこんな酷い状態
9年使用していた物ですが予想以上にこれだけ劣化ししていました。
新品は綺麗な金属でけして黒塗装ではありません。
点検ではマグネット二次側電圧のばらつきもなく、こういう小型は接点
を抜くのが難しいので私もこれまで気がつけませんでした。
ただ放置していたら来月にも欠相状態となっていたかもしれません!

もしかして私が入社する前に異物がポンプに詰まり逆転させるため
配線をクロスさせた時、ネジの締め込みが緩い状態で運転させたのでは?
これだけ全体が真っ黒になっているのが不思議です。
実は最近私がいない時に職場の先輩が逆転するのに結線変えをして
運転したらマグネットが入ったとたんに火が出てMCBが切れた事件
があったのですが冒頭の盤の昨年交換したNO2マグネットというのが
それです。あれも接点を抜いたらは同じ様な状態でした。

やりかたは私のを見て簡単と思ったのでしょうがしてはいけない知識
がないからああいう事故を起こしてしまうのです。
三相マグネットの主接点が3ヶ所ありますが1本もし締めが弱く実際は
2本しか通電されない状態、つまりマグネットの一次側は三相でも二次側
は単相状態でそれを三相モーターに電圧としてかけたら短絡します。
こういうのをマグネットの欠相状態と言います。
交換、逆転のためでも主接点の配線を外して再取付では注意が必要。
又マグネット交換せず長期使用した場合の最悪な結果もこれです。
保護回路がトリップしても一旦は相応の電流は流れるのですから
運が悪いと老朽化したモーターではそれまで焼いてしまいます。

空調機のマグネットは接点が抜けるので1年に1回抜いてすり合わせ
をして使っていますがそろそろ本体交換を計画しようかと思っています。
すり合わせは父から習ったからしています。
理想は10年で本体交換、15年一度も接点も見た事もないマグネット
では短絡事故はなくても接点は上みたいに真っ黒な状態でしょうね。
運転状態でマグネット二次電圧のばらつき点検は接点劣化を間接的
に知る術ではあるけど、古い物は一度接点を抜いて接点の状態を
確認すべきです。(抜けない小型は無条件で本体交換)
おそらくどこの現場ではヤバイと感じるのが数個あると思います。
上接点みたいなのは迷わず交換しないと近日モーターを焼くかもです?

今回会社が契約してる電材屋さんで定価8450円のSC-5-1が
売値4500円程度で大事を考えたら安い物です。
私は会社から1ヶ月に20万円までは自分の判断でお仕事に使用
する物を購入する許可をもらっています。(事後報告は必要)
ですからこの程度の注文は私が代理店に直に注文しています。
部品購入の権限をもらってるという事は必要な修理パーツは私が
見て常に準備しておかないといけません。
イザで代替も一切の物がないというのが一番ヤバいのです。

ビルで電気主任をする場合はマグネット、リモコンリレー、MCBなど
の交換は自らできる様でなければいけません。

そうでないと突発的な故障でタイムリーな対応ができません。
業者は?と言っても今日の今日ですぐに来れる保障ないです。
(エレベーター、シャッターの様なフルメンテ契約してる場合は別)
フルメンテ契約してないグレーゾーンな設備故障時にどう電気主任
として対応するか?は常なる私の課題ですね。
貴方が将来どこかの電気主任技術者として着任してもきっとそれが
一番の懸念事項となるはずですよ。
点検して記録を取るだけが電気主任のお仕事ではありません。