2015年12月24日木曜日

電気主任技術者 電磁接触器交換

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私がお休みの時に汚水ポンプで過電流警報が出たので設備の人
が何か異物が詰まってると思い、私が逆転運転する真似をして
電源2線をCHangeさせて起動させました。
するとマグネットから火花が出て切れたらしい?
その時の電流は通常15Aなのに80Aも一瞬あったそうです。
翌日状況から操作間違いではなくてポンプの回転部分に何か
硬い異物が引っかかってロックした状態
になってるから係長に
業者に連絡して夜中にその水中ポンプを床まで上げてから点検
が必要です。と進言しました。
逆転でほとんどが取れますがこういう完全ロック状態では無理!

で...やはり硬い金物がありそれが引っかかっていて除去したら
電流値は正常に戻りました。
実は去年設備の人の取り扱いミスでモーターを焼いて交換した
ばかりでまたそれは許されません。
業者はポンプ屋さんで電気はわからないので何も見れません。
今回火花が出た、80Aによる劣化を懸念してマグネットつまり
電磁接触器の交換を電気主任として私が実施しました。
★停止状態から単相運転だけは絶対に避けないといけません★

これは既存の状態だけど見た目綺麗でも接点状態はわかりません。
このサイズだと接点を抜けるけど戻すのが困難なので交換しました。
ただ今回は同じ型式部品の納品まで待てない状態なので容量の
大きい型式の異なるので交換します。(倉庫に今これしかない)
励磁コイル電源は無極性で主接点はa接点に決まってますが
こういう型式の異なる場合は補助接点の構成が異なる事が
あるため確認が必要です。

★モーター電源と制御電源のMCBを必ず切ります。★
両方を切らないとマグネットを完全無電圧にはできないので注意!
照明器具やタンブラSW交換では活線作業を時々仕方なくしますが
これだけは私も無電圧にならないと行いません。

まず配線をすべて外しますが私はどれがどの線かわかる
ので無造作にしてますが、普通は外す前の写真を撮るなり交換した
後にわかる様にしておくのを忘れないでね。
2本接続はテープしておきましょう。(どれがどの線か不明になる)
シーケンスが読めないで作業される場合は特に注意されてください。
尚、この状態でその補助接点をテスターで導通テストをすると導通
がないのでこれはa接点です。

a接点かb接点か調べ方
こういう感じで配線が接続されてない状態で導通レンジで測定。
①間は導通があるのでb接点、②間は導通がないのでa接点!
わざわざこの程度でシーケンス図面を見なくてもすぐわかります。
これ以外でも回路を触る時に知っておくと便利なので覚えておいてね。
配線が接続されていると回り込み回路を構成した場合にa接点
なのにb接点なる結果が出るので必ず配線は外して行う事。

既存マグネットを撤去しました。
抜き取る時に回りの硬い尖った部分でケガをしない様に慎重に!
私もここでつい気が緩んで指を出血した事があります。

新マグネットだけどこれは奥がa接点です。
既存のは手前がa接点になっています。あのまま同じ様に手前に
接続したら中央監視にはポンプが運転していないのに運転中の
表示となりおかしな事になる!
だから同じメーカーでも型番が違う場合は確認が必要です。
コイル電源とその補助a接点の配線は盤奥が狭いため本体を取付
する前に私は接続しておきました。

後本体寸法が大きくなるため取付穴が合わないので先に盤にネジ穴を
作成しておきます。(穴を開けネジを挿入するための溝を切る事)
ただネジ穴を作成するのは初心者の方には難しいので小さ目の穴を
ドリルで開けてタッピングビスで固定するか、接合面が完全Flat
なら工業用アクリルテープで固定するのが簡単です。

固定ネジ、電線を接続する部分のネジが硬くて取れないなら、まず
全体重をかけて回してみる...それでもダメで更に無理すると頭
のミゾをつぶすので、そうなると業者でないと無理ですよ。
業者施工で電動ドライバーの最強トルクで締めた物は手で回しても
回せない事が時々あります。
(締付力より強い力でないから緩まないわけでだから滑るの!)
回らない場合はインパクトドライバーを使用しましょう。
これの頭をハンマーで叩く事で強大な回転力が発生するのです。
尚、回転方向があるので左回転にさせるのを忘れない様に。

盤に固定して主接点の二次側を接続
サイズが大きくなると主接点の取付ネジも太くなるので既存のまま
では配線の端子の挿入ができない場合もあります。(端子交換要)
今回も既存の丸端子は入りませんでしたから加工しました。
マグネット交換作業は同じ型式で交換するのが一番楽ですが
今回は修理を急ぐため仕方ありません!
電材屋さんに発注してからだと最短で納品に3日かかります。
業者発注でも彼らは見積もりを出しこちらが注文書を出さないと
してくれないからこれも数日後(お金を決めないで先に作業を
要求するのは下請け業法で禁止されています
)
こういう事態では現場の電気主任技術者がするしかなく対応
できる様に電気主任は練習しておかないと自分が先で困ります。

最後に主接点の一次側を接続して完成です。
これで10年は短絡さえさせなければ大丈夫!
MCBを投入し手動運転をしてマグネットの二次電圧に差がないか
通常は209,210,209Vの様な状態だけど、もし電圧差があるなら
新品だから端子の締め込みとか確認してください。
"電圧差があるけど運転したからいいか"は電気を知る人がする
事ではありませんし、そのまま放置したら必ず故障します。
そうなれば完全な施工ミスです。
マグネット交換作業では交換したら運転状態での二次側電圧
の確認を忘れてはいけません。

ところで既存の劣化してると思われるマグネット接点状態
相当に酷い状態なので交換して正解でした。
短絡や軸ロックで大電流が流れると電圧降下を生じてコイル電圧
が低下してマグネットが切れてしまうのですがその電流を切る
時にアークが発生して端子を焼損します。

(MCBで回路を切ったとしても通過してる電流を遮断する事で同じ
結果になります。)
とにかくそのマグネットの限度を極度に超える電流を流さない!
その結果もし1相が導通不能の状態で停止から電圧をかけたら
モーターコイルを短絡させてしまいモーターは逝ってしまいますよ。

THRやMCBがあるから大丈夫と反論したい人はいるでしょうが
私の経験上、実際一旦大電流が一瞬ながれてからそれらは
動作しています。

つまりその一瞬に中古モーターでは耐え切れずにコイルが
焼損してしまった事例を数回目撃したので私はけしてそれら
を過信しないのです。
マグネットは蛍光灯の安定器と同じ消耗品ですから本来は15年を
経過した物は順次交換された方がいいと思います。
(使用頻度が高いほど短絡はなくても接点は劣化していきます)
今回私が交換したのはNETでパーツが7千円程度だけど業者に
依頼したら工賃込みで3万円は最低必要でしょう。
ビルや工場にあるのを全部となれば数百万円となり、動いてるから
まあいいか!で何もしてない現場も多いと思います。

ただ前述した様にたった1個のマグネットの急な誤動作でモーターを
焼いてしまうと相当に高い費用が必要になります。
とりあえず使用頻度の高い機器のみでも更新PLANを立てるのも
電気主任技術者のお仕事だと思います。

今良ければではなく将来のリスク回避対策は自分のためでもあります。
もちろんできれば貴方が工事されるなら職場での評価は絶対にUPです!
どんな凄い資格があろうが"勉強ができるだけではね?"なんて皮肉
とは無縁な真の技術者を目指しましょうよ。