2015年10月25日日曜日

電気主任技術者 仕事:スターデルタ始動法:モーター管理

⇒私のブログの最新記事へJAMP

モーターのスーターデルタ起動はどこの工場、ビルにも必ずあるので
電気主任技術者は絶対に扱えないといけません。

私の現場のモーターは従来のシーケンス部分が電子制御基盤なので
NETにあるスターデルタ起動回路で説明してみました。

尚スターマグネットとデルタマグネットは互いのb接点を相手の起動回路
に入れる事で同時には投入されません。(ピンク部分)
赤字が前半のスター回路の動きでタイマー時間T経過後が黒字デルタ回路
投入の動きとなります。
このシーケンスではデルタ回路が先にONする事でメインマグネットが後から
ONされて通常運転となります。
何か回路故障が発生したら★動きをこういう感じで順番に書いて考える★
のが故障特定のための最短距離なんです。

まったく最初から起動しない場合はTHRが動作してないか?してればメガ測定
で絶縁確認をして異常なければリセットで正常復帰するはず。
THRでなければOFFボタンをジャンパーしてONボタンを押す⇒タイマーRT接点を
ジャンパーしてONボタンを押す...これのどれかでまず起動するはずです。
(ジャンパーとは線で2端子間を短絡させる事)
ON/OFFボタンは押した一瞬しか動作させないし、メインマグネットのコイル断線
も稀なのでタイマーRTの故障が一番可能性が高いでしょう!
タイマーRT接点をジャンパーしてONボタンを押すで起動したら確定です。
通常プラグイン方式で交換は簡単だけど在庫として物がないと何もできない
ので重要機械に関する起動タイマーは在庫として事前に購入しておきましょう。
起動タイマーRTは矢印の接点動作を制御しており交換によりこれらの部分
の故障はクリアーできます。
(モーターが最初から起動しない、デルタ回路に切り替わらないなど)

毎日動くのが当たり前ではなくこうしたマグネットやタイマーは蛍光灯と同じ
で消耗品
のため★時期がくれば点検していても必ず故障します★
現場の電気主任技術者になったならいつの日か職場の方から”電気主任さん
空調機が今朝は起動しません"と必ず言われますのでよく研究しておこう!
できる電気主任ならモーター焼損以外は修理できるはずです。

それとシーケンス部分は別にして実際の回路がどう動くか実線状態で理解
できていますか?
正面の四角な物は動作表示であれが飛び出てるという事はマグネットが
OFF状態という意味
です。
マグネットの動作状態は目視で確認ができます。
従い下の写真の場合は左2個のマグネットのみON状態になります。

まず22才の新人の彼にこの実線状態をスケッチしてもらいました。
配線それぞれがどこに接続されているか?
スターデルタがよくわからない方はこの彼が書いたこのスケッチ
をまず暗記されてください。

やはり写真を見ながら手で書くのが体で覚える基本です。
ただWEBや本だけのわかったつもりはしょせんつもりじゃない?
メインマグネット(MG-M)がON、デルタマグネットがON
スターマグネットがOFFで起動が完了した運転中の状態です。
貴方が現場管理に就職して機械や電気巡回をした時に盤中
のマグネットは必ずこういう状態になっています。
5.5KWオーバーのモーターはスターデルタ起動です(200V)
(内線規程では3.7KW以上がその方式に推奨)

運転状態では各ポイントの線間電圧VE=VA=VBはすべて200Vです。
次にデルタ回路中のIDとMG-Mの一次側電流IEはIDをルート3
倍した物がIEとなります。
(私が管理現場するモーターはメインマグネットの二次側からデルタ
マグネットの一次側に接続されています)
以上のポイントを毎月測定し記録に残せば十分です。

負荷電流が急に減ったらVベルトがスリップしてるなど機械的な
駆動系の異常の変化も電流値として変化が出てくるのです。
電流が低いため過負荷ではないからと安心してはいけません。
それが低いとは負荷が乗ってないので機械が正常機能してません。
逆に機械軸系がロックすると過電流でTHRが動作します。
三相が同じ様に電流値が急変したらモーターよりそれで駆動
する機械側に異常がある可能性が高い。

逆に1相のみ電流がおかしいという場合はモーターなど電気的
な異常があると私の経験では判断します。
特にこの現象が発生したらレアショートなどコイルに異常があって
モーターの取替が必要かもしれません。
あまりに電流にアンバランスがあると逆相トルクによりモーターが
振動、熱も上昇するのでそこまでに至る前に対策をしましょう。
電流値を比較するのはそういう意味があります。
特に電源にインバーターがある場合では制御ユニットまで焼いたら
復旧は100万円を軽く超えますので兆候を軽視してはいけません。

抵抗分漏れ電流I0rは専用回路のため毎月ほとんど変化しません!
ずっと2mA程度なのに急に30mAとかなったら停止してメガも測定
を行い状態の総合判断が必要です。
その場合こういう感じで細かく電圧や電流を測定しておくと故障判定
材料になります。(通常は主幹で電圧と電流を計測する程度でしょう)
電圧、電流、抵抗は互いに関係していて異常があればどこかにいつも
とは違う変化が発生します。それを見抜くのが貴方のお仕事です。

起動時はMG-MがON、スターマグネットがON、デルタマグネッットはOFF
の状態でスター回路となるためにIE=ICとなります。(線電流=相電流)
スターマグネットの反対側は金属の短絡金具で短絡してあります。
スケッチの線と写真の配線をきちんとりンクしておきましょう!
その後でシーケンスを勉強すればよく理解できます。
UVW端子、XYX端子とモーター内部コイルと線の関係はこうです。

遠隔監視用の電子ユニットがあるので絶縁測定をする時はマグネット
の二次側で測定してMCBの真下では私は測定しません。
スターデルタ回路の中には私の今の現場の回路とは違い
メインマグネット(MG-M)を1個省略してる場合が稀にあります。
2コンタクト方式と言います。
この場合は運転してなくても電圧が常にコイルにかかっているの
で注意されてください。
つまり停止中でもUVW端子~モーターコイル~XYZ端子まで線間200V
がかかっていますので油断してると感電する!
とにかくスターデルタ起動回路では絶縁測定する時は必ずMCBを
切り回路を確実に無電圧にする事
が大切です。

★実際に今の現場であったトラブル
モーター交換を業者に夜中させたんだけどこれくらいで私の立会い
は必要ないだろうと思いさせました。
昼間見たらきちんとモーターは運転していたので私も業者ですから
信用していました。
半年後にVベルト交換をしたので状態確認をするために現地で
手動運転をしたら...なんとモーターが回らない

あれ???そうしたら10秒程度したら運転を開始!
手動運転したらスターマグネットがONになりすぐ起動するはずなのに?
しかもスターマグネットは動作している?.....どういう事これは?
回路上の配線を目で追っていたら前述したら短絡金具が取付されて
いませんでした。
これではコイルがスター回路を構成しないため運転せずタイマー時間
後にデルタ回路でいきなり起動です。

通常このモーターは監視盤で遠隔起動していて巡回でここに来た時は
正常運転してるので誰も気がつかなかった排気ファンなんだけど負荷
が軽いから過電流になるギリギリのとこで運転完了できたいたんだと思う。
ただ設計より大きな起動電流で使用してるのだから寿命の点で良い
状態ではありません。

この件で私が勤務する会社が支払った修理代金をすべて返納した上
にそのメーカーの支店長まで謝罪に来られました。
仮にもメーカーがしていけない相当のミスで担当はしばらくして
退職したのか転勤か違う方に交代されました。
私もああいう初歩的施工ミスは想定していませんでした。
逆に言えば私が顧客に対してミスをすれば同じ様に勤務してる会社の
信用を大きく損ないます。
顧客の財産を損なう又は将来そうなる可能性の行為をした場合は
相応に責任を取らないといけません。

行動は常に相手に責任を伴うのが現場の仕事です。
だからって、その責任が怖いからすべて業者にさせます。
なんて態度では絶対に電気主任技術者を勤まりません。
お金の問題ではなくて大至急故障対応をしなければいけない事が
どうしても発生するからで、そんなジレンマを感じながら私も働いて
います。

★知っていましたか?
電気作業を行う場合、原則は停電させて行うべきだけど実は
活線作業は労働安全衛生規則では禁止はされて
いません。
ただ感電しないための防護は必要です。
労働安全衛生規則 第三百四十六条(低圧活線作業)