2015年9月30日水曜日

電気主任技術者 仕事:冷温水発生機原理

私が勤務する現場では500冷凍トンが3台、250冷凍トン
が1台の計4台の冷温水発生機があります。
(又は吸収式冷凍機とも呼ばれたりもする)
もちろん電気主任技術者なのですからある程度の事は
他の扱う方より知っておかないといけません。
まず第1回目は基礎原理と状況をレクチャーしてあげる。
これから特にビルの電気主任技術者を目指す方で未経験
の方は必ず知っておいてくださいね。

真空状態にすると水は5℃で蒸発します。
そんな箱の中に水を入れてその気化熱で室内ユニットからの
配管を冷やすのが冷温水発生機の原理です。
この配管の中には室内ユニットから来る冷房用の水が循環
しています。
ただそのままでは箱の中は真空状態を保てないので吸収液
(臭化リチウム)という薬品で気化により蒸発した水分を吸収
させる必要があるのはわかると思います。
冷温水発生機の冷媒とは機械内部に保存した水となります。
室内ユニットで循環している水とは異なりますので注意。

同時にフロンなどの冷媒ガスを使用しないので高圧ガス法の
適用を受けないため冷凍機の資格は必要ありません。
冷房運転時
私が勤務してる現場の冷温水発生機でも★水で500冷凍トンの
冷房能力を単体で出せる★のですから凄い技術ですよね。
しかも高圧モーターがなく動力としては低圧の循環ポンプほど
でいかなるフロンも使用しない点で地球環境に優しい点が
素晴らしいと思います。又故障も実際ほとんどありません!
ターボ冷凍機需要家がこれにすると契約電力も1/3減らせる
ので経済的メリットも高いのです。
私が勤務するビルも昔ターボ冷凍機時代は契約電力が
3000KWを超えていたそうです。

再度利用するために水で薄くなった吸収液を水と元の濃度
の吸収液に分離する必要がありこの時に沸騰点の違いを利用
して過熱する事で水蒸気と元の濃度の吸収液に分離します。
だから冷水を作るのに燃焼という行為が必要なのです。
相当の熱で過熱されるため水はこの段階では水蒸気の状態。
この水蒸気を液体の水に戻すのに冷却水が必要でそのために
冷温水発生機も冷却塔が必要なのです。
概略だけ述べましたがたいていの人は運転で扱っていても
たぶんわかってない人が多いと思います。

これは冷房の原理で暖房の時はこの吸収液を加熱させて
そこに室内ユニットからの配管を通せば中を循環してる暖房用
の水を加熱できます。(★暖房時は冷却塔は必要としません★)
冷温水発生機は暖房時に水を媒体として加熱しないため蒸気が
発生せず、そのためボイラー資格が必要ありません。
だから冷温水発生機ではボイラーの様に蒸気は得られませんが
室内ユニットからの配管の水を50℃くらいに加熱できます。
50℃のお湯と十分なその水量があるなら空調機で暖房する
だけなら十分過ぎます。
と言うか自動制御で温水量を空調機側で調整しないと部屋から
45℃の温風が出てしまうので冬でも暑くていれません。


私が勤務する現場の冷温水発生機はこういう感じで箱の中に
あり全体像を私は見た事はありません。
500冷凍トンNO.1冷温水発生器
冷房能力500USRT、暖房能力1265000Kcal/h
最大能力時:冷房7℃、暖房55℃がカタログSPECです。

これはそのR-1を運転してる時の各配管の温度です。
(冷水とは空調機から、冷却水とは冷却塔からの水)
冷却水入口温度が27.5℃、同出口温度29.6℃しかないので
全然余裕ですが冷却水出口温度が37℃まで上昇したら
運転台数を増やさないと冷水の出口温度が上昇します。
それだけ空調機の要求負荷が多い事を意味します。
実際は35℃になったら追加タイミングです。
この時はまだ朝の8:45で負荷がほとんどないからで負荷
が上昇したら500冷凍トンを2~3台運転が必要です。

上手な冷暖房というのは熱源出力=空調要求負荷にする事。
たとえば軽負荷時に7℃一杯の冷水作成設定にするとこうなる。
冷水が12℃で冷房運転を開始して設定7℃まで冷やし停止
その後12℃まで運転しない、そのサイクル運転の繰り返し。
これでは冷凍機能力が強過ぎるせいで冷水が12℃に上がった
時に利用者から暑いというクレームが来る場合がある。
こういう冷水温度をON/OFF状態にするのは下手な運転です。

機械の能力が空調機の要求負荷より勝っている事を条件として
この場合は冷水設定を逆に9℃にすれば機械は停止しないで
9~10℃のフラット水温となり快適環境を提供できるのです。
(一番右の急上昇は機械を完全停止したから)

負荷が上昇すると9℃では冷水温度が上昇してくるのでここで
設定を下げていきます。それでも無理なら運転台数を増やします。
台数制御のある場合でも年数が経過すると機械能力低下、現場
負荷量変化があるので台数制御設定の見直しが必要になります。

これがR-1用の冷却塔です。
水の一部を内部で蒸発させる時の気化熱で水を冷やす。
従い運転中は内部の補給水は常時ペットボトルを逆さま
にする以上に出ていますがこれは故障ではありません!
知らない方は水漏れしてると言う方がいますがそうじゃない
水を蒸発させた分連続で補給しないと槽内が空になりエア
を最後は引いてポンプまで振動をしてしまいます。
冷却水量低下で機械も緊急停止をするでしょう。
流体に気泡が発生する場合(キャビテーション)が発生
するとインペラやケーシングといったポンプ本体の故障
にもつながります。

周りにパイプ施工をしてるのは上でVベルト交換をする時に
落下防止用安全帯を固定するためです。
たいていの現場では何もないので落下したら大ケガをします。
私が勤務する会社では社員のためにこういう安全対策
までしてるのは褒めたい。(高さ2.5m以上は高所作業という)

私が勤務してる現場では冷温水発生機の冷却水出口温度に
上限設定を入れて37℃になったら警報を出す様にしています。
冷温水発生機は冷却水入口温度が32℃、同出口温度が37℃
で定格状態となります★これは暗記してね!

この温度を超える前に冷温水発生機の運転台数を追加します。

冷却塔は正常動作してるなら水の入と出の温度差は5℃です。
(ただし設備として下記事で紹介してるバイパスバルブが全閉の時)
もし全量冷却水が通過してる状態で入水温度が5℃より下がらない
たとえば3℃しか下がらない場合は何か冷却塔に問題があります。
冷却塔が水を冷やせないと冷凍機は能力が十分に出せません!
雨が降る日は機械の冷えが少し悪く感じるのは湿度が高い
ために水が蒸発し難いため冷却塔の能力が少し落ちるからなの
これが冷温水発生機と冷却塔の接続関係なのでよく覚えてね。


これが冷却塔に送水するポンプです。
現場は絵で見る様に素直に配置されていないため現場と
PCの画面配置を整理しておかないといけません。
物がどこにあるかわからないでは困りますからね。
バイパスバルブは外気が寒くなると冷却水が冷えすぎるので
その場合は開放して冷却塔に入る水の量を減らす。
これを冷凍機の過冷却防止と言います。
その他ここで作成した水を空調機に送る冷水ポンプもあり。
温度センサーは配管内水温度を中央監視PCに送る物でこれで
現場にいなくても各ポイントの温度が遠隔監視できるんです。
冷温水発生機の遠方監視での管理基準は基本温度です。

箱の中にあるメイン制御盤です。
C-HPPFとはCが冷房運転、Hが高燃焼、Pが冷水一次ポンプ運転中
次のPが冷却水ポンプ運転中、Fが冷却塔ファン運転中を意味します。
そう補機関係は中央監視からの信号ではなく直接この冷凍機盤から
起動、停止指令が自動で出ます。
冷温水発生機が故障したらこの表示からエラーコード表示になるので
緊急停止時、巡回時は必ずまず制御盤のここの表示を見ます。
エラーコード表はコーピーしてすぐ確認できる様にしておかないと
異常が出てからぶ厚い取説を探す様ではお粗末ですよ。

故障が発生した場合は状況を正確に業者に電話で伝えてから来て
もらわないと何かと対応が遅れます。
ただ機械が動きません。なんて連絡は技術者の発言ではない
それには扱う者もある程度はその機械の動きを勉強しましょう。

吸収液を水と元の濃度の吸収液に分離するためにバーナーで
燃焼させています。だから冷房なのに火が必要なんです。(燃料は都市ガス)
運転中の音で一番わかるのはこの燃焼音がメインで上みたいに箱
の中に入ってると冷温水発生機はガチに静かです。
冬はバーナーでただ吸収液を加熱させるだけに使いそれにより間接的
に水を加熱して50℃程度のお湯を作ります。(空調器の暖房用)
運転、停止操作は家電みたいな物だけど冷暖切替では業者が来て
内部バルブ切替など操作が必要になります。
冷温水発生機は冷凍機だけでなくボイラーの資格も必要ありません。

地震が発生すると火を使うのでボイラー同様に機械を強制停止
させます。
動作すると赤表示になるので丸いのを回しリセットすると緑表示
になったら運転の再開ができます。
同時に中央監視PCのエラー表示もその瞬間に消えます。
自動抽気装置は内部にたまった不凝縮ガスを排気する装置!
冷温水発生機は真空が保てないと水を冷やす事ができません。

★第1回目は簡単に冷温水発生機の概要のみとしました★
運転オペレーターとして以上あげた事項程度は最低条件として
知っておかないといけないと私は思います。
何もわからないで機械をただ動かすだけでは何年操作しても
私の勤務する様な職場では働けません。

私の勤務する職場ではリーダーの指示で毎月勉強会をします。
講師を仲間が交代で行い勉強会の最後に、その人が自作した
設備取扱い試験問題をみんなにテストをします。
講義もテストの内容も自由で面白い発案に私は好きです。
元自衛隊で教官をしていた人が作る問題は私も相当手ごわいです。
各自が持ってる優れた能力を披露して全員が共有するというのが
リーダーのコンセプトで実際職場のレベルは高いと思います。

仲間の悪口をコソコソ語る様な三流の職場ではその現場にいくら
長くいてたとえそこで電験2種を取得しても他では通用しません。
後契約電力の小さな現場も学ぶべき物やトラブルもほとんどない
ので楽かもしれないけど技術が身につかないのでできれば
大きな現場に転職される事をお勧めします。
できる技術者になれるかは働く現場しだいでしょうね。

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